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9 抜き打ち調査
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最悪な幼馴染のミハイル・エンリーと結婚が決まってから1日が経ち、次の日からおかしなことが始まった。
王宮の家臣が直接、魔法支援室まで見学に来たのだ。
普段だったら来たとしても、お偉い方はエリートの魔法研究室までなのに、王宮側の家臣がこっちに来る用事なんて一つしかない。
私の監視だ。
ミハイルの魔力は認められているが、私の魔力は未知数。
魔力量は王宮試験の時に計測されているが、私がどういった魔力を使うのか王宮からわざわざ直接調査に来たのだと察した。
調査に来た家臣は、私の作る魔石を1度預かるとユリアさんに言ったみたいで、こっそりと教えてくれた。ユリアさんも、不審に思いながら魔石を渡すしかないみたいだ。
そんな日が1週間続いた。
ーーー家臣が来る就業時間前
「さすがにおかしくないっすか?こう毎日来られると、いくら職場でも息が詰まるんすけど」
アルノーは隣で愚痴を漏らす。
流石に職場の雰囲気もどんよりと重い。
ずっと緊張感の中で働かさるのは限界になってきた。
そこで私を呼び、ユリアさんはやってきた家臣をすぐに別室に案内する。
「彼女の魔石はどれも繊細で丁寧な仕上がりです。何度確認していただいても不備などござません」
ユリアさんが強く王宮の家臣に伝えると、向こうもさすがに理解していたのか、これ以上の調査は不要といって切り上げていった。
「・・・・ありがとうございます。本当にご迷惑をお掛けしてすいません」
「いいのよ。あなたも大変ね」
同情してくれるユリアさんの優しさに、罪悪感でいっぱいになった。
******
数日後、職場に平和な日々が戻ったかと思いきや、次は国王が
「本日、魔力持ちの実力を抜き打ちで見るので、各魔力室を対戦させる」
と王宮の家臣が伝えに来る。
なるほど・・・正々堂々と出てきたな。
勝手に結婚を決められ、住みたくない家を与え、魔法支援室のみんなにまで迷惑がかかり、今日は対戦をさせられる。
ーブツっ
私は堪忍袋の緒が切れた。
今日いきなりの話でみんなざわめいている。
そんな中、隣でアルノーが手を上げた。
「あのー、対戦となると魔法支援室が圧倒的に戦闘に不利じゃないですか?」
ユリアさんが補足で説明してくれる。
「ルールに持ち込みの制限は無いわ。これは戦闘用の魔石を駆使すれば解決するんじゃないかしら。あとは魔力の公平のために、グループで決められた魔力量を超えなければ、何人でも出ていいみたい」
「例えば、魔力量が合計500で設定されていたら、250の人は2人まで100の人だったら5人まで組み合わせは自由に出場できるわけっすね」
アルノーが分かりやすく説明してくれた。
ユリアさんは頷き、続ける。
「優勝した魔力室は褒美に、休暇と特別手当が貰えるそうよ」
その言葉にみんな盛り上がる。
「魔力室のお互いの実力って知らないから、面白いかもしれないっすね」
アルノーが能天気に話す横で、瞳の奥が沸々と燃えていた。
王宮の家臣が直接、魔法支援室まで見学に来たのだ。
普段だったら来たとしても、お偉い方はエリートの魔法研究室までなのに、王宮側の家臣がこっちに来る用事なんて一つしかない。
私の監視だ。
ミハイルの魔力は認められているが、私の魔力は未知数。
魔力量は王宮試験の時に計測されているが、私がどういった魔力を使うのか王宮からわざわざ直接調査に来たのだと察した。
調査に来た家臣は、私の作る魔石を1度預かるとユリアさんに言ったみたいで、こっそりと教えてくれた。ユリアさんも、不審に思いながら魔石を渡すしかないみたいだ。
そんな日が1週間続いた。
ーーー家臣が来る就業時間前
「さすがにおかしくないっすか?こう毎日来られると、いくら職場でも息が詰まるんすけど」
アルノーは隣で愚痴を漏らす。
流石に職場の雰囲気もどんよりと重い。
ずっと緊張感の中で働かさるのは限界になってきた。
そこで私を呼び、ユリアさんはやってきた家臣をすぐに別室に案内する。
「彼女の魔石はどれも繊細で丁寧な仕上がりです。何度確認していただいても不備などござません」
ユリアさんが強く王宮の家臣に伝えると、向こうもさすがに理解していたのか、これ以上の調査は不要といって切り上げていった。
「・・・・ありがとうございます。本当にご迷惑をお掛けしてすいません」
「いいのよ。あなたも大変ね」
同情してくれるユリアさんの優しさに、罪悪感でいっぱいになった。
******
数日後、職場に平和な日々が戻ったかと思いきや、次は国王が
「本日、魔力持ちの実力を抜き打ちで見るので、各魔力室を対戦させる」
と王宮の家臣が伝えに来る。
なるほど・・・正々堂々と出てきたな。
勝手に結婚を決められ、住みたくない家を与え、魔法支援室のみんなにまで迷惑がかかり、今日は対戦をさせられる。
ーブツっ
私は堪忍袋の緒が切れた。
今日いきなりの話でみんなざわめいている。
そんな中、隣でアルノーが手を上げた。
「あのー、対戦となると魔法支援室が圧倒的に戦闘に不利じゃないですか?」
ユリアさんが補足で説明してくれる。
「ルールに持ち込みの制限は無いわ。これは戦闘用の魔石を駆使すれば解決するんじゃないかしら。あとは魔力の公平のために、グループで決められた魔力量を超えなければ、何人でも出ていいみたい」
「例えば、魔力量が合計500で設定されていたら、250の人は2人まで100の人だったら5人まで組み合わせは自由に出場できるわけっすね」
アルノーが分かりやすく説明してくれた。
ユリアさんは頷き、続ける。
「優勝した魔力室は褒美に、休暇と特別手当が貰えるそうよ」
その言葉にみんな盛り上がる。
「魔力室のお互いの実力って知らないから、面白いかもしれないっすね」
アルノーが能天気に話す横で、瞳の奥が沸々と燃えていた。
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