ホタルまつりで会おうね

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「あの、ホタルまつりのホタルって、なんだったんですか？」

　もねがたずねると、おじいさんは、ねむそうな目を、少し大きくひらきました。

「なに、あそこで会うホタルとは、死んだもののタマシイさ。人でも、動物でも、物でも、なんにでも、たましいはある。そして、ふつう、たましいは、死んだり、こわれたりすると、天に帰っていく。だが、死んだものを大事に、大事にしているものがいると、たましいは、そのものがかわいそうで、地上にとどまってしまう」

　もねと、みのりちゃんは、顔を見あわせました。
　それから、ゲージと、とりかごを見おろしました。

　おじいちゃんは、うんとうなずいて、つづけました。

「だからの。たましいを、天に返してやらなければならない。それは、生きている者たちの、さいごの、せきにんなんだ。ホタルまつりはね、そのためにあるんだよ。わたしは、ホタルまつりの日に、このドアをあけるために、ここにいるんだ」

　むずかしい話でした。
　だけど、一つだけ、わかったことがありました。

　もう、回し車はまわらないということです。



「もねちゃん、あした、ニコニコランドのプールに行かない？」

　なんでも屋さんを出たところで、みのりちゃんが言いました。

　ニコニコランドはとなり町の遊園地です。その中に、プールがあります。なみのでるプールは、本物の海のようでした。

「こないだ、わたし、海に行くやくそく、やぶっちゃったでしょ。だから、かわりに、プールに行けたらいいなって……」

　みのりちゃんは、もじもじと、手で、ピッピのとりかごをいじくっています。
　その後ろのけしきは、いつもとおんなじ、かわら屋根のならぶ町です。

「うん、行きたい！」

　もねは、わらって言いました。
　みのりちゃんも、かすみそうのように小さくわらいました。

　近くの公園でも、ぼんおどりがはじまったようです。
　東京おんどが、きこえてきます。







―おわり―