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 もねは、びっくりしました。

 遊園地のオバケやしきで、先に入っていくのは、いつも、もねでした。
 みのりちゃんは、「こわいよう」と、もねのせなかに、はりついていたのに。

 もねも、ぎゅっと、みのりちゃんの手をにぎりかえしました。
 ゲージをもっている右手にも、力を入れます。


 ゴオオオ……。

 足元で、川の音がしています。

 みのりちゃんが、一歩、橋に足をのせました。
 橋が、ぎしりと、ゆれました。

「うわぁ!」

 もねは、しゃがみこもうとしました。

 でも、みのりちゃんは、もう一歩、足を前にだしました。

 ひっぱられて、もねも歩きます。

 ぎしり、ぎしり。

 かずら橋の、茶色いつるが、きしんで、ゆれます。
 風は、こまかい水のつぶを、ほおにあてます。



 向こうぎしの、白いがけが、近づいてきました。
 がけの上には、あかるい緑色の森が、こんもりこんもりしげっています。森の中へ、細い道がのぼっていました。

「あっ! ホタルまつりはこっちだって!」

 みのりちゃんが、えだからさがっている、板のかんばんを見つけました。
 書いてある字は、チラシに書かれていた字と同じです。

「なんでも屋さんのおじいちゃんが、書いておいてくれたのかな」

 道を二人ならんで歩くと、しだのしげみに落ちてしまいそうです。
 もねは、みのりちゃんの後ろについて、のぼっていきました。


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