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しおりを挟む「せきにん……?」
もねは、ぐっと体をかたくしました。
ナミエ先生がよく言っています。「みなさんは二年生になったのですから、せきにんをもって行動しなければなりません」。
「ホタルまつりって、どんなおまつりなの?」
「それは、わたしもしらないの。だけどね、ほら、『大事なものが生き物の場合は、そのものと自分をつないでいたものを、わすれずにおもちください』って書いてある」
みのりちゃんは、紙の一番下をさしました。
「つないでいたものって?」
「わたしもね、わかんなくて、おじいちゃんにきいたの。そうしたらわたしの場合、ピッピのとりかごだって。だから、もねちゃんは、チュピちゃんのゲージをもっていけばいいんだよ」
それから、みのりちゃんは、ぴしっとせなかをのばして、小さくわらいました。
「わたし、ホタルまつりに行くよ。ピッピが大事だから、ホタルまつりに行くせきにんがあるもん。もねちゃんも、行こう。チュピちゃんのゲージをもって、行こう」
「……うん」
もねは、ブランコから立ちあがりました。
夕方のひざしが、もねのほっぺたをおしてきます。おされて、もねは、ふらりとしました。
さっき、かたくなった体が、あっというまに、タコみたいにふにゃふにゃです。
「もねちゃん、やくそくね。十五日の五時半に、大沢のなんでも屋さんの前でね」
みのりちゃんの声は、かたくて、おなかがいたくなる感じです。
「……うん」
もねは、さばくみたいに広い校庭を歩いていきました。
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