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しおりを挟む「もねちゃん、あぶない!」
水しぶきの向こうから、みのりちゃんのさけび声がしました。
もねは、プールの中で立ちあがりました。目の前に、コンクリートのプールのヘリがせまっています。
きょうは、夏休みのプールのれんしゅう日です。
学校のプールのあちこちで、水しぶきがあがっています。先生がピーっとホイッスルをふきます。
もねは、およいでいるうちに、コースからそれていたようです。
プールのヘリにつかまって、バタ足のれんしゅうをしているみのりちゃんたちのほうに、来てしまっていました。
「もねさん、けがはなかった?」
二組のたんにんのナミエ先生も、プールサイドからとんできました。
もねは、ママよりも若くて、おねえさんみたいな、ナミエ先生をぼんやりと見あげました。
そして、ぼんやり、うなずきました。
もねは、体育がとくいです。
およぐのもだいすきです。ビートばんをつかわなくても、クロールができます。
だけど今は、ベッドの中で、ねむっていたい気分です。
チュピちゃんが死んでから、ずっとです。
夜も、お昼も、ずっとねむっていたいのです。
「もねちゃん、だいじょうぶ?」
みのりちゃんが、もねの顔をのぞきこんできました。子犬みたいに心配そうな目をしています。
一週間前の登校日のことを思いだしました。
「ピッピが死んじゃった」と言ったみのりちゃん。
「かなしくて、なんにもやりたくなくなっちゃった」と言ったみのりちゃん。
(ほんとうだね、なんにもやりたくなくなっちゃうね……)
もねの目から、ポロポロとなみだがこぼれました。
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