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2 ネバーランドへようこそ
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しおりを挟むどうしよう。有香ちゃんとしゃべりたくない……。
小一のころから、ずっと、親友だったのに……。
あれから、一週間。
有香ちゃんは、あからさまにヨウちゃんに話しかける。
きょうも登校したとたんに、有香ちゃんはヨウちゃんの席まで歩いていった。それから、十分も二十分も、ヨウちゃんとぼそぼそ話してる。
あたしとヨウちゃんが話すときは、ツノをはやしてるリンちゃんたちも、有香ちゃんに対しては、なんにも言わない。
そりゃあね。
クラス一、秀才で美人の有香ちゃんだもんね。リンちゃんでも、手が出せないんだ。
「あ~、和泉、かっわいそ~。フラれてやんのっ!」
男子のはやし声がきこえてきて、あたしの胸、ズキンってなった。
「バカ、やめろよ」
って、別の男子がとめてくれる。
「ちがうって。だって、和泉って、永井のことが好きなんだろ? 永井、最近、葉児とばっか、しゃべってんじゃん」
ず~ん。
墓石でも背負わされた気分。
あたしが好きなのは、有香ちゃんじゃなくて、ヨウちゃんなんだけど。
だけど、男子たちからでも、ヨウちゃんと有香ちゃんは仲良く見えるんだ……。
あたし、あれからヨウちゃんちに行ってもない。
また、有香ちゃんとはちあわせしそうで、怖くって。
だってあたし、完全にオジャマ虫。
ヨウちゃんと話し終わった有香ちゃんが、あたしと真央ちゃんのところに歩いてきた。
「真央、綾ちゃん。きのうの、漢字ドリルの宿題さ……」
ヨウちゃんところに行く前は、眉をひそめてむずかしい顔をしてたのに、今は、すっきり口元が笑ってる。
有香ちゃんがこっちにつく前に、あたしは、真央ちゃんのとなりからはなれた。
「……あれ? 綾?」
まばたきする真央ちゃんに、あたしは「ん~、ちょっと用」って、生返事。
あてもなく教室を歩いていたら、黒板の前にしゃがみこんでいる誠を見つけた。サッカーボールをイスみたいにお尻にしいて、山田と「あははは」って笑ってる。
「誠~、おはよ~。例のマグカップ、きのう、うちにとどいたよ~。誠のところはとどいた~?」
あたしを見あげて、誠、にっこにこ。
「和泉ぃ、おはよ~。オレんちもとどいたぜ~。すっげぇ、ちゃ~んと、牛乳飲めんの~」
「え~? あたしのなんか、ママが一輪挿しにしようとしたら、下から、水、もれるんだもん。ぜんっぜんつかいものになんないよ~」
「あははは! 和泉のキリン。水もれキリン~っ!! 」
昨晩、とどいたダンボールを開けてみて、もうひとつがっかりしたことがあった。
色つけした鈴、入ってない……。
「……和泉ぃ。どうした~?」
ハッとしたら、誠のクリクリ目が、あたしをのぞきこんでいた。
「う、ううん。なんにもないよ」
今は、有香ちゃんといるより、誠といるほうが、楽。
誠が、友だちでいてくれてよかった……。
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