ナイショの妖精さん

くまの広珠

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5 決戦は卒業キャンプで

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「だ、だけどさ。ヨウちゃん最近、男子たちともぜんぜん話してないじゃん。前はもっと、男子とも遊んでたでしょ。休み時間に、サッカーしたり。バスケしたり。そんなにずっと、ひとりでいたら、スナフキンみたいになっちゃうよ?」


「……は? スナフキン?」


「ムーミンのスナフキン。『ぼくは孤独になりたいんだ』ってヤツ。で、そのうち、『旅に必要なのは、口ずさめるひとつの歌さ』とか、言い出して……」


 ぷっと、ヨウちゃんがふき出した。


 あ……ほっぺた、桃みたい……。


「こらぁ~! 和泉ぃ~  サボってないで、もどってこいよ~。皮むいてくんないと、なべにジャガイモ、入れらんないだろ~?」


 調理場のほうに顔をあげたら、誠がわたわた、おサルみたいに手をふってた。


「行けよ。呼んでるぞ」


 ヨウちゃんがうつむいた。石膏みたいに硬いほおにもどっている。


「……うん」


 立ちあがりかけたとき、自分のジャージのポケットからのぞいてる、布切れに気がついた。


 そうだ……あたし、まだ、これをわたしてない……。


 お腹に力を入れて、もう一度、ヨウちゃんのとなりにしゃがみ込む。


「ヨウちゃん。あたし……誠の告白ことわったよ」


「……えっ!? 」


 バッと、ヨウちゃんがふり向いた。


 ドキッとして、お尻をコンクリートのゆかに落としちゃう。


 だって……そこまで反応するっ!?


 反応した本人まで、自分の反応におどろいたみたい。まばたきして、琥珀色の目は、また、たき火のほうにもどってく。


「……どうして? せっかくの告白だろ? おまえらフィーリング合ってんのに。もったいねぇ」


「……だって。……あたしが好きなのは、ヨウちゃんだから……」


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