ナイショの妖精さん

くまの広珠

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3 デートスポットには、オシャレして

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 それから、がっちり三十分かけて。誠はう~ん、う~んって、なやんで。

 お母さんに、ヘアピンをひとつ選びあげた。

 ネックレスや指輪より、倉庫仕事にもつけて行けそうなピンがいいんだって。

 プレゼント用に包装してもらっている誠をレジにのこして、あたしは先に店から出た。

 店の壁に寄りかかって、ショッピングモールの通路を見ていたら、このあたりって、カップルばっかり。

 腕を組んで歩くふたりは、ニコニコ笑って幸せそう。


「つきあう」って……どんなだろ……。


 やっぱり、ふつうに会話したり、遊ぶのとはちがうのかな?


 そういえばあたし、ヨウちゃんと、浅山以外に行ったことない。

 会うのはいつも、お父さんの書斎か、浅山でだし。話すのだって、妖精のこと。


「……ヨウちゃんも、カノジョができたら、いつもよりがんばった服着て、こういうところに来るのかな……?」


 ふたりでひとつのジェラート食べてさ。べたべた肩とか抱いちゃったりして。

 ハァって、ため息をついたら、あたしのミュールの横に、誠のスニーカーがならんでいた。


「えっ!?  あ、あれ? 誠、もう、包装してもらったの?」


 ヤダっ! あたし今、声出してたっ!


「……なぁ、和泉。オレにしない?」



「……え?」


 誠の声、小さい。お店の前の壁で。あたしとならんで。オーバーオールのポケットに両手をつっこんで、うつむいてる。


「だってオレ、和泉といると楽しいもん。和泉だって、いつも怒ってばっかのヤツといるより、オレと笑ってたほうが、ゼッタイいいって」


 ……誠……?


「……それって、ラブ?」


 誠の横顔を下からのぞきこんだら、誠のほおが、リンゴみたいに赤く染まった。


「……うん」


 きゅっと目を閉じて、口元へにゃ。


 う……。誠……カワイイ……。










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