ナイショの妖精さん

くまの広珠

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2 妖精のお医者さん

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「……まぁ、たしかに、和泉の言うとおりかもな。球が見えないのは、オレのせい。和泉はいっつも自然に自分を出せてる。外面ばっか気にして、自分を出してこなかったのは、オレだから」

 なにそれ……。
 こんな素直な中条、あたし知らない……。

 心臓バクバク。なんか中条のいるほうの右肩が、ガッチガチにかたまってるし。

 そっと、横目で相手を見たら、腕を顔からおろして、目を閉じてた。

 あ……ほっぺた、まだ桃みたいなピンク色。

 口元がふわっと笑ってる。

 そっか……これが自然……。

 あたしももう一度、目を閉じて。

 ドクンドクン。自分の心臓の音に耳をすませて。

 ふっと体のまわりに、澄んだ空気が広がった。

 円状にとりまくパウダーの上を、すーっと、虹色の光が伝ってく。

 虹色の光は帯状に、あたしと中条を取り巻いて、まあるい円になる。

 円から、ぽわっと、虹色の光の壁が立ちのぼった。

 壁は半透明に光りながら、あたしたちをドーム状に包み込んでいく。

 背中を支えている地面の感覚がなくなった。
 あたしの背中の裏側にも、虹色の壁ができていく。

 寝そべっている芝生の下。地面の内側におわんのように壁が広がって、地上の半球とつながって、ぽうと、虹色の球ができあがる。

 う、うわぁあっ!

 あたし、両手をバタバタ。

 シャボン玉の中で、体が宙に浮いてるみたい。

 あたしの右手を、パシッと硬い左手がつかんだ。

 な、中条っ!

 中条にもこの球が見えてるの?

 ききたいけど、声を出したら、虹色の球が消えちゃいそう。

 体はふわふわ球の中。
 ささえは、中条の左手だけ。

 あたしは左手ものばして、両手で中条の左手にしがみついた。

 虹色の球の中に、なにか銀色の光の粒がふってくる。遊園地のイルミネーションみたい。チカチカまたたいてる。

 銀色の光はあたしたちの肩に腕に、胸にひざに、雪のようにふりつもる。

 まぶしい……。

 体中が光に包まれてる。




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