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4 セミの鳴く木陰で
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「綾、気づいたか?」
そばのお墓から、ヨウちゃんの声がした。
「和泉ぃ~! 心配したよ~っ!! ぐあい悪かったんなら、どうして言ってくれなかったんだよ~っ!! 」
ヨウちゃんのお父さんのお墓まいりをしていたふたりが、もどってくる。
「……誠。ごめんね、心配かけて。あの……ヨウちゃんもごめんね。運んでくれてありがとう」
「気にすんな。それより、体へいきか? どこがつらい?」
ヨウちゃんは、あたしの目の前まで来ると、しゃがみ込んだ。
わ……距離近い。鼻と鼻がくっつきそう。身をかがめて、のぞきこんでくる琥珀色の瞳。
「あ……えっと。ちょっと頭がガンガンする……」
「熱中症だね。こんな暑い日に、帽子もかぶらないで、水分も取らないで、歩き続けちゃいけないよ」
横で鵤さんが、眉をひそめた。
「ご……ごめんなさい」
「和泉ぃ。これ、スポーツドリンクだから、飲んどきな」
誠が、巨大な水筒をさしだしてくる。
「あ、ありがとう……」
重たい水筒を両手で持って、あたし、飲み口に口をつけて、ごっくごっく。
あ……ひんやりしてて、おいしい。体に、水分が吸収されてく……。
「えっ!? お、おい、綾っ! ちょ、ちょ、ちょっと待てっ!」
「……え?」
アホ毛をゆらして、水筒から顔をあげると、ヨウちゃんがアワアワしてた。
「こっち飲め、こっち!」
さしだされたのは、半分以上減ってる、五百ミリリットルのペットボトル。
「葉児。それの中身、水だろ? おまけに、見るからに生ぬるそうじゃん。熱中症には、冷たいスポーツドリンクがいいの」
「い、いや……だ、だけどな……」
「あのさ~。こんなときに、なに考えてんの~? 間接キスで嫉妬とか、葉児、心せますぎ」
誠、ヨウちゃんを見すえて、じとり。
「ふぇええ~っ!? 」
あたしは、あらためて誠の水筒を見た。
ホントだ! ぜんぜん気づかなかったっ!
「綾ちゃん、気にしない、気にしない。今は、体の回復が最優先だよ」
苦笑いしてる鵤さん。
「葉児ぃ、どこ行くんだよ?」
誠の声に、見あげたら、ヨウちゃんは「うるさい!」と背を向けて、立ちあがっていた。
「ちょっと、頭冷やしてくる……」
ひとりで、墓地の柵の方へ歩いていく。
そっか……。
ヨウちゃんて、そういうこと、気にするんだ……。
そばのお墓から、ヨウちゃんの声がした。
「和泉ぃ~! 心配したよ~っ!! ぐあい悪かったんなら、どうして言ってくれなかったんだよ~っ!! 」
ヨウちゃんのお父さんのお墓まいりをしていたふたりが、もどってくる。
「……誠。ごめんね、心配かけて。あの……ヨウちゃんもごめんね。運んでくれてありがとう」
「気にすんな。それより、体へいきか? どこがつらい?」
ヨウちゃんは、あたしの目の前まで来ると、しゃがみ込んだ。
わ……距離近い。鼻と鼻がくっつきそう。身をかがめて、のぞきこんでくる琥珀色の瞳。
「あ……えっと。ちょっと頭がガンガンする……」
「熱中症だね。こんな暑い日に、帽子もかぶらないで、水分も取らないで、歩き続けちゃいけないよ」
横で鵤さんが、眉をひそめた。
「ご……ごめんなさい」
「和泉ぃ。これ、スポーツドリンクだから、飲んどきな」
誠が、巨大な水筒をさしだしてくる。
「あ、ありがとう……」
重たい水筒を両手で持って、あたし、飲み口に口をつけて、ごっくごっく。
あ……ひんやりしてて、おいしい。体に、水分が吸収されてく……。
「えっ!? お、おい、綾っ! ちょ、ちょ、ちょっと待てっ!」
「……え?」
アホ毛をゆらして、水筒から顔をあげると、ヨウちゃんがアワアワしてた。
「こっち飲め、こっち!」
さしだされたのは、半分以上減ってる、五百ミリリットルのペットボトル。
「葉児。それの中身、水だろ? おまけに、見るからに生ぬるそうじゃん。熱中症には、冷たいスポーツドリンクがいいの」
「い、いや……だ、だけどな……」
「あのさ~。こんなときに、なに考えてんの~? 間接キスで嫉妬とか、葉児、心せますぎ」
誠、ヨウちゃんを見すえて、じとり。
「ふぇええ~っ!? 」
あたしは、あらためて誠の水筒を見た。
ホントだ! ぜんぜん気づかなかったっ!
「綾ちゃん、気にしない、気にしない。今は、体の回復が最優先だよ」
苦笑いしてる鵤さん。
「葉児ぃ、どこ行くんだよ?」
誠の声に、見あげたら、ヨウちゃんは「うるさい!」と背を向けて、立ちあがっていた。
「ちょっと、頭冷やしてくる……」
ひとりで、墓地の柵の方へ歩いていく。
そっか……。
ヨウちゃんて、そういうこと、気にするんだ……。
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