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第一章
第12話 とうとう男装女子が来てしまった
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喧嘩が無事(?)終わった翌朝、久しぶりに殿下は私と一緒の馬車に乗った。心なしか彼の顔色はいい。レオナルドはようやくか、と言いたげに付き添いは別の馬車でと申し出た。
「いや、いい。レオナルドは側にいてくれ」
「はい。それがいいと思います」
「ええ…?」
困惑する彼をよそに、殿下の機嫌はこの前より何十倍も良かった気がする。
学園に着くと、校門の前で男子生徒が一人、私たちの馬車を待っていた。いや、正しくは男子制服を着た、女子生徒だ。複数人の女子がひそひそ話しているが、どこかで見たことあるような……。
殿下に手を引かれて馬車から降りると、その青年が私の前に進み出る。その顔を見て、驚きのあまり声が漏れた。
「あなた、ヴィオレッタ…?」
ストレートの銀髪をばっさりと切り、ショートのウルフカットにした、美青年……に見えるが、やっぱりヴィオレッタだ。髪型と服装が違うだけで、全く別人のように見える。女性にしては高い身長も関係してるのかもしれない。
「髪を切ったのね。似合ってるわ」
「フリージア様ならそう言ってくださると思っていました」
ヴィオレッタはかつてないほど穏やかな笑みを見せると、私の片手を取り口づけた。きゃあっと女生徒たちの声が聞こえるが、もしかしてヴィオレッタだとまだ気づいていないんだろうか? それにしても、よく似合っている。
ぽーっと彼女に見惚れていると、私たちをべりべり引き剥がしたのは殿下だった。
「ヴィオレッタ。どういうつもりでしょうか?」
「どういうつもりも何も、親しい友人へのご挨拶ですよ」
刺々しい殿下の声に、また機嫌が悪くなったよとレオナルドが肩を落とす。気にしないでいいからと御者に頼んで帰らせた。
馬車を見送って、あらためてヴィオレッタの姿を見る。朝日に照らされた彼女は本物の王子様みたいだ。
「あれから悩みましたが、フリージア様と同じ学園にいられるのもあと数ヶ月です。…どうせ一度は死にかけた身ですし、まずは自分の心に従おうと思ったのです」
「…なるほど」
「え、死にかけ…?」
頷く殿下と全く理解できない私。
「フリージア様となら、…どんな事実も、どんな運命も受け入れるつもりですわ」
美青年にお嬢様口調でプロポーズのようなことを言われると頭がパンクしそうになる。当たり前だけど、私がこんなシナリオを書いた覚えなんてない。
だけど、彼女も受け入れる覚悟をしたってことだ。
私もできることはなんでもしなくちゃ。
「それから、私も広報部に入ろうと思っています」
「え? でも私は──」
「部員たちに訊きました。でも、あとは彼らから直接話を聞いて欲しいのです。放課後、一緒に部室へ行きませんか?」
「あ、…え、ええ」
「……」
心なしか殿下の顔が浮かないけど、大丈夫だろうか。
ついでに言うと、私は男子生徒たちに「フリージアのせいで美少女が男装に目覚めてしまった」と恨みを買う羽目になったのだった。
◇◆◇◆◇
放課後、ヴィオレッタに強引に引っ張られて久しぶりに部室を訪れると、そこには懐かしい二人がいた。それに、オルハンも。
「ひ、久しぶり…」
「フリージア様」
「ご、ごきげんよう」
「……………」
「……………」
気まずい……。
ジェニとターナーの二人は相変わらずだったが、オルハンが見るからに不貞腐れていた。二人がけのソファにどかっと座って、どこからか出したのか部屋に似合わないほど豪華なグラスで何か飲んでいる。
「フリージア様に振られたからってずっとあの調子なんです」
「別に、振られてない。告白してないからな」
「友達宣言されたんでしょう?」
「友達から発展する恋愛だってある」
「どうかしら?」
二人の掛け合いは案外息が合っているように見えるけど、きっとそう言ったら怒るんだろうな。
相変わらずごちゃっとした室内だけど、私はこの方が安心する。来年度の部員募集にはすでに多くの人から申し込みがあるらしい。
「すごいじゃない。ターナーもジェニも、新入部員が欲しいってずっと言っていたものね」
「はい。……あの、フリージア様。俺たち、…ごめんなさい。追い出すようなことをしてしまって」
ジェニは一枚の記事を差し出した。私がヴィオレッタのことについて書いた記事だ。最後に担当した文章でもある。
「フリージア様の提案した記事の人気が出て、すごく焦りました。このまま真面目な記事が出せなくなったらどうしようとか、ああいう施策ができないといつかまた新聞部に乗っ取られるんじゃないか、とか」
当たり前だ。彼らなりに葛藤があったんだろう。
「だけど、立て直すきっかけをくれたのはフリージア様だろって、オルハンが言って。お恥ずかしい話ですけど、ようやく気づいたんです」
「オルハンが…?」
オルハンのほうを向くと、いつもの彼なら得意げな顔をしているはずなのに、照れてるのか窓の外を眺めている。かわいい。
「フリージア様。広報部に戻ってきてくれませんか」
「この通りです」
二人は立ち上がって、頭を下げた。一瞬固まって、私も慌てて椅子から立ち上がる。
「き、気にしないで! 嫌われてるわけじゃないなら、良かったわ。みんなのこと、大事な友達だと思ってたの。だから、こうして話してくれてすごく嬉しい」
「フリージア様…」
「本当に、申し訳ございませんでした」
何度頭を上げさせてもぺこぺこするのをやめない二人。「やっぱり友達だって」とオルハンをからかい、「それはリュクサンブール嬢も含まれるだろう」という返答に謎にカウンターを食らっているヴィオレッタ。
賑やかな部室に、幸せだな、と感じてしまった。
同時に、いつかここを離れる時が来るんだ、と寂しくもある。
それは卒業のタイミングかもしれないし、もっと早いかもしれない。
ふと、頭をよぎった元の世界のことに、わたしは相反する二つの感情を抱えていた。
◇◆◇◆◇
「それで、今日も遅かったのですか?」
「はい。どうしても書き上げたかったんです」
基本的に広報紙は不定期発行だった。
それを週一、少なくとも二週に一度は、というのはターナーたちの提案だった。オルハンも含め、部員が増えたから作業は大丈夫だろうというのを見越してのものだ。
だが、実際はそううまくいかない。広報紙は限られた場所に掲示されるものとは言え、内容に不備があってはいけないのだ。
「元の世界と変わらないような…」
授業と部活。家事や仕事は全くする必要がないからちょうど同じぐらいの負荷だろうか?
王妃になるためのレッスンは授業時間に組み込まれていて、想像していたよりも普通。これは付け焼き刃じゃどうにもならないから卒業後も見越して、そのプレレッスンと言う形で無理のない範囲で予定が組まれている。
だから寝る時間は取れている……のだけど。
目の前の殿下はどこか拗ねるように口を開く。
「以前よりも一緒にいる時間が減った気がしませんか?」
「そうでしょうか…?」
朝食は言わずもがな、夕食だって、間に合うなら殿下と一緒にとっている。それでも殿下は不満らしい。というか、これもきっとアンナ皇妃の差金だろうが。
「…ヴィオレッタからの手紙は、まだ持っているんですか?」
「? ええ。もちろん」
数日前に解決した話題かと思っていたが、そうでもなかったらしい。殿下は口をナプキンで拭い、「実は」と切り出した。
「彼女のことで相談があります。後で部屋に来てもらえませんか?」
「……はい」
「嫌そうですね?」
「そんなそんな!」
ただ、もうふらふらになるほど疲れているだけだ。明日は学校が休みだけれど、たっぷり昼まで寝てこっそり部室に行く気満々だった。マチルダがそれを許すかどうかは別として。
◇◆◇
「フリージア様。そんな大きな欠伸をしては、殿下に呆れられますよ」
「もう呆れられてるわよ」
さすがに寝室に入るには、一度体を綺麗にしてからではないと許されなかった。面倒だけれど、髪を乾かすのもマチルダを始め御付きの人たちがやってくれるから、私はうとうとしてるだけで大丈夫。これは元の世界に戻ったとしても受け継いでほしいシステムだ。
一人で大丈夫だからとマチルダや他の見張りを全て断って、殿下の部屋に続く廊下を進む。どれだけ歩いてても目が覚める気がしない。話ってなんだろうな、うっかり眠らないといいけど。
「うー、寒…」
袖のところがシースルーになった素材の、なんというか、ワンピースみたいな寝間着(名称は忘れた)。今思えばガウンなりなんなり羽織ってこればよかった。
ちょっとぐらい寒い方が目が冴えるだろうと思ったが、さすがに薄着すぎたかもしれない。そろそろ梅雨の季節だというのに、いまの気温は日本よりも全然寒い。
「フリージア」
「あれ、殿下。お部屋の外にいるなんて、珍しいですね?」
「君がまた迷ったらいけないと思って」
「この前もちゃんと来れましたよね?」
「冗談ですよ」
殿下の部屋に続く廊下で彼と鉢合わせた。飲み物を見張りに頼んでくるから部屋で待っていて欲しいと言われたので、素直にそうする。
主人のいない部屋は少し広く感じられた。ソファに以前彼が貸してくれたストールがあったので、今回もありがたく拝借する。あとで許可を取れば快く貸してくれるだろうし。
「相変わらずいい匂いだ…」
初めはこの高貴な香りに緊張していたけど、数ヶ月一緒に過ごすうちになんとも思わなくなってきた。今はむしろ、家に帰ってきた、という実感が湧いて安心する。それはきっといい兆候なんだろう。
◇◆◇◆◇
「あれ……」
部屋に戻ると、ソファの背もたれ越しに、彼女のつやつやした金髪が見えた。その頭の角度からして、きっと寝ているだろうな、と起こさないように近づく。
「…やっぱり」
予想通りの気持ちよさそうな表情に、つい笑みが溢れてしまう。
10分も待たせたつもりはないが、それでも今の彼女にとっては大健闘、のち睡魔に敗北するに相応しい時間だったようだ。
ノワールは彼女を起こすべきか迷ったが、わざとこの部屋で一晩過ごさせるのも悪くないと思った。過ごした後、朝になって彼女はきっと焦るだろう。普段からそそっかしいフリージアは、その想像の中でさえノワールをくすっと笑わせた。
彼はフリージアの身体に手を回し、彼女の腕を自身の首に巻きつけた。よいしょ、と小さく唱えたかと思うと簡単に身体を持ち上げ、ベッドに運んでしまう。
「……」
彼女を寝かせたとき、ようやく彼は私物のストールが彼女の肩を覆っていることに気づいた。運ぶ時に身体を動かしたから乱れてはいるが、まるで自分の服が彼女を包んでいるかのように見える。
「…フリージア…」
ノワールはそう呟いた後、上下する彼女の胸を見た。
ゆったりしたシルエットの薄手のネグリジェが、生地の柔らかさゆえに身体の滑らかな曲線を描き出していた。白く細やかなレースは彼女の清廉さを表しているように見える。
──コンコン。
ノワールは彼女に触れようとした手をぴたりと止め、扉の外に意識を向けた。
「…失礼いたします、殿下。お飲み物を…」
「あ、す、すまない。やはり要らなくなった」
「そうですか? では、失礼いたします」
「ああ。おやすみ」
ノワールは大きなため息をついたかと思うと、思いきり息を吸い込んだ。彼なりの深呼吸だったらしい。
フリージアの寝込みを襲うなんて、考えられない。いや、本当はそうしたとしてもこの世の大人の誰にも責められないが(そしてこの場面で寝ている彼女も信じられないが)、きっとこの常識は間違っている。
飲み物を数分前に頼んだことすら忘れるほど欲に囚われるとは、自分も大概だ。
手櫛で梳かすように彼女の髪の毛を整える。シーツをかけてやるが、やっぱりよほど疲れていたのか、起きる気配はまったく感じられない。
起きた時、あらぬ疑いをかけられるのも嫌だし、仕方ないか、と自分は別の部屋で寝ることにした。
「あれ……殿下、ずいぶん早いですね?」
部屋を出てすぐ近くの客室まで歩いていると、通りかかったレオナルドがニヤニヤしながら近づいて来た。
「入浴の後、殿下のお部屋にフリージア様が行かれたと聞いていますが」
「聞いているも何も、夕食時に皆の前で交わした会話だからな」
「まあまあ。それで? どうだったんです? うまくいきましたか? ……あっ!?」
レオナルドが驚いたような声をかける。はっと口を押さえるので周りを見渡すが、誰もいないようだ。口元に手を添えたまま、レオナルドはノワールにそっと耳打ちした。
「できるだけ長く、という鍛錬法がありますよ。人によっては倍の時間保つようになったとか……」
「お前…」
ノワールは訂正するのも面倒で、口角を上げて目を細める。「これ以上喋るな、黙っていろ」のポーズでもあるが、完全に思い込んでいるレオナルドには効かなかったらしい。
挙げ句の果てに「昔はその鍛錬をする用に年上の侍女がいたようですよ」なんて言い始めたので、頬をつねってやった。
◇◆◇◆◇
「おはようございます」
「あ……えっと…………おはよ…う…ございます」
フリージアが目を開けて身体を起こすと、バルコニーから誰か戻ってきて、挨拶をした。彼女はそれに返しながら、目の前の光景に頭をフル回転させている。
「えーっと、殿下…あれ、わたし……眠って………」
自分のいる場所は、どう見ても殿下の部屋だ。いいなあと思っていたバルコニーは、朝の光がよく部屋の中に入るよう白い床でできていて、その反射もあってか電気も点いていないのに部屋中がぱっと明るくなったような印象を受ける。
よく似たゲストルームの線を探ったけど、こんな豪華な部屋、そうそうないだろう。殿下はニコニコしながら近寄ってきてはいるが、あまり顔が見れない。
「ご、ごめんなさい、眠るつもりじゃ…」
「構いませんよ。それぐらい疲れていたんですね」
「話したいことがあったんですよね?」
「それより──……」
殿下は私の髪を耳にかけた。くすぐったいと思ったら、親指の腹が耳を撫でている。
「あの…?」
これぐらいで身を捩らせるのも恥ずかしいので我慢するが、なんというか、こんなに甘い雰囲気を感じたのは初めてで。そっちのほうに意識が向いてしまう。
「何かされた、とは思わないのですか?」
「ええ!? あ、え…っ……ええ!?」
大きな声をあげて、私は思わず自分の衣服を見た。下着まで、バッチリ。マチルダたちがやんややんや言いながらこの薄手のワンピースを着せられたけど、特にリボンが解けているわけでもない。
身体をぺたぺた触っていると、殿下がぷっと噴き出した。
「っ、あはは! 冗談です、ごめんなさい。君をからかいたくて、そのままここで眠ってもらったんです」
「……」
特大の嘘をつかれた。
こほん、と咳払いして、髪を手櫛で整えた。このあとマチルダたちにどんな反応をされるのか考えただけで嫌になるが、気を取り直して言う。
「昨日仰っていたヴィオレッタについての相談って何ですか?」
「ああ、そうでした。聞いてくれますか?」
「もちろんですわ。私と殿下の仲ですもの」
「…君がそう言うのは、いつも他人事のように振る舞うときですよね。…まあ、仕方ないのかもしれませんが」
殿下の言うとおり、私はこの言葉をスイッチにしている。あくまで友人としての線引きということだ。こんなことを言うのも変だけれど、自分を、フリージアを守るためでもある。お前に興味がないと言われているのも同然だし。
「彼女が髪を短く切りましたけど、そのことについては知りませんでしたよ」
「わかっています。というか、それは君が原因なのですが……まあいいです。ヴィオレッタが髪を短く切ったことに、副校長が酷く怒ってるんです」
「え? 副校長が? なぜ…?」
正しくは、コンクールで優勝した人間の振る舞いとして、怒っているとのことだった。アンナ王妃の宣言通り、殿下とヴィオレッタはあれから一緒に活動できていないらしい。
基本的には慈善活動や何かしらの地域セレモニーに招かれることが多いが、ヴィオレッタ単体で向かうと、「女生徒なのに男子用の制服を着ていること」について何かしら突っかかれるとのこと。
「ヴィオレッタの代わりに副校長が怒ってるということね?」
「いや、そうじゃない。……残念ですが、品位を落とす行動だと思っているのだとか」
「……どうしてです?」
私の表情を見て、まだ怒るところじゃないとでも言いたげに彼は落ち着いたトーンで続ける。
「彼女がいわゆる女性らしい格好をしないのは、学園に対する抗議だと捉えられています。ascaに出場した貴族が平民に負けたのもそうですが」
「うっ」
嫌な記憶が思い出される……。
「それに便乗して、彼女が『革命派』であるとの声が高まっているのです」
「いや、いい。レオナルドは側にいてくれ」
「はい。それがいいと思います」
「ええ…?」
困惑する彼をよそに、殿下の機嫌はこの前より何十倍も良かった気がする。
学園に着くと、校門の前で男子生徒が一人、私たちの馬車を待っていた。いや、正しくは男子制服を着た、女子生徒だ。複数人の女子がひそひそ話しているが、どこかで見たことあるような……。
殿下に手を引かれて馬車から降りると、その青年が私の前に進み出る。その顔を見て、驚きのあまり声が漏れた。
「あなた、ヴィオレッタ…?」
ストレートの銀髪をばっさりと切り、ショートのウルフカットにした、美青年……に見えるが、やっぱりヴィオレッタだ。髪型と服装が違うだけで、全く別人のように見える。女性にしては高い身長も関係してるのかもしれない。
「髪を切ったのね。似合ってるわ」
「フリージア様ならそう言ってくださると思っていました」
ヴィオレッタはかつてないほど穏やかな笑みを見せると、私の片手を取り口づけた。きゃあっと女生徒たちの声が聞こえるが、もしかしてヴィオレッタだとまだ気づいていないんだろうか? それにしても、よく似合っている。
ぽーっと彼女に見惚れていると、私たちをべりべり引き剥がしたのは殿下だった。
「ヴィオレッタ。どういうつもりでしょうか?」
「どういうつもりも何も、親しい友人へのご挨拶ですよ」
刺々しい殿下の声に、また機嫌が悪くなったよとレオナルドが肩を落とす。気にしないでいいからと御者に頼んで帰らせた。
馬車を見送って、あらためてヴィオレッタの姿を見る。朝日に照らされた彼女は本物の王子様みたいだ。
「あれから悩みましたが、フリージア様と同じ学園にいられるのもあと数ヶ月です。…どうせ一度は死にかけた身ですし、まずは自分の心に従おうと思ったのです」
「…なるほど」
「え、死にかけ…?」
頷く殿下と全く理解できない私。
「フリージア様となら、…どんな事実も、どんな運命も受け入れるつもりですわ」
美青年にお嬢様口調でプロポーズのようなことを言われると頭がパンクしそうになる。当たり前だけど、私がこんなシナリオを書いた覚えなんてない。
だけど、彼女も受け入れる覚悟をしたってことだ。
私もできることはなんでもしなくちゃ。
「それから、私も広報部に入ろうと思っています」
「え? でも私は──」
「部員たちに訊きました。でも、あとは彼らから直接話を聞いて欲しいのです。放課後、一緒に部室へ行きませんか?」
「あ、…え、ええ」
「……」
心なしか殿下の顔が浮かないけど、大丈夫だろうか。
ついでに言うと、私は男子生徒たちに「フリージアのせいで美少女が男装に目覚めてしまった」と恨みを買う羽目になったのだった。
◇◆◇◆◇
放課後、ヴィオレッタに強引に引っ張られて久しぶりに部室を訪れると、そこには懐かしい二人がいた。それに、オルハンも。
「ひ、久しぶり…」
「フリージア様」
「ご、ごきげんよう」
「……………」
「……………」
気まずい……。
ジェニとターナーの二人は相変わらずだったが、オルハンが見るからに不貞腐れていた。二人がけのソファにどかっと座って、どこからか出したのか部屋に似合わないほど豪華なグラスで何か飲んでいる。
「フリージア様に振られたからってずっとあの調子なんです」
「別に、振られてない。告白してないからな」
「友達宣言されたんでしょう?」
「友達から発展する恋愛だってある」
「どうかしら?」
二人の掛け合いは案外息が合っているように見えるけど、きっとそう言ったら怒るんだろうな。
相変わらずごちゃっとした室内だけど、私はこの方が安心する。来年度の部員募集にはすでに多くの人から申し込みがあるらしい。
「すごいじゃない。ターナーもジェニも、新入部員が欲しいってずっと言っていたものね」
「はい。……あの、フリージア様。俺たち、…ごめんなさい。追い出すようなことをしてしまって」
ジェニは一枚の記事を差し出した。私がヴィオレッタのことについて書いた記事だ。最後に担当した文章でもある。
「フリージア様の提案した記事の人気が出て、すごく焦りました。このまま真面目な記事が出せなくなったらどうしようとか、ああいう施策ができないといつかまた新聞部に乗っ取られるんじゃないか、とか」
当たり前だ。彼らなりに葛藤があったんだろう。
「だけど、立て直すきっかけをくれたのはフリージア様だろって、オルハンが言って。お恥ずかしい話ですけど、ようやく気づいたんです」
「オルハンが…?」
オルハンのほうを向くと、いつもの彼なら得意げな顔をしているはずなのに、照れてるのか窓の外を眺めている。かわいい。
「フリージア様。広報部に戻ってきてくれませんか」
「この通りです」
二人は立ち上がって、頭を下げた。一瞬固まって、私も慌てて椅子から立ち上がる。
「き、気にしないで! 嫌われてるわけじゃないなら、良かったわ。みんなのこと、大事な友達だと思ってたの。だから、こうして話してくれてすごく嬉しい」
「フリージア様…」
「本当に、申し訳ございませんでした」
何度頭を上げさせてもぺこぺこするのをやめない二人。「やっぱり友達だって」とオルハンをからかい、「それはリュクサンブール嬢も含まれるだろう」という返答に謎にカウンターを食らっているヴィオレッタ。
賑やかな部室に、幸せだな、と感じてしまった。
同時に、いつかここを離れる時が来るんだ、と寂しくもある。
それは卒業のタイミングかもしれないし、もっと早いかもしれない。
ふと、頭をよぎった元の世界のことに、わたしは相反する二つの感情を抱えていた。
◇◆◇◆◇
「それで、今日も遅かったのですか?」
「はい。どうしても書き上げたかったんです」
基本的に広報紙は不定期発行だった。
それを週一、少なくとも二週に一度は、というのはターナーたちの提案だった。オルハンも含め、部員が増えたから作業は大丈夫だろうというのを見越してのものだ。
だが、実際はそううまくいかない。広報紙は限られた場所に掲示されるものとは言え、内容に不備があってはいけないのだ。
「元の世界と変わらないような…」
授業と部活。家事や仕事は全くする必要がないからちょうど同じぐらいの負荷だろうか?
王妃になるためのレッスンは授業時間に組み込まれていて、想像していたよりも普通。これは付け焼き刃じゃどうにもならないから卒業後も見越して、そのプレレッスンと言う形で無理のない範囲で予定が組まれている。
だから寝る時間は取れている……のだけど。
目の前の殿下はどこか拗ねるように口を開く。
「以前よりも一緒にいる時間が減った気がしませんか?」
「そうでしょうか…?」
朝食は言わずもがな、夕食だって、間に合うなら殿下と一緒にとっている。それでも殿下は不満らしい。というか、これもきっとアンナ皇妃の差金だろうが。
「…ヴィオレッタからの手紙は、まだ持っているんですか?」
「? ええ。もちろん」
数日前に解決した話題かと思っていたが、そうでもなかったらしい。殿下は口をナプキンで拭い、「実は」と切り出した。
「彼女のことで相談があります。後で部屋に来てもらえませんか?」
「……はい」
「嫌そうですね?」
「そんなそんな!」
ただ、もうふらふらになるほど疲れているだけだ。明日は学校が休みだけれど、たっぷり昼まで寝てこっそり部室に行く気満々だった。マチルダがそれを許すかどうかは別として。
◇◆◇
「フリージア様。そんな大きな欠伸をしては、殿下に呆れられますよ」
「もう呆れられてるわよ」
さすがに寝室に入るには、一度体を綺麗にしてからではないと許されなかった。面倒だけれど、髪を乾かすのもマチルダを始め御付きの人たちがやってくれるから、私はうとうとしてるだけで大丈夫。これは元の世界に戻ったとしても受け継いでほしいシステムだ。
一人で大丈夫だからとマチルダや他の見張りを全て断って、殿下の部屋に続く廊下を進む。どれだけ歩いてても目が覚める気がしない。話ってなんだろうな、うっかり眠らないといいけど。
「うー、寒…」
袖のところがシースルーになった素材の、なんというか、ワンピースみたいな寝間着(名称は忘れた)。今思えばガウンなりなんなり羽織ってこればよかった。
ちょっとぐらい寒い方が目が冴えるだろうと思ったが、さすがに薄着すぎたかもしれない。そろそろ梅雨の季節だというのに、いまの気温は日本よりも全然寒い。
「フリージア」
「あれ、殿下。お部屋の外にいるなんて、珍しいですね?」
「君がまた迷ったらいけないと思って」
「この前もちゃんと来れましたよね?」
「冗談ですよ」
殿下の部屋に続く廊下で彼と鉢合わせた。飲み物を見張りに頼んでくるから部屋で待っていて欲しいと言われたので、素直にそうする。
主人のいない部屋は少し広く感じられた。ソファに以前彼が貸してくれたストールがあったので、今回もありがたく拝借する。あとで許可を取れば快く貸してくれるだろうし。
「相変わらずいい匂いだ…」
初めはこの高貴な香りに緊張していたけど、数ヶ月一緒に過ごすうちになんとも思わなくなってきた。今はむしろ、家に帰ってきた、という実感が湧いて安心する。それはきっといい兆候なんだろう。
◇◆◇◆◇
「あれ……」
部屋に戻ると、ソファの背もたれ越しに、彼女のつやつやした金髪が見えた。その頭の角度からして、きっと寝ているだろうな、と起こさないように近づく。
「…やっぱり」
予想通りの気持ちよさそうな表情に、つい笑みが溢れてしまう。
10分も待たせたつもりはないが、それでも今の彼女にとっては大健闘、のち睡魔に敗北するに相応しい時間だったようだ。
ノワールは彼女を起こすべきか迷ったが、わざとこの部屋で一晩過ごさせるのも悪くないと思った。過ごした後、朝になって彼女はきっと焦るだろう。普段からそそっかしいフリージアは、その想像の中でさえノワールをくすっと笑わせた。
彼はフリージアの身体に手を回し、彼女の腕を自身の首に巻きつけた。よいしょ、と小さく唱えたかと思うと簡単に身体を持ち上げ、ベッドに運んでしまう。
「……」
彼女を寝かせたとき、ようやく彼は私物のストールが彼女の肩を覆っていることに気づいた。運ぶ時に身体を動かしたから乱れてはいるが、まるで自分の服が彼女を包んでいるかのように見える。
「…フリージア…」
ノワールはそう呟いた後、上下する彼女の胸を見た。
ゆったりしたシルエットの薄手のネグリジェが、生地の柔らかさゆえに身体の滑らかな曲線を描き出していた。白く細やかなレースは彼女の清廉さを表しているように見える。
──コンコン。
ノワールは彼女に触れようとした手をぴたりと止め、扉の外に意識を向けた。
「…失礼いたします、殿下。お飲み物を…」
「あ、す、すまない。やはり要らなくなった」
「そうですか? では、失礼いたします」
「ああ。おやすみ」
ノワールは大きなため息をついたかと思うと、思いきり息を吸い込んだ。彼なりの深呼吸だったらしい。
フリージアの寝込みを襲うなんて、考えられない。いや、本当はそうしたとしてもこの世の大人の誰にも責められないが(そしてこの場面で寝ている彼女も信じられないが)、きっとこの常識は間違っている。
飲み物を数分前に頼んだことすら忘れるほど欲に囚われるとは、自分も大概だ。
手櫛で梳かすように彼女の髪の毛を整える。シーツをかけてやるが、やっぱりよほど疲れていたのか、起きる気配はまったく感じられない。
起きた時、あらぬ疑いをかけられるのも嫌だし、仕方ないか、と自分は別の部屋で寝ることにした。
「あれ……殿下、ずいぶん早いですね?」
部屋を出てすぐ近くの客室まで歩いていると、通りかかったレオナルドがニヤニヤしながら近づいて来た。
「入浴の後、殿下のお部屋にフリージア様が行かれたと聞いていますが」
「聞いているも何も、夕食時に皆の前で交わした会話だからな」
「まあまあ。それで? どうだったんです? うまくいきましたか? ……あっ!?」
レオナルドが驚いたような声をかける。はっと口を押さえるので周りを見渡すが、誰もいないようだ。口元に手を添えたまま、レオナルドはノワールにそっと耳打ちした。
「できるだけ長く、という鍛錬法がありますよ。人によっては倍の時間保つようになったとか……」
「お前…」
ノワールは訂正するのも面倒で、口角を上げて目を細める。「これ以上喋るな、黙っていろ」のポーズでもあるが、完全に思い込んでいるレオナルドには効かなかったらしい。
挙げ句の果てに「昔はその鍛錬をする用に年上の侍女がいたようですよ」なんて言い始めたので、頬をつねってやった。
◇◆◇◆◇
「おはようございます」
「あ……えっと…………おはよ…う…ございます」
フリージアが目を開けて身体を起こすと、バルコニーから誰か戻ってきて、挨拶をした。彼女はそれに返しながら、目の前の光景に頭をフル回転させている。
「えーっと、殿下…あれ、わたし……眠って………」
自分のいる場所は、どう見ても殿下の部屋だ。いいなあと思っていたバルコニーは、朝の光がよく部屋の中に入るよう白い床でできていて、その反射もあってか電気も点いていないのに部屋中がぱっと明るくなったような印象を受ける。
よく似たゲストルームの線を探ったけど、こんな豪華な部屋、そうそうないだろう。殿下はニコニコしながら近寄ってきてはいるが、あまり顔が見れない。
「ご、ごめんなさい、眠るつもりじゃ…」
「構いませんよ。それぐらい疲れていたんですね」
「話したいことがあったんですよね?」
「それより──……」
殿下は私の髪を耳にかけた。くすぐったいと思ったら、親指の腹が耳を撫でている。
「あの…?」
これぐらいで身を捩らせるのも恥ずかしいので我慢するが、なんというか、こんなに甘い雰囲気を感じたのは初めてで。そっちのほうに意識が向いてしまう。
「何かされた、とは思わないのですか?」
「ええ!? あ、え…っ……ええ!?」
大きな声をあげて、私は思わず自分の衣服を見た。下着まで、バッチリ。マチルダたちがやんややんや言いながらこの薄手のワンピースを着せられたけど、特にリボンが解けているわけでもない。
身体をぺたぺた触っていると、殿下がぷっと噴き出した。
「っ、あはは! 冗談です、ごめんなさい。君をからかいたくて、そのままここで眠ってもらったんです」
「……」
特大の嘘をつかれた。
こほん、と咳払いして、髪を手櫛で整えた。このあとマチルダたちにどんな反応をされるのか考えただけで嫌になるが、気を取り直して言う。
「昨日仰っていたヴィオレッタについての相談って何ですか?」
「ああ、そうでした。聞いてくれますか?」
「もちろんですわ。私と殿下の仲ですもの」
「…君がそう言うのは、いつも他人事のように振る舞うときですよね。…まあ、仕方ないのかもしれませんが」
殿下の言うとおり、私はこの言葉をスイッチにしている。あくまで友人としての線引きということだ。こんなことを言うのも変だけれど、自分を、フリージアを守るためでもある。お前に興味がないと言われているのも同然だし。
「彼女が髪を短く切りましたけど、そのことについては知りませんでしたよ」
「わかっています。というか、それは君が原因なのですが……まあいいです。ヴィオレッタが髪を短く切ったことに、副校長が酷く怒ってるんです」
「え? 副校長が? なぜ…?」
正しくは、コンクールで優勝した人間の振る舞いとして、怒っているとのことだった。アンナ王妃の宣言通り、殿下とヴィオレッタはあれから一緒に活動できていないらしい。
基本的には慈善活動や何かしらの地域セレモニーに招かれることが多いが、ヴィオレッタ単体で向かうと、「女生徒なのに男子用の制服を着ていること」について何かしら突っかかれるとのこと。
「ヴィオレッタの代わりに副校長が怒ってるということね?」
「いや、そうじゃない。……残念ですが、品位を落とす行動だと思っているのだとか」
「……どうしてです?」
私の表情を見て、まだ怒るところじゃないとでも言いたげに彼は落ち着いたトーンで続ける。
「彼女がいわゆる女性らしい格好をしないのは、学園に対する抗議だと捉えられています。ascaに出場した貴族が平民に負けたのもそうですが」
「うっ」
嫌な記憶が思い出される……。
「それに便乗して、彼女が『革命派』であるとの声が高まっているのです」
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