つもるちとせのそのさきに

弥生

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夏に食べたいズッキーニの小話

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※ズッキーニが美味しくなる季節になると、つもるを思い出すね! っておっしゃってくださった方がいたので、夏に書いたつもるのSSです。



「ひっ」
「……」
「んぐ……」
「……」
「あっあっ………」
「……坊っちゃん」
「む?」
「……ズッキーニを切る度に声上げるのやめてくれませんかね」
 俺が夏野菜のズッキーニを切る度に、背中に張り付いていたジーンが小さく悲鳴をあげる。
「いや、こう見事に真っ二つになると……」
「はーい、これは野菜でーす」
「あぁ!! ズッキーニ!!」
 ……意に介せずダンダンと包丁をまな板に叩きつけるようにズッキーニを切っていく。
 焼色をつけたズッキーニにトマトソースを絡めて手早く炒めていくと、美味しそうな匂いがしてくる。
「ほら、坊っちゃんお皿を用意して」
「仕方がないな」
 ジーンから皿を受けとると、ズッキーニのトマト煮を盛り付ける。
 他の副菜などもあわせて手早くテーブルに並べる。
 弾力のあるもちりとした丸パンも一緒に盛り付ければ、なかなかな見映えになった。

 最近では装置で完成品を作り出すのではなく、こうやって料理することにハマっている。
 お菓子などもいにしえのレシピをもとに再現すれば、ジーンがことのほか喜んだ。

 褒められれば嬉しいもので、ラッピングなどにもこだわって可愛く仕上げたものを、所用で訪ねてきた他の者に渡してみれば、ジン様の……手作りお菓子だと……!? って勘違いしたやつらが咽び泣いてしまった。
 いや、あのジーンが作るはずないだろ!? って思ったんだか、こんな可愛いシロクマちゃん柄に……と祭壇に奉るほど喜ぶものだから誤解が解き辛く、面倒になって放置している。
 いや、少し考えればわかるだろう。

 ジーンが作ったお菓子なら裾分けなんてせずに俺がひとりで食べ尽くしている。



「雷、早く食べよう」
 つんつんとジーンが可愛くつつくものだから、一緒に机の前で手を合わせて、いつものように。
「「いただきます」」
 
 今日も今日とて仲良く食事をとった。


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