16 / 18
夏に食べたいズッキーニの小話
しおりを挟む
※ズッキーニが美味しくなる季節になると、つもるを思い出すね! っておっしゃってくださった方がいたので、夏に書いたつもるのSSです。
「ひっ」
「……」
「んぐ……」
「……」
「あっあっ………」
「……坊っちゃん」
「む?」
「……ズッキーニを切る度に声上げるのやめてくれませんかね」
俺が夏野菜のズッキーニを切る度に、背中に張り付いていたジーンが小さく悲鳴をあげる。
「いや、こう見事に真っ二つになると……」
「はーい、これは野菜でーす」
「あぁ!! ズッキーニ!!」
……意に介せずダンダンと包丁をまな板に叩きつけるようにズッキーニを切っていく。
焼色をつけたズッキーニにトマトソースを絡めて手早く炒めていくと、美味しそうな匂いがしてくる。
「ほら、坊っちゃんお皿を用意して」
「仕方がないな」
ジーンから皿を受けとると、ズッキーニのトマト煮を盛り付ける。
他の副菜などもあわせて手早くテーブルに並べる。
弾力のあるもちりとした丸パンも一緒に盛り付ければ、なかなかな見映えになった。
最近では装置で完成品を作り出すのではなく、こうやって料理することにハマっている。
お菓子なども古のレシピをもとに再現すれば、ジーンがことのほか喜んだ。
褒められれば嬉しいもので、ラッピングなどにもこだわって可愛く仕上げたものを、所用で訪ねてきた他の者に渡してみれば、ジン様の……手作りお菓子だと……!? って勘違いしたやつらが咽び泣いてしまった。
いや、あのジーンが作るはずないだろ!? って思ったんだか、こんな可愛いシロクマちゃん柄に……と祭壇に奉るほど喜ぶものだから誤解が解き辛く、面倒になって放置している。
いや、少し考えればわかるだろう。
ジーンが作ったお菓子なら裾分けなんてせずに俺がひとりで食べ尽くしている。
「雷、早く食べよう」
つんつんとジーンが可愛くつつくものだから、一緒に机の前で手を合わせて、いつものように。
「「いただきます」」
今日も今日とて仲良く食事をとった。
「ひっ」
「……」
「んぐ……」
「……」
「あっあっ………」
「……坊っちゃん」
「む?」
「……ズッキーニを切る度に声上げるのやめてくれませんかね」
俺が夏野菜のズッキーニを切る度に、背中に張り付いていたジーンが小さく悲鳴をあげる。
「いや、こう見事に真っ二つになると……」
「はーい、これは野菜でーす」
「あぁ!! ズッキーニ!!」
……意に介せずダンダンと包丁をまな板に叩きつけるようにズッキーニを切っていく。
焼色をつけたズッキーニにトマトソースを絡めて手早く炒めていくと、美味しそうな匂いがしてくる。
「ほら、坊っちゃんお皿を用意して」
「仕方がないな」
ジーンから皿を受けとると、ズッキーニのトマト煮を盛り付ける。
他の副菜などもあわせて手早くテーブルに並べる。
弾力のあるもちりとした丸パンも一緒に盛り付ければ、なかなかな見映えになった。
最近では装置で完成品を作り出すのではなく、こうやって料理することにハマっている。
お菓子なども古のレシピをもとに再現すれば、ジーンがことのほか喜んだ。
褒められれば嬉しいもので、ラッピングなどにもこだわって可愛く仕上げたものを、所用で訪ねてきた他の者に渡してみれば、ジン様の……手作りお菓子だと……!? って勘違いしたやつらが咽び泣いてしまった。
いや、あのジーンが作るはずないだろ!? って思ったんだか、こんな可愛いシロクマちゃん柄に……と祭壇に奉るほど喜ぶものだから誤解が解き辛く、面倒になって放置している。
いや、少し考えればわかるだろう。
ジーンが作ったお菓子なら裾分けなんてせずに俺がひとりで食べ尽くしている。
「雷、早く食べよう」
つんつんとジーンが可愛くつつくものだから、一緒に机の前で手を合わせて、いつものように。
「「いただきます」」
今日も今日とて仲良く食事をとった。
10
お気に入りに追加
109
あなたにおすすめの小説
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
お客様と商品
あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる