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金鳴鳥の囀る朝に。
金鳴鳥の囀る朝に。 最終話
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優しい声に誘われ、瞼をゆっくりと開ける。
ぼんやりとした視界の中で、青年が覗き込んでいた。
二十代中頃の、青年の輪郭が浮かび上がる。
「グラディウス」
その声に、涙が溢れる。
胸の奥から込み上げてくる懐かしい声。
瞬きをしたら搔き消えてしまいそうで、グラディウスは溢れた涙が頬を伝うのを感じた。
少しだけ鮮明になった視界の中で、横たわっている自分を覗き込んでいた彼の姿がくっきりと浮かび上がる。
「グラディウス、もう朝だよ」
優しく、少し困ったように自分の名前を呼ぶのは、ずっと願っていた……彼の愛しい人。
「ア……イル……アイル……っ」
グラディウスは上半身だけ起き上がると、覗き込む彼を両手で抱きしめる。
彼を抱きしめる両腕も、彼を見る両目も、壮年と呼ばれる年月まで彷徨い続けた男のものではなく、隆盛を誇っていた二十代半ばの姿であった。
「やっと……会えた。俺の……」
「うぐっ……グラ……ディウスっ……どうかしたのか……?」
「願いが……叶った……俺は……」
「あっ……あの……寝ぼけて……」
「俺の……アイル……」
強く、もう離せないとばかりに彼を掻き抱く。
まるで半ば夢の中にいるように、永劫の時を経て旅をしてきた記憶はするりと記憶から抜け落ちそうになっている。
自分の輪郭さえ曖昧な世界で、ただ彼の体温だけを感じる。
彼だけを腕に抱き締めて、グラディウスは涙を流す。
じわりと胸に広がる。
戻ってきたのだと。
……彼のいる場所に。
ただそれだけが、例え死後の世界だとしても……グラディウスにとってはこの上ない喜びだった。
「まま、待ってくれ、その、グラディウス、君は振られた恋人と何か勘違いをして……」
「温かい……こんな……ヴァルハラでもこんな……ふら……振られた恋人?」
抱き締められたアイルは耳元まで赤くなり、ささやかな抵抗をしている。
グラディウスはアイルの肩越しに部屋を見る。
綺麗に整えられた部屋には本棚があり、幾つもの本が並べられていた。
騎士服は丁寧にクローゼットに掛けられ、武器や騎士団からの備品は丁寧に手入れされ、あるべき場所に収まっていた。
机の上には銀色の羽飾りの付いたガラスペンとインク。束になった手紙は整頓されて机の隅に置かれている。
部屋は綺麗に片付いていたが、人が生活している空間のようだった。
……随分と、死後の世界というものは俗世に近い。
「グラディウス、あの……君は、その……誰かと勘違いしているんじゃないか?」
「俺がお前を見間違うかよっ。ここは、ヴァルハラだろ?」
「いや、その、すまないが僕の部屋だ。覚えていないのか?」
「覚えて……いや、覚えている。お前が王子の身代わりとなって処刑された後、俺はお前の鳥と一緒に……」
「王子? あの、グラディウス、本当に大丈夫か?」
抱擁にぽふぽふと優しく抵抗していたアイルが、心配そうな声色になる。
グラディウスは少しだけ離すと、アイルの顔を見た。
──間違いない。俺のアイルだ。
「アイル?」
「あ、ああ。僕はそうだけど、君も昨夜は沢山飲み過ぎて、酔いつぶれて眠ってしまったから、僕のベッドに運び込んだんだけど」
「飲み……? おい、鳥は?」
「……鳥?」
グラディウスは部屋を見渡す。隅に置かれた道具などはあるが、鳥籠らしきものはない。
「王子は? だってお前、王子の身代わりに」
混乱したグラディウスは王子の名前を呼ぼうとする。
「あの……確かに、僕は七年前まで第三王子の身代わりを命じられていたけれど、その、覚えていないかい? 王子は、七年前の品評会で……」
「品評会……?」
「あの……銀鳴鳥の品評会で、その……第三王子の飼っていた銀鳴鳥が、王子のあまり良くない言葉を覚えていたみたいで、障りある言葉を吐いてしまい……怒った王子が……」
「王子が、銀鳴鳥を傷つけた……?」
アイルは当時の事を思いだしたのか、哀しげに続ける。
「王子が銀鳴鳥を斬りつけてしまって、羽が見る間に赤茶色に錆びていき……銅鳴鳥に転じて王子に災いを。……当時、護衛として近くにいた僕たちも間に合わなかった。……すぐに王子を助けるために回復や呪い返しを行ったけれど、銅鳴鳥の災いには効果が無くて……喉を掻きむしってご逝去されてしまったんだ……」
「銀鳴鳥が……銅鳴鳥に……?」
──金鳴鳥は人の願いを叶え、銀鳴鳥は人に希望を授け、銅鳴鳥は人に絶望を与える。
──なれど忘れてはならぬ。人の欲によって翼を銅に染める鳥は、災いを波紋させるだろう。
グラディウスの脳裏に、御伽話のような銀鳴鳥の伝承が蘇る。
「そんな……まさか……」
「もちろん……王子を守る事が出来なかった護衛の僕たちも、責任を取って首を刎ねられるところだったけれど、団長が『銅鳴鳥へと転じた魔鳥は人へ災いをもたらす。銀鳴鳥を銅鳴鳥に堕とした王子に向けられた呪いであれば、それを他者が防ぐことは不可能に近い』って取り成してくれて……準騎士への降格と怨嗟の残った銅鳴鳥の亡骸の処理をすることで手打ちにしてくれたんだ……大分大きな出来事だったけれど、君は……覚えていないのか?」
「そんな……まさか……」
ふと、グラディウスの記憶に……その当時降格したアイルを慰める為に酒場を連れ回した覚えが蘇る。
結局先に酔いつぶれたグラディウスを彼が近くの宿に苦労して寝かせたことも。
記憶が二重にぶれる。
何度も繰り返した世界の記憶が、とろりと溶けていく。
「金鳴鳥が……願いを叶えた……」
彼に会いたいと願った亡霊の願いを。
銀鳴鳥に働きかけて、その先に起きる運命を変える為に。
自ら災いをもたらす銅鳴鳥へと転じる事で。
主と相棒の未来を変えた。
──命をかけて。
「お前……そんな……」
ぼたぼたと零れ落ちる涙を拭う事すらできないグラディウスを、アイルは心配そうに見つめる。
「グラディウス、その……大丈夫か?」
「あ……あぁ……悪い……」
この部屋も、見慣れたアイルの自室のはずだ。
身代わりの騎士の任を解かれた彼は、従騎士から五年の歳月を経て正騎士へと戻っている。
彼は休日には本を読んで、友と剣術の訓練をし、一緒に街で飯を食べて、酒を飲み愚痴を聞いてもらい……。
昨夜も、給金前で酒とつまみを持って彼の部屋に飲みに来たのだった。
記憶が曖昧になる。
あの永劫の時が記憶の彼方に溶けそうになる。
ふと、自分の中から“ ”の魔法が消えていることに気が付いた。
もう固有魔法で“ ”を越える事はない。だから、俺の中から失われたのだろうか。
グラディウスは涙を拭う。
あの美しくて煩くて、共にただ一人を愛した鳥が……救われる事のない自分達を救ってくれた。
美しく囀るあの鳥は、もういない。
けれども、グラディウスは一番大切な事だけは覚えていた。
全ての記憶が霞の向うに消えていっても。
「……なぁ、アイル」
「なんだい? グラディウス。その、水でも飲んで落ち着くかい?」
「お前、俺の事どう思っている?」
「なっ……その……君、気づいて……っ」
心配そうな顔が、赤らんだり青ざめたり、表情豊かに変わる。
その表情だけで……十分だった。
「アイル、伝えたいことがある。俺は……お前の事が……」
今度こそ、君に伝えよう。
あの朝に伝える事が出来なかった、君への想いを。
『 の囀る朝に。』
―終―
ぼんやりとした視界の中で、青年が覗き込んでいた。
二十代中頃の、青年の輪郭が浮かび上がる。
「グラディウス」
その声に、涙が溢れる。
胸の奥から込み上げてくる懐かしい声。
瞬きをしたら搔き消えてしまいそうで、グラディウスは溢れた涙が頬を伝うのを感じた。
少しだけ鮮明になった視界の中で、横たわっている自分を覗き込んでいた彼の姿がくっきりと浮かび上がる。
「グラディウス、もう朝だよ」
優しく、少し困ったように自分の名前を呼ぶのは、ずっと願っていた……彼の愛しい人。
「ア……イル……アイル……っ」
グラディウスは上半身だけ起き上がると、覗き込む彼を両手で抱きしめる。
彼を抱きしめる両腕も、彼を見る両目も、壮年と呼ばれる年月まで彷徨い続けた男のものではなく、隆盛を誇っていた二十代半ばの姿であった。
「やっと……会えた。俺の……」
「うぐっ……グラ……ディウスっ……どうかしたのか……?」
「願いが……叶った……俺は……」
「あっ……あの……寝ぼけて……」
「俺の……アイル……」
強く、もう離せないとばかりに彼を掻き抱く。
まるで半ば夢の中にいるように、永劫の時を経て旅をしてきた記憶はするりと記憶から抜け落ちそうになっている。
自分の輪郭さえ曖昧な世界で、ただ彼の体温だけを感じる。
彼だけを腕に抱き締めて、グラディウスは涙を流す。
じわりと胸に広がる。
戻ってきたのだと。
……彼のいる場所に。
ただそれだけが、例え死後の世界だとしても……グラディウスにとってはこの上ない喜びだった。
「まま、待ってくれ、その、グラディウス、君は振られた恋人と何か勘違いをして……」
「温かい……こんな……ヴァルハラでもこんな……ふら……振られた恋人?」
抱き締められたアイルは耳元まで赤くなり、ささやかな抵抗をしている。
グラディウスはアイルの肩越しに部屋を見る。
綺麗に整えられた部屋には本棚があり、幾つもの本が並べられていた。
騎士服は丁寧にクローゼットに掛けられ、武器や騎士団からの備品は丁寧に手入れされ、あるべき場所に収まっていた。
机の上には銀色の羽飾りの付いたガラスペンとインク。束になった手紙は整頓されて机の隅に置かれている。
部屋は綺麗に片付いていたが、人が生活している空間のようだった。
……随分と、死後の世界というものは俗世に近い。
「グラディウス、あの……君は、その……誰かと勘違いしているんじゃないか?」
「俺がお前を見間違うかよっ。ここは、ヴァルハラだろ?」
「いや、その、すまないが僕の部屋だ。覚えていないのか?」
「覚えて……いや、覚えている。お前が王子の身代わりとなって処刑された後、俺はお前の鳥と一緒に……」
「王子? あの、グラディウス、本当に大丈夫か?」
抱擁にぽふぽふと優しく抵抗していたアイルが、心配そうな声色になる。
グラディウスは少しだけ離すと、アイルの顔を見た。
──間違いない。俺のアイルだ。
「アイル?」
「あ、ああ。僕はそうだけど、君も昨夜は沢山飲み過ぎて、酔いつぶれて眠ってしまったから、僕のベッドに運び込んだんだけど」
「飲み……? おい、鳥は?」
「……鳥?」
グラディウスは部屋を見渡す。隅に置かれた道具などはあるが、鳥籠らしきものはない。
「王子は? だってお前、王子の身代わりに」
混乱したグラディウスは王子の名前を呼ぼうとする。
「あの……確かに、僕は七年前まで第三王子の身代わりを命じられていたけれど、その、覚えていないかい? 王子は、七年前の品評会で……」
「品評会……?」
「あの……銀鳴鳥の品評会で、その……第三王子の飼っていた銀鳴鳥が、王子のあまり良くない言葉を覚えていたみたいで、障りある言葉を吐いてしまい……怒った王子が……」
「王子が、銀鳴鳥を傷つけた……?」
アイルは当時の事を思いだしたのか、哀しげに続ける。
「王子が銀鳴鳥を斬りつけてしまって、羽が見る間に赤茶色に錆びていき……銅鳴鳥に転じて王子に災いを。……当時、護衛として近くにいた僕たちも間に合わなかった。……すぐに王子を助けるために回復や呪い返しを行ったけれど、銅鳴鳥の災いには効果が無くて……喉を掻きむしってご逝去されてしまったんだ……」
「銀鳴鳥が……銅鳴鳥に……?」
──金鳴鳥は人の願いを叶え、銀鳴鳥は人に希望を授け、銅鳴鳥は人に絶望を与える。
──なれど忘れてはならぬ。人の欲によって翼を銅に染める鳥は、災いを波紋させるだろう。
グラディウスの脳裏に、御伽話のような銀鳴鳥の伝承が蘇る。
「そんな……まさか……」
「もちろん……王子を守る事が出来なかった護衛の僕たちも、責任を取って首を刎ねられるところだったけれど、団長が『銅鳴鳥へと転じた魔鳥は人へ災いをもたらす。銀鳴鳥を銅鳴鳥に堕とした王子に向けられた呪いであれば、それを他者が防ぐことは不可能に近い』って取り成してくれて……準騎士への降格と怨嗟の残った銅鳴鳥の亡骸の処理をすることで手打ちにしてくれたんだ……大分大きな出来事だったけれど、君は……覚えていないのか?」
「そんな……まさか……」
ふと、グラディウスの記憶に……その当時降格したアイルを慰める為に酒場を連れ回した覚えが蘇る。
結局先に酔いつぶれたグラディウスを彼が近くの宿に苦労して寝かせたことも。
記憶が二重にぶれる。
何度も繰り返した世界の記憶が、とろりと溶けていく。
「金鳴鳥が……願いを叶えた……」
彼に会いたいと願った亡霊の願いを。
銀鳴鳥に働きかけて、その先に起きる運命を変える為に。
自ら災いをもたらす銅鳴鳥へと転じる事で。
主と相棒の未来を変えた。
──命をかけて。
「お前……そんな……」
ぼたぼたと零れ落ちる涙を拭う事すらできないグラディウスを、アイルは心配そうに見つめる。
「グラディウス、その……大丈夫か?」
「あ……あぁ……悪い……」
この部屋も、見慣れたアイルの自室のはずだ。
身代わりの騎士の任を解かれた彼は、従騎士から五年の歳月を経て正騎士へと戻っている。
彼は休日には本を読んで、友と剣術の訓練をし、一緒に街で飯を食べて、酒を飲み愚痴を聞いてもらい……。
昨夜も、給金前で酒とつまみを持って彼の部屋に飲みに来たのだった。
記憶が曖昧になる。
あの永劫の時が記憶の彼方に溶けそうになる。
ふと、自分の中から“ ”の魔法が消えていることに気が付いた。
もう固有魔法で“ ”を越える事はない。だから、俺の中から失われたのだろうか。
グラディウスは涙を拭う。
あの美しくて煩くて、共にただ一人を愛した鳥が……救われる事のない自分達を救ってくれた。
美しく囀るあの鳥は、もういない。
けれども、グラディウスは一番大切な事だけは覚えていた。
全ての記憶が霞の向うに消えていっても。
「……なぁ、アイル」
「なんだい? グラディウス。その、水でも飲んで落ち着くかい?」
「お前、俺の事どう思っている?」
「なっ……その……君、気づいて……っ」
心配そうな顔が、赤らんだり青ざめたり、表情豊かに変わる。
その表情だけで……十分だった。
「アイル、伝えたいことがある。俺は……お前の事が……」
今度こそ、君に伝えよう。
あの朝に伝える事が出来なかった、君への想いを。
『 の囀る朝に。』
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