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19話
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「アラディン王太子殿下!? も、申し訳ございません! 大変な失礼を……」
驚きと動揺が同時に訪れるも、それらを押さえつけ私は急いで立ち上がり謝罪する。
何故こんなところに第一王子がいらっしゃるのか。
その理由が一切分からないが、サングラスを外したその顔は紛れもなくアラディン王太子殿下のモノだった。
ちなみにアラディン王太子殿下は先日までアガレス王国と友好関係にある国を訪れていたらしく、実際に顔を合わせるのはこれが初めてだ。
「気にすることはないとも。君はこの国に来て間もない。私の顔を知らずとも無理はないさ。それに一応お忍びと言う体で顔を隠していたのもある。あまり大きな声を出さないでもらえると助かるな」
「寛大なお言葉、ありがとうございます」
「この後時間はあるかな?」
「はい。特に当てもなく街を歩いていただけですので」
「そうか。それなら少し場所を変えよう。この近くに私のお気に入りの茶屋があるんだ。よければどうかな?」
「ぜひ」
果たしてアラディン殿下は私を探し出してここへ来たのか、それともただの偶然なのか。
それは分からないけれど、お誘いを受けたのならば断わる理由もない。
ちょうどお腹が空いてきたところだったので連れて行っていただこう。
連れていかれたのは、先ほどのベンチからも見えていた歴史の古そうな茶屋だった。
店に入ると女性店員に出迎えられ、アラディン殿下は慣れた様子で言葉を交わし、そのまま奥の席へと案内された。
「さて貴殿らがこの国を訪れてから顔を合わせるのは初めてだが、我が国はどうかな? リシア殿。ディグランスから離れたこの地で暮らしていけそうか?」
「はい。町を歩いたのは今日が初めてですが、とても活気があり明るい街と言った印象を受けました。それにヴィリス殿下にも良くしていただいております。こうして私たち一族を受け入れてくださったことには感謝の念が堪えません」
「そうかそうか。それならば良かった。しかしヴィリスの奴が半ば無理矢理巫女を囲い込んだと聞いて驚いたぞ。アイツがあんな真似をしたのは初めてだからな。大丈夫か。ヴィリスに変なことはされていないか?」
私は首を横に振り、そのようなことは無いと返した。
変なこと……強いて言うなら、初対面でいきなり口説かれそうになったりメイド服を着せられたりしたくらいか。
まあいずれも敢えてこの場で口にするほどの事ではないだろう。
「そうか。それならいい。今後ヴィリスのことで何か困ったことがあれば遠慮なく私に相談してくれて構わないからな。アイツは悪い奴ではないんだが、時折勢いのまま後先考えずに行動する悪癖があるんだ」
「ありがとうございます」
そんな会話を交わしているうちにアラディン殿下が注文していた紅茶と軽食が届いた。
サンドウィッチだ。
三角形に切られた食パンに肉と野菜が挟み込まれており、表面はきつね色に焼けていてとても美味しそう。
注文はアラディン殿下にお任せしていたので何が出てくるのか分からなかったけれど、これなら安心して食べられそうだ。
「私はここのサンドウィッチが好物でな。たまにこうしてこれを食べに足を運んでいるんだ。リシア殿を見つけたのもこの店に寄る途中の偶然だ」
なんだ。偶然だったのか。
逆によく私の顔が分かったなと思ったけれど、私がこの国を訪れたという事実を知った時点でチェックしていたのだろう。
あるいは次期国王となるお方ならば要の巫女と言う(一応)特別な存在である私の顔くらいは知っていてもおかしくはないか。
あ、サンドウィッチ美味しい。
ちょっと酸味のあるソースが絶妙にマッチしている。
ふとアラディン殿下の方を見ると、彼はおお口を開けて豪快にサンドウィッチを食らっていた。
その表情から私でも分かるくらい上機嫌になっているのが察せられる。
気分を良くしたからなのか、アラディン殿下は他のお気に入りの店やこの城下町の魅力についていろいろ教えてくれた。
その上私が理解しやすいようにと出した地図にアラディン殿下が文字を書き足したので、今後行くべき場所が増えてしまった。
そして時間を忘れて会話をしていると……
「お話し中申し訳ございません。殿下、そろそろ……」
男性が一人、私たちの席まで来てそう告げた。
先ほどまでは姿を現さなかったが、恐らく殿下の護衛の方だろう。
王太子殿下ともあろうお方が一人で出歩くハズがないので驚きはない。
「む、もうそんな時間か。すまないなリシア殿。随分と付き合わせてしまったようだ」
「いえ、楽しい時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました」
そう言って私は席を立ち、頭を下げる。
殿下は護衛の方に会計を済ませるように言うと、そのまま私を連れて店を出た。
するとそこにはもう一人の護衛と思しき人が立っていて、こちらに気づくと殿下に対して一礼した。
「さて、私はそろそろ戻らねばならんのだが最後に一つ、少し相談に乗ってもらえないだろうか」
相談? この私に?
いったい何なのだろう。想像がつかない。
「私にはやや年の離れた婚約者がいる。そこで彼女に贈り物をしたいんだ。ちょうど君と年の近い女性でな。何かもらったら喜ぶもの等があれば教えて欲しい」
「婚約者の方が喜ぶもの、ですか……」
なんと意外な。
まさか婚約者への贈り物の相談とは。
しかし困ったな。どう答えたら良いのだろう。
私の場合なら読んだことのない本とか珍しい楽器とかだと嬉しいけど……
よし、ここは無難な答えにしておこう。
普通の貴族令嬢が好みそうなものはなんとなく分かるから。
「やはりアクセサリーなどではないでしょうか? あるいは甘いモノや美味しいお茶などを頂けると喜ばれるかもしれません」
「ううむ、やはりそうか……実はとある事情で少々彼女を怒らせてしまってな。なかなかこういった事を相談できる女性が身近にいなくて困っていたんだ」
王太子殿下に怒りを示せる婚約者さん凄いなと思ったが、それだけ仲が良いという事なのだろう。
しかし機嫌を損ねた女性に対する贈り物か……あ、そうだ。
「とりあえず今回はアクセサリーでも探してみるとしよう。ありがとうリシア殿。では」
「お待ちくださいアラディン殿下。いいモノがありました」
「いいもの、とは?」
「これです」
そう言って私は懐から一つの袋を取り出した。
その袋の中身はとある植物の種だ。
それを1つ手に取ってアラディン殿下に見せる。
「これは、植物のタネか?」
「はい。レッドベリーと言う果実のタネです。これを、ええと……ここでいっか」
私は近くの土を軽く掘り、タネを一粒植える。
そしてその上に土を被せ軽く叩いた。
「リシア殿。一体何を……?」
「見ていてくださいね。この種を植えた場所に手のひらをかざして、と」
目を瞑り、深く集中する。
そしてイメージする。
この種が発芽し、実を付けるまでの過程を。
手のひらからタネへと栄養を送り込むように、私の力をやさしく注ぎ込む。
目を開ける。
すると先ほど種を植えた場所から小さな芽が出てくる。
そしてそれはみるみるうちに成長し、やがて宝石のようにキラキラと輝く小さな赤色の果実をつけた。
「こ、これは……」
驚きの表情を浮かべるアラディン殿下。
私はちょっとだけ自慢げな気分になりながらそれを手に取り、アラディン殿下に手渡す。
「レッドベリーは私も知っているが、これほどまでに美しい実を付けたものは初めて見た。これはリシア殿の力によるものか?」
「はい。植物をちょっと良い形に育てるのが私の特技でして、その力を使って作ってみました。味の方も普通のレッドベリーよりも甘くできているはずですので、婚約者様も喜んでいただけるのではないかなと」
そう。
これは私の得意な魔法の一つで、動植物にエネルギーを分け与えて急速な成長を促すことができる。
初代は枯れた大地を瞬く間に森に変えてしまうほどの凄まじい力があったらしいけれど、私にできるのはせいぜいこの程度だ。
でも有用な力に変わりはないので、今でもこうして種を持ち歩いて時々おやつ代わりに食べている。
「なるほど、これが要の巫女の力の一端と言う事か。せっかくだから一つ頂いてもいいかな?」
「はい。もちろんです。あ、毒見も兼ねて私がお先にいただきますね」
そう言って私は果実の一つを取って口に運ぶ。
濃密だが優しい甘みが口に広がる。
うん。やっぱり何度食べても美味しいな。
それを見た殿下も続けて果実を口にした。
「これは! 見た目もさることながら、なんと上品な味わいだ。これならばきっと喜んでくれるに違いない!」
「気に入っていただけたようで何よりです。是非お持ち帰りください」
「ああ。重ねて礼を言おう、リシア殿。これはありがたくいただいていく」
そのまま殿下は護衛を引き連れてお帰りになった。
とっさに思い付いたものだったけれど、上手く行って良かった。
私も後始末したらヴィリス王子用のパンを買って帰ろう。
驚きと動揺が同時に訪れるも、それらを押さえつけ私は急いで立ち上がり謝罪する。
何故こんなところに第一王子がいらっしゃるのか。
その理由が一切分からないが、サングラスを外したその顔は紛れもなくアラディン王太子殿下のモノだった。
ちなみにアラディン王太子殿下は先日までアガレス王国と友好関係にある国を訪れていたらしく、実際に顔を合わせるのはこれが初めてだ。
「気にすることはないとも。君はこの国に来て間もない。私の顔を知らずとも無理はないさ。それに一応お忍びと言う体で顔を隠していたのもある。あまり大きな声を出さないでもらえると助かるな」
「寛大なお言葉、ありがとうございます」
「この後時間はあるかな?」
「はい。特に当てもなく街を歩いていただけですので」
「そうか。それなら少し場所を変えよう。この近くに私のお気に入りの茶屋があるんだ。よければどうかな?」
「ぜひ」
果たしてアラディン殿下は私を探し出してここへ来たのか、それともただの偶然なのか。
それは分からないけれど、お誘いを受けたのならば断わる理由もない。
ちょうどお腹が空いてきたところだったので連れて行っていただこう。
連れていかれたのは、先ほどのベンチからも見えていた歴史の古そうな茶屋だった。
店に入ると女性店員に出迎えられ、アラディン殿下は慣れた様子で言葉を交わし、そのまま奥の席へと案内された。
「さて貴殿らがこの国を訪れてから顔を合わせるのは初めてだが、我が国はどうかな? リシア殿。ディグランスから離れたこの地で暮らしていけそうか?」
「はい。町を歩いたのは今日が初めてですが、とても活気があり明るい街と言った印象を受けました。それにヴィリス殿下にも良くしていただいております。こうして私たち一族を受け入れてくださったことには感謝の念が堪えません」
「そうかそうか。それならば良かった。しかしヴィリスの奴が半ば無理矢理巫女を囲い込んだと聞いて驚いたぞ。アイツがあんな真似をしたのは初めてだからな。大丈夫か。ヴィリスに変なことはされていないか?」
私は首を横に振り、そのようなことは無いと返した。
変なこと……強いて言うなら、初対面でいきなり口説かれそうになったりメイド服を着せられたりしたくらいか。
まあいずれも敢えてこの場で口にするほどの事ではないだろう。
「そうか。それならいい。今後ヴィリスのことで何か困ったことがあれば遠慮なく私に相談してくれて構わないからな。アイツは悪い奴ではないんだが、時折勢いのまま後先考えずに行動する悪癖があるんだ」
「ありがとうございます」
そんな会話を交わしているうちにアラディン殿下が注文していた紅茶と軽食が届いた。
サンドウィッチだ。
三角形に切られた食パンに肉と野菜が挟み込まれており、表面はきつね色に焼けていてとても美味しそう。
注文はアラディン殿下にお任せしていたので何が出てくるのか分からなかったけれど、これなら安心して食べられそうだ。
「私はここのサンドウィッチが好物でな。たまにこうしてこれを食べに足を運んでいるんだ。リシア殿を見つけたのもこの店に寄る途中の偶然だ」
なんだ。偶然だったのか。
逆によく私の顔が分かったなと思ったけれど、私がこの国を訪れたという事実を知った時点でチェックしていたのだろう。
あるいは次期国王となるお方ならば要の巫女と言う(一応)特別な存在である私の顔くらいは知っていてもおかしくはないか。
あ、サンドウィッチ美味しい。
ちょっと酸味のあるソースが絶妙にマッチしている。
ふとアラディン殿下の方を見ると、彼はおお口を開けて豪快にサンドウィッチを食らっていた。
その表情から私でも分かるくらい上機嫌になっているのが察せられる。
気分を良くしたからなのか、アラディン殿下は他のお気に入りの店やこの城下町の魅力についていろいろ教えてくれた。
その上私が理解しやすいようにと出した地図にアラディン殿下が文字を書き足したので、今後行くべき場所が増えてしまった。
そして時間を忘れて会話をしていると……
「お話し中申し訳ございません。殿下、そろそろ……」
男性が一人、私たちの席まで来てそう告げた。
先ほどまでは姿を現さなかったが、恐らく殿下の護衛の方だろう。
王太子殿下ともあろうお方が一人で出歩くハズがないので驚きはない。
「む、もうそんな時間か。すまないなリシア殿。随分と付き合わせてしまったようだ」
「いえ、楽しい時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました」
そう言って私は席を立ち、頭を下げる。
殿下は護衛の方に会計を済ませるように言うと、そのまま私を連れて店を出た。
するとそこにはもう一人の護衛と思しき人が立っていて、こちらに気づくと殿下に対して一礼した。
「さて、私はそろそろ戻らねばならんのだが最後に一つ、少し相談に乗ってもらえないだろうか」
相談? この私に?
いったい何なのだろう。想像がつかない。
「私にはやや年の離れた婚約者がいる。そこで彼女に贈り物をしたいんだ。ちょうど君と年の近い女性でな。何かもらったら喜ぶもの等があれば教えて欲しい」
「婚約者の方が喜ぶもの、ですか……」
なんと意外な。
まさか婚約者への贈り物の相談とは。
しかし困ったな。どう答えたら良いのだろう。
私の場合なら読んだことのない本とか珍しい楽器とかだと嬉しいけど……
よし、ここは無難な答えにしておこう。
普通の貴族令嬢が好みそうなものはなんとなく分かるから。
「やはりアクセサリーなどではないでしょうか? あるいは甘いモノや美味しいお茶などを頂けると喜ばれるかもしれません」
「ううむ、やはりそうか……実はとある事情で少々彼女を怒らせてしまってな。なかなかこういった事を相談できる女性が身近にいなくて困っていたんだ」
王太子殿下に怒りを示せる婚約者さん凄いなと思ったが、それだけ仲が良いという事なのだろう。
しかし機嫌を損ねた女性に対する贈り物か……あ、そうだ。
「とりあえず今回はアクセサリーでも探してみるとしよう。ありがとうリシア殿。では」
「お待ちくださいアラディン殿下。いいモノがありました」
「いいもの、とは?」
「これです」
そう言って私は懐から一つの袋を取り出した。
その袋の中身はとある植物の種だ。
それを1つ手に取ってアラディン殿下に見せる。
「これは、植物のタネか?」
「はい。レッドベリーと言う果実のタネです。これを、ええと……ここでいっか」
私は近くの土を軽く掘り、タネを一粒植える。
そしてその上に土を被せ軽く叩いた。
「リシア殿。一体何を……?」
「見ていてくださいね。この種を植えた場所に手のひらをかざして、と」
目を瞑り、深く集中する。
そしてイメージする。
この種が発芽し、実を付けるまでの過程を。
手のひらからタネへと栄養を送り込むように、私の力をやさしく注ぎ込む。
目を開ける。
すると先ほど種を植えた場所から小さな芽が出てくる。
そしてそれはみるみるうちに成長し、やがて宝石のようにキラキラと輝く小さな赤色の果実をつけた。
「こ、これは……」
驚きの表情を浮かべるアラディン殿下。
私はちょっとだけ自慢げな気分になりながらそれを手に取り、アラディン殿下に手渡す。
「レッドベリーは私も知っているが、これほどまでに美しい実を付けたものは初めて見た。これはリシア殿の力によるものか?」
「はい。植物をちょっと良い形に育てるのが私の特技でして、その力を使って作ってみました。味の方も普通のレッドベリーよりも甘くできているはずですので、婚約者様も喜んでいただけるのではないかなと」
そう。
これは私の得意な魔法の一つで、動植物にエネルギーを分け与えて急速な成長を促すことができる。
初代は枯れた大地を瞬く間に森に変えてしまうほどの凄まじい力があったらしいけれど、私にできるのはせいぜいこの程度だ。
でも有用な力に変わりはないので、今でもこうして種を持ち歩いて時々おやつ代わりに食べている。
「なるほど、これが要の巫女の力の一端と言う事か。せっかくだから一つ頂いてもいいかな?」
「はい。もちろんです。あ、毒見も兼ねて私がお先にいただきますね」
そう言って私は果実の一つを取って口に運ぶ。
濃密だが優しい甘みが口に広がる。
うん。やっぱり何度食べても美味しいな。
それを見た殿下も続けて果実を口にした。
「これは! 見た目もさることながら、なんと上品な味わいだ。これならばきっと喜んでくれるに違いない!」
「気に入っていただけたようで何よりです。是非お持ち帰りください」
「ああ。重ねて礼を言おう、リシア殿。これはありがたくいただいていく」
そのまま殿下は護衛を引き連れてお帰りになった。
とっさに思い付いたものだったけれど、上手く行って良かった。
私も後始末したらヴィリス王子用のパンを買って帰ろう。
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