最強!最凶?理不尽賢者ローズマリーを夜露死苦!

日置弓弦

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【第5章理不尽賢者と新大陸】

【理不尽賢者と奴隷の子Ⅵ】

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ドワーフたちが帰った後、ローズマリーたちは魔族の集落を見物していた。ギルも興味津々と言った感じだった。崇めているのは魔界の主ナハトだといううことは共通しているようだが他の部族を殺したりはしないようだ。ちょうど山を越えたふもとに陸稲で米を作っているということで、ローズマリーは久しぶりに白米が食べれてご満悦の様子だった。



「マリー母ちゃんはコメが好きなのか?」

「ギル……ローズマリーは異世界の二ホンと言うところに住んでいたのよ」

「数か月ぶりに食うとやっぱり米は上手いなって思えるよ」

「俺もコメ食べてみたい……」ギルがローズマリーにピッタリとくっついてくる。

「よし、じゃあ母ちゃんが食わせてやるからな……」



 2本の棒きれで米をつかみギルの口に持っていく。ギルはパクリと食いつきモグモグと味を確かめている。



「マリー母ちゃんはこっちの方がパンより好きなのか?」

「ああ、母ちゃんは米の方が好きだぞ」

「……じゃあ俺が大人になっていっぱいお金が稼げるようになったらマリー母ちゃんが毎日コメを食えるようにする」猫獣人のギルは目を輝かせて言った。



 少しローズマリーは切なくなった。あと数か月もせずにギルとは別れねばならないからだ。スキル【未来予知】では後ほんの少しで魔王軍との大戦が始まると分かる。それまでの間にギルをどこか安全で優しい人物に預けなければならない。



「ローズマリー、ボーっとして最近多いわよ」

「ああ、すまないね」

「もしかして育児疲れとか?」

「いや、今後のことを考えていただけだよ」

「ギルを誰かに託すってことかしら?」

「ああ、良い人物がいればいいんだが」



 そこにエンデュミオンとの戦闘訓練が終わったギルが現れた。エンデュミオンも一緒だ。ルーンベルトはこの里においてある奇妙な仮面をいたく気にいり交渉をしている。



「ローズマリーよ、ギル坊のスキルを見てやるんじゃなかったのかよ?」

「そうだな、ギル顔をよく見せてくれ」ギルはローズマリーにおでこがつくくらい近い距離をとった。

「ふむふむ、なるほど、よし分かった。ギルお前は戦士にも向いている極めればソードマスターにさえなれるぞ」

「ソーダマスターってエンデュミオンより強いのか?」

「ああ、エンデュミオンなんかすぐに追い越せるさ」

「やったー!」

「ローズマリーこっちも頼むぜ」

「聖戦士……ホントだ前はただの戦士だったのに!」

「スキルはどんなのがある?

「【神聖魔法武器付与】と【対魔族攻撃力上昇】だけだな。今のところは」

「そうか、まあどっかの誰かさんみたいにいきなり特別なスキルを持っているわけがないもんな」

「いや、でも魔王は邪悪なぞんざいだろ。2つのスキルは相性がいいと思よ」

「そっか、まあそうだな。魔王討伐の時は八面六臂の活躍をしてやるぜ」



「俺もエンデュミオンみたいに魔王と戦ってみる」ギルが鼻息を荒くした。

「そうだなギルが、大人になるころにはそうなれるだろうな」

「ギル坊、また訓練するか?」

「いっぱいやる。次は負けない!」



 エンデュミオンはどうやら子供受けするタイプらしい。剣の道場でも立てれば門下生が増えるだろう。その旨を言うとエンデュミオンは言った。



「魔王との戦いが終わったらセレーナとルーンでその道場とやらを開いてガキどもをいっちょ前の戦士に育てるかな……じゃ俺はまたギルに剣の使い方を教えるからよ」



そう言ってエンデュミオンは集落の広場の方に行った。ギルがついて回っていた。



「お嬢さん、ちょっと族長から声がかかっています。よろしいでしょうか?」

「ああ、良いよ」

「それにしてもお隣の大陸じゃあ我々魔族とほかの者たちが戦っているとは思いませんでした」

「全ての元凶は魔王さ、あいつがいなければこの世界は平和な筈なのに」

「貴女は魔力切れになっていませんか?」

「なんでわかった?」

「魔族には時折私のような魔眼持ちが生まれるんですよ」

「ほかの4人には内緒で頼む」

「魔王と言い、あなたと言い東の果てにあるという大陸は大変なのですね」

「この大陸に国はないのか?」

「くに?」

「ああ……その里をもっと大きくした感じのものだよ」

「ありませんね。ここらで暮らしているのは我々魔族とリザードマンくらいでしょうな」

「なるほどね」

「そういえばリザードマンの集落には魔力を回復させる魔導石なるものがあるらしいですよ」

「ほんとか⁈」

「はい、リザードマンの里の近くでしか採掘できませんがね」

「ありがとな」

「そして今回あなた方を族長が呼んだのもリザードマンについて話があるからです」



族長の家に案内された。またまた厄介ごとに巻き込まれそうだなとローズマリーは己の不運を嘆いた。

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