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【第5章理不尽賢者と新大陸】
【理不尽賢者とドワーフの国Ⅵ】
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アラムとセレーナを助け出した一行は大衆酒場でエールを飲んでいた。
「がはははは、アラムよ、お前がまさか魔王のいる大陸に行き帰還した最初の者だったとはな」フリューゲルが喜びの声を上げた。
「親父、あんまり持ち上げないでくれ。ただ偶然助かったような者なんだから、味方も全員死んじまったし」
「まあ、それでもよく帰ってきた。お前に昔教えたアダマンタイト合金の作り方覚えているな?」
「ああ、骨身に染みるまで教えられたからな……少しハンマーを叩けば勘が蘇ると思う」
「ドワーフのおっちゃんあたしが持ってきたアダマンタイトの武具で、材料は足りるかい?」
「うむ、十分じゃしかし外装はアダマンタイト合金で作れるが内部の機械類とエンジンは専門の奴らに頼まなければならんぞ。それにアダマンタイト合金は一削りで白金貨が飛ぶくらいの値段がかかるが誰が金を出すんだ」
「……そこは魔王討伐後のツケってことであたしらのギルドマグナギアに請求してくれよ……」他の皆に聞かれないようにこっそり話した。
「あんたは本当に現金な奴じゃの」
「で、完成まではどのくらい時間がかかるんだよ?」
「1年と言いたいところじゃがお主らには3度も助けられた。半年でつくって見せよう」
「ありがとな、フリューゲルのおっちゃん」ローズマリーは老ドワーフに抱きついた。
「これ離さんか!息子が見ているのだぞ。恥ずかしいわい」
「名匠フリューゲルも形無しだな、親父」
アラムが初めて快活に笑った。
「お前も変わっていないの、息子よ!」
「どこがだよ、俺は戦士として変わったんだぞ」
「そういう意固地なところじゃ」
「親子そろって頑固なんだね……」
フリューゲルとアラムの話す様子を見てローズマリーは感慨深げに思った。
「ローズマリーはあと少しで成人だろ。その時はここドワーフの国へ飲みに行こうぜ」すでに酔っぱらいできているエンデュミオンが言った。
まあ、それも一興かもしれないなとローズマリーは思った。
そして次の日、フリューゲルは息子アラムと共にルーンベルトの新しいアダマンタイトの槍を完成させた。
「こいつの名前はどうしようか?」
「ゲイ・ジャルグ」ローズマリーは適当に名前をつけた。
「おおっ何となくしっくりくる名前だな」
「気にいってもらえたなら嬉しいよ」
「お主ら飛空船の完成まであと半年はかかるが、また1つ頼めるか?」
「何だまた素材集めか?」
「グリムズガーデン皇国に行ってエンジンをもらってきてほしいのじゃ、それも飛びっきりの性能の奴をじゃ」
「ドワーフの国じゃエンジンは作ってないのか?」
「作っているには作っているがあの国の魔導エンジンには到底及ばんよ。わしは全てが一流のでできた品しか世に出したくないんじゃ」
「分かった。グリムズガーデン皇国への行き方は知ってるから頼んでおくよ」
ローズマリーは神経を集中させた、まるで剣の矛先のように。
『ツァーク、聞こえるか?』
『ローズマリー様か?』
『魔導工房都市で飛びっきりの飛空船のエンジンを作ってくれ』
『わ、分かった。貴女には恩がある、全力で取りかかろう……』
『ありがとな、じゃまた今度な。リリスにもよろしく言っておいてくれ』
「あとな、これは個人的な話なのじゃが………」妙に歯切れが悪い。
「新大陸の仲間の様子を見に行ってほしいんじゃ」
「良いけどあたしがもらった飛空船じゃ行けないかもよ」
「それはアラムよ……なあ?」
「純ミスリル製の飛空船ならたどり着けるじゃろう」
「分かったよ、あたしに二言はねえからな」
こうしてローズマリー達は新大陸に向かうことになった。
「がはははは、アラムよ、お前がまさか魔王のいる大陸に行き帰還した最初の者だったとはな」フリューゲルが喜びの声を上げた。
「親父、あんまり持ち上げないでくれ。ただ偶然助かったような者なんだから、味方も全員死んじまったし」
「まあ、それでもよく帰ってきた。お前に昔教えたアダマンタイト合金の作り方覚えているな?」
「ああ、骨身に染みるまで教えられたからな……少しハンマーを叩けば勘が蘇ると思う」
「ドワーフのおっちゃんあたしが持ってきたアダマンタイトの武具で、材料は足りるかい?」
「うむ、十分じゃしかし外装はアダマンタイト合金で作れるが内部の機械類とエンジンは専門の奴らに頼まなければならんぞ。それにアダマンタイト合金は一削りで白金貨が飛ぶくらいの値段がかかるが誰が金を出すんだ」
「……そこは魔王討伐後のツケってことであたしらのギルドマグナギアに請求してくれよ……」他の皆に聞かれないようにこっそり話した。
「あんたは本当に現金な奴じゃの」
「で、完成まではどのくらい時間がかかるんだよ?」
「1年と言いたいところじゃがお主らには3度も助けられた。半年でつくって見せよう」
「ありがとな、フリューゲルのおっちゃん」ローズマリーは老ドワーフに抱きついた。
「これ離さんか!息子が見ているのだぞ。恥ずかしいわい」
「名匠フリューゲルも形無しだな、親父」
アラムが初めて快活に笑った。
「お前も変わっていないの、息子よ!」
「どこがだよ、俺は戦士として変わったんだぞ」
「そういう意固地なところじゃ」
「親子そろって頑固なんだね……」
フリューゲルとアラムの話す様子を見てローズマリーは感慨深げに思った。
「ローズマリーはあと少しで成人だろ。その時はここドワーフの国へ飲みに行こうぜ」すでに酔っぱらいできているエンデュミオンが言った。
まあ、それも一興かもしれないなとローズマリーは思った。
そして次の日、フリューゲルは息子アラムと共にルーンベルトの新しいアダマンタイトの槍を完成させた。
「こいつの名前はどうしようか?」
「ゲイ・ジャルグ」ローズマリーは適当に名前をつけた。
「おおっ何となくしっくりくる名前だな」
「気にいってもらえたなら嬉しいよ」
「お主ら飛空船の完成まであと半年はかかるが、また1つ頼めるか?」
「何だまた素材集めか?」
「グリムズガーデン皇国に行ってエンジンをもらってきてほしいのじゃ、それも飛びっきりの性能の奴をじゃ」
「ドワーフの国じゃエンジンは作ってないのか?」
「作っているには作っているがあの国の魔導エンジンには到底及ばんよ。わしは全てが一流のでできた品しか世に出したくないんじゃ」
「分かった。グリムズガーデン皇国への行き方は知ってるから頼んでおくよ」
ローズマリーは神経を集中させた、まるで剣の矛先のように。
『ツァーク、聞こえるか?』
『ローズマリー様か?』
『魔導工房都市で飛びっきりの飛空船のエンジンを作ってくれ』
『わ、分かった。貴女には恩がある、全力で取りかかろう……』
『ありがとな、じゃまた今度な。リリスにもよろしく言っておいてくれ』
「あとな、これは個人的な話なのじゃが………」妙に歯切れが悪い。
「新大陸の仲間の様子を見に行ってほしいんじゃ」
「良いけどあたしがもらった飛空船じゃ行けないかもよ」
「それはアラムよ……なあ?」
「純ミスリル製の飛空船ならたどり着けるじゃろう」
「分かったよ、あたしに二言はねえからな」
こうしてローズマリー達は新大陸に向かうことになった。
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