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【第4章理不尽賢者と魔導皇国グリムズガーデン】
【理不尽賢者と魔剣士Ⅻ】
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「どうかしら魔力のないただの人間になった気分は? ファイアボールすら使えないのはとても屈辱的でしょうね」
「……るせ」
「何? 聞こえないわよ」
「うる……せえって言ってんだよ! この三下が!」
「よくもまあ、息をするのにも苦しんでるくせに大きな口が叩けるわね……」
ザンッ、リリスの片腕が切れた。カーヴァイン剣を構えている。リリスの腕はすぐに生え元の状態に戻った。
「カーヴァイン……この子がワタシの物になるのはそんなに嫌なの?」
「貴様は私が倒す!」
「おバカね、ワタシの国の中でワタシに勝てるわけないのに……」
「残像斬!」5人に分身したカーヴァインがリリスを狙う。
「バインド!」
「ぐはっ」リリスの背後から現れたカーヴァインは蛇のように動く縄に縛られた。
「分身は全て囮……真っ向勝負が好きな貴方にしては考えたわね」
「カーヴァイン……を……離せ」
ローズマリーは一歩ずつリリスに近づいていった。リリスはクスリと笑うと叫んだ。
「ファイアボール! どういつもは燃やす側が燃やされる気分は?」
ゴワーッ、ローズマリーは紅蓮の炎に包まれた。カーヴァインが何か叫ぼうとするも縄で口を封じられる。
しかし、ローズマリーは無傷だった。それどころか先ほどより力が回復している。
「何よ? 貴女、本当に人間なの?」
「黙りやがれ! 糞女が!」
「永遠にワタシの可愛いお人形にしてあげようと思ったけどやめにするわ……死になさい! アブソリュートゼロ!」
一瞬でローズマリーの周りから空気が凍りつく。カーヴァインは氷結魔法最高位の魔法を食らったローズマリーは今度こそ死んだと思った。しかし、氷が砕けてもローズマリーは足を止めない。
「何なの? 貴女、意味が分からないわ! ここはワタシの国、ワタシの体内と同じ……なのに何故立ってられるの?」
リリスは次々に高位の魔法を繰り出していった。しかし、ローズマリーは歩みを止めない。ダメージも受けていないようだった。
ローズマリーは拳に力を込めた。魔法を食らって回復した魔力を拳に集中させた。『大賢者の杖』の【魔力吸収】と特攻服の【通常魔法攻撃無効】のおかげで死なずにすんだ。もしも何もしてこなかったら魔力枯渇で衰弱死していただろう。【未来予知】のおかげで何個も重要なセリフをこの腐れアマが言うのを聞き漏らしたがまあそれは良い、こいつを気が済むまでぶん殴れれば。ローズマリーの拳は虹色に光り輝き始めた。
後ずさりをし始め震えるリリスそれを正面からローズマリーは見下した。リリスの琥珀色の瞳に無表情なローズマリーが映る。
「怖いか? そりゃそうだよな。こんな外の世界から離れたところで引きこもっていたような奴があたしみたいな化け物に初めて出会うんだからな……」
「ゆ、許してよ、お願い……あの子のお兄さんと幼馴染なら生き返らせてあげるから……この国の生き物から手に入れた魔力があれば何だって……」
「黙れ! 死んだ奴はな……もう生き返らないんだ! どんなに手をつくそうとそれはただ本物に近いだけのただの偽物なんだ!」
「な、なによ! そんなの屁理屈じゃない……格好もそうだけど考え方まで珍妙なのね!」
バンッ、背後から近づいてきた双子の機械人形を殴り壊した。毒ナイフで攻撃しようとしてきたからだ。
「ひいいっー、ゆ、許してよ。今のはあの子たちが勝手にやったことなの。私は何も悪くはないわ」
「お前は言っちゃいけねーことを言った。もうそれだけで十分だ……」
「カーヴァインのおバカさんも返すから……だからお願い! 痛いのは嫌なの!」
カーヴァインは縄がほどけて咳をしながら座り込んだ。ローズマリーに助言したいことがあったが息をするだけで手いっぱいだった。
「これで終わりだ……」
ドーンッ、リリスの顔面ギリギリをローズマリーは思いっきり殴った。リリスは恐怖で白目になり泡を吹いて倒れた。よく見れば痙攣して失禁までしている。
「お前なんざ、魔王軍のゴブリンよりも殴る価値が無いぜ……」
「ローズマリー……今だ! 封滅の秘魔法で……」
「まさか、お前……魔力が……無くなったままなのか?」
「どうやら……やり過ぎちまったみたいだ。この国の呪いを解くのに全部使っちまった」
「バカ野郎! お前は魔王やコイツを倒せる唯一の存在だったのだぞ! この国の人間たちが絶え間ない魔力の吸収に脅かされていてたとしても諸悪の根源であるコイツを殺せば済んだはずなのに!」
「コイツは外を知らないただの赤ん坊さ。精々協力してもらうさ」
ローズマリーは莫大な魔力と引き換えにグリムズガーデン皇国の国民を救った。大きな代償を払ってだった。
「……るせ」
「何? 聞こえないわよ」
「うる……せえって言ってんだよ! この三下が!」
「よくもまあ、息をするのにも苦しんでるくせに大きな口が叩けるわね……」
ザンッ、リリスの片腕が切れた。カーヴァイン剣を構えている。リリスの腕はすぐに生え元の状態に戻った。
「カーヴァイン……この子がワタシの物になるのはそんなに嫌なの?」
「貴様は私が倒す!」
「おバカね、ワタシの国の中でワタシに勝てるわけないのに……」
「残像斬!」5人に分身したカーヴァインがリリスを狙う。
「バインド!」
「ぐはっ」リリスの背後から現れたカーヴァインは蛇のように動く縄に縛られた。
「分身は全て囮……真っ向勝負が好きな貴方にしては考えたわね」
「カーヴァイン……を……離せ」
ローズマリーは一歩ずつリリスに近づいていった。リリスはクスリと笑うと叫んだ。
「ファイアボール! どういつもは燃やす側が燃やされる気分は?」
ゴワーッ、ローズマリーは紅蓮の炎に包まれた。カーヴァインが何か叫ぼうとするも縄で口を封じられる。
しかし、ローズマリーは無傷だった。それどころか先ほどより力が回復している。
「何よ? 貴女、本当に人間なの?」
「黙りやがれ! 糞女が!」
「永遠にワタシの可愛いお人形にしてあげようと思ったけどやめにするわ……死になさい! アブソリュートゼロ!」
一瞬でローズマリーの周りから空気が凍りつく。カーヴァインは氷結魔法最高位の魔法を食らったローズマリーは今度こそ死んだと思った。しかし、氷が砕けてもローズマリーは足を止めない。
「何なの? 貴女、意味が分からないわ! ここはワタシの国、ワタシの体内と同じ……なのに何故立ってられるの?」
リリスは次々に高位の魔法を繰り出していった。しかし、ローズマリーは歩みを止めない。ダメージも受けていないようだった。
ローズマリーは拳に力を込めた。魔法を食らって回復した魔力を拳に集中させた。『大賢者の杖』の【魔力吸収】と特攻服の【通常魔法攻撃無効】のおかげで死なずにすんだ。もしも何もしてこなかったら魔力枯渇で衰弱死していただろう。【未来予知】のおかげで何個も重要なセリフをこの腐れアマが言うのを聞き漏らしたがまあそれは良い、こいつを気が済むまでぶん殴れれば。ローズマリーの拳は虹色に光り輝き始めた。
後ずさりをし始め震えるリリスそれを正面からローズマリーは見下した。リリスの琥珀色の瞳に無表情なローズマリーが映る。
「怖いか? そりゃそうだよな。こんな外の世界から離れたところで引きこもっていたような奴があたしみたいな化け物に初めて出会うんだからな……」
「ゆ、許してよ、お願い……あの子のお兄さんと幼馴染なら生き返らせてあげるから……この国の生き物から手に入れた魔力があれば何だって……」
「黙れ! 死んだ奴はな……もう生き返らないんだ! どんなに手をつくそうとそれはただ本物に近いだけのただの偽物なんだ!」
「な、なによ! そんなの屁理屈じゃない……格好もそうだけど考え方まで珍妙なのね!」
バンッ、背後から近づいてきた双子の機械人形を殴り壊した。毒ナイフで攻撃しようとしてきたからだ。
「ひいいっー、ゆ、許してよ。今のはあの子たちが勝手にやったことなの。私は何も悪くはないわ」
「お前は言っちゃいけねーことを言った。もうそれだけで十分だ……」
「カーヴァインのおバカさんも返すから……だからお願い! 痛いのは嫌なの!」
カーヴァインは縄がほどけて咳をしながら座り込んだ。ローズマリーに助言したいことがあったが息をするだけで手いっぱいだった。
「これで終わりだ……」
ドーンッ、リリスの顔面ギリギリをローズマリーは思いっきり殴った。リリスは恐怖で白目になり泡を吹いて倒れた。よく見れば痙攣して失禁までしている。
「お前なんざ、魔王軍のゴブリンよりも殴る価値が無いぜ……」
「ローズマリー……今だ! 封滅の秘魔法で……」
「まさか、お前……魔力が……無くなったままなのか?」
「どうやら……やり過ぎちまったみたいだ。この国の呪いを解くのに全部使っちまった」
「バカ野郎! お前は魔王やコイツを倒せる唯一の存在だったのだぞ! この国の人間たちが絶え間ない魔力の吸収に脅かされていてたとしても諸悪の根源であるコイツを殺せば済んだはずなのに!」
「コイツは外を知らないただの赤ん坊さ。精々協力してもらうさ」
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