3 / 92
【プロローグ】
【狼図魔龍鰔VS悪琉棲斗露滅離悪】
しおりを挟む
筑波山の峠に50台弱のバイクが集まっていた。あたしら狼図魔龍鰔ローズマリーと雌雄を決すべく集まった悪琉棲斗露滅離悪アルストロメリアの連中だ。あたしらは少し距離をとってバイクを停めた。
「あまりに来るのが遅いんで欠伸が出たよ」向こうのトップの新垣玲だ。あからさまな挑発に乗るあたしではない。
「あたしとタイマン張るのが怖くてビビっちまった奴が言うセリフかい?」
「ふんっ2ヶ月で成り上がったからって調子こくのもいい加減にしなよ」新垣玲は吸っていた煙草を捨てた。
「あんたら潰してあたしらは茨城制覇するのは変わらないけれどね」
「クソビッチが何が茨城制覇だ!あんたら下してあたしのチームが茨城ナンバー1になるのさ」
「はっ笑わせるね。あんたらがのさばっていたのはあたしらが潰した男どもの後ろ盾があったからだろ」
「く、糞が!早く勝負しなよ、ルールは簡単こっからあの崖までどっちが早く走れるかのドラックレースだよ」
「どうせなんか企んでいるんだろう?」
「じゃあ用意した単車を良く調べてみなよ。ガソリンまで同じ容量にしてあるんだから」
「分かった。じゃあ早く乗んなよ」あたしはケロリと言いダッサイ色の単車にまたがった。
「調べもしないのかい?」
「あんたらが何しようがあたしには勝てないさ」
「クレイジーだとは聞いたけれどまさかそこまで頭がおかしいとは思わなかったよ」ドン引きする相手の総長。
「あたしらは全国制覇するんだ。これくらいのクソ度胸がなかったらてっぺんなんて目指せないからね」
「あ、あ、あんたの度胸だけは見習うよ」相手の総長も単車にまたがった。
これはチキンレースみたいなものだ。どこまでスピードを上げるか、どこでブレーキを踏むかで速さを競う。もしブレーキが利かなければ100メートル先の崖から落ちて終わりになる。
ブーン、ブーンと二人ともエンジンを吹かした。公平な勝負ではないのは明らかだ。向こうのバイクはエンジンが改造されていると麻衣が教えてくれた。しかしそれくらいでビビるあたしではない。
「エンジンの調子はどうだい?」
「ふ、ふん。分かってるんだろう。こっちのエンジンの方が性能が良いのを」
「当たり前だ。あたしのチームの参謀は優秀だからね」
「それで勝つつもりかい?」
「これは最初から勝負は決まっていたのさ。あんたの選択ミスだよ。度胸がある奴が勝つ。最後までアクセルを踏んだままでいればエンジンの差が決定的な差ではないのがあんたにもわかるだろ」
「ふん、じゃあその通りに死ぬんだね。審判用意は?」
こちらはもちろん死ぬ気はないギリギリでブレーキをかけるだけだ。
「オーケーです、玲の姐御」
「サクサク頑張れー」麻衣がまたあの名であたしを呼ぶ。まあ手でも振っておいてやるか……。勝ったら皆でカラオケパーティーだと決めてあるのだ。あたしには勝利の二文字しか見えなかった。
「それではスタートします。旗が上がったら発進してください」と悪琉棲斗露滅離悪アルストロメリアの審判が大声で叫ぶ。
「死に晒さらせクソビッチ」新垣玲が言うと共に旗が上がった。
あたしは全力でアクセルを踏んだ。しかしおかしなことに新垣玲の姿が前に見えない。後ろを振り返るとスタート地点から全く動いていない。勝負を捨てたのか? いや、あの女狐がそんなことをするつもりがない。
しかしゴールはもう目の前だ20メートルくらい手前でブレーキを踏んだ。しかしあたしの乗る単車はスピードが減速しない。その時先程のアイツの言葉が頭に浮かんだ「死に晒せ」なるほどつまり最初からあたしをはめる気満々だったわけだ。もうすぐ崖だ。飛び降りてもそのままの勢いで崖に落ちてしまうだろう。ならば最後まで「アクセルを踏み続けるだけ。これであたしらローズマリーは茨城のてっぺんだ
「気を付けてね」お母さんの顔が浮かんだ。できれば生きてまたお母さんの顔が見たい。でもそれは無理そうだ。錆びついたガードレールを突き破りあたしと乗っていた単車は空を舞った。
「あまりに来るのが遅いんで欠伸が出たよ」向こうのトップの新垣玲だ。あからさまな挑発に乗るあたしではない。
「あたしとタイマン張るのが怖くてビビっちまった奴が言うセリフかい?」
「ふんっ2ヶ月で成り上がったからって調子こくのもいい加減にしなよ」新垣玲は吸っていた煙草を捨てた。
「あんたら潰してあたしらは茨城制覇するのは変わらないけれどね」
「クソビッチが何が茨城制覇だ!あんたら下してあたしのチームが茨城ナンバー1になるのさ」
「はっ笑わせるね。あんたらがのさばっていたのはあたしらが潰した男どもの後ろ盾があったからだろ」
「く、糞が!早く勝負しなよ、ルールは簡単こっからあの崖までどっちが早く走れるかのドラックレースだよ」
「どうせなんか企んでいるんだろう?」
「じゃあ用意した単車を良く調べてみなよ。ガソリンまで同じ容量にしてあるんだから」
「分かった。じゃあ早く乗んなよ」あたしはケロリと言いダッサイ色の単車にまたがった。
「調べもしないのかい?」
「あんたらが何しようがあたしには勝てないさ」
「クレイジーだとは聞いたけれどまさかそこまで頭がおかしいとは思わなかったよ」ドン引きする相手の総長。
「あたしらは全国制覇するんだ。これくらいのクソ度胸がなかったらてっぺんなんて目指せないからね」
「あ、あ、あんたの度胸だけは見習うよ」相手の総長も単車にまたがった。
これはチキンレースみたいなものだ。どこまでスピードを上げるか、どこでブレーキを踏むかで速さを競う。もしブレーキが利かなければ100メートル先の崖から落ちて終わりになる。
ブーン、ブーンと二人ともエンジンを吹かした。公平な勝負ではないのは明らかだ。向こうのバイクはエンジンが改造されていると麻衣が教えてくれた。しかしそれくらいでビビるあたしではない。
「エンジンの調子はどうだい?」
「ふ、ふん。分かってるんだろう。こっちのエンジンの方が性能が良いのを」
「当たり前だ。あたしのチームの参謀は優秀だからね」
「それで勝つつもりかい?」
「これは最初から勝負は決まっていたのさ。あんたの選択ミスだよ。度胸がある奴が勝つ。最後までアクセルを踏んだままでいればエンジンの差が決定的な差ではないのがあんたにもわかるだろ」
「ふん、じゃあその通りに死ぬんだね。審判用意は?」
こちらはもちろん死ぬ気はないギリギリでブレーキをかけるだけだ。
「オーケーです、玲の姐御」
「サクサク頑張れー」麻衣がまたあの名であたしを呼ぶ。まあ手でも振っておいてやるか……。勝ったら皆でカラオケパーティーだと決めてあるのだ。あたしには勝利の二文字しか見えなかった。
「それではスタートします。旗が上がったら発進してください」と悪琉棲斗露滅離悪アルストロメリアの審判が大声で叫ぶ。
「死に晒さらせクソビッチ」新垣玲が言うと共に旗が上がった。
あたしは全力でアクセルを踏んだ。しかしおかしなことに新垣玲の姿が前に見えない。後ろを振り返るとスタート地点から全く動いていない。勝負を捨てたのか? いや、あの女狐がそんなことをするつもりがない。
しかしゴールはもう目の前だ20メートルくらい手前でブレーキを踏んだ。しかしあたしの乗る単車はスピードが減速しない。その時先程のアイツの言葉が頭に浮かんだ「死に晒せ」なるほどつまり最初からあたしをはめる気満々だったわけだ。もうすぐ崖だ。飛び降りてもそのままの勢いで崖に落ちてしまうだろう。ならば最後まで「アクセルを踏み続けるだけ。これであたしらローズマリーは茨城のてっぺんだ
「気を付けてね」お母さんの顔が浮かんだ。できれば生きてまたお母さんの顔が見たい。でもそれは無理そうだ。錆びついたガードレールを突き破りあたしと乗っていた単車は空を舞った。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
左遷されたオッサン、移動販売車と異世界転生でスローライフ!?~貧乏孤児院の救世主!
武蔵野純平
ファンタジー
大手企業に勤める平凡なアラフォー会社員の米櫃亮二は、セクハラ上司に諫言し左遷されてしまう。左遷先の仕事は、移動販売スーパーの運転手だった。ある日、事故が起きてしまい米櫃亮二は、移動販売車ごと異世界に転生してしまう。転生すると亮二と移動販売車に不思議な力が与えられていた。亮二は転生先で出会った孤児たちを救おうと、貧乏孤児院を宿屋に改装し旅館経営を始める。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい
戌葉
ファンタジー
気付くと、もふもふに生まれ変わって、誰もいない森の雪の上に寝ていた。
人恋しさに森を出て、途中で魔物に間違われたりもしたけど、馬に助けられ騎士に保護してもらえた。正体はオレ自身でも分からないし、チートな魔法もまだ上手く使いこなせないけど、全力で可愛く頑張るのでペットとして飼ってください!
チートな魔法のせいで狙われたり、自分でも分かっていなかった正体のおかげでとんでもないことに巻き込まれちゃったりするけど、オレが目指すのはぐーたらペット生活だ!!
※「1-7」で正体が判明します。「精霊の愛し子編」や番外編、「美食の守護獣」ではすでに正体が分かっていますので、お気を付けください。
番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」
「冒険者編」と「精霊の愛し子編」の間の食い倒れツアーのお話です。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/2227451/394680824
甘々顔総長様と地味顔女子
三三
恋愛
地味顔の中学3年、山西まゆの平凡な日常がある事がきっかけで一変、非日常な人達と関わってしまう。
甘々な顔を持つ暴走族の総長、黒園亜弥との出会い。その妹、これまた美少女、さくらにもなつかれる。だが、この美しい非日常の人達には平凡が日常のまゆにはわからない大きな闇を抱えていた。
◆作中に『この恋は狂暴です』のキャストが登場します。族繋がりがあるのでご了承下さい(><)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
いずれ最強の錬金術師?
小狐丸
ファンタジー
テンプレのごとく勇者召喚に巻き込まれたアラフォーサラリーマン入間 巧。何の因果か、女神様に勇者とは別口で異世界へと送られる事になる。
女神様の過保護なサポートで若返り、外見も日本人とはかけ離れたイケメンとなって異世界へと降り立つ。
けれど男の希望は生産職を営みながらのスローライフ。それを許さない女神特性の身体と能力。
はたして巧は異世界で平穏な生活を送れるのか。
**************
本編終了しました。
只今、暇つぶしに蛇足をツラツラ書き殴っています。
お暇でしたらどうぞ。
書籍版一巻〜七巻発売中です。
コミック版一巻〜二巻発売中です。
よろしくお願いします。
**************
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる