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【第3章 理不尽賢者ローズマリーと魔法科学国オルケイア】
【理不尽賢者と女盗賊Ⅲ】
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「じゃあ、あたしは暴乳の絶世の美少女ってことになっているのか?!」ローズマリーは憤っていた。それはそれは激しく。
何でもエンデュミオンがレビの村のアル中村長に話したことには有ること無いこと尾ひれがついて広まったらしい。まったくあの村長め、恩を仇で返しやがって……。まあ、あたしはあたしだから、ぶれることはないが、この先も崇拝とかされたら息苦しくってしょうがない。
集団でつるむのが苦手なローズマリーにとっては迷惑千万そのものである。いっそいつぞやのヴァンパイアを隕石を落として潰した時のように偽名を使って行こうか……いやそれはポリシーに反する。いつも堂々とありたいとローズマリーは日頃から思っていた。だからやはりあるがままを受け入れるしかないだろう。
「いやぁ、わたくしも最初は本物のローズマリー様なのかと疑いましたが、流石に本物は迫力が違いますな」
「どういう意味だい、一本ずつ髪をむしるよ」
「ひええ、それだけはおやめください、聖女様!」
「せいじょ? 誰のことだよ?」
「あ、いえ王都の方では大賢者ローズマリー様よりも聖女ローズマリーの方が知名度が高く信仰の対象になっているのです」
「このおとこ女が信仰されてるだって嘘つくんじゃねえよ、おっさん!」エンデュミオンはどうやら死にたいようだ。一瞬で背後をとったローズマリーはヘッドロックをかましてエンデュミオンを夢の中へ引きずり込んだ。
「ふっ、俺は相棒のように脳筋賢者などとは言わな……ふご」ルーンベルトもまたヘッドロックで夢の世界へ旅立った。
商人ダビドはドン引きしていた。そしてローズマリーの次の生贄は自分なのではないかと腹の底から恐怖して肌が真っ白になり唇が紫色になったほどだ。
そんな商人ダビドに対してローズマリーは言った。
「で、聖女って言うのはどういう意味なんだよ」
「はい、あなた様がレビの村で死にかけた村人を回復させたという話から飢饉に陥った村に小麦の雨を降らせたとか他にも数えきれない奇跡の御業が王族御用達の吟遊詩人から広まっております」
「あとでその吟遊詩人の名前を教えてくれよな」
「先程の御2人のようにするんですか?」
「そんな物騒なことするわけないだろ」とローズマリーは拳を鳴らした。殺る気満々であった。
「そ、そうですか……まあわたくしはブタストの街で商談があるだけなので安全ですから一向に構いませんが……」
「ローズマリー! 土煙が近づいてくるわよ」本を読んでいたセレーナが叫んだ。
昨日の倍以上はいそうだ。ローズマリーは立ち上がってどうしたもんんかな、とかんがえていた。
「ローズマリーデコピンも禁止だからね」
「えっ良いじゃん。そんくらい」
「あなたは無駄に力が強すぎるのよ。普通の一般人なら一ヶ月はベッドの上に決まっているわ」
「セレーナは本当のことしか言わないからキツイんだよね……」ローズマリーはいじけて見せた。
「いじけてる暇はないわよ、もうすぐ来る!」
50人程の盗賊がローズマリー達を囲んだ。よく見れば獣人族が半分を占めている。どういうわけだろう?
「今度こそ、その商人の持っている金を頂くよ」
女盗賊ウルテジナが宣言した。
数で押せば何とかなると思っているのだろうか? いや昨日の指揮ぶりから見てそんな頭の悪いリーダーじゃないと数々のレディースの隊長と渡り合ってきたからリーダーの器を見定める眼はあるつもりだ。こいつは頭の良い狼のような奴だ。気を抜けばガブリとやられる。
「それにしては兵隊の数が少なくないか? あたしを相手に全員で来ないとは舐められたものだね」
「ふん、ビビらないところを見ると本当に大賢者なようだね」
「おかしら、はらがへったよお」たしか……イギとかいう大男が言った。
「黙りな! 今大事なところなんだ」
「でも、お頭そろそろ……」ダフネとかいうコボルトが恐る恐る小声で言った。
「そんなことは分かっているんだよ! 黙ってな!」
「また来るからね、首を洗って待ってなよ! 大・賢・者・様」
何でもエンデュミオンがレビの村のアル中村長に話したことには有ること無いこと尾ひれがついて広まったらしい。まったくあの村長め、恩を仇で返しやがって……。まあ、あたしはあたしだから、ぶれることはないが、この先も崇拝とかされたら息苦しくってしょうがない。
集団でつるむのが苦手なローズマリーにとっては迷惑千万そのものである。いっそいつぞやのヴァンパイアを隕石を落として潰した時のように偽名を使って行こうか……いやそれはポリシーに反する。いつも堂々とありたいとローズマリーは日頃から思っていた。だからやはりあるがままを受け入れるしかないだろう。
「いやぁ、わたくしも最初は本物のローズマリー様なのかと疑いましたが、流石に本物は迫力が違いますな」
「どういう意味だい、一本ずつ髪をむしるよ」
「ひええ、それだけはおやめください、聖女様!」
「せいじょ? 誰のことだよ?」
「あ、いえ王都の方では大賢者ローズマリー様よりも聖女ローズマリーの方が知名度が高く信仰の対象になっているのです」
「このおとこ女が信仰されてるだって嘘つくんじゃねえよ、おっさん!」エンデュミオンはどうやら死にたいようだ。一瞬で背後をとったローズマリーはヘッドロックをかましてエンデュミオンを夢の中へ引きずり込んだ。
「ふっ、俺は相棒のように脳筋賢者などとは言わな……ふご」ルーンベルトもまたヘッドロックで夢の世界へ旅立った。
商人ダビドはドン引きしていた。そしてローズマリーの次の生贄は自分なのではないかと腹の底から恐怖して肌が真っ白になり唇が紫色になったほどだ。
そんな商人ダビドに対してローズマリーは言った。
「で、聖女って言うのはどういう意味なんだよ」
「はい、あなた様がレビの村で死にかけた村人を回復させたという話から飢饉に陥った村に小麦の雨を降らせたとか他にも数えきれない奇跡の御業が王族御用達の吟遊詩人から広まっております」
「あとでその吟遊詩人の名前を教えてくれよな」
「先程の御2人のようにするんですか?」
「そんな物騒なことするわけないだろ」とローズマリーは拳を鳴らした。殺る気満々であった。
「そ、そうですか……まあわたくしはブタストの街で商談があるだけなので安全ですから一向に構いませんが……」
「ローズマリー! 土煙が近づいてくるわよ」本を読んでいたセレーナが叫んだ。
昨日の倍以上はいそうだ。ローズマリーは立ち上がってどうしたもんんかな、とかんがえていた。
「ローズマリーデコピンも禁止だからね」
「えっ良いじゃん。そんくらい」
「あなたは無駄に力が強すぎるのよ。普通の一般人なら一ヶ月はベッドの上に決まっているわ」
「セレーナは本当のことしか言わないからキツイんだよね……」ローズマリーはいじけて見せた。
「いじけてる暇はないわよ、もうすぐ来る!」
50人程の盗賊がローズマリー達を囲んだ。よく見れば獣人族が半分を占めている。どういうわけだろう?
「今度こそ、その商人の持っている金を頂くよ」
女盗賊ウルテジナが宣言した。
数で押せば何とかなると思っているのだろうか? いや昨日の指揮ぶりから見てそんな頭の悪いリーダーじゃないと数々のレディースの隊長と渡り合ってきたからリーダーの器を見定める眼はあるつもりだ。こいつは頭の良い狼のような奴だ。気を抜けばガブリとやられる。
「それにしては兵隊の数が少なくないか? あたしを相手に全員で来ないとは舐められたものだね」
「ふん、ビビらないところを見ると本当に大賢者なようだね」
「おかしら、はらがへったよお」たしか……イギとかいう大男が言った。
「黙りな! 今大事なところなんだ」
「でも、お頭そろそろ……」ダフネとかいうコボルトが恐る恐る小声で言った。
「そんなことは分かっているんだよ! 黙ってな!」
「また来るからね、首を洗って待ってなよ! 大・賢・者・様」
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