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【第3章 理不尽賢者ローズマリーと魔法科学国オルケイア】
【理不尽賢者と大砂漠Ⅶ】
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「2人ともできるだけ早く洞窟を出て!」
「何を言うのだ、ローズマリー。化け物じみた強さを持つお前だとしても女を一人置いていったら戦士の名に傷がつく」
「そうよ、あなただけおいて逃げるだなんて」
まだデススコーピオンは活発化していないのがローズマリーには魔力の流れで分かった。早く2人にこのモンスターのヤバさを伝えなければ、あたし一人ならなんとかななる。しかし2人は確実に仕留められるだろう。
しかし、相手の方が動きが早かった。デススコーピオンはローズマリーがちょっと驚くレベルの素早さを持っていた。避けたのは簡単だったが他の2人には避けることはできないスピードだ。どうしたらいいか、すぐに頭が働いた。ローズマリーは杖を投げ鍾乳石をデススコーピオンの頭上に落とした。石の重みでデススコーピオンは動きが取れずにいる。2人はいつの間に動いたのかという顔をしている。
「2人とも早く逃げろ!お前らを守り切れない速度を持つモンスターだ」
ルーンベルトとセレーナは状況を即座に理解し踵を返した。そして鍾乳石の下から這い出したデススコーピオンはルーンベルトたちを追いかけた。しかしそれをさせまいとローズマリーは仁王立ちになった。コイツは今までのモンスターと何かが違う。ローズマリーは本能的に相手がただのモンスターとは違う魔力の動きをしていることに気が付いた。コイツ脈拍計の機械みたいな魔力の流れだな。
ギャアオース!という雄たけびを上げてデススコーピオンは尾っぽの針とハサミの攻撃でローズマリーをバラバラにしようとしてくる。魔法を使うか? でもそんなことをしたらオアシスが無くなってしまう。ローズマリーの一方的な防戦が続いた。2人を逃がす時間を稼ぐためだ。
「ローズマリー! 死ぬんじゃないぞ」ルーンベルトのお人好しめ。叫んでる暇があるならさっさと逃げろよ。そう思いながらローズマリーはデススコーピオンの頭をぶん殴った。カキンという鋼を叩くような金属音がした。
ローズマリーの読みは当たっていた。コイツは機械なんだ。モンスターやホムンクルスのような生き物じゃない。だからずっと何百年もクイーンジャイアントワームに魔力を吸われても平気だったんだ。コイツを始末するにはどうしたらいいだろう? 敵の攻撃を避けルーンベルトたちが逃げる時間を作るためローズマリーは敢えて反撃は最小限にしていた。殴ると大きく凹んだりするのだがすぐに回復してしまう。ヒーリングナックルは逆効果、物理的に粉砕してもきっとすぐ直る、魔法はオアシスの源泉があるから使えない。三重苦に陥ったローズマリーだが実は未だに敵の攻撃はかすりもしていない。
「ぶっちゃけると足手まといがいないなら相手になんかならないんだよ」
それまでの耐えている時間のフラストレーションをぶつけるかのようにローズマリーはデススコーピオンの横っ面を思いっきり蹴飛ばした。そして相手が再生に時間を使っている間に肉薄し小さな結界をはった。デススコーピオンとローズマリーが入るギリギリの大きさの結界だ。
「これでお前も逃げられないぜ」
デススコーピオンは巨体を動かせず尻尾の凪払いでローズマリーを殺そうとした、がしかしその尻尾をローズマリーはつかんで抑え込んだ。段々目が慣れて複雑な攻撃パターンが直感的に分かるようになっていた。
「このくそサソリがぁ!」ローズマリーはデススコーピオンの尻尾を力だけでちぎった。それは身体の中の魔力の流れを腰と腕に集中させるという神業があってこそできたものであった。
だがすぐにブクブクと切り口から泡が出て尻尾が再生していく。
「もうあたしは飽きたぜ。この機械人形が!」
ローズマリーは腰を低くして拳に炎の魔力を纏わせた。それは原理的にはこの世界でファイアボールを唱える代わりに魔力を消費するのに近い原始的かつ大胆な技だった。だがこの技には一つ弱点がある。正確な魔力操作ができないと失敗するのだ。
「喰らえ!ヒートナックル!」拳がデススコーピオンの頭部に直撃する。デススコーピオンの魔法回路がショートしエラーが起こり続け最後にデススコーピオンは今まで貯めた魔力を暴走させようとしている。簡単に言うならば自爆しようとしているのだ。そういう風に造られているのだ。
魔力がデススコーピオンの体の一点に収束しギラギラと光り始める。そして明滅が数秒続くと、ド――ンという音がして結界が壊れ大地が震えた。
「げほげほ、糞ったれだな。オルケイアとか言う国は」デススコーピオンの残骸の下から煤けた姿でローズマリーは立ち上がった。
「これで皆も守ったし、こいつの自爆も防いだ」リビドが言っていた倒したらマズいことというのはあたり一帯を吹き飛ばす自爆攻撃のことだったのだ。
その頃エンデュミオンはセレーナから腹に数発パンチを喰らっていた。応援として呼びに行ったら泥酔してよその娘に浮気していたからだ。ルーンベルトがそのドメスティックバイオレンスにただただ驚きを隠せないでいた。
「何を言うのだ、ローズマリー。化け物じみた強さを持つお前だとしても女を一人置いていったら戦士の名に傷がつく」
「そうよ、あなただけおいて逃げるだなんて」
まだデススコーピオンは活発化していないのがローズマリーには魔力の流れで分かった。早く2人にこのモンスターのヤバさを伝えなければ、あたし一人ならなんとかななる。しかし2人は確実に仕留められるだろう。
しかし、相手の方が動きが早かった。デススコーピオンはローズマリーがちょっと驚くレベルの素早さを持っていた。避けたのは簡単だったが他の2人には避けることはできないスピードだ。どうしたらいいか、すぐに頭が働いた。ローズマリーは杖を投げ鍾乳石をデススコーピオンの頭上に落とした。石の重みでデススコーピオンは動きが取れずにいる。2人はいつの間に動いたのかという顔をしている。
「2人とも早く逃げろ!お前らを守り切れない速度を持つモンスターだ」
ルーンベルトとセレーナは状況を即座に理解し踵を返した。そして鍾乳石の下から這い出したデススコーピオンはルーンベルトたちを追いかけた。しかしそれをさせまいとローズマリーは仁王立ちになった。コイツは今までのモンスターと何かが違う。ローズマリーは本能的に相手がただのモンスターとは違う魔力の動きをしていることに気が付いた。コイツ脈拍計の機械みたいな魔力の流れだな。
ギャアオース!という雄たけびを上げてデススコーピオンは尾っぽの針とハサミの攻撃でローズマリーをバラバラにしようとしてくる。魔法を使うか? でもそんなことをしたらオアシスが無くなってしまう。ローズマリーの一方的な防戦が続いた。2人を逃がす時間を稼ぐためだ。
「ローズマリー! 死ぬんじゃないぞ」ルーンベルトのお人好しめ。叫んでる暇があるならさっさと逃げろよ。そう思いながらローズマリーはデススコーピオンの頭をぶん殴った。カキンという鋼を叩くような金属音がした。
ローズマリーの読みは当たっていた。コイツは機械なんだ。モンスターやホムンクルスのような生き物じゃない。だからずっと何百年もクイーンジャイアントワームに魔力を吸われても平気だったんだ。コイツを始末するにはどうしたらいいだろう? 敵の攻撃を避けルーンベルトたちが逃げる時間を作るためローズマリーは敢えて反撃は最小限にしていた。殴ると大きく凹んだりするのだがすぐに回復してしまう。ヒーリングナックルは逆効果、物理的に粉砕してもきっとすぐ直る、魔法はオアシスの源泉があるから使えない。三重苦に陥ったローズマリーだが実は未だに敵の攻撃はかすりもしていない。
「ぶっちゃけると足手まといがいないなら相手になんかならないんだよ」
それまでの耐えている時間のフラストレーションをぶつけるかのようにローズマリーはデススコーピオンの横っ面を思いっきり蹴飛ばした。そして相手が再生に時間を使っている間に肉薄し小さな結界をはった。デススコーピオンとローズマリーが入るギリギリの大きさの結界だ。
「これでお前も逃げられないぜ」
デススコーピオンは巨体を動かせず尻尾の凪払いでローズマリーを殺そうとした、がしかしその尻尾をローズマリーはつかんで抑え込んだ。段々目が慣れて複雑な攻撃パターンが直感的に分かるようになっていた。
「このくそサソリがぁ!」ローズマリーはデススコーピオンの尻尾を力だけでちぎった。それは身体の中の魔力の流れを腰と腕に集中させるという神業があってこそできたものであった。
だがすぐにブクブクと切り口から泡が出て尻尾が再生していく。
「もうあたしは飽きたぜ。この機械人形が!」
ローズマリーは腰を低くして拳に炎の魔力を纏わせた。それは原理的にはこの世界でファイアボールを唱える代わりに魔力を消費するのに近い原始的かつ大胆な技だった。だがこの技には一つ弱点がある。正確な魔力操作ができないと失敗するのだ。
「喰らえ!ヒートナックル!」拳がデススコーピオンの頭部に直撃する。デススコーピオンの魔法回路がショートしエラーが起こり続け最後にデススコーピオンは今まで貯めた魔力を暴走させようとしている。簡単に言うならば自爆しようとしているのだ。そういう風に造られているのだ。
魔力がデススコーピオンの体の一点に収束しギラギラと光り始める。そして明滅が数秒続くと、ド――ンという音がして結界が壊れ大地が震えた。
「げほげほ、糞ったれだな。オルケイアとか言う国は」デススコーピオンの残骸の下から煤けた姿でローズマリーは立ち上がった。
「これで皆も守ったし、こいつの自爆も防いだ」リビドが言っていた倒したらマズいことというのはあたり一帯を吹き飛ばす自爆攻撃のことだったのだ。
その頃エンデュミオンはセレーナから腹に数発パンチを喰らっていた。応援として呼びに行ったら泥酔してよその娘に浮気していたからだ。ルーンベルトがそのドメスティックバイオレンスにただただ驚きを隠せないでいた。
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