39 / 92
【第3章 理不尽賢者ローズマリーと魔法科学国オルケイア】
【理不尽賢者と大砂漠Ⅶ】
しおりを挟む
「2人ともできるだけ早く洞窟を出て!」
「何を言うのだ、ローズマリー。化け物じみた強さを持つお前だとしても女を一人置いていったら戦士の名に傷がつく」
「そうよ、あなただけおいて逃げるだなんて」
まだデススコーピオンは活発化していないのがローズマリーには魔力の流れで分かった。早く2人にこのモンスターのヤバさを伝えなければ、あたし一人ならなんとかななる。しかし2人は確実に仕留められるだろう。
しかし、相手の方が動きが早かった。デススコーピオンはローズマリーがちょっと驚くレベルの素早さを持っていた。避けたのは簡単だったが他の2人には避けることはできないスピードだ。どうしたらいいか、すぐに頭が働いた。ローズマリーは杖を投げ鍾乳石をデススコーピオンの頭上に落とした。石の重みでデススコーピオンは動きが取れずにいる。2人はいつの間に動いたのかという顔をしている。
「2人とも早く逃げろ!お前らを守り切れない速度を持つモンスターだ」
ルーンベルトとセレーナは状況を即座に理解し踵を返した。そして鍾乳石の下から這い出したデススコーピオンはルーンベルトたちを追いかけた。しかしそれをさせまいとローズマリーは仁王立ちになった。コイツは今までのモンスターと何かが違う。ローズマリーは本能的に相手がただのモンスターとは違う魔力の動きをしていることに気が付いた。コイツ脈拍計の機械みたいな魔力の流れだな。
ギャアオース!という雄たけびを上げてデススコーピオンは尾っぽの針とハサミの攻撃でローズマリーをバラバラにしようとしてくる。魔法を使うか? でもそんなことをしたらオアシスが無くなってしまう。ローズマリーの一方的な防戦が続いた。2人を逃がす時間を稼ぐためだ。
「ローズマリー! 死ぬんじゃないぞ」ルーンベルトのお人好しめ。叫んでる暇があるならさっさと逃げろよ。そう思いながらローズマリーはデススコーピオンの頭をぶん殴った。カキンという鋼を叩くような金属音がした。
ローズマリーの読みは当たっていた。コイツは機械なんだ。モンスターやホムンクルスのような生き物じゃない。だからずっと何百年もクイーンジャイアントワームに魔力を吸われても平気だったんだ。コイツを始末するにはどうしたらいいだろう? 敵の攻撃を避けルーンベルトたちが逃げる時間を作るためローズマリーは敢えて反撃は最小限にしていた。殴ると大きく凹んだりするのだがすぐに回復してしまう。ヒーリングナックルは逆効果、物理的に粉砕してもきっとすぐ直る、魔法はオアシスの源泉があるから使えない。三重苦に陥ったローズマリーだが実は未だに敵の攻撃はかすりもしていない。
「ぶっちゃけると足手まといがいないなら相手になんかならないんだよ」
それまでの耐えている時間のフラストレーションをぶつけるかのようにローズマリーはデススコーピオンの横っ面を思いっきり蹴飛ばした。そして相手が再生に時間を使っている間に肉薄し小さな結界をはった。デススコーピオンとローズマリーが入るギリギリの大きさの結界だ。
「これでお前も逃げられないぜ」
デススコーピオンは巨体を動かせず尻尾の凪払いでローズマリーを殺そうとした、がしかしその尻尾をローズマリーはつかんで抑え込んだ。段々目が慣れて複雑な攻撃パターンが直感的に分かるようになっていた。
「このくそサソリがぁ!」ローズマリーはデススコーピオンの尻尾を力だけでちぎった。それは身体の中の魔力の流れを腰と腕に集中させるという神業があってこそできたものであった。
だがすぐにブクブクと切り口から泡が出て尻尾が再生していく。
「もうあたしは飽きたぜ。この機械人形が!」
ローズマリーは腰を低くして拳に炎の魔力を纏わせた。それは原理的にはこの世界でファイアボールを唱える代わりに魔力を消費するのに近い原始的かつ大胆な技だった。だがこの技には一つ弱点がある。正確な魔力操作ができないと失敗するのだ。
「喰らえ!ヒートナックル!」拳がデススコーピオンの頭部に直撃する。デススコーピオンの魔法回路がショートしエラーが起こり続け最後にデススコーピオンは今まで貯めた魔力を暴走させようとしている。簡単に言うならば自爆しようとしているのだ。そういう風に造られているのだ。
魔力がデススコーピオンの体の一点に収束しギラギラと光り始める。そして明滅が数秒続くと、ド――ンという音がして結界が壊れ大地が震えた。
「げほげほ、糞ったれだな。オルケイアとか言う国は」デススコーピオンの残骸の下から煤けた姿でローズマリーは立ち上がった。
「これで皆も守ったし、こいつの自爆も防いだ」リビドが言っていた倒したらマズいことというのはあたり一帯を吹き飛ばす自爆攻撃のことだったのだ。
その頃エンデュミオンはセレーナから腹に数発パンチを喰らっていた。応援として呼びに行ったら泥酔してよその娘に浮気していたからだ。ルーンベルトがそのドメスティックバイオレンスにただただ驚きを隠せないでいた。
「何を言うのだ、ローズマリー。化け物じみた強さを持つお前だとしても女を一人置いていったら戦士の名に傷がつく」
「そうよ、あなただけおいて逃げるだなんて」
まだデススコーピオンは活発化していないのがローズマリーには魔力の流れで分かった。早く2人にこのモンスターのヤバさを伝えなければ、あたし一人ならなんとかななる。しかし2人は確実に仕留められるだろう。
しかし、相手の方が動きが早かった。デススコーピオンはローズマリーがちょっと驚くレベルの素早さを持っていた。避けたのは簡単だったが他の2人には避けることはできないスピードだ。どうしたらいいか、すぐに頭が働いた。ローズマリーは杖を投げ鍾乳石をデススコーピオンの頭上に落とした。石の重みでデススコーピオンは動きが取れずにいる。2人はいつの間に動いたのかという顔をしている。
「2人とも早く逃げろ!お前らを守り切れない速度を持つモンスターだ」
ルーンベルトとセレーナは状況を即座に理解し踵を返した。そして鍾乳石の下から這い出したデススコーピオンはルーンベルトたちを追いかけた。しかしそれをさせまいとローズマリーは仁王立ちになった。コイツは今までのモンスターと何かが違う。ローズマリーは本能的に相手がただのモンスターとは違う魔力の動きをしていることに気が付いた。コイツ脈拍計の機械みたいな魔力の流れだな。
ギャアオース!という雄たけびを上げてデススコーピオンは尾っぽの針とハサミの攻撃でローズマリーをバラバラにしようとしてくる。魔法を使うか? でもそんなことをしたらオアシスが無くなってしまう。ローズマリーの一方的な防戦が続いた。2人を逃がす時間を稼ぐためだ。
「ローズマリー! 死ぬんじゃないぞ」ルーンベルトのお人好しめ。叫んでる暇があるならさっさと逃げろよ。そう思いながらローズマリーはデススコーピオンの頭をぶん殴った。カキンという鋼を叩くような金属音がした。
ローズマリーの読みは当たっていた。コイツは機械なんだ。モンスターやホムンクルスのような生き物じゃない。だからずっと何百年もクイーンジャイアントワームに魔力を吸われても平気だったんだ。コイツを始末するにはどうしたらいいだろう? 敵の攻撃を避けルーンベルトたちが逃げる時間を作るためローズマリーは敢えて反撃は最小限にしていた。殴ると大きく凹んだりするのだがすぐに回復してしまう。ヒーリングナックルは逆効果、物理的に粉砕してもきっとすぐ直る、魔法はオアシスの源泉があるから使えない。三重苦に陥ったローズマリーだが実は未だに敵の攻撃はかすりもしていない。
「ぶっちゃけると足手まといがいないなら相手になんかならないんだよ」
それまでの耐えている時間のフラストレーションをぶつけるかのようにローズマリーはデススコーピオンの横っ面を思いっきり蹴飛ばした。そして相手が再生に時間を使っている間に肉薄し小さな結界をはった。デススコーピオンとローズマリーが入るギリギリの大きさの結界だ。
「これでお前も逃げられないぜ」
デススコーピオンは巨体を動かせず尻尾の凪払いでローズマリーを殺そうとした、がしかしその尻尾をローズマリーはつかんで抑え込んだ。段々目が慣れて複雑な攻撃パターンが直感的に分かるようになっていた。
「このくそサソリがぁ!」ローズマリーはデススコーピオンの尻尾を力だけでちぎった。それは身体の中の魔力の流れを腰と腕に集中させるという神業があってこそできたものであった。
だがすぐにブクブクと切り口から泡が出て尻尾が再生していく。
「もうあたしは飽きたぜ。この機械人形が!」
ローズマリーは腰を低くして拳に炎の魔力を纏わせた。それは原理的にはこの世界でファイアボールを唱える代わりに魔力を消費するのに近い原始的かつ大胆な技だった。だがこの技には一つ弱点がある。正確な魔力操作ができないと失敗するのだ。
「喰らえ!ヒートナックル!」拳がデススコーピオンの頭部に直撃する。デススコーピオンの魔法回路がショートしエラーが起こり続け最後にデススコーピオンは今まで貯めた魔力を暴走させようとしている。簡単に言うならば自爆しようとしているのだ。そういう風に造られているのだ。
魔力がデススコーピオンの体の一点に収束しギラギラと光り始める。そして明滅が数秒続くと、ド――ンという音がして結界が壊れ大地が震えた。
「げほげほ、糞ったれだな。オルケイアとか言う国は」デススコーピオンの残骸の下から煤けた姿でローズマリーは立ち上がった。
「これで皆も守ったし、こいつの自爆も防いだ」リビドが言っていた倒したらマズいことというのはあたり一帯を吹き飛ばす自爆攻撃のことだったのだ。
その頃エンデュミオンはセレーナから腹に数発パンチを喰らっていた。応援として呼びに行ったら泥酔してよその娘に浮気していたからだ。ルーンベルトがそのドメスティックバイオレンスにただただ驚きを隠せないでいた。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
家賃一万円、庭付き、駐車場付き、付喪神付き?!
雪那 由多
ライト文芸
恋人に振られて独立を決心!
尊敬する先輩から紹介された家は庭付き駐車場付きで家賃一万円!
庭は畑仕事もできるくらいに広くみかんや柿、林檎のなる果実園もある。
さらに言えばリフォームしたての古民家は新築同然のピッカピカ!
そんな至れり尽くせりの家の家賃が一万円なわけがない!
古めかしい残置物からの熱い視線、夜な夜なさざめく話し声。
見えてしまう特異体質の瞳で見たこの家の住人達に納得のこのお値段!
見知らぬ土地で友人も居ない新天地の家に置いて行かれた道具から生まれた付喪神達との共同生活が今スタート!
****************************************************************
第6回ほっこり・じんわり大賞で読者賞を頂きました!
沢山の方に読んでいただき、そして投票を頂きまして本当にありがとうございました!
****************************************************************
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
はぁ?とりあえず寝てていい?
夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。
※第二章は全体的に説明回が多いです。
<<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>
便利すぎるチュートリアルスキルで異世界ぽよんぽよん生活
御峰。
ファンタジー
旧題:チュートリアルスキルが便利過ぎて、チートスキルがなくても異世界ライフは楽です。
前世で勇者となる者に巻き込まれる形で転生を果たすワタル。
天使様の厚意で転生前にチュートリアルを体験する事になった。
しかし、チュートリアル体験中に、勇者がチュートリアルをクリアしてしまい、チュートリアルの途中で転生する事に。
勇者ではないワタルには最上級のチートスキルが与えられなかったが、チュートリアルをクリアしてないのに転生した事により、エラーが発生し、チュートリアルスキルをそのままに転生を果たした。
転生後、8歳児として目を覚ますワタル。
チートスキルはないが、チュートリアルスキルが便利且つ最強過ぎて、異世界ライフに困る事なく、好きな事をしながら楽しい異世界ライフを送る。
チュートリアルスキルで召喚した前世で飼っていた最愛のペットのコテツと冒険しながら、スライムを大量にテイムし人々を癒す【ぽよんぽよんリラックス】を結成し多くの人を心から癒し、困っていた獣人達を救って毎日猫耳と猫尻尾を愛でながら町なんかを作ったり、ダンジョンに潜ったり、時には何もせずに昼寝をしたり、出会った神獣と心を通わせてモフモフさせて貰ったり、時には魔王軍とご飯を食べながら勇者の愚痴を言い合ったりと楽しい異世界ライフを送る。
※アルファポリスオンリー作品です。
※ハーレムっぽく見えて、ハーレムではありません。
※ファンタジー小説大賞挑戦作品となりますので、応援してくださると嬉しいです。
※コメントは基本全承諾及び返信しております。コメントを残してくださると作者が喜びます!
我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!
真理亜
恋愛
とある侯爵家で催された夜会、伯爵令嬢である私ことアンリエットは、婚約者である侯爵令息のギルバートと逸れてしまい、彼の姿を探して庭園の方に足を運んでいた。
そこで目撃してしまったのだ。
婚約者が幼馴染みの男爵令嬢キャロラインと愛し合っている場面を。しかもギルバートは私の家の乗っ取りを企んでいるらしい。
よろしい! おバカな二人に鉄槌を下しましょう!
長くなって来たので長編に変更しました。
転生勇者の異世界見聞録
yahimoti
ファンタジー
ゲームのメインストーリーが終わったエンドロール後の異世界に転生したのは定年後の会社員。体は子供だけど勇者としての転生特典のチートがある。まあ、わしなりにこの剣と魔法の異世界を楽しむのじゃ。1000年前の勇者がパーティメンバーを全員嫁さんにしていた?何をしとるんじゃ勇者は。わしゃ知らんぞ。
さようなら、私の初恋。あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
令和欲張りギャグコメディ「しまづの県」
郭隗の馬の骨
ファンタジー
現代っぽい日の本でお菓子製造を営む株式会社しまづの面々と全国の戦国時代にどこかで聞いたような人々があれこれするお話。
随所にアニメや漫画などのパロディーを散りばめて、戦国島津を全く知らない人にも楽しんでもらいつつ、島津の魅力を味わってもらおう、ついでにアニメ化やゲーム化やいろんなタイアップを欲張りに求めていくスタイル!
登場人物は戦国島津、戦国武将、島津ゆかりの風味(ここ大事!)で舞台は現代っぽい感じ。(これも大事!!)
このお話はギャグパロディ小説であり実在の人物や組織、団体などとは一切関係ありません。(ということにしておいてください、お願いします)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる