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【第3章 理不尽賢者ローズマリーと魔法科学国オルケイア】
【理不尽賢者と大砂漠Ⅵ】
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「離れろ!デカいのがくるぞ」
ルーンベルトがバックステップをし、攻撃を避けるとクイーンジャイアントワームはからだ中から生えている職種のようなものからジャイアントワームを次々に生み落としていった。3人は散り、距離をとった。もう既に十数体のジャイアントワームが生まれている。
「ローズマリーはいつものデカいのは撃つな。洞窟が崩落する」
「これでも頭はついているんだ。分かってるよ。そんなことは!」
「ふっ、飾りではなかったのだな」
「よーし決めた。あたしがクイーンを見事完璧に叩き潰したらエンデュミオンから聞いたルーンベルトの恥ずかしい過去を村中の人間に伝えるからな」
「な、なにぃ! エンデュミオン許さん!」
「2人ともじゃれ合ってないで敵に集中して」
「ふっ、言われずとも……」ミスリル製の斧槍で敵を斬りながらルーンベルトが言った。
「……分かっているさ!」
「ローズマリー! クイーンの次はデススコーピオンが相手よ。気を抜かないでね」
「合点承知の助!」
「なんて意味それ……って、きゃあ! 危なかった」セレーナはジャイアントワームの消化液を喰らいそうになった。
しかし数は一向に減らない絶えずクイーンジャイアントワームがジャイアントワームを産み続けているからだ。このままではリビドが言ったことが本当になってしまう。ルーンベルトとセレーナは決死の覚悟でローズマリーの道を作った。
「あんがとお2人さん! じゃあサヨナラだ。醜いホムンクルス!」
ローズマリーは緑色の薄い膜ができた。拳をクイーンジャイアントワームの急所である触覚器官に打ち付けた。するとクイーンジャイアントワームは急に大人しくなりそれ以上自身の眷属を産むのを止め段々と小さくなっていった。ブヨブヨと肥え太った肉も縮まり、4、5メートルほどの体がガムのように壁に張り付いている。そのからだの下にはそれより一回り小さなデススコーピオンと思わしき黒い金属のような外殻を持つサソリが封じられている。
「よし!じゃあ2人とも今のうちに残りを片付けるよ」
「ふっ、当たり前だ! 数で押されていただけのこと」
「そうね、こいつらの動きはワンパターンだしね。それに大本命がまだ残っているからね」
数分で残りのジャイアントワームは駆除することに成功した。まあ3人にとっては赤子の手をひねる様なものだった。何故ローズマリーがクイーンジャイアントワームを殴り殺さなかったかには訳がある。ワームは死ぬときに周りを汚染する刺激臭のする液体を振りまく、このクイーンを造った錬金術師曰く死んだらオアシスが汚染させられるほどの大量の毒をまき散らすということだからだ。
「そういえばローズマリーあなた、このクイーンをホムンクルスって呼ばなかった?」
「そだよ、こいつはホメロンが作り出した人造モンスターだよ」
「「何⁈」」2人とも声をそろえて驚いた。
「魔力機関がどうとかリビドが言ってただろ? それと子のモンスターが生まれた時代がホメロンが生きていた時代と合っているんだよ」
「で、あの大錬金術師ホメロンの作った封印もデコピン一発で壊したのか? 火力馬鹿なお前がよくそんな芸当ができたなと思ったが、ホメロンの封印だったとは信じられん」セレーナは呆れて声も出してこない。
「あと、クイーンを鎮めた技は何だ? 単なる攻撃技ではないと思ったが……」
「ただの回復魔法だよ」
「「え⁈」」2人は硬直したまま数秒フリーズした。なのでローズマリーは説明することにした。
「あれは名付けて『ヒーリングナックル』敵のことを極限まで回復させて生き物としての最初の状態に戻す技だよ。昨日ワームに寄生された人達を回復させてるとき思いついたんだ。指や手に意識を集中させて、相手の身体の中を巡っている魔力の流れを読み取って何がおかしくなっているか分かるからそれを正常な状態に直してやるんだ」
「つ、つまり若返らせるってこと?」
「う……ん、何か少し違うけれど似たようなもんだね」飄々と話すローズマリーに対して2人は沈黙した。
いきなりルーンベルトに肩を掴まれたから流石に女子であるローズマリーは驚いた。
「旅をやめて、リンデンハイム王都の魔法学院で教鞭をとってくれ、ローズマリー。お前のヒーリング何とかは若返りの魔法だ。今まで若返りについては幾人もの先達が挑戦し失敗してきた。かの大錬金術師ホメロンもその1人だ。この世界の為にその技を多くのものに教えてやってくれ」
「や、やだよ、あたしは魔王をぶち殺してお母さんやダチ公に会いに帰るんだから! セレーナも何とか言ってやってくれよ、このデコッパチに」
「ローズマリー……私もルーンベルトの意見に賛成だわ。誰かしらに受け継がせるべき秘術よ」
「わ、分かったよ。誰かに教えれば良いんだろ……って! ちょい待ちヤバいことが起き始めてる!」
壁に張り付いていたクイーンジャイアントワームがデススコーピオンに食われている。デススコーピオンはギャオスと鳴くとクイーンの最後の肉塊をハサミでつかみ食い散らかした。
ローズマリーは目に魔力を集中させた。こうすることで相手の強さが分かることは既にここに来るまでに実証済みだった。魔力の回復が異様に早い。コイツは外に逃がしたらヤバい。ここまで常勝無敗だったローズマリーの顔から汗が流れた。そのことに残る2人は気づいていない。ローズマリーは背に負う2人の者たちの命の重さを実感していた。
その頃エンデュミオンは酔いが絶頂になり、村長の孫の尻を追い回していた。後でセレーナにバレ鉄拳制裁という名の復讐を受けDV被害者になることをこの時のエンデュミオンは知る由もなかった。
ルーンベルトがバックステップをし、攻撃を避けるとクイーンジャイアントワームはからだ中から生えている職種のようなものからジャイアントワームを次々に生み落としていった。3人は散り、距離をとった。もう既に十数体のジャイアントワームが生まれている。
「ローズマリーはいつものデカいのは撃つな。洞窟が崩落する」
「これでも頭はついているんだ。分かってるよ。そんなことは!」
「ふっ、飾りではなかったのだな」
「よーし決めた。あたしがクイーンを見事完璧に叩き潰したらエンデュミオンから聞いたルーンベルトの恥ずかしい過去を村中の人間に伝えるからな」
「な、なにぃ! エンデュミオン許さん!」
「2人ともじゃれ合ってないで敵に集中して」
「ふっ、言われずとも……」ミスリル製の斧槍で敵を斬りながらルーンベルトが言った。
「……分かっているさ!」
「ローズマリー! クイーンの次はデススコーピオンが相手よ。気を抜かないでね」
「合点承知の助!」
「なんて意味それ……って、きゃあ! 危なかった」セレーナはジャイアントワームの消化液を喰らいそうになった。
しかし数は一向に減らない絶えずクイーンジャイアントワームがジャイアントワームを産み続けているからだ。このままではリビドが言ったことが本当になってしまう。ルーンベルトとセレーナは決死の覚悟でローズマリーの道を作った。
「あんがとお2人さん! じゃあサヨナラだ。醜いホムンクルス!」
ローズマリーは緑色の薄い膜ができた。拳をクイーンジャイアントワームの急所である触覚器官に打ち付けた。するとクイーンジャイアントワームは急に大人しくなりそれ以上自身の眷属を産むのを止め段々と小さくなっていった。ブヨブヨと肥え太った肉も縮まり、4、5メートルほどの体がガムのように壁に張り付いている。そのからだの下にはそれより一回り小さなデススコーピオンと思わしき黒い金属のような外殻を持つサソリが封じられている。
「よし!じゃあ2人とも今のうちに残りを片付けるよ」
「ふっ、当たり前だ! 数で押されていただけのこと」
「そうね、こいつらの動きはワンパターンだしね。それに大本命がまだ残っているからね」
数分で残りのジャイアントワームは駆除することに成功した。まあ3人にとっては赤子の手をひねる様なものだった。何故ローズマリーがクイーンジャイアントワームを殴り殺さなかったかには訳がある。ワームは死ぬときに周りを汚染する刺激臭のする液体を振りまく、このクイーンを造った錬金術師曰く死んだらオアシスが汚染させられるほどの大量の毒をまき散らすということだからだ。
「そういえばローズマリーあなた、このクイーンをホムンクルスって呼ばなかった?」
「そだよ、こいつはホメロンが作り出した人造モンスターだよ」
「「何⁈」」2人とも声をそろえて驚いた。
「魔力機関がどうとかリビドが言ってただろ? それと子のモンスターが生まれた時代がホメロンが生きていた時代と合っているんだよ」
「で、あの大錬金術師ホメロンの作った封印もデコピン一発で壊したのか? 火力馬鹿なお前がよくそんな芸当ができたなと思ったが、ホメロンの封印だったとは信じられん」セレーナは呆れて声も出してこない。
「あと、クイーンを鎮めた技は何だ? 単なる攻撃技ではないと思ったが……」
「ただの回復魔法だよ」
「「え⁈」」2人は硬直したまま数秒フリーズした。なのでローズマリーは説明することにした。
「あれは名付けて『ヒーリングナックル』敵のことを極限まで回復させて生き物としての最初の状態に戻す技だよ。昨日ワームに寄生された人達を回復させてるとき思いついたんだ。指や手に意識を集中させて、相手の身体の中を巡っている魔力の流れを読み取って何がおかしくなっているか分かるからそれを正常な状態に直してやるんだ」
「つ、つまり若返らせるってこと?」
「う……ん、何か少し違うけれど似たようなもんだね」飄々と話すローズマリーに対して2人は沈黙した。
いきなりルーンベルトに肩を掴まれたから流石に女子であるローズマリーは驚いた。
「旅をやめて、リンデンハイム王都の魔法学院で教鞭をとってくれ、ローズマリー。お前のヒーリング何とかは若返りの魔法だ。今まで若返りについては幾人もの先達が挑戦し失敗してきた。かの大錬金術師ホメロンもその1人だ。この世界の為にその技を多くのものに教えてやってくれ」
「や、やだよ、あたしは魔王をぶち殺してお母さんやダチ公に会いに帰るんだから! セレーナも何とか言ってやってくれよ、このデコッパチに」
「ローズマリー……私もルーンベルトの意見に賛成だわ。誰かしらに受け継がせるべき秘術よ」
「わ、分かったよ。誰かに教えれば良いんだろ……って! ちょい待ちヤバいことが起き始めてる!」
壁に張り付いていたクイーンジャイアントワームがデススコーピオンに食われている。デススコーピオンはギャオスと鳴くとクイーンの最後の肉塊をハサミでつかみ食い散らかした。
ローズマリーは目に魔力を集中させた。こうすることで相手の強さが分かることは既にここに来るまでに実証済みだった。魔力の回復が異様に早い。コイツは外に逃がしたらヤバい。ここまで常勝無敗だったローズマリーの顔から汗が流れた。そのことに残る2人は気づいていない。ローズマリーは背に負う2人の者たちの命の重さを実感していた。
その頃エンデュミオンは酔いが絶頂になり、村長の孫の尻を追い回していた。後でセレーナにバレ鉄拳制裁という名の復讐を受けDV被害者になることをこの時のエンデュミオンは知る由もなかった。
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