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【第3章 理不尽賢者ローズマリーと魔法科学国オルケイア】
【理不尽賢者と大砂漠Ⅴ】
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「ねえ、ローズマリー……本当にクイーンジャイアントワームを討伐しに行くの?」
「男にも負けたことはないし、女にはそれがモンスターだろうと負けるわけにはいかないからね」
「でもリビドさんも言っていたじゃないオアシスの源泉の封印は解くなって」
「いざとなったらあたしがもっと強力な結界をはってやるから安心しなって」
「ふっ、漢だな。ローズマリーは……」
「ルーンベルト……あたしの最新の魔法技食らわせるぞ」
「ごほんごほん……ふっ、レディーに対して失礼だったな」
村長の足止め役に結果的になったエンデュミオンを除いてローズマリーとルーンベルト、セレーナはオアシスの源泉に繋がる封印の岩のところにまでやってきた。かなり大きな岩だ。3メートルくらいはある。そしてこの岩を触媒にして封印をした錬金術師はやはり大したものだとローズマリーは思った、あくまで一般人レベルならばだが……。
近くにあるヤシの木みたいなものが風で揺れ始め、ローズマリーの赤いポニーテールもたなびく。ローズマリーが封印の解除を行う為集中し始めたからだ。砂漠地帯だというのに空模様さえも変わってきている。そしてローズマリーは拳で岩を殴った。これは回復魔法を使う時の応用技だった。回復魔法は患部のところに意識を集中し手を触れて行う。魔力が強すぎると火傷のようにダメージを与えてしまう。逆に弱すぎると効果が出ない。その塩梅をローズマリーは一晩で覚えた。元々勘の良い方の人間なのだが、この世界に来てからそれに拍車がかかってきている。
「せい!」ローズマリーは岩に腕を突き出しパンチ否デコピンをした。すると岩の中に施された封印の核となる部分が壊れ岩そのものも風化し砂粒になって消えた。封印によって止まっていた時が一気に過ぎ去ったためだ。
「信じられないわ」
「本当に、これは現実なのか?」
当惑を隠せない2人。それもそうだろう。あの大錬金術師ホメロンの封印を指一本で壊したのだから。ローズマリーは大いなる勘違いをしていることにまだ気付いていなかった。
「じゃ、2人とも中に入ろうか? ワームが出てこないように封印をするから」
「わ、分かったわ」
「りょ、了解だ」
中は薄く明かりがついているような巨大な洞窟だった。天井には鍾乳石があり、雫が洞窟の泉に垂れて音を立てている。3人は警戒しながら奥に進んでいった。
「ジャイアントワームの巣にしては綺麗場所だな」
「リビドが言ってたろ、クイーンジャイアントワームやジャイアントワームの巣があるのはもっと奥だって」
「わたしこういう風景好きだわ」
「2人とものんきだな、食われてたまごだらけになってもしらないからな」
「普段の態度を考えなさい。あなたに言われたくはないわ、ローズマリー」
「うっ、まあ、む、村の為にやってるんだからな。そりゃ責任感ってヤツを持つさ」
「何だか怪しいわね。ローズマリー、あなたやっぱり戦いたいだけじゃないの?」
「そ、そりゃここ数日ジャイアントワームばっかりしか相手にしていなかったから……興味はあるよ」
「ふっ、我が相棒もローズマリーと一緒に来ればきっと良いものが見られただろうに」
「あの人は酒が入ると駄目になるから……今頃村長と一緒に夢現の世界に入っているわ」
「セレーナはエンデュミオンと結婚しないのか?」
「えっや、やだ。何いきなり聞いてくるのよ。わ、私はあの人が見ていられないからつい手を差し伸べているだけ。結婚なんてまだ早すぎるわ」
「そういえば、ノバクの村で読んだけどエルフは長命なんだもんな。でも、あたしのお母さんはセレーナくらいの歳であたしを産んだよ」
「そう、そうなのね。私だって本当は……」とセレーナが言いかけた時には既に遅かった。クイーンジャイアントワームがこちらに気付きギョエ―――という甲高い警戒音を出していた。ローズマリーは盗賊王のスキルを使うのを他のことが気になって使っていなかったのだ。
「このまま戦うか? しかし、そうなるとこの村が……」
「ルーンベルト、心配すんなってあたしに良い考えがある」
ローズマリーは昨日の回復魔法からヒントを得てとっておきの秘策を思いついていた。
「男にも負けたことはないし、女にはそれがモンスターだろうと負けるわけにはいかないからね」
「でもリビドさんも言っていたじゃないオアシスの源泉の封印は解くなって」
「いざとなったらあたしがもっと強力な結界をはってやるから安心しなって」
「ふっ、漢だな。ローズマリーは……」
「ルーンベルト……あたしの最新の魔法技食らわせるぞ」
「ごほんごほん……ふっ、レディーに対して失礼だったな」
村長の足止め役に結果的になったエンデュミオンを除いてローズマリーとルーンベルト、セレーナはオアシスの源泉に繋がる封印の岩のところにまでやってきた。かなり大きな岩だ。3メートルくらいはある。そしてこの岩を触媒にして封印をした錬金術師はやはり大したものだとローズマリーは思った、あくまで一般人レベルならばだが……。
近くにあるヤシの木みたいなものが風で揺れ始め、ローズマリーの赤いポニーテールもたなびく。ローズマリーが封印の解除を行う為集中し始めたからだ。砂漠地帯だというのに空模様さえも変わってきている。そしてローズマリーは拳で岩を殴った。これは回復魔法を使う時の応用技だった。回復魔法は患部のところに意識を集中し手を触れて行う。魔力が強すぎると火傷のようにダメージを与えてしまう。逆に弱すぎると効果が出ない。その塩梅をローズマリーは一晩で覚えた。元々勘の良い方の人間なのだが、この世界に来てからそれに拍車がかかってきている。
「せい!」ローズマリーは岩に腕を突き出しパンチ否デコピンをした。すると岩の中に施された封印の核となる部分が壊れ岩そのものも風化し砂粒になって消えた。封印によって止まっていた時が一気に過ぎ去ったためだ。
「信じられないわ」
「本当に、これは現実なのか?」
当惑を隠せない2人。それもそうだろう。あの大錬金術師ホメロンの封印を指一本で壊したのだから。ローズマリーは大いなる勘違いをしていることにまだ気付いていなかった。
「じゃ、2人とも中に入ろうか? ワームが出てこないように封印をするから」
「わ、分かったわ」
「りょ、了解だ」
中は薄く明かりがついているような巨大な洞窟だった。天井には鍾乳石があり、雫が洞窟の泉に垂れて音を立てている。3人は警戒しながら奥に進んでいった。
「ジャイアントワームの巣にしては綺麗場所だな」
「リビドが言ってたろ、クイーンジャイアントワームやジャイアントワームの巣があるのはもっと奥だって」
「わたしこういう風景好きだわ」
「2人とものんきだな、食われてたまごだらけになってもしらないからな」
「普段の態度を考えなさい。あなたに言われたくはないわ、ローズマリー」
「うっ、まあ、む、村の為にやってるんだからな。そりゃ責任感ってヤツを持つさ」
「何だか怪しいわね。ローズマリー、あなたやっぱり戦いたいだけじゃないの?」
「そ、そりゃここ数日ジャイアントワームばっかりしか相手にしていなかったから……興味はあるよ」
「ふっ、我が相棒もローズマリーと一緒に来ればきっと良いものが見られただろうに」
「あの人は酒が入ると駄目になるから……今頃村長と一緒に夢現の世界に入っているわ」
「セレーナはエンデュミオンと結婚しないのか?」
「えっや、やだ。何いきなり聞いてくるのよ。わ、私はあの人が見ていられないからつい手を差し伸べているだけ。結婚なんてまだ早すぎるわ」
「そういえば、ノバクの村で読んだけどエルフは長命なんだもんな。でも、あたしのお母さんはセレーナくらいの歳であたしを産んだよ」
「そう、そうなのね。私だって本当は……」とセレーナが言いかけた時には既に遅かった。クイーンジャイアントワームがこちらに気付きギョエ―――という甲高い警戒音を出していた。ローズマリーは盗賊王のスキルを使うのを他のことが気になって使っていなかったのだ。
「このまま戦うか? しかし、そうなるとこの村が……」
「ルーンベルト、心配すんなってあたしに良い考えがある」
ローズマリーは昨日の回復魔法からヒントを得てとっておきの秘策を思いついていた。
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