最強!最凶?理不尽賢者ローズマリーを夜露死苦!

日置弓弦

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【第3章 理不尽賢者ローズマリーと魔法科学国オルケイア】

【理不尽賢者と大砂漠Ⅳ】

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 次の日の朝ローズマリーは疲れて寝坊をした。人の体というのは繊細で集中しないと魔法が失敗するからだ。ただ単にモノを破壊するなどはそんな集中力は必要ないため今までとは魔法の見方が180度変わった。

「よーし今度から攻撃魔法に応用できるように回復魔法もしっかり身につけよう!」体をしなるバネのようにしてベッドから飛び起きた。こうしてローズマリーは不純な理由で回復魔法を極めようというのであった。

 翌日も村は静かで人っ子一人歩いていなかったが雰囲気は大分変わった。店屋の旦那は和やかに反応するし、その奥から顔を覗かせる女子供たちも明るく笑っていた。

 そして1番変わったのは村長だった。昼間から酒を飲んでいる。しかも1杯、2杯ではなく瓶を数本も空けている。さらに今は朝っぱらである。この村長間違いなくアル中だ。



「ウーイィック、あらこれは大魔法使い様! よーこそ、我が家へ」

「あんた昨日の今日ので、まるっきり別人だな。そんなに飲んで大丈夫か?」

「大丈夫だ、問題ない」うん、駄目だなとローズマリーは心の中で思った。

「村長の爺さん、あんたまだ気が付いていないと思うけれどジャイアントワームの問題は解決したわけじゃないんだぞ? まだ繁殖期ならあたしらがいなくなって被害が出たら解決できないだろう?」

「え? そうなの! あははははは」駄目だ、こりゃ。

「ジャイアントワームにも住んでいる場所があるんだろう? 教えてくれたら全部あたし達がぶち殺してくるよ」

「えっ? それ駄目! それは駄目なんじゃあああ!」と縋りついてきた。



 何だかまだ厄介ごとがありそうだ。取り合えず酒の相手なら同じ酒飲みのエンデュミオンに任せ話を聞くように行ってリビドが住んでいる家に向かった。どうやら食料品店らしい。

 リビドはローズマリーを見ると手を振って喜んだ。しかし声は出さない。何でも声にもジャイアントワームは反応し家の中までも床を破って現れるらしい。



「ああ大魔法使い様、またお会いできて光栄です」こいつも昨日会ったばかりの時とは態度が違う。まあワームに寄生された娘を焼かなければならなかったのだ。態度も変わるだろう。



「リビド、アンタんところで食料品を買うついでなんだけれどジャイアントワームの巣は何処にあるんだ?」

「うっそれは、言っても良いのか? 村長に許可を得ないと……」

「村長ならリビドに話を聞いたら良いって言ってうちらの仲間と楽しく酒を飲んでるぜ」

「「ローズマリー!」」真っ赤な嘘をついたローズマリーにルーンベルトとセレーナが突っ込みを入れた。が、ローズマリーは制止を振り切った。

「なあ何処にあるんだよ、教えてくれよ」慣れないが上目遣いで聞いてみた。しかしローズマリーの上目遣いはメンチを切っているようにしか見えずリビドは怖がりながら話をし始めた。



「昔、ここいらのオアシスに一匹のデススコーピオンという強力なモンスターが住み着いたらしいのです。それで、とある錬金術師がそれに対抗できるモンスターを作ったらしいのです」

「で、話は長いのか?」ローズマリーは早くモンスターと戦いたくてうずうずしていた。

「ええまあ、でも短くでしたら村の成り立ちとか話さずに簡単に済みます」

「じゃあ短めでよろしく」

「ははあ……で、それがジャイアントワームの群れの長クイーンジャイアントワームって言うとんでもない大きさの化け物なんだそうです。そいつがデススコーピオンの体に寄生する形でオアシスの洞窟に住んでいるからデススコーピオンの暴走を抑えられ平和に暮らせるようになったわけです」

「でも、ワームに苦しめられているのはどういうことなんだ?」ルーンベルトがたまらず口を開いた。

「クイーンが長年の生育により肥大化し魔力機関が膨大な魔力に耐え切れず壊れたらしいんです。で、それを止めるために大量のジャイアントワームを輩出し続けているのです」

「じゃあそのクイーンをぶち殺して、デススコーピオンもぶち殺せば問題なしだな」

「いえ、それをやると大変なことになるんです。実は……」
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