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【第2章 理不尽賢者ローズマリーとリガイア共和国】
【理不尽賢者とケンカ祭りⅣ】
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モンスターの大群は皆足を揃わせアレイネ山脈へ向かっていた。ゴブリンからギガンテス等様々なモンスターが秩序正しく歩いているのだ。普通ならばモンスター同士の小競り合いが起きそうだがそれもない。一心不乱にただただ歩いている。
「信じられないわね、モンスター同士の小競り合いも起きていないなんて」セレーナが言った。
「モンスター同士で飲み会でもやるんじゃないか」とエンデュミオン。
「それにしては殺気だっているだろう」とルーンベルト。
「兎に角追跡してみよう」とローズマリー。
まるでモンスター祭りだなとローズマリーは思った。大陸中の極東のモンスターが集まっているような気もした。それくらいモンスターの数が多いのだ。これは一波乱も二波乱もありそうだと感じた。
木々の上を跳ね飛びながらローズマリー一行は夜がもっとも深くなる時間までモンスターの大群追いかけていた。
「見ろよ! 皆あいつら同じ仲間同士でケンカをし始めたぞ」エンデュミオンがやや驚きつつも小さな声で言った。
見ると茶色の毛のオークが黒色の棍棒を振り回し闘っている。それをぐるりと囲むように色々な種類のオークが酒を飲みながら観戦している。更に近づくと叫び声も聞こえてきた。
「山オークの力を見せてやれ!
「負けたらただじゃおかねえぞ。平地オークの強さは1番だ」
どうやら勝ち抜きの闘いをしているようだ。ローズマリーはそこに参加したくなった。それを察したセレーナが言った。
「ローズマリーあなたもしかして……参加したいとか思っていないでしょうね」
「そ、そんなことないってば……いくらあたしが戦うのが好きでもそこまて馬鹿じゃないよ」
「気のせいならいいんだけれど」
「それにしてもあいつら何やってんだろう?」
「分からないわね。しばらく様子を見ましょう」
「一族の長になるチャンスだぞ」
「相手を憎らしいヒュームやエルフ、ドワーフだと思え!」
「殺せ、殺し合え」
セレーナが嫌な顔をしている。どうやらガチの殺し合いらしく負けた者の死体がうず高く積まれている。まあセレーナも剣士とはいえ良識ある女性だ。目を背けたくなるような心情になるのは分かる。あたしは全然平気だが……。
しかし殺し合いは留まることはなかった。そして夜が明ける頃にはオークのチャンピオンが決まった。他のオークよりも明らかに図体がデカい、筋肉隆々の好戦的な顔をしている。
他の群れに目を向けるとやはり戦闘能力が高い個体がチャンピオンとして群れをしきり始めている。
これは何かの儀式なのだろうか? 例えば忌々しいオーラを北から漂わせ続けている魔王への忠誠心を表すとか?
「キャンプに戻りましょう……ローズマリー。きっとまた動き始めるのはモンスターが活発になる夜よ……」
「分かった、気分は平気か?」
「最悪よ……あんなの見て楽しんでる連中の気が知れないわ」
ローズマリーは心の中でセレーナに謝った。あたし参加したくなっちゃってた。
キャンプに戻るとエンデュミオンもルーンベルトもお互い議論し合っていた。ルーンベルトはあれを儀式だと言って譲らずエンデュミオンはただの喧嘩だと白熱していた。
ローズマリーは考えていた。もしあれがただの喧嘩や儀式だとするならば他種族が1ヶ所に集まる必要性があるだろうか?
まあまた夜がくれば分かるだろう。先に眠りに入ったセレーナの横でローズマリーも寝ることにした。
「信じられないわね、モンスター同士の小競り合いも起きていないなんて」セレーナが言った。
「モンスター同士で飲み会でもやるんじゃないか」とエンデュミオン。
「それにしては殺気だっているだろう」とルーンベルト。
「兎に角追跡してみよう」とローズマリー。
まるでモンスター祭りだなとローズマリーは思った。大陸中の極東のモンスターが集まっているような気もした。それくらいモンスターの数が多いのだ。これは一波乱も二波乱もありそうだと感じた。
木々の上を跳ね飛びながらローズマリー一行は夜がもっとも深くなる時間までモンスターの大群追いかけていた。
「見ろよ! 皆あいつら同じ仲間同士でケンカをし始めたぞ」エンデュミオンがやや驚きつつも小さな声で言った。
見ると茶色の毛のオークが黒色の棍棒を振り回し闘っている。それをぐるりと囲むように色々な種類のオークが酒を飲みながら観戦している。更に近づくと叫び声も聞こえてきた。
「山オークの力を見せてやれ!
「負けたらただじゃおかねえぞ。平地オークの強さは1番だ」
どうやら勝ち抜きの闘いをしているようだ。ローズマリーはそこに参加したくなった。それを察したセレーナが言った。
「ローズマリーあなたもしかして……参加したいとか思っていないでしょうね」
「そ、そんなことないってば……いくらあたしが戦うのが好きでもそこまて馬鹿じゃないよ」
「気のせいならいいんだけれど」
「それにしてもあいつら何やってんだろう?」
「分からないわね。しばらく様子を見ましょう」
「一族の長になるチャンスだぞ」
「相手を憎らしいヒュームやエルフ、ドワーフだと思え!」
「殺せ、殺し合え」
セレーナが嫌な顔をしている。どうやらガチの殺し合いらしく負けた者の死体がうず高く積まれている。まあセレーナも剣士とはいえ良識ある女性だ。目を背けたくなるような心情になるのは分かる。あたしは全然平気だが……。
しかし殺し合いは留まることはなかった。そして夜が明ける頃にはオークのチャンピオンが決まった。他のオークよりも明らかに図体がデカい、筋肉隆々の好戦的な顔をしている。
他の群れに目を向けるとやはり戦闘能力が高い個体がチャンピオンとして群れをしきり始めている。
これは何かの儀式なのだろうか? 例えば忌々しいオーラを北から漂わせ続けている魔王への忠誠心を表すとか?
「キャンプに戻りましょう……ローズマリー。きっとまた動き始めるのはモンスターが活発になる夜よ……」
「分かった、気分は平気か?」
「最悪よ……あんなの見て楽しんでる連中の気が知れないわ」
ローズマリーは心の中でセレーナに謝った。あたし参加したくなっちゃってた。
キャンプに戻るとエンデュミオンもルーンベルトもお互い議論し合っていた。ルーンベルトはあれを儀式だと言って譲らずエンデュミオンはただの喧嘩だと白熱していた。
ローズマリーは考えていた。もしあれがただの喧嘩や儀式だとするならば他種族が1ヶ所に集まる必要性があるだろうか?
まあまた夜がくれば分かるだろう。先に眠りに入ったセレーナの横でローズマリーも寝ることにした。
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