24 / 92
【第2章 理不尽賢者ローズマリーとリガイア共和国】
【理不尽賢者とケンカ祭りⅣ】
しおりを挟む
モンスターの大群は皆足を揃わせアレイネ山脈へ向かっていた。ゴブリンからギガンテス等様々なモンスターが秩序正しく歩いているのだ。普通ならばモンスター同士の小競り合いが起きそうだがそれもない。一心不乱にただただ歩いている。
「信じられないわね、モンスター同士の小競り合いも起きていないなんて」セレーナが言った。
「モンスター同士で飲み会でもやるんじゃないか」とエンデュミオン。
「それにしては殺気だっているだろう」とルーンベルト。
「兎に角追跡してみよう」とローズマリー。
まるでモンスター祭りだなとローズマリーは思った。大陸中の極東のモンスターが集まっているような気もした。それくらいモンスターの数が多いのだ。これは一波乱も二波乱もありそうだと感じた。
木々の上を跳ね飛びながらローズマリー一行は夜がもっとも深くなる時間までモンスターの大群追いかけていた。
「見ろよ! 皆あいつら同じ仲間同士でケンカをし始めたぞ」エンデュミオンがやや驚きつつも小さな声で言った。
見ると茶色の毛のオークが黒色の棍棒を振り回し闘っている。それをぐるりと囲むように色々な種類のオークが酒を飲みながら観戦している。更に近づくと叫び声も聞こえてきた。
「山オークの力を見せてやれ!
「負けたらただじゃおかねえぞ。平地オークの強さは1番だ」
どうやら勝ち抜きの闘いをしているようだ。ローズマリーはそこに参加したくなった。それを察したセレーナが言った。
「ローズマリーあなたもしかして……参加したいとか思っていないでしょうね」
「そ、そんなことないってば……いくらあたしが戦うのが好きでもそこまて馬鹿じゃないよ」
「気のせいならいいんだけれど」
「それにしてもあいつら何やってんだろう?」
「分からないわね。しばらく様子を見ましょう」
「一族の長になるチャンスだぞ」
「相手を憎らしいヒュームやエルフ、ドワーフだと思え!」
「殺せ、殺し合え」
セレーナが嫌な顔をしている。どうやらガチの殺し合いらしく負けた者の死体がうず高く積まれている。まあセレーナも剣士とはいえ良識ある女性だ。目を背けたくなるような心情になるのは分かる。あたしは全然平気だが……。
しかし殺し合いは留まることはなかった。そして夜が明ける頃にはオークのチャンピオンが決まった。他のオークよりも明らかに図体がデカい、筋肉隆々の好戦的な顔をしている。
他の群れに目を向けるとやはり戦闘能力が高い個体がチャンピオンとして群れをしきり始めている。
これは何かの儀式なのだろうか? 例えば忌々しいオーラを北から漂わせ続けている魔王への忠誠心を表すとか?
「キャンプに戻りましょう……ローズマリー。きっとまた動き始めるのはモンスターが活発になる夜よ……」
「分かった、気分は平気か?」
「最悪よ……あんなの見て楽しんでる連中の気が知れないわ」
ローズマリーは心の中でセレーナに謝った。あたし参加したくなっちゃってた。
キャンプに戻るとエンデュミオンもルーンベルトもお互い議論し合っていた。ルーンベルトはあれを儀式だと言って譲らずエンデュミオンはただの喧嘩だと白熱していた。
ローズマリーは考えていた。もしあれがただの喧嘩や儀式だとするならば他種族が1ヶ所に集まる必要性があるだろうか?
まあまた夜がくれば分かるだろう。先に眠りに入ったセレーナの横でローズマリーも寝ることにした。
「信じられないわね、モンスター同士の小競り合いも起きていないなんて」セレーナが言った。
「モンスター同士で飲み会でもやるんじゃないか」とエンデュミオン。
「それにしては殺気だっているだろう」とルーンベルト。
「兎に角追跡してみよう」とローズマリー。
まるでモンスター祭りだなとローズマリーは思った。大陸中の極東のモンスターが集まっているような気もした。それくらいモンスターの数が多いのだ。これは一波乱も二波乱もありそうだと感じた。
木々の上を跳ね飛びながらローズマリー一行は夜がもっとも深くなる時間までモンスターの大群追いかけていた。
「見ろよ! 皆あいつら同じ仲間同士でケンカをし始めたぞ」エンデュミオンがやや驚きつつも小さな声で言った。
見ると茶色の毛のオークが黒色の棍棒を振り回し闘っている。それをぐるりと囲むように色々な種類のオークが酒を飲みながら観戦している。更に近づくと叫び声も聞こえてきた。
「山オークの力を見せてやれ!
「負けたらただじゃおかねえぞ。平地オークの強さは1番だ」
どうやら勝ち抜きの闘いをしているようだ。ローズマリーはそこに参加したくなった。それを察したセレーナが言った。
「ローズマリーあなたもしかして……参加したいとか思っていないでしょうね」
「そ、そんなことないってば……いくらあたしが戦うのが好きでもそこまて馬鹿じゃないよ」
「気のせいならいいんだけれど」
「それにしてもあいつら何やってんだろう?」
「分からないわね。しばらく様子を見ましょう」
「一族の長になるチャンスだぞ」
「相手を憎らしいヒュームやエルフ、ドワーフだと思え!」
「殺せ、殺し合え」
セレーナが嫌な顔をしている。どうやらガチの殺し合いらしく負けた者の死体がうず高く積まれている。まあセレーナも剣士とはいえ良識ある女性だ。目を背けたくなるような心情になるのは分かる。あたしは全然平気だが……。
しかし殺し合いは留まることはなかった。そして夜が明ける頃にはオークのチャンピオンが決まった。他のオークよりも明らかに図体がデカい、筋肉隆々の好戦的な顔をしている。
他の群れに目を向けるとやはり戦闘能力が高い個体がチャンピオンとして群れをしきり始めている。
これは何かの儀式なのだろうか? 例えば忌々しいオーラを北から漂わせ続けている魔王への忠誠心を表すとか?
「キャンプに戻りましょう……ローズマリー。きっとまた動き始めるのはモンスターが活発になる夜よ……」
「分かった、気分は平気か?」
「最悪よ……あんなの見て楽しんでる連中の気が知れないわ」
ローズマリーは心の中でセレーナに謝った。あたし参加したくなっちゃってた。
キャンプに戻るとエンデュミオンもルーンベルトもお互い議論し合っていた。ルーンベルトはあれを儀式だと言って譲らずエンデュミオンはただの喧嘩だと白熱していた。
ローズマリーは考えていた。もしあれがただの喧嘩や儀式だとするならば他種族が1ヶ所に集まる必要性があるだろうか?
まあまた夜がくれば分かるだろう。先に眠りに入ったセレーナの横でローズマリーも寝ることにした。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説

異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。
侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!
珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。
3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。
高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。
これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!!
転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした
犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。
思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。
何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“
瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
だが、死亡する原因には不可解な点が…
数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、
神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています
水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。
森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。
公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。
◇画像はGirly Drop様からお借りしました
◆エール送ってくれた方ありがとうございます!
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる