23 / 92
【第2章 理不尽賢者ローズマリーとリガイア共和国】
【理不尽賢者とケンカ祭りⅢ】
しおりを挟む
「眠いよ、母上~むにゃむにゃ」
「師匠逃げないで! 助けてよ!」
セレーナは毛布を引っぺがして2人を叩き起こそうとした。
「母上は?」とまだ寝ぼけているルーンベルトと「女に殺される!」とまだ眠っているエンデュミオンの頬をつねってようやく夢現から覚ました。
「痛ってー、ってセレーナどうしたんだよ。血相変えてモンスターの集団にでも襲われたのか?」
「その通りよ、ヴァンパイアの集団がいるってローズマリーが言っていたわ」
「夜にヴァンパイア、しかも月の光さえ差さないとは奴らにとって完全な地の利をとった形になるな。おまけに一噛みされただけで眷属にされてしまう。厄介な相手だな。だがセレーナ、相棒、ローズマリーがいれば問題ないだろう。まだ俺たちだけでヴァンパイアの集団相手に勝てる気はしない」
「お、俺は仕方ねーから大人しくしてやるぜ。怖いとかじゃねえからな」
フッと空間が一瞬ねじ曲がりローズマリーが帰還した。
「おっ丁度良かった皆も見に行くか? モンスター達の大移動!」
「「「え⁉」」」
「しー、静かに。気付かれたら何万ものモンスターが押し寄せてくるよ」
「……で、どうやって見るというのだ、我々は盗賊の職業レベルが上がらないというか……適性がなかったから敵に見つかるぞ」
「そこはあたしの盗賊王のスキル【探知阻害】が効くから……」
「お前だけ気配が隠せても俺たちは見つかるだろ? それに見物するっていてもどうやって……」
ローズマリーはエンデュミオンを制した。
「盗賊王の補助スキルは味方全体にかかるから相手には気付かれないよ、あとどうやって見物するかって言うと……」ローズマリーは3人の手を掴み転移の秘魔法を使った。空気の揺らぎもなく4人は消えた。
そこは先ほどローズマリーがモンスターを偵察していた木の上だった。3人とも驚いていた。
「お前、転移の秘魔法って1人で跳ぶのが限度だって聞いたぞ」エンデュミオンがまた噛みついてくる。
「それより下を見なよ」
「「「!」」」
蠢うごめくのは数十種類のモンスターの何万匹にも及ぶ大行進である。3人とも驚きで口が閉じない。
「……だからこの森に入ってから戦闘が頻発したのね。でもこれはどういう現象なのかしら」冷静さをいち早く取り戻したセレーナが発言した。
「アレイネ山脈の方に向かっているみたい」これはローズマリーの勘だった。
「こんなの一国が亡ぶレベルだぞ、見過ごすわけにはいかない。ローズマリー、リガイア共和国首都シュナイアまで跳べるか?」と混乱するルーンベルト。
「いや、今のうちにローズマリーの魔法で殲滅してやれば良いんじゃねえの」とやけくそ気味のエンデュミオン。
「え、やだよ。こんな面白そうな現象どうして起こったのか調べたくなるじゃん」
「「「え!」」」3人の顔が引きつっている。
「じゃなくて……えと……原因だけ突き止めておきたいんだよ。それに……その……また起きるかもしれないし」後半は思い付きで言った。
「ま……それも一理あるな」とエンデュミオン。
「私も同意見よ無駄に魔法で攻撃して四方八方に散ったらリガイア共和国の危機に繋がるわ」
「……で、どう調査するのだ?」
「このまま木から木へと飛び移ってアレイネ山脈の麓を目指す」
「落ちたら洒落にならねえな」
「ふっ、こればかりは命懸けでやるしかないな。だが戦士冥利に尽きる大仕事だ」
「私たちがやらないと誰かが被害に遭うかもしれないしね」
「じゃあ、あたしが先頭を跳ぶから皆も後に続いてきて」
「「「了解」」」
4人は宵闇の中を跳んでいった。
「師匠逃げないで! 助けてよ!」
セレーナは毛布を引っぺがして2人を叩き起こそうとした。
「母上は?」とまだ寝ぼけているルーンベルトと「女に殺される!」とまだ眠っているエンデュミオンの頬をつねってようやく夢現から覚ました。
「痛ってー、ってセレーナどうしたんだよ。血相変えてモンスターの集団にでも襲われたのか?」
「その通りよ、ヴァンパイアの集団がいるってローズマリーが言っていたわ」
「夜にヴァンパイア、しかも月の光さえ差さないとは奴らにとって完全な地の利をとった形になるな。おまけに一噛みされただけで眷属にされてしまう。厄介な相手だな。だがセレーナ、相棒、ローズマリーがいれば問題ないだろう。まだ俺たちだけでヴァンパイアの集団相手に勝てる気はしない」
「お、俺は仕方ねーから大人しくしてやるぜ。怖いとかじゃねえからな」
フッと空間が一瞬ねじ曲がりローズマリーが帰還した。
「おっ丁度良かった皆も見に行くか? モンスター達の大移動!」
「「「え⁉」」」
「しー、静かに。気付かれたら何万ものモンスターが押し寄せてくるよ」
「……で、どうやって見るというのだ、我々は盗賊の職業レベルが上がらないというか……適性がなかったから敵に見つかるぞ」
「そこはあたしの盗賊王のスキル【探知阻害】が効くから……」
「お前だけ気配が隠せても俺たちは見つかるだろ? それに見物するっていてもどうやって……」
ローズマリーはエンデュミオンを制した。
「盗賊王の補助スキルは味方全体にかかるから相手には気付かれないよ、あとどうやって見物するかって言うと……」ローズマリーは3人の手を掴み転移の秘魔法を使った。空気の揺らぎもなく4人は消えた。
そこは先ほどローズマリーがモンスターを偵察していた木の上だった。3人とも驚いていた。
「お前、転移の秘魔法って1人で跳ぶのが限度だって聞いたぞ」エンデュミオンがまた噛みついてくる。
「それより下を見なよ」
「「「!」」」
蠢うごめくのは数十種類のモンスターの何万匹にも及ぶ大行進である。3人とも驚きで口が閉じない。
「……だからこの森に入ってから戦闘が頻発したのね。でもこれはどういう現象なのかしら」冷静さをいち早く取り戻したセレーナが発言した。
「アレイネ山脈の方に向かっているみたい」これはローズマリーの勘だった。
「こんなの一国が亡ぶレベルだぞ、見過ごすわけにはいかない。ローズマリー、リガイア共和国首都シュナイアまで跳べるか?」と混乱するルーンベルト。
「いや、今のうちにローズマリーの魔法で殲滅してやれば良いんじゃねえの」とやけくそ気味のエンデュミオン。
「え、やだよ。こんな面白そうな現象どうして起こったのか調べたくなるじゃん」
「「「え!」」」3人の顔が引きつっている。
「じゃなくて……えと……原因だけ突き止めておきたいんだよ。それに……その……また起きるかもしれないし」後半は思い付きで言った。
「ま……それも一理あるな」とエンデュミオン。
「私も同意見よ無駄に魔法で攻撃して四方八方に散ったらリガイア共和国の危機に繋がるわ」
「……で、どう調査するのだ?」
「このまま木から木へと飛び移ってアレイネ山脈の麓を目指す」
「落ちたら洒落にならねえな」
「ふっ、こればかりは命懸けでやるしかないな。だが戦士冥利に尽きる大仕事だ」
「私たちがやらないと誰かが被害に遭うかもしれないしね」
「じゃあ、あたしが先頭を跳ぶから皆も後に続いてきて」
「「「了解」」」
4人は宵闇の中を跳んでいった。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
テンプレを無視する異世界生活
ss
ファンタジー
主人公の如月 翔(きさらぎ しょう)は1度見聞きしたものを完璧に覚えるIQ200を超える大天才。
そんな彼が勇者召喚により異世界へ。
だが、翔には何のスキルもなかった。
翔は異世界で過ごしていくうちに異世界の真実を解き明かしていく。
これは、そんなスキルなしの大天才が行く異世界生活である..........
hotランキング2位にランクイン
人気ランキング3位にランクイン
ファンタジーで2位にランクイン
※しばらくは0時、6時、12時、6時の4本投稿にしようと思います。
※コメントが多すぎて処理しきれなくなった時は一時的に閉鎖する場合があります。
【完結】赤獅子の海賊〜クマ耳の小人種族となって異世界の海上に召喚されたら、鬼つよの海賊が拾ってくれたのでちやほやされながら使命果たします〜
るあか
ファンタジー
日本からの召喚者ミオがクマ耳の小人種族となって相棒のクマのぬいぐるみと共に異世界ヴァシアスへ転移。
落ちた場所は海賊船。
自分は小さくなって頭に耳が生えてるし一緒に来たぬいぐるみは動くし喋るし……挙句に自分は変な魔力を持ってる、と。
海賊船レーヴェ号の乗組員は4名。
船長のクロノ、双子のケヴィン、チャド。
そして心も身体もおじさんのエルヴィス。
実はめっちゃ強い?彼らの過去は一体……。
ミオは4人で善良にクエストや魔物ハント活動をしていた愉快な海賊の一員となって、自分の召喚者としての使命と船長のルーツの謎に迫る。
仲間との絆を描く、剣と魔法の冒険ファンタジー。
※逆ハー要素があります。皆の愛はミオに集中します。ちやほやされます。
※たまに血の表現があります。ご注意ください。
転生テイマー、異世界生活を楽しむ
さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください
シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。
国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。
溺愛する女性がいるとの噂も!
それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。
それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから!
そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー
最後まで書きあがっていますので、随時更新します。
表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
転生幼女は幸せを得る。
泡沫 ウィルベル
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−
ご期待に沿えず、誠に申し訳ございません
野村にれ
恋愛
人としての限界に達していたヨルレアンは、
婚約者であるエルドール第二王子殿下に理不尽とも思える注意を受け、
話の流れから婚約を解消という話にまでなった。
ヨルレアンは自分の立場のために頑張っていたが、
絶対に婚約を解消しようと拳を上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる