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【第1章 理不尽賢者ローズマリーの誕生】

【二対の鷹の剣後編】

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ドワーフのフリューゲルが造る二対の鷹の剣完成の為、ローズマリー達4人は北の山アレン山に高純度のミスリルを採りに行くことになった。アレン山には馬車でゆっくりと向かうことになった。馬車で往復3日はかかるらしい。ローズマリーは馬に乗るのは生れて初めてだったので最初は興奮したが、慣れると木の板の上で揺らされると尻が痛くなるだけで不便さを感じた。それはそうだろう。ローズマリーこと本名時計坂桜は現代日本に生まれたのだ乗り物は快適さも追求されている。昔の人は大変だったんだなあとローズマリーは眠りに入った。

 ガタンと音がして馬車が止まった。馬車の主に何が起きたのか聞こうと思ったが聞くまでもなかった。山賊が現れたのだ。他の3人は眠ったままだ、馬車の主は恐怖でカタカタと震えている。



「おーん、何だかベッピンなヒュームとエルフがいるじゃねえか! こりゃ今日は当たりの日だな」

「ボスこいつら結構高値の装備持っていやすぜ」

「わ、私だけでもお助けを」馬車の主が命乞いをした。それを見た親分格の半裸の男はドでかい鉈のような得物で馬車の主を切ろうとした。

 バキーン。金属が刃こぼれする音がしたローズマリーが杖で主を守ったのだ。

「な、何普通の木の棒っきれで俺の大鉈が壊れるとは、貴様かなりの手練れだな」山賊の親分は安全距離をとった。あの図体で中々素早い奴だな。だがいくら素早くても転移の秘魔法を使った。が、勘が鋭いのかローズマリーの不意打ちは山賊の親分に避けられた。

「なんだかおかしな術を使う魔法使いだな。しかし、ジャイアントサラマンドラも泣く俺には聞かないぜえ」

「へー中々やるじゃん。おっさん」半裸の親分は何も言わずに距離を詰めてきた。コイツ手練れだな。だがそこに付け入るスキがある。わざとこちらは相手より遅く動いて隙を見せているのだ。親分はそれに気がついていない。桜もといローズマリーは前の世界で暴力団50人相手に素手で勝って見せたキリングマシーンなのだ。大鉈が振り下ろされる瞬間本気のいや半分本気の動きで山賊の親分のみぞおちに拳を当てた。クリーンヒットだ。親分はすっころんで吐しゃした。

「ボ、ボス」周りの子分共は狼狽し始めた。もう一撃加えようとした時、山賊親分は言った。

「俺の負けだ。子分共は殺さないでくれえ」

「分かった、アンタのことも殺さない。その代わりアレン山への案内をしてもらう」

「わかった、従う」



 エルフの3人組はまだ起きない。こいつらこの先大丈夫なのかと心配になった。後で野宿をする時になって半裸のおっさんがいることに気が付きエンデュミオン達は事の顛末を聞き呆気に取られていた。



「この獣道を通った先が元アレン山ミスリル鉱山ですぜえ」

「あんがとな、おっちゃん。今度は山賊なんかやらないで商人の護衛とかをやった方があんたは上手くいくってあたしの勘が言ってるよ」

「そ、それもいいかもな。考えてみるぜえ、あばよ」2人はハイタッチをした。



「あれがジャイアントサラマンドラか!」20メートルはある巨体をした蜥蜴みたいなのが100は超えて生息している。身体はサラマントラだけあって火のように赤い。

「あんなの俺たちだけじゃあ倒せないぜ」とエンデュミオン。

「あたしにいい考えがある」

「万象一切、我の前にて、無に帰せ、理を読み解く者が命じる顕現せよ! ウンディーネ!」

 ローズマリーの周りに魔方陣が形成されそれらが立体的に回り始め青い水でできた人魚のような召喚獣が現れた。適当に詠唱したけど成功した。ローズマリーは拍子抜けした。

 召喚されたウンディーネは水を地面から出現させてジャイアントサラマンドラの群れを溺れ死にさせていった。

「ふうっお掃除完了」と言うとエンデュミオンが光りの差さない目でこちらを見てきた。

「俺たちの存在意義って……」と言うのを揺さぶって正気を何とか保たせた。



 ローズマリー達は鉱山に入った中には銀色にキラリと光る宝石のような岩が露出しいていた。ローズマリーとセレーナは作業は男どもに任せ山賊どもを退治した話で盛り上がった。



「おおっこんなに良質なミスリルをもしやジャイアントサラマンドラを残さず狩ってきたとかではないだろうな」フリューゲルは冗談だと言いながら鉱石を受け取った。



そして2週間後漆黒の鷹の剣と白銀の鷹の剣が完成した。ローズマリーは大商人のスキル【鑑定】を使うと大業物、破壊耐性、魔法付与強化、斬撃ダメージアップ等と街で売られているものとは一線を画す逸品だということを確認した。またルーンベルトもミスリルの槍をもらっていた。こちらも前者の2対の件に劣らず大業物であった。



「お前さん、そのち、じゃなかった変わったいで立ち南の魔法科学国オルケイアの出身か?」

「オルケイア?」 

「わしの故郷ケイネアから砂漠を抜けて東に行くとある国じゃよ。幼い頃行ったが皆お前さんのような服を着ておったよ」

「じゃあとりあえずそこに行ってみるよ。おっちゃんは?」

「わしは今ある分のミスリルで武具を造ったら故郷に帰る。もしまた会うことがあったらドワーフ一押しのエールを振舞ってやるわい」

「あんがとな、おっちゃん」

「じゃあな、お前さん方と過ごした日々は決して忘れんぞ」



魔法科学国オルケイアか……もしかしたらあたしと同じ世界からやってきた奴がいるかもしれない。

「皆次はオルケイアに行くぞ」

「まーた今度は南の最果てに行かなきゃならんとはな」

「ふっ、まあローズマリーのおかげでこんな大業物が手に入ったのだ。どこまでも付き合うぞ」

「エンデュミオンとおそろいの剣……大事にします」



こうして一行は南へと向かうのであった。
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