最強!最凶?理不尽賢者ローズマリーを夜露死苦!

日置弓弦

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【第1章 理不尽賢者ローズマリーの誕生】

【初ダンジョン】

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ローズマリーは人差し指から小さな光源をだしながら、仲間たちを率いてダンジョン探索をしていた。なんでも近くの村の人の話だとシンダリア帝国という大国が栄えていた大昔に大錬金術師ホメロンとかいう者が封印した、地獄の公爵と呼ばれる魔族がいるそうなのである。その話を聞いたローズマリーは3人の制止を振り切って封印を解いてタイマンを張ろうと考えていた。



ダンジョンに現れるモンスターはゾンビや下級のヴァンパイアなど歯応えの無い奴らばかりだったので雑魚モンスター討伐は仲間3人に任せた。3人とも息がぴったりであり確かにそこらのモンスターならば相手にならないだろうなとローズマリーは考えた。

「どうだ? ローズマリー、俺たちもちっとはやるだろう」エンディミオンがはしゃいだ。

「まだまだ、だけど雑魚を散らしてくれるのはありがたいかもね」

「そのうちそんなこと言わないくらい強くなってやるよ」

「相棒と同じ意見だ。我々はエルフとしてはまだ若い。伸び代は大きい筈だ」

「私も日々精進してローズマリー様の力になれるようにします」



実力はともかくこいつらは結構旅をしていて気さくに話せて気持ちのの良い奴らだとローズマリーは思っていた。



そうこうするうちにダンジョンの最深部に来た。何となく禍々しい気配が漂う。ローズマリーは封印の結界を杖で叩くだけで物理的にぶち壊した。

「マジかよ、魔法も使わずに殴って結界壊すやつなんてこの世にお前しかいないと思うぜ」エンディミオンが皆の意見を代弁した。



封印がなくなった大きな扉はゴゴッという音とともに開いていった。

開かれた部屋からはかび臭い空気が漂った。そして部屋の中の燭台に火が順々に灯っていった。

奥には大きな椅子がありそこに蝙蝠のような翼を持つ魔族がいた。

「我が眠りを覚ましたものはお前たちか?」

「あたしが封印を解いてやったんだ。勝負しな、地獄の公爵さん」

「愚かなヒュームよ、ただそれだけの為に封印を破るとはな」魔族はせせら笑った。

「しかし封印を解いてくれた礼はしてやろう、望みを言え」

「じゃあ、こんな湿っていて臭いところじゃなくて外でやり合おう?」

「それだけか命乞いをしなくて良いのか? 我は魔王だぞ」



他の三人が困惑し始めた。どうやらこいつは偽物の魔王らしい。ローズマリーの目には『ヴァンパイアロード』と言う文字が浮かんでいた。正直言ってかなりがっかりした。だが新しく考えた魔法の実験台には丁度良いかもしれない。この魔法は近くに人がいると使えない。

一行はローズマリーの転移の秘魔法によって外に出た。もう夜のとばりが降り始めている。遅れること数分ヴァンパイアロードは翼をはためかせ地上に現れた。

「夜は我に力を与える。昼間に封印を解かなかったことを後悔して死ぬが良い」

「ブレイジングメテオインパクト!」ローズマリーは新しい魔法を唱えた。

遥か上空にある小さな岩が魔法によってヴァンパイアロードに向かい墜ちてきた。

「ちょっと待……て、え?」

ジュオーンと言う地面を融解させる音と衝撃波で回りの森の木々が吹き飛んでいく。一際大きな閃光が辺りを包む。

そしてヴァンパイアロードがいた場所には墓石のように隕石が刺さっていた。



「流石にこんな死に方は可哀想ね」とセレーナが言うとあとの二人も頷いた。



キャンプを先程できたクレーターの近くで作っていると近くの村人がワラワラと集まってきた。そして村長とみられる高齢のヒュームが現れた。

「いにしえに伝わる封印されし魔王を下してしまうとは貴女は救世主だ。ありがたや」と祈り始めた。そして村長は救世主としてこの地に残って欲しいと言った。だがこちらにはさっさと魔王をぶち殺すという使命がある。なのでしつこく食い下がる村長に言った。

「あの石は聖なる天空より飛来した石、あれがある限りあなた方は災厄からとこしえまでも護られるでしょう」

「ははー! 流石は救世主様、我らのために聖遺物をくださるとは! 少々珍妙な格好をした輩がダンジョンに入ったと聞いたときは悪戯かとましたが……へ? ぐ?」

ローズマリーは村長を片手で吊し上げた。



「やめとけよ、ローズマリー。感謝してる奴らをのしても良いことないぜ」とエンディミオン。

「ご老人には敬意を払わねばならないと思うぞ」とルーンベルト。

セレーナの方を見ると彼女も頷き同じ意見らしい。



仕方なくローズマリーは「私の名前はマリア。今のは祝福の儀式です。毎年ここで村人の長に同じことをしなさい。そして肉は鳥と熊のそれしか食べてはなりません。また1日5回天を仰いで祈りを捧げること。さすればこの世の災いは避けていくでしょう」さりげなく偽名を使った。



そう言ってローズマリーを先頭に皆村人たちから離れて去った。



その後100年経ってもその石は信仰の対象となり聖灰教という頭のおかしい宗教団体が生まれることまではローズマリーにも分からなかった。
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