11 / 92
【第1章 理不尽賢者ローズマリーの誕生】
【初ダンジョン】
しおりを挟む
ローズマリーは人差し指から小さな光源をだしながら、仲間たちを率いてダンジョン探索をしていた。なんでも近くの村の人の話だとシンダリア帝国という大国が栄えていた大昔に大錬金術師ホメロンとかいう者が封印した、地獄の公爵と呼ばれる魔族がいるそうなのである。その話を聞いたローズマリーは3人の制止を振り切って封印を解いてタイマンを張ろうと考えていた。
ダンジョンに現れるモンスターはゾンビや下級のヴァンパイアなど歯応えの無い奴らばかりだったので雑魚モンスター討伐は仲間3人に任せた。3人とも息がぴったりであり確かにそこらのモンスターならば相手にならないだろうなとローズマリーは考えた。
「どうだ? ローズマリー、俺たちもちっとはやるだろう」エンディミオンがはしゃいだ。
「まだまだ、だけど雑魚を散らしてくれるのはありがたいかもね」
「そのうちそんなこと言わないくらい強くなってやるよ」
「相棒と同じ意見だ。我々はエルフとしてはまだ若い。伸び代は大きい筈だ」
「私も日々精進してローズマリー様の力になれるようにします」
実力はともかくこいつらは結構旅をしていて気さくに話せて気持ちのの良い奴らだとローズマリーは思っていた。
そうこうするうちにダンジョンの最深部に来た。何となく禍々しい気配が漂う。ローズマリーは封印の結界を杖で叩くだけで物理的にぶち壊した。
「マジかよ、魔法も使わずに殴って結界壊すやつなんてこの世にお前しかいないと思うぜ」エンディミオンが皆の意見を代弁した。
封印がなくなった大きな扉はゴゴッという音とともに開いていった。
開かれた部屋からはかび臭い空気が漂った。そして部屋の中の燭台に火が順々に灯っていった。
奥には大きな椅子がありそこに蝙蝠のような翼を持つ魔族がいた。
「我が眠りを覚ましたものはお前たちか?」
「あたしが封印を解いてやったんだ。勝負しな、地獄の公爵さん」
「愚かなヒュームよ、ただそれだけの為に封印を破るとはな」魔族はせせら笑った。
「しかし封印を解いてくれた礼はしてやろう、望みを言え」
「じゃあ、こんな湿っていて臭いところじゃなくて外でやり合おう?」
「それだけか命乞いをしなくて良いのか? 我は魔王だぞ」
他の三人が困惑し始めた。どうやらこいつは偽物の魔王らしい。ローズマリーの目には『ヴァンパイアロード』と言う文字が浮かんでいた。正直言ってかなりがっかりした。だが新しく考えた魔法の実験台には丁度良いかもしれない。この魔法は近くに人がいると使えない。
一行はローズマリーの転移の秘魔法によって外に出た。もう夜のとばりが降り始めている。遅れること数分ヴァンパイアロードは翼をはためかせ地上に現れた。
「夜は我に力を与える。昼間に封印を解かなかったことを後悔して死ぬが良い」
「ブレイジングメテオインパクト!」ローズマリーは新しい魔法を唱えた。
遥か上空にある小さな岩が魔法によってヴァンパイアロードに向かい墜ちてきた。
「ちょっと待……て、え?」
ジュオーンと言う地面を融解させる音と衝撃波で回りの森の木々が吹き飛んでいく。一際大きな閃光が辺りを包む。
そしてヴァンパイアロードがいた場所には墓石のように隕石が刺さっていた。
「流石にこんな死に方は可哀想ね」とセレーナが言うとあとの二人も頷いた。
キャンプを先程できたクレーターの近くで作っていると近くの村人がワラワラと集まってきた。そして村長とみられる高齢のヒュームが現れた。
「いにしえに伝わる封印されし魔王を下してしまうとは貴女は救世主だ。ありがたや」と祈り始めた。そして村長は救世主としてこの地に残って欲しいと言った。だがこちらにはさっさと魔王をぶち殺すという使命がある。なのでしつこく食い下がる村長に言った。
「あの石は聖なる天空より飛来した石、あれがある限りあなた方は災厄からとこしえまでも護られるでしょう」
「ははー! 流石は救世主様、我らのために聖遺物をくださるとは! 少々珍妙な格好をした輩がダンジョンに入ったと聞いたときは悪戯かとましたが……へ? ぐ?」
ローズマリーは村長を片手で吊し上げた。
「やめとけよ、ローズマリー。感謝してる奴らをのしても良いことないぜ」とエンディミオン。
「ご老人には敬意を払わねばならないと思うぞ」とルーンベルト。
セレーナの方を見ると彼女も頷き同じ意見らしい。
仕方なくローズマリーは「私の名前はマリア。今のは祝福の儀式です。毎年ここで村人の長に同じことをしなさい。そして肉は鳥と熊のそれしか食べてはなりません。また1日5回天を仰いで祈りを捧げること。さすればこの世の災いは避けていくでしょう」さりげなく偽名を使った。
そう言ってローズマリーを先頭に皆村人たちから離れて去った。
その後100年経ってもその石は信仰の対象となり聖灰教という頭のおかしい宗教団体が生まれることまではローズマリーにも分からなかった。
ダンジョンに現れるモンスターはゾンビや下級のヴァンパイアなど歯応えの無い奴らばかりだったので雑魚モンスター討伐は仲間3人に任せた。3人とも息がぴったりであり確かにそこらのモンスターならば相手にならないだろうなとローズマリーは考えた。
「どうだ? ローズマリー、俺たちもちっとはやるだろう」エンディミオンがはしゃいだ。
「まだまだ、だけど雑魚を散らしてくれるのはありがたいかもね」
「そのうちそんなこと言わないくらい強くなってやるよ」
「相棒と同じ意見だ。我々はエルフとしてはまだ若い。伸び代は大きい筈だ」
「私も日々精進してローズマリー様の力になれるようにします」
実力はともかくこいつらは結構旅をしていて気さくに話せて気持ちのの良い奴らだとローズマリーは思っていた。
そうこうするうちにダンジョンの最深部に来た。何となく禍々しい気配が漂う。ローズマリーは封印の結界を杖で叩くだけで物理的にぶち壊した。
「マジかよ、魔法も使わずに殴って結界壊すやつなんてこの世にお前しかいないと思うぜ」エンディミオンが皆の意見を代弁した。
封印がなくなった大きな扉はゴゴッという音とともに開いていった。
開かれた部屋からはかび臭い空気が漂った。そして部屋の中の燭台に火が順々に灯っていった。
奥には大きな椅子がありそこに蝙蝠のような翼を持つ魔族がいた。
「我が眠りを覚ましたものはお前たちか?」
「あたしが封印を解いてやったんだ。勝負しな、地獄の公爵さん」
「愚かなヒュームよ、ただそれだけの為に封印を破るとはな」魔族はせせら笑った。
「しかし封印を解いてくれた礼はしてやろう、望みを言え」
「じゃあ、こんな湿っていて臭いところじゃなくて外でやり合おう?」
「それだけか命乞いをしなくて良いのか? 我は魔王だぞ」
他の三人が困惑し始めた。どうやらこいつは偽物の魔王らしい。ローズマリーの目には『ヴァンパイアロード』と言う文字が浮かんでいた。正直言ってかなりがっかりした。だが新しく考えた魔法の実験台には丁度良いかもしれない。この魔法は近くに人がいると使えない。
一行はローズマリーの転移の秘魔法によって外に出た。もう夜のとばりが降り始めている。遅れること数分ヴァンパイアロードは翼をはためかせ地上に現れた。
「夜は我に力を与える。昼間に封印を解かなかったことを後悔して死ぬが良い」
「ブレイジングメテオインパクト!」ローズマリーは新しい魔法を唱えた。
遥か上空にある小さな岩が魔法によってヴァンパイアロードに向かい墜ちてきた。
「ちょっと待……て、え?」
ジュオーンと言う地面を融解させる音と衝撃波で回りの森の木々が吹き飛んでいく。一際大きな閃光が辺りを包む。
そしてヴァンパイアロードがいた場所には墓石のように隕石が刺さっていた。
「流石にこんな死に方は可哀想ね」とセレーナが言うとあとの二人も頷いた。
キャンプを先程できたクレーターの近くで作っていると近くの村人がワラワラと集まってきた。そして村長とみられる高齢のヒュームが現れた。
「いにしえに伝わる封印されし魔王を下してしまうとは貴女は救世主だ。ありがたや」と祈り始めた。そして村長は救世主としてこの地に残って欲しいと言った。だがこちらにはさっさと魔王をぶち殺すという使命がある。なのでしつこく食い下がる村長に言った。
「あの石は聖なる天空より飛来した石、あれがある限りあなた方は災厄からとこしえまでも護られるでしょう」
「ははー! 流石は救世主様、我らのために聖遺物をくださるとは! 少々珍妙な格好をした輩がダンジョンに入ったと聞いたときは悪戯かとましたが……へ? ぐ?」
ローズマリーは村長を片手で吊し上げた。
「やめとけよ、ローズマリー。感謝してる奴らをのしても良いことないぜ」とエンディミオン。
「ご老人には敬意を払わねばならないと思うぞ」とルーンベルト。
セレーナの方を見ると彼女も頷き同じ意見らしい。
仕方なくローズマリーは「私の名前はマリア。今のは祝福の儀式です。毎年ここで村人の長に同じことをしなさい。そして肉は鳥と熊のそれしか食べてはなりません。また1日5回天を仰いで祈りを捧げること。さすればこの世の災いは避けていくでしょう」さりげなく偽名を使った。
そう言ってローズマリーを先頭に皆村人たちから離れて去った。
その後100年経ってもその石は信仰の対象となり聖灰教という頭のおかしい宗教団体が生まれることまではローズマリーにも分からなかった。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。

神々に見捨てられし者、自力で最強へ
九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。
「天職なし。最高じゃないか」
しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。
天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる