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【若菜下】Wakana
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「ねえ、ヒカル。もう一度考え直してよ」
CEOの執務室で月夜が怒鳴る。
「ったく。毎度毎度、わざわざここまで来てその話か。お前もしつこいな」
ヒカルがうんざりとした顔で月夜を見る。
「その話か。じゃないよ。大事なこと」
リオと籍を入れる話に、紫上の事を心配する月夜がこうして説得に来るのだった。
「七年前にその話は決まっている。一番最初に紫上には伝えているし、あいつも納得している」
「伝えただけで相談したわけじゃないだろ。紫上君の気持ちを聞いたのかってこと」
入籍を翌年に控え、残りの時間が少なくなったことで月夜が焦りを募らせるが、ヒカルは頑として受け付けなかった。
「仕事の話じゃねえならこれで終いだ」
ヒカルが席を立った。
「待ってよ。話はまだ終わってない」
月夜も引かないが、ヒカルは執務室を出て行った。
「絶対後悔するからね、ヒカル」
一人取り残された月夜が拳を握り締めた。
「あのぉ、お部屋、探してるんですけど」
女子大生風のう女が常陸不動産を訪れた。
「いらっしゃいませ。どんなん、探しとるん?」
そこへサングラスをかけた長身の金髪男が接客した。
「え?えっと。他に誰かいないんですか?」
女子大生風の女がきょろきょろと辺りを見回すと、奥から勇輝が現れた。
「もお。アベル君はいいから、奥にいて」
サングラスの長身男はアベル ジョーンズだった。ヒカルに宣戦布告したアベルはその足で常陸不動産に戻ると勇輝に腰を折って謝罪した。リックが勇輝に好意を寄せているのではなく、本当は自分であること。照れ隠しと冗談のつもりでリックと芝居を打ったこと。オモシロイ外国人を演じることで勇輝の気を引こうとしたこと。勇輝は素直に謝罪を受け入れたが自分に好意を寄せていることに関しては信じられないと否定した。アベルは自分の気持ちが本物である事を証明するといいだし、この常陸不動産でボランティアで働く事を提案してきた。セレブの気まぐれにどうせ長くは続かないだろうと勇輝が承諾してから七年が経っていた。
条件が合わなかった女子大生風の女が帰るとアベルがひょっこりと出てきた。
「何でわしが怒られなあかんねん。サングラスせ、言うたんはユーキやろ」
アベルが勇輝に憤慨した。
「だってサングラス外したアベル君はかっこいいから、特にああいう若い子は商談どころじゃなくなるの。そういう意味。それに女性客は接客しなくていいからって言ったよね」
勇輝も負けてはいない。
「せやかてさっきのはしゃあないやろ」
「その言葉使い。そのなんちゃっての変な関西弁、禁止っていったでしょ」
勇輝がアベルを諌めた。
「本当に、かっこいいって思ってくれてる?」
サングラスを外して上着のポケットに仕舞い込んだアベルが口調を変えて勇輝を壁際に追い込んだ。
「どうですか?壁ドン。女子に人気なんでしょ」
アベルが勇輝を見つめた。
「あのねえ。僕はもう四十七歳になるの。アベル君より二十歳も上なの」
勇輝が居心地が悪そうに視線を逸らした。
「年齢なんて関係ない。私の天使」
アベルがさらさらの勇輝の髪の毛を一房掬ってキスをした。
「いつになったら私を受け入れてくれるの?」
アベルが勇輝の手を取る。
「だから。僕にはヒカルさんと言う」
「それ、何度も言うね。でもあいつはユーキの他にワイフが二人いる。私はそんなことはしません」
握った手にアベルがキスを落とす。
「私のものになってください、ユーキ。大切にします」
少し垂れ眼で甘いマスクの整った顔が、唇が触れそうなほど近づくと勇輝が赤面した。
「このまま、キスしていい?」
アベルの言葉が勇輝の体を縛りつける。
「Yesと言って、ユーキ」
体が固まって身動きの取れない勇輝がギュッと眼を瞑った。
チュッ。
勇輝はおでこにアベルの熱を感じた。
「可愛い。そのまま私を意識してください」
チュッ。再びアベルの熱が勇輝のおでこに触れる。勇輝はその熱が体中に波及するのではないかと感じる程長い間離れなかった。
「もうすぐ寝る時間だけどヒカル君、来ないかな。でももうこの時間だったら来ないよね」
昼間のアベルに体の熱を持て余す勇輝がぼそりと呟いた。
「呼んだか?」
そこへ都合よくヒカルが現れた。勇輝はうれしさのあまりヒカルに抱きついた。
「抱いて」
勇輝はアベルの痕跡を拭い去りたい一心でヒカルにお願いした。
「んっ、んっ」
ベッドに寝転んだヒカルの顔を跨ぐ勇輝がヒカルの肉棒を大きく頬張る。チロチロと肉棒の先を擽り、太い竿を下唇で扱く。気持ち良さにヒカルがクイッ、クイッ、と、下肢を上下させながら、勇輝の頭に手を当て、滑り落ちた髪を勇輝の耳にかける。
「そんなに欲しかったのか」
ヒカルは勇輝に咥えさせたまま下肢を引き寄せ、体勢を変えた。目の前で硬く主張するペニスが、勇輝の興奮を物語っていた。それをほくそ笑んで見つめながら睾丸を揉みしだくと勇輝のペニスが触れずとも震えた。ヒカルが勇輝の睾丸を弄ぶ。弾力のある大小の二つを手に収めるとそのうちの一つの芯を捕らえて押し潰す。
「んあっ」
勇輝が声を上げて仰け反ると、先走りがヒカルの頬を伝い降りる。
「すっかり胸よりもこっちの方が反応がよくなったな」
ヒカルが再びほくそ笑む。
「ああっ、ああっ」
勇輝が肉棒への奉仕を怠るほど喘いだ。
「大好きなフェラどころじゃねえか。仕方ねえな、挿入れてやる」
ヒカルは後ろから勇輝に挿入すると間髪入れずに律動を始めた。
「あっ、あっ、あっ」
小刻みなヒカルの律動に勇輝が同じリズムで喘ぐ。
「あんっ、あんっ」
ヒカルが緩急をつけるとその通りに勇輝が声を上げる。すると、ヒカルは勇輝のペニスをやんわりと握った。
「あっ、あっ、あっ」
そしてまた同じリズムに戻すと勇輝の声色がトーンを上げた。
「もうイきてえのか。早いな」
ヒカルは勇輝の足を閉じさせると勇輝の背に覆い被さった。
「お前にしては玉も竿もずっしりと重くなってやがる」
ヒカルはぴったりと体をつけると勇輝のペニスを堰き止めるように握りながら肉棒を突き上げた。
「だが、先に出すんじゃねえぞ!俺が先だ。出すぞ」
ヒカルは限界まで下肢を押し付けた。
「ぁ、ぁぁ。熱いの、来た」
勇輝が喚起の声を弱弱しく上げる。
「わかってるだろうがまずは俺からだ」
ヒカルは勇輝の中に出し切るように下肢を何度も押し付ける。
「ん、んふっ」
何度も下肢を揺すられ勇輝がヒカルの精を受けるたびに鼻音を上げる。ヒカルはそのままゆったりと下肢を押し込みながら気持ち良さそうに吐息を吐き出した。ヒカルは射精してなおも律動をやめなかった。
「俺の精液で腹が膨れてその圧力でお前のいいとこ、締め付けんだろ。これだけでも十分気持ち良さそうだな」
下肢を蠢かせながらヒカルは傍にあるティッシュを高速で何枚も引き出すと膨れ上がった勇輝のペニスをそれで覆い、下肢を小刻みに押し込んだ。ヒカルの指に促され勇輝が無理矢理に射精させられた。
「や、ぁ、ん」
ヒカルは自らの精液を勇輝の中に押し込み、勇輝の下肢を引き寄せると律動とともに射精を繰り返しながら勇輝のペニスを扱いて射精を無理矢理に引き出した。
「あんっ、あっ、ああ」
勇輝が激しく啼いた。ヒカルが満足する頃には勇輝のペニスはだらしなく垂れ下がっていた。
「もう良いだけ出したから今日はもういいよな。遅いからお前の中で眠ることにした」
そう言うと、ヒカルは勇輝のペニスを握りしめた。
「あんっ!え、何?」
勇輝はヒカルが何をいったのか理解できなかった。
「朝までお前と一緒にいると言ったんだ」
ヒカルは律動と共に堰き止めている手を緩めて勇輝のペニスを扱いた。
「んやああーっ」
勇輝がティッシュの中に最後の精液を撒き散らす。
「んんっ」
射精で一気に解放される感覚に勇輝が力んだ。律動をやめずに起き上がったヒカルは宛がっていたティッシュに絡みつく勇輝の吐き出したそれを確認すると、匂いを嗅いだ。
「濃い匂いだな」
素早く新たなティッシュで再び勇輝のペニスを覆い被せた。
「だったらお前が出し切るのを確認しねえとな」
ヒカルはもう片方の手で勇輝のペニスを扱いた。
「んーっ」
勇輝がまたしても甘く力む。中の締め付けにヒカルが勇輝の射精を悟りながらもペニスを扱く手は緩めない。それどころかまたしても律動を早めた。
「んっ、んっあっ」
勇輝が無理やりの開放にベッドに肘をついて耐える。
「もう少し強く奥突いてやるか」
ヒカルが絞り出す様に勇輝のペニスを扱く手と自らの下肢の律動をリンクさせる。
「んっ、んんっ」
泣きそうに声を小さく上げる勇輝が体をブルブルと震わせたが、絞り出す手は緩めずに勇輝の中で気持ち良さそうにヒカルが射精した。
「あっ、もう、もうっ」
勇輝が悲痛な声を上げるたびにヒカルは芯の無くなった中の肉棒で押し込む様に奥を抉ることを繰り返した。程なく勢いを取り戻したヒカルが勇輝の中を揺さ振る。
「ちゃんと飲み込んでるな」
ヒカルは下肢の密着を深め、確認する様に復活した熱い肉棒で勇輝の中を捏ね回す。
「あっ、あっ」
勇輝はヒカルの刻むリズムに啼き声で呼応する事しかできなくなった。その頃には勇輝のペニスはだらし無く垂れ下がり、だらだらと精液ではない体液を垂れ流すだけだった。
「お前が出し切るまでやめねえからな」ヒカルは同じ動作をひたすらに続けた。
「出し切ったか」
ヒカルは勇輝のペニスを綺麗に拭き取ると繋がったまま後ろから抱き締めたままごろりと横になり、掛け布団で二人の体を覆った。初めてのヒカルの行動に勇輝が驚いたが、次の瞬間には何も考えられなくなった。
「良い女になったもんだ」
勇輝の細腰を掴んで律動で勇輝を攻めるヒカル。啼きながらも勇輝はヒカルが紡ぎ出すリズムに女としての快楽を感受していた。
「復活したし褒美、やるか」
体勢を変えたヒカルは勇輝の尻を高く上げさせ、上から串刺すかのごとく覆い被さった。
「あんっ、あんっ」
ヒカルの大きな手が勇輝のふにゃふにゃのペニスと睾丸を一纏めに握り揉みこみ始めた。もう一方の手は勇輝のツルツルの下肢を撫でる。
「お前と眠るのは初めてだな」
すっぽりと体ごとヒカルに包みこまれる勇輝に、これでもかと肉棒を押し付ける。
「安心しろ、ちゃんと一番奥、突いてやる」
「イく、イく」
ヒカルによって睾丸が最も優秀な性感帯へと変貌させられた勇輝が限界を告げる。
ヒカルが接合を強めた。
「ああ、好きなだけ中でイけ。疲れて眠りにつくくらいに」
「ああーっ」
勇輝の中がヒカルの肉棒に力強くくらいつく。ヒカルは勇輝の大腿を持ち上げその心地よさに目を閉じ、迷わずに精を解き放つ瞬間に起き上がって勇輝の最奥を規格外の亀頭でリズミカルに擦り続けた。勇輝の全身がブルブルとふるえた。ヒカルは勇輝のペニスから精液を絞り出す様に尚もしごき続けた。
「俺の女に射精はいらねえ」
ヒカルはそれからもしつこく勇輝のペニスを扱きながらも勇輝の奥を抉る事を止めなかった。その頃には勇輝のペニスは力を失い、小さくなりヒカルの手の中にすっぽりとおさまり喜びの滴を溢れさせていた。
「俺の手がびしょ濡れだ。だが最後の残り一滴まで精子出し切るまでは続けるからな」
すぐに復活したヒカルが下肢をめり込ませ、無理やり露出させた勇輝の亀頭を責め始める。
「んあああっー」
勇輝は体を硬直させ、覆い被さるヒカルに身を任せた。
ヒカルは下肢を律動させ勇輝に女である事を植え付けるために奥を抉り続けた。
だらしなく精液と体液を垂れ流す勇輝の目が虚ろになっていった。ヒカルは律動しながら勇輝の亀頭を責め続けた。
ビュッ!
「ったく、堪え性がねえな。男みてえに出しちまったか。俺が突いていてやるからちゃんと垂れ流せ」
ヒカルが勇輝の中を強く抉ぐる。その度に勇輝が残渣を射精しそうになるとヒカルは勇輝のペニスをキツく握りしめ、勇輝の射精を阻み我先に精を押し込んだ。そして男としての快楽を阻まれたまま絶対的な雄であるヒカルに律動される勇輝は揺さぶられる女と化すしか無かった。
「俺の女には本能は要らねえ」
勇輝の記憶はそこで途切れた。
ゆ
「あんっ、あんっ、あんっ」
勇輝は自分の喘ぎ声でぼんやりと目を覚ました。
(僕、寝てた?)
「あんっ、あっ」
ヒカルの手は勇輝のペニスと睾丸をいまだに揉み込んでいた。
「あっ、イくっ」
何度目かの絶頂が一気に勇輝を覚醒させた。ヒカルがグググッと下肢を押し付ける。
「ぁぁ。出て、る。ヒカル君の。ヒカル君?」
勇輝がヒカルを呼ぶが返事はなかった。
「寝てる、の?」
ンッと気持ち良さそうな声を出した後、ヒカルの寝息が勇輝の耳を擽る。
「寝てる。本当に朝まで一緒にいてくれるんだ」
勇輝は嬉しくなったが、またヒカルの手が活動を再開する。
(えー?ヒカル君って寝てるときもスるの?)
勇輝は動揺を隠し切れないが、優秀な性感帯を刺激され勇輝の快楽は文字通りヒカルの手の中にある。勇輝はイき疲れて眠りについては自分の喘ぎで起きる事を繰り返した。
「起きろ、朝だ」
浅い眠りを繰り返した勇輝はヒカルに起こされた。
「あ、あ、あ」
ヒカルの肉棒に背後から貫かれ、勇輝の中でビクビクと肉棒の震える振動が、ヒカルの射精が間もなくを告げていた。
「出すぞ」
「ぁ、お腹苦しい」
勇輝が昨夜から受け止めたヒカルの精液に本音を呟いた。
「だろうな、お前が寝てる間にだいぶ射精したからな。後でちゃんと掻き出してやるから苦しくても受け止めろ」
勇輝のその意味を知るヒカルもまた同調して下肢を震わせる瞬間、体を押しつけて勇輝の最奥に肉棒を潜り込ませた。射精する間中、ヒカルは勇輝の下肢を力強く引き寄せて最奥に亀頭を擦り付けた。
「何だあれでもイケなかったのか」
満足気にヒカルが律動を再開する。
「イカせてやる」
ヒカルが勇輝に覆い被さり互いの下肢を突き上げていきり立つ肉棒をねじ込む。強い刺激に時折逃れようとする勇輝の細腰をつかみ引き寄せながら肉棒を食い込ませ、勇輝の体に絡みついて身動きを封じながら射精する事を繰り返し、射精までの激しい律動と、射精後のゆったりとしたもどかしい律動に勇輝は翻弄させられた。
「あんっ、ああっ」
その度に勇輝が切なく啼いた。
「洗ってやる。自分の足、持ち上げてろ」
余韻を貪りながら律動を繰り返すヒカルのいう通りに勇輝がM字開脚するとヒカルは勇輝の体を繋がったまま持ち上げた。
「あっ」
「穴締めてねえと溢れ出てくるからな」
ヒカルは軽々と勇輝を持ち上げてすたすたと廊下を歩く。
「あんっ、あんっ、あんっ」
階段を下りる度ヒカルの肉棒から勇輝の体にダイレクトに振動を伝える。
「あまり啼くな。また勃つ」
バスルームでようやくヒカルが肉棒を引き抜いて勇輝の尻を見るようにしゃがみ込んだ。
ゴプッ、ゴプッ。
ヒカルの精液が勇輝の尻から勢いよく溢れ出る。ヒカルはある程度掻きだすとシャワーで綺麗に洗った。
「お前も朝勃ちしねえんだな」
鏡越しに勇輝のペニスを見ていたヒカルが一言。
(そういえば)
ヒカルに頻繁に抱かれるようになってから、いつの頃からか勇輝は朝勃ちしなくなっていた。
「そうだね。ヒカル君の女になる前までは時々あったけど。もっ、て?」
勇輝が昔を思い出す。ヒカルは勇輝の体を自分のほうに向かせた。
「慧もだ。俺の許しがねえと射精できねえから、勃っても無駄だと体が覚えたんだろうな。足開け。褒美だ」
ヒカルは勇輝の睾丸を吸い付く様に口に含んだ。ヒカルの口内に勇輝の睾丸が吸い込まれた。
「んああっ」
クチュクチュとヒカルの唾液の音がバスルームに反響する。
「あっ、だめ、勃っちゃう」
勇輝が涙目でヒカルに縋るような睨むような視線を送る。
「あんっ」
「朝勃ちはしねえくせにちょっとここ舐めただけで半勃ちかよ」
チュポンと勇輝の睾丸を吐き出したヒカルがニヤリと含み笑いをしてまた睾丸を食む。
「あっ、ああっ」
勇輝のペニスが瞬く間に起立した。
「あっと言う間だな。勃つのが。それだけここが気に入ったってことだな」
「あはっんっ」
ヒカルは勇輝の鎌首をきつく握りしめヒカルがふにふにと睾丸を弄る姿を涙目の勇輝がうらめしそうにヒカルを見ていた。
「ちょっとやり過ぎたか。これじゃ、もう治まんねえよな」
ヒカルは立ち上がると背後から勇輝を抱きしめて一気に肉棒を挿入れた。
「あんまり時間とれねえぞ。勃たせてもいいがそれは女として解消しねえとな」
ヒカルが律動しながら勇輝の睾丸を握り締める。
「や、やだ。出すのやだ」
射精を拒む勇輝が暴れ出し首を振る。
「大丈夫だ。出さねえでイかせてやるから。それに、もう空っぽだろうが」
「あんっ、あんっ」
勇輝が啼いた矢先、わずかに勇輝が精を放つ。ヒカルは勇輝のペニスの根本を急いで握った。
「まだ残っていたか。だが誰が出していいと許した?
俺がお前の中にいる時は、お前の好きにさせてやろうと思ったが俺が次に出す前に、いらねえもんを出す悪癖を治してやるか」
ヒカルは律動を繰り返し勇輝の射精を幾度も阻み、自らは気持ち良さそうに射精しながら、勇輝を揺さぶった。
バスルームがシャワーの熱気と二人の熱気につつまれる。ヒカルの小刻みな律動が速度を上げ、ヒカルが下肢を突き出した。
「俺が治まらねえ」
「んんああーっ」
勇輝が一啼きして体を震わせる。
「んっ、んっ、んっ」
勇輝の奥に射精しながら、精液を押し込むように三度声に出して勇輝の奥を突き上げた。そして「うっ」と気持ち良さそうに息を止めた後、息を吐き出した。
昨晩からのぶっ続けの行為に勇輝はくたりと体の力を抜いた。
「やべえな。やっぱ一回じゃ、無理だな」
ヒカルは下肢を本格的に打ちつけ始めた。
(ヒカル君、どれだけ絶倫なの)
勇輝は気を失わないように意識を保ち続けた。体の力の抜けた勇輝は奥を震わせることしか出来ずにタイルの床に崩れ落ちるとヒカルもまたしゃがみ込んで勇輝の体に追いすがり、下肢を益々押し付け揺さぶり続けた。
「悪い、勢いづいちまった」
ヒカルは律動に拍車をかけ、自らの快楽を追求し始めた。
そして勇輝の体に絡みついて小刻みに律動する。
一連の行為が終わりを告げると「俺と朝を迎えるということは、こういう事だ」ヒカルは勇輝に言い聞かせる様に勇輝の中に出したヒカルの精子をいつまでもこね回し続けた。
「おい、緩ませるな。俺のを溢さねえ様にしっかりと穴、締めておけ」
快楽の後の雄の主張に勇輝は虚ろな眼差しで感受するほかなかった。インターバルともいえるヒカルの律動でしばらくすると二人の接合部が、泡立った様なクヂュクヂュと言う音が反響する。
「俺はこの瞬間が何より気に入ってんだ。俺の女に俺の濃い匂いを擦り付ける。いわゆるマーキングってやつがな」
次第に揮発したヒカルの精子がネットリと濃さを増す。ヒカルは縦横無尽に下肢を蠢かせそれを攪拌する様に混ぜあげる。時折勇輝の尻を破り開き力強く押し込みながら。
ヒカルは勇輝に射精させないように下肢を揺らし続けた。
「抜いてやらねえからな。昨晩のお前は少しいつもとは違っていたな。あいつが原因か?」
ヒカルはいつも以上に勇輝に絡みついた。
勇輝と軽く朝食を摂りながらヒカルはアベルの事を尋ねた。
「アベル君、もう七年も僕のことが好きだって。すぐ英国に帰っちゃうと思ってたのに、七年だよ。信じられないよね、あんなかっこいい子がさ、僕みたいなのが好きだって。もっと他にいるはずだよね」
ヒカルは勇輝の心が揺らいでいるのを感じた。いや、アベルに宣戦布告されたときからこうなることはヒカルには予想がついていた。だが、アベルを勇輝から引き離そうとは思わなかった。勇輝がヒカルに好意を寄せているのは好意ではなく単なる刷り込みと知っているからだった。ひな鳥が初めて目にしたものを親だと勘違いする様に、初めて勇輝の体を拓いたヒカルに対する感情が愛情だと誤認していると判っていたからだった。紫上は自分が欲して引取り、紫上が望んで体を拓いた生涯のパートナー。慧は亜衣の叔父で共にドバイで暮らし、ヒカル以外に頼れる人物もなくヒカルに好意を寄せる一念で日本まで亜衣を連れ、育てた恩人。しかし勇輝は愛されることを知らない。
『俺が愛してやる』
高校生の時にヒカルは勇輝にそう言った。しかしそれは愛してくれる人物が現れなかったらの話。今はアベルがいる。七年もの歳月を賭けて勇輝を本気で口説いている。
アベルが勇輝に本当の愛情を教えてくれる、ヒカルは初めてアベルの目を見た時に確信していたのだった。
「七年も中途半端な気持ちでお前に付き合うほどあいつも暇じゃねえだろ。そこんとこ良く考えるんだな」
ヒカルは勇輝に自分で結論を出させるためあえて冷たく突き放した。
「もう一回だ」
ヒカルはこれでもかと言わんばかりに勇輝を啼かせた。
「また、出したくならねえ様に処理しとこうな」
ヒカルは射精しない様に勇輝のペニスを握りながら奥を抉った。
勇輝はただただ、されるがままに啼き続け、ヒカルの精液受け入れた。
「まさか堅物だと思っていた父さんに隠し子がいたとはね」
リビングで寛ぐ月夜が朱雀を見上げた。
「私も驚いています。二十二歳になるのでしょう?まあ、早くにおばあ様を亡くされてお寂しかったのでしょうね」
月夜に膝枕をする朱雀がテレビのリモコンでチャンネルを変えた。
「【森下 落葉】(Morisita Ochiba)っていったけ?母親が最近病死したから父さんが引き取ることにしたんだって。どうするつもりだろうね」
月夜は関心なさそうに欠伸をした。
「さあ、私たちには分かりませんよ」
朱雀は眠そうにする月夜を寝かせようとテレビのスイッチを切った。
七年前アベル ジョーンズが日本に留まることでリチャード スミスは日本と英国は年に十数回の往復を繰り返していた。跡継ぎであるアベルの愚考に父であるアーシャー ジョーンズは他国での社会勉強と寛大な計らいをした。
「リック、アベルはどうしている?庶民の生活に不満を溢しているのではないか?あいつは苦労などしたことのない奴だ。日本の零細企業でボランティアなど、すぐに逃げ出すかと思いきや」
アーシャーがリックにウィスキーを手渡す。
「いえ、楽しそうにしています。アベルはユーキに出会って確実に何かが変わっていますね。それまでは何をするにも中途半端で飽き性だったアベルが、です」
アベルの側近であるリックがアーシャーに報告する。
「七年か、そろそろ私の跡継ぎとして戻ってもらわねばな」
アーシャーが革張りのチェアーに凭れてリックを見据えた。
「三十歳の誕生日までは許す。そう伝えてくれ」
アーシャーはアベルに三十歳までの期限を設けた。
日本の地に降り立ったリックはアベルの住むマンションではなく別の場所へと足を向けた。この日は土砂降りの雨だった。
「あら、リックさん、いらっしゃい」
リックが小料理屋 新子(Sinko)の暖簾をくぐると女将の【木村 洋子】(Kimura Yoko)が声をかけた。
「こんばんわ」
リックが慣れたようにカウンターの奥の席に腰掛けた。
「んー、いい匂いですね」
リックがクンクンと匂いの元を探る。
「あら、相変わらず鼻が利くわね。ちょうど里芋の煮っ転がしが出来たところなのよ」
洋子がカウンター越しにお絞りを渡す。
「いいですね。それ、いただきます。あと」
「とりあえずビール。と、いつもの、でしょ?」
洋子がリックにウィンクした。
「ただいま戻りました」
入り口から一人の従業員らしき人物が入ってきた。
「お帰りなさい、ミカちゃん。悪いわね、こんな日にお使い頼んじゃって」
洋子がミカと呼んだ人物に微笑んだ。
「いいえ。すぐ近くですから」
その人物も洋子に屈託のない笑みを向けた。その人物はミカエラ クリスティーヌ、かつて慧と同じ大学に通い覚せい剤取締法で逮捕されたミカだった。一年六ヵ月の実刑判決と三年の執行猶予が下されてから何処にも行くあてのないミカを受け入れてくれたのが洋子だった。従業員募集(住み込み可)。店の張り紙を見たというミカの当時の状態は悲壮感が漂い、思い詰めている風だった。洋子が履歴書に目を通す間、ミカは身を小さくしていた。賞罰に覚せい剤使用の記載が洋子の眉間にしわを寄せる。しかし、ミカを哀れに思った洋子は住み込みでミカを雇い入れたのだった。
「来てるわよ、リックさんが」
洋子がミカにウィンクするとミカがいつもの場所に視線を走らせた。
「い、いらっしゃい、ませ」
ミカがお辞儀するとリックも軽く会釈してにっこりと微笑むとミカがはにかんだ様に笑みを浮かべた。
「ミカちゃん、いつもの、お出ししてあげて」
二人に漂う空気に洋子が気を利かせるように頼むと「はい」と返事をしたミカがバックヤードへと足早に消える。
「もう五年も通ってるんだし、ミカちゃんも満更じゃないみたいなんだから、リックさんそろそろはっきりさせたら?」
洋子がリックの背中を押した。
「お待たせしました。どうぞ」
エプロン姿のミカがリックの前に器を置いた。
「今日の新子はミカちゃんが仕込んだのよ。味は保障するわ」
洋子に褒められたミカが嬉しそうにお盆を胸に抱く。
五年前、ふらりとこの店に入ったリックが店の名前に興味を持ち洋子に尋ねると魚の名前であると洋子は伝えた。新子はシンコ、コハダの幼魚名で、鰤(Buri)と同じように成長するに従ってシンコ、コハダ、ナカズミ、コノシロと名前を変える魚だとも説明した。初めて食べる新子が気に入ったリックはそれ以来必ず頼むのだった。
リックが新子にわさびを乗せ、軽くしょうゆを付けてぱくりと口に入れた。がたいの良いリックが背を丸めて食する姿はまるで熊のようだった。
「おいしいです」
リックが目を輝かせてミカに笑いかけるとミカが立ちすくんだまま頬を赤らめた。
「あらあら」
それを見た洋子が視線を二人に向けながら小さく微笑んだ。
それから〆のお茶漬けを三杯も平らげたリックが満足そうにお腹を摩った。
「ねえ、リックさん。今日はこの雨だし、もう店じまいにしようと思うの。三十分ほどで終わるから座って待っててもらえるかしら。たまにはミカちゃんの話し相手になってあげてくれない?」
含みのある言い方をした洋子がリックにウィンクした。
「え、女将さん?いいですよ」
ミカが真っ赤になって手を振って辞退する。
「五年も通ってくださる常連さんなのよ。ミカちゃんには断る権利はありません」
ピシャリとミカの辞退を門前払いした洋子が後片付けをはじめた。
「じゃあ、私は帰るから鍵、よろしくね」
前に洋子が住んでいた二階に間借りしているミカに後を頼み、リックに向けてウィンクした洋子が傘を手に店を後にした。
「あの、女将さん」
待ってくれと言いたげなミカの手が心なしか震えていた。
「座りませんか?」
リックがミカに席を勧めるとミカがちょこんとリックの隣の席に座った。
二人の間に微妙な間が流れる。
「ミカさん」
「僕ね」
二人が同時に口を開いた。
「先に僕から言わせて」
ミカが緊張した面持ちでリックに向き合った。
「僕ね、前科があるの。わかるかな?前科ってね警察に捕まったことがあって、それが、その」
ミカが言いだし辛そうに下を向いた。
「知っています。女将さんに聞きました」
リックがフォローするように口を開いた。洋子は早い段階でリックが新子目当てでこの店に通っているのではないと気がついていた。しかし前科のあることを知らぬままではいつか二人の間に埋めることの出来ない溝ができるかもしれないとも感じていた洋子が全て話していたのだった。
リックがミカの手を取り両手で包み込む。
「罪は償ったのでしょう?それならもうミカさんには何も後ろ目たいことはない筈です」
リックが真剣な眼差しでミカの目を覗き込む。
「私はミカさんが好きです」
「でも」
ミカが反論しようとするとリックがそれを止めるようにミカの頬に手を当てミカの下唇を体格に見合った親指で摩る。
「ミカさんは私のことが嫌いですか?」
下唇を摩る指が唇の輪郭を辿る。言葉がでないミカの代わりにリックが囁く。
「それはNoですよね。では私のことが好きですか?」
唇を摩られるミカが暗示にかかったように目の力が薄れていく。
「Yes、と言ってください」
リックの指がミカの唇を割って前歯を擦る。
「い、イエス」
ミカがやっとのことで言葉にした。
「Good boy」
リックの碧眼が妖艶を放つ。それに魅入られたかのようにミカは動くことが出来ない。リックはミカの前歯の裏側を撫で、歯列を指で辿る。
「あっ」
ミカの唾液が唇の端から流れた。
「気持ちいい?」
リックが顎まで垂れたミカの唾液に唇を寄せて吸い取ると肉厚な舌先で顎から唇へと向かってゆっくりと舐めた。
「あと少しで口だけど、拒まないならKissしますよ」
魅入られたままのミカは何も言葉を発っしない。それどころか口内をリックの指で擽られる心地よさにますます唾液を溢れさせた。
「黙っていたらYesと取りますよ」
再び垂れた唾液を舐めたリックがミカの唇を塞いだ。リックの肉厚の舌がミカの口内をまさぐる。
「んっ、んっ」
ミカがリックの舌に応えると口内に瞬く間に唾液が溢れる。リックは下からキスするように角度を変えて自分の口内に流れ込むミカの唾液を嚥下した。
「ずいぶんと感じやすいですね」
リックが口を離すとミカが目をとろんとさせていた。
「Good Boy.Have sex.I want you」
言葉がうまく出ないミカは頷くだけで精一杯だった。
「Good. 部屋、どこですか?」
「に、二階。でも鍵、鍵閉めないと」
とっさにミカが立ち上がって店の鍵を閉めた。
「早く、ミカが欲しい」
鍵を閉め終えたミカを後ろからリックが抱き締める。華奢で小柄なミカはリックの胸の辺りまでしか身長がないため立ち上がったリックは熊そのものだった。
二階に移動した二人は慌しく引いた布団の上ですぐさま抱き合った。お互いの服を脱がせ、裸体を晒すミカ、そしてボクサーパンツ姿のリック。
「ここもGood Boy.So cute」
勃ち上がるミカのペニスを見たリックが感動したように呟く。キュート。そういわれたのが恥ずかしくなったミカは下肢を手で覆い隠そうとした。
「No no no」
それをリックが止めると舌なめずりをした。
「ミカのCute食べて見たいです。これが俗にいう別腹ですね」
リックはぱくりと口に含むと肉厚の舌を蠢かす。
「んああっ」
ミカが大きく啼いた。リックはミカのペニスを唇で扱き上げた。
「だめ、イクぅっ」
ミカがリックの口内にあっけなく精を吐き出すとリックはそれを自分の手の平に出した。
「ずいぶん濃いですね」
リックが独り言のように呟いた。
「だって、もう七年も誰ともシてないし。自分でもスる気にならなかったから」
ミカの告白にリックが微笑んだ。
「それならミカのSecond virginいただきます」
リックはミカの精液を潤滑油代わりに尻に塗り込めた。硬く閉じる入り口を丹念に綻ばせ太い指を埋める。ズズズと進入してくる久しぶりの感覚にミカが息を何度も吐き出す。リックも焦ることなくミカの尻を広げながら探るように指で隅々を撫でる。
「あっ」
「ここですか?」
ミカがとっさに声を上げた所を再び触る。
「あっ」
「わかりました」
リックはそこを重点的に責め始めた。
「あ、あっ」
「ミカのCute、またGood boyになりましたね」
前立腺の刺激にミカのペニスが反応した。リックは前立腺を時折刺激しながらも指の数を増やしていく。過去に多数の男達に開かれた体は次第に思い出したように順応していく。
「いいっ、あ、いいっ」
ミカも快楽を素直に拾う。リックは唾液をたらしながら太い指が三本入るまでミカの尻を広げた。
「挿入れますよ」
リックがボクサーパンツを脱ぎ捨てた。
(でかっ)
ミカは凶悪なほど大きくそそり立つリックのペニスに恐怖した。
リックの太い指三本でも苦しく感じられたミカの尻にリックがペニスを宛がった。
「ん、んん」
みちみちと広げられる感覚にミカが苦痛の表情を浮かべる。リックもミカの狭さに戸惑いながらもぐいぐいとペニスを押し付ける。
「あうっ」
ミカが奥まで到達した感触に思わず声を上げた。ようやくリックを受け入れたと思ったミカが安堵の吐息を吐いた。
「苦しいですか?ミカのCute、ますますCuteになってしまいました」
腹部の圧迫感に萎えてしまったミカのペニスをリックがやんわりと握る。
「でもあともうちょっとです」
リックの言葉にミカは目を見開いた。
(どれだけでかいの?)
今までの経験上それ以上にミカの中に進入した男は一人もいない。ミカは未知の領域にまたしても恐怖したが、かつて二輪挿を仕込まれた体は思い出したようにリックを受け入れていく。
「んん、んふぅ」
めりめりと奥を開かれる未知なる感覚がミカを新たなる世界に誘う。
「あ、あ、何これ?あ」
中全体を命いっぱい広げられてなお壁の細い隙間をこじ破り占領する熱くて硬い肉の塊。ミカは中の存在感と未知なる感覚にペニスをリックに刺激されてはいたもののペニスからは気持ちいい信号は送られない。それどころかリックのペニスが新たな場所へと突き進む度にそこから生じる不可思議な体の反応に戸惑っていた。
「あ、知らない、こんな凄いの知らない」
「もうちょっと、もうちょっとですから」
身を捩り戸惑うミカを宥めながらもリックはミカの中にメリメリとペニスを最後まで押し込んだ。
「あ、イクぅっ、何これ?イクぅっんんっっ」
ミカの体が諤々と震える。ミカは目から火花が飛んだと思うほどの快感の渦に流された。
「ミカの中、狭くてキツくて最高です。中イキするほど気に入ってくれましたか?」
リックはミカの体を起こして抱きしめた。ミカもリックのたくましい背に腕を回してしがみ付いた。
「ミカの気持ちいい所、もっと教えてください」
リックはそう宣言すると下から突き上げ始めた。
「リックさん、まだ、待って」
「私も気持ちよくなりたいです」
ミカの制止も虚しくリックの腕の中で揺さぶられるミカ。
「あ、あうっ、あ」
「Ah!Ah!」
声を上げながらミカの中を抉るリック。
「だめ、イクぅっ」
「Ah!Ah!ミカのCute柔らかい。でも中イキするのは気持ちいい証拠」
リックはミカの中を抉り続ける。
「死ぬ、死んじゃう」
「Ah!Ah!」
リックは猛獣が餌を喰らうようにミカの体を喰らう。
「またイクぅっ、イクぅっん」
ミカが中イキした。
「Oh!Wonderful」
リックが射精する直前にミカの中からペニスを引き摺りだし、ミカの腹の上に吐き出しながら「Oh!」と感嘆の声を上げた。額に滲んだ汗を拭い、テーブルの下に置いてあるティッシュでミカの腹の上から垂れる精液を処理すると、ミカの体を抱き寄せて寝転んだ。
「素敵でした、ミカ」
リックに腕まくらされるミカが胸毛の生えたリックの胸に顔を埋めた。
「僕も死んじゃうくらい、気持ちよかった」
ミカは満たされる思いを胸にリックの腕の中で眠りについた。
「俺が、見合いですか?」
柏木が苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
「お前ももう三十一になる。そろそろ孫の顔を見せて欲しくてね」
中将が穏やかに微笑んだ。
「孫の顔なら雲居雁が三人も見せているでしょう。俺はまだ」
踏ん切りがつかない柏木に中将が相手の女性のプロフィールを伝える。
「相手のお嬢さんはね森下 落葉さんといっ二十八歳になるそうだよ。苗字は違うけれど右代元取締役のお嬢さんで月夜君の妹君に当たり、朱雀会長の姪でもある。家柄的には申し分ないだろう」
中将の説明になぜか柏木はリオの事を思い出した。
(と言うことはリオちゃんと血縁と言うことになるか。似てるかな、リオちゃんに)
柏木は気がすすまないまでもその見合いを受け入れた。
見合い当日。
「始めまして。森下 落葉ともうします」
落葉は控えめで、大人しそうな印象の美人ではあるがどこか平凡そうな女性だった。落葉にリオの子供の頃の面影をどこか求めてしまう自分を諌めるように柏木は落葉との結婚を決めた。
結婚してからも柏木は落葉との結婚生活には満足できないでいた。それどころかリオのことが気にかかり頭から離れない。柏木は落葉との結婚生活を円滑に保つため、リオを一目見ようと心に決めた。
十五歳のリオは母校の中等部に在学していた。
調べて貰った調査内容をはやる思いで読みふけ、同封してあった写真を見た柏木は初めて女性に心ときめく感動を味わった。柏木はいても立ってもいられず、その日の夕方、母校を訪れるべく足を向けた。
すると偶然にも校門から出てくるリオを見つけ、柏木はまさに神の与えたチャンスだと思った。
大きな紙袋を肩に下げ足早に歩くリオに気付かれないように後をつける。リオは駅前の公衆トイレに入っていった。
三十分後。制服姿からは想像もできないほど大人びた化粧をしたリオが出てくると柏木は胸を躍らせた。
(何をやっているんだ、俺は)
そう思いながらもリオを目が追ってしまう。
リオはコインロッカーに荷物を預けると繁華街へと歩き始めた。客引きが往来するネオンの下をリオはすたすたと慣れたように歩く。すると一人のサラリーマン風の男に声を掛けられたリオはあろうことかその男に媚びるように擦り寄った。男は鼻の下を伸ばし、リオの腰に手を回し、ホテル街の方へと誘っている。柏木はリオを止めようと歩を加速させ、気がつけばリオの手首を掴んでいた。
「何だよ、お前」
男が柏木に威嚇する。
「ダメだ、こんなことしちゃダメだ」
柏木がリオを説得する。そして男に向き合った。
「この子はまだ高校生だ。警察に通報されたくなければこの場を去れ」
男はてっきりリオが大学生だと信じていたらしく、あっさりとその場を離れた。
「お兄さん、誰?あたしの邪魔しないでよ」
リオは柏木の手を乱雑に振りほどいて威嚇した。
「リオちゃん、覚えてないかな?七年前、大きなお屋敷で一緒に四葉のクローバーを探したお兄ちゃんのこと?」
柏木は縋る思いでリオに尋ねた。
「え、お兄ちゃん?あの時のお兄ちゃんなの?」
リオは態度を一転させた。
「何やってるんだよ。ダメじゃないか」
柏木が優しく窘めるとリオは怒りを露にした。
「だってしょうがないじゃない。あたしだってこんなことは好きな人としたいよ。でももう少しで好きでもないおじさんの妻になるんだよ。だから、それまでは誰でもいいからセックスするの」
往来で大声を上げるリオに柏木は頭に血が上った。
「誰でもいいなんて言うな。誰でもいいなら俺でもいいってことだろ」
柏木はリオの手首を掴んで勢いのまま近くのホテルに入る。部屋に入ると柏木はリオを押し倒した。そこからはもう柏木は自分を抑えることができなかった。コンドームの装着も忘れ、欲望のままに穿つ。柏木は本能の赴くままにリオの奥深くで爆ぜては満たされなかった過去を取り戻すかの如くリオを抱き続けた。
リオは抵抗しなかった。それどころかリオは、初めてだった。シーツが鮮血で染まったにもかかわらず柏木は無我夢中で腰を振った。
「お兄ちゃんが、初めてで良かった。あんま痛くなかったし。ていうか、気持ち、良かった、し」
そう言葉にしたリオはあどけなかった。正気に戻った柏木は事の重大さに気がついたが、女性に対して初めて感じた満足感も手伝い、それ以降、リオとの逢引を繰り返した。
「亜衣ちゃんも来年は大学卒業か」
仕事で遅くなると連絡を貰っていた紫上は亜衣と二人で夕食を取っていた。
「ええ。でも院に進むわ。紫上かあ様と同じように。私を育てるために志半ばで院を辞めてしまった紫上かあ様の意思を私が継ぐの」
亜衣が将来の夢を語る。
「僕の意思なんて継ぐ必要はないよ。僕は僕の意思で大学で勉強するよりも亜衣ちゃんを優先しただけなんだから。院に進むことは僕もヒカルさんも反対はしないよ。ただし、自分の本当にしたいことなのかどうかはきちんと考えてから結論をださな」
「うっ」
亜衣が紫上の話の途中で席を立った。
「亜衣ちゃん?」
紫上が亜衣を追いかける。亜衣はトイレへと駆け込むと嘔吐した。
「うっ、うっ」
亜衣が苦しそうに吐く姿に紫上が亜衣の背中を撫でながら心配そうに付き添った。
「はぁ、はぁ」
亜衣が呼吸を落ち着けるように大きく息を吐き出す。
「亜衣ちゃん、まさか」
「お願い。ヒカルとう様には黙っていて」
紫上に亜衣が懇願した。
「お願い」
亜衣はそのまま勉強部屋に姿を消した。
その後、帰宅したヒカルに紫上は亜衣の事を相談しなかった。
その週末。朝からそわそわと携帯を確認する亜衣に新聞に眼を通すヒカルが不信そうに遠巻きに目ていた。
玄関のチャイムが鳴る前に亜衣は玄関に飛んでいき一人の人物を迎えいれた。
「青龍、久しぶりだな」
ヒカルが青龍にソファを勧めると青龍はソファではなくラグの上に亜衣と共に正座した。
「なんのまねだ」
ヒカルが二人をいぶかしむ。
「ヒカルさん。いいえ、お父さん。亜衣さんと結婚させてください」
青龍が頭を下げた。
「唐突だな。許すも何も元々許婚同士だ。時が来たらいやでも結婚するだろうが」
ヒカルはソファに座った。それを紫上がキッチンからハラハラしながら見守る。
「亜衣さんに、子供ができました」
青龍の一言にヒカルが合点がいったようにため息をついた。青龍と亜衣は俯いたまま正座を崩さない。
「亜衣はまあ、二十一だからいいとして。お前はまだ中学生だろう。お前もお前だ、亜衣」
呆れたように二人を見る。
「ったく。朱雀は知ってるのか?」
ヒカルが青龍に聞くと「いえ、父にも母にもまだ」と答える。
「籍も入れられねえのに。どうすんだ?餓鬼」
ヒカルがタバコを掴んだがその手を離した。籍の一言に紫上が握った手を胸に当てて苦しそうな表情を浮かべた。
「亜衣さんには産んで欲しいです」
「私も産みたい。青龍君の子供」
二人がようやく顔を上げた。
「参ったな」
ヒカルが天井を見上げた後、誰かに電話した。
「ああ、朱雀か。青龍が今家に来て餓鬼ができたから結婚させろといっている」
そのままヒカルと朱雀の間に沈黙が流れる。
「おい。何とかいえ」
業を煮やしたヒカルがせっつくと何かをヒカルに伝えて会話は終了した。
「座って、二人とも」
離れたところから見ていた亜衣と青龍に紫上がソファに座るように勧めた。それから一時間も経たずに朱雀と月夜が来た。
「お前がいくら頑張ったところで何の責任も取れない餓鬼だ。ここからは親同士の話だ。出来ちまったもんはしょうがねえ」
ヒカルは亜衣と青龍の前で朱雀と今後の相談をし始めた。
「大丈夫?」
月夜がキッチンにいる紫上にそっと近づく。
「え?僕は大丈夫ですよ」
紫上が微笑んだ。
「いや、亜衣ちゃんたちのことじゃなくて、リオちゃんのこと」
月夜に紫上がわずかに顔を歪める。
「やっぱり、大丈夫じゃ、ないよね」
月夜はぎゅっと紫上の手を握り締めた。
「そのままで聞いてくれ。亜衣も二十一歳になった。おまけに結婚もしてねえのに十五の餓鬼と餓鬼まで作ってな。もう自分の生い立ちを知ってもいい頃だ。亜衣に母親のこと、そして、お前の事を話そうと考えている」
ソファに座りスラックスの前を寛げたヒカルの肉棒に奉仕していた慧が顔を上げ、目を大きく見開いてヒカルを見上げる。ヒカルが慧の膨らむ頬を撫で自分の肉棒を確認するように目を細めた。
「亜衣はこれから出産を控えてナーバスになることもあるだろう。その時、お前が支えてやってくれ。紫上は最近体調が思わしくねえようだから」
(僕が叔父だと名乗っても良いんですか)
慧の目はそうヒカルに伝えていた。
「ああ。待たせたな」
ヒカルは立ち上がり慧の頭を掴んで律動した。ヒカルの足に抱きつくようにしがみ付く慧。ヒカルは慧の喉の奥深くを犯してイマラチオを仕掛けた。
「飲め」
ヒカルが下肢を震わせた。
ゴクリ。慧の喉仏が上下に動いた。それを確認したヒカルはズルリと肉棒を引き抜くと慧をソファに押し倒して衣服を剥ぎ取った。
「俺のを銜えながら勃たせてたのか」
一度の射精では萎えるはずのない肉棒を正常位で捻じ込む。慧は息を吐きながらヒカルの肉棒が定位置に収まるのを待った。
「院でも、お前にちょっかいかけてくる奴はいねえだろうな」
挿入の合間にヒカルが確認する。ミカの件があってからヒカルは定期的に慧に確かめる。慧は「はい」とだけ答えた。
「そろそろ外してやってもいいとは思うんだが」
ヒカルは慧のペニスの根元を締め付ける発信機つきのトレーニングバンドに手を伸ばす。慧のうっ血したペニスをスルリと撫でたヒカルが本格的に慧のペニスを擦る。
「んんっ」
慧が艶やかな声を上げた。
「あれから射精したいと駄々を捏ねねえな」
ヒカルがペニスを擦りながら律動を始めた。慧はヒカルが律動しやすいように両足を大きく開き掴んだ。
「へえ、いい心がけだ」
それに気を良くしたヒカルは膝立ちして起き上がり、持ち上がった慧の尻に楔を打つように穿つ。
「ああっ、んあっ」
打ちこまれる度に慧が喜びに咽ぶ。
「今日も射精抜きでイくか?」
質問形で慧にいうが、慧にとってこれは決定事項だった。
「ああ、あん、あんっ」
ヒカルの振り下ろす楔が容赦なく快楽の地雷を突く。そして擦られるペニスが慧にドライを許さない。
「まだこいつを擦りながら中でイけねえか?」
ヒカルが意地悪な質問をする。
「あん、あ、ああっ」
「だがそろそろ出来るようになろうな」
ヒカルは慧のペニスの裏筋を容赦なく擦る。うっ血していたペニスは赤くパンパンに充血している。
「ああっ、ああっ」
「段々紫色になってきたな」
ヒカルは顔色一つ変えずに中と外を責める。楔である肉棒が時間経過と共に巨大化しているように慧には感じられた。
「俺は先に出すからな」
下肢の動きを止め、ブルリと下肢を震わせたヒカルが、次の瞬間に苦痛に顔を歪めて小さく呻いた。そして空いている手で腰を摩る。夢中になっている慧はそれに気がつかない。
「あ、ああっ。イくっ、イくっ」
慧はヒカルの射精の衝撃に反射のようにドライで達した。
「はっ、ああ、あっ」
慧が息を整えている間、ヒカルは腰に手を宛てながら俯いていた。
「ヒカルさん?」
ヒカルの様子に気がついた慧が心配そうに起き上がってヒカルの顔を覗き込む。ヒカルの額に脂汗が滲んでいた。
「大丈夫ですか?」
慧がヒカルの下から抜け出そうとするが、ヒカルに組み敷かれているこの状態ではそれもままならなかった。
「大丈夫だ」
ヒカルは慧に心配をかけまいと平静を装いながら慧のバンドを緩める。
「大丈夫だからこのまま眠らせてくれ」
ヒカルは慧の体をそのまま抱きしめると奥歯を噛んで目を閉じた。そうしなけれは腰に走る痛みに声を出してしまいそうだったからだった。ドクン、ドクンとまるで腰に心臓があるかのように痛みが拍動する。ヒカルはその痛みが治まる三十分もの間、身動きすることもできなかった。
「昨晩は悪かったな」
いつものヒカルの様子にヒカルの腕の中で目覚めた慧がホッとする。
「病院に行かないと」
慧がヒカルを案じるがヒカルは「年のせいだな」と取り合わなかった。
「せっかくの土曜の朝だ、このままスんぞ」
一度挿入を解いたヒカルは慧を後ろから挿入れ直すと、慧のトレーニングバンドを取り払った。慧の動揺がヒカルに伝わる。
「昨晩は出来たんだ。もう出来るだろ」
ヒカルは律動することなく慧のペニスを擦り始めた。
「んああっ、ああっ」
ヒカルのスラリとした長い指にペニスを擦られながら不安の混じった喘ぎを慧が零すが、快感に正直な体は先走りと言う体液を滴らせる。
「根元、細くなったな。それでもお前のここは気持ち良さそうに涎、垂れ流してやがる」
ヒカルはペニスを擦りながら感慨にふける。
「七年も着けていたんだからな」
ヒカルは五本の指を絡ませ慧のペニスに蠢くように這わせる。
「や、んああっ」
慧が艶かしい啼き声を上げた。
「ちゃんと俺に見せろ。どうせ熱くなる」
ヒカルが布団を剥ぎ取り慧の体を片腕で羽交い絞めして覗き込んだ。
「先っ、出すほど気持ちいいのか。ピンクな頭、出てんぞ」
ヒカルは慧の亀頭を指で摘んだ。
「やぁっ!」
慧が叫ぶとヒカルは顔を覗かせた慧の亀頭の先を露出させる様に括れを締め付け、慧の射精を阻み下肢をゆったりと打ちつける。
「折角顔を出したんだ。可愛がってやらねーとな」
ヒカルが慧の亀頭を捏ねる。
その刺激に慧が啼く。
ヒカルは慧の亀頭をこれ以上ないほどに露出させ、鎌首を握りしめた。
「ん、やぁっ」
慧が嬌声をあげるとヒカルはリズミカルに律動を開始する。ヒカルに突き上げられ、亀頭の先を限界まで露わにされた慧が無意識に腰を振ると、ヒカルがそれを上回る勢いで律動する。
「何度言ったらわかるんだ」
「あっ、あっ、あっ、あっ」
ビクビクと震える振動と波打つような脈動がヒカルの手を通して伝わると共に慧の中も呼応するようにヒカルの肉棒を締め付ける。
「あんっ」
ヒカルは迷わすに射精しながらも、慧の腰に両腕を強く回し入れお互いを固定した。
「俺に出された女がどうするか、わかるよな」
「ああっ、あんっ、んっ」
慧がか細く啼く。
「ちゃんと女じゃねえか」
慧の奥を抉ぐるヒカルが嬉しそうにほくそ笑んだ。そして射精を我慢しながら下肢を突き出した。
次にヒカルは律動をも我慢しながら鎌首を締め付ける反対の手で亀頭からペニスの細く括れた根本を擦る。
「やぁ、あ、あんっ」
ビクビクと震える慧の中でヒカルの肉棒が息を吹き返す。
それを待っていたかの様にヒカルが肉棒を押し込む様に突き上げた。
「あんっ、イ、く」
たまらずに慧が嬌声をあげる。
「俺をイかせてくれ、お前の体で」
「ああーっ」
慧が体全体を痙攣させる。ヒカルは慧のペニスを握りながら羽交い絞めする腕に力を入れてしがみ付くと、天を突く様に下肢を押し付けた。
「ぁ、ぁぁっ」
放心したように慧が声を漏らす。ヒカルの肉棒が慧の中で一気に膨れ上がり弾ける瞬間、ヒカルは慧の下肢を足で破り開いて肉棒を奥深くへ突き刺し、そのまま揺りあげた。
「ダメなもんはダメだ」
ヒカルは天を突く様に激しく律動した。
「あんっ、ヒカルさ、出したらイっちゃ」
揺さぶられ大きく開脚させられた慧が条件反射でドライを迎える。
「ああ、気持ちいい。俺に出されてイくのも覚えてるな。もう、バンドは卒業だな」
ヒカルは芯の抜けたペニスを手放し、慧の胸へとターゲットを移す。しかし律動は止めなかった。
「あ、はあっ」
両手でコリコリとする粒を摘んでは指で擦り、陥没乳首のように根元に埋め込むように押し潰す。
「んああっ」
慧が蹲るように体を丸めるがヒカルの指はターゲットを追いかける。
「んんっ」
慧が体を丸めたことでヒカルの下肢に尻を押し付ける動作になり、ヒカルもグイグイと下肢を押し付け、ますます肉棒が深くめり込んだ。
「男を受け入れる女、いや、俺だけを受け止める女に、ちゃんとなろうな」
ヒカルが下肢全体を揺さぶる。
「んああっ、ああっ」
ヒカルが粒を可愛がれば可愛がるほど慧が体を丸め、同時にヒカルの肉棒を受け入れる。律動しながらヒカルは静かに起き上がった。シーツに顔を埋め体を丸める慧の下に膝を潜りこませて正座する。
「んああーっ」
肉棒を咥えヒカルの下肢の上に座る形の慧がとっさに顔を上げて叫んだが、ヒカルは慧の奥を突く。
「お前が自分でこの形にしたんだろ」
ヒカルが上体を屈めて慧の頭の横に顔をつけた。それでもヒカルは下肢を押しつける。
「出さずにイけるよな」
ヒカルの静かなる命令に慧がシーツに埋める顔をコクコクと頷かせた。ヒカルはピンと硬い粒の先を爪先で弾いては、根元に向ってグリグリと押し込む。慧はこれ以上ないほどに体を丸めた。
「あ、あっ。イく、またイく」
「陥没させるの、そんなにいいのか」
ヒカルは陥没乳首ばかりを繰り返した。
「あ、もう、もうイっ」
慧が体を硬直させるとヒカルは肉棒を限界まで押しこんだ。
「んああーっ」
ヒカルの肉棒に食らいつく中の反応に慧が啼く。その機に乗じてヒカルは下肢をこれでもかと潜り込ませ、慧の細腰を両手でがっしりと押さえつけた。そのまま間髪無く抽送を繰り返す。
「や、だめぇーっ」
慧がブルブルと体を震わせるのと呼応する様にヒカルが下肢を何度も押しつける。その度に慧は嬌声をあげた。ヒカルがいつもする中を捏ね回す行動を繰り返す。
「んっ、あ、あ」
「出さずにイけたんだろうな?」
彗が落ち着くのを待ちながらも荒い息を吐くヒカルは肉棒を押し込む。放心して脱力する慧にヒカルは射精してないなと念を押した。
「でもまだだ」
ヒカルが陥没乳首にむりやりさせては指の腹でぐりぐりと押し込める。
「んっ、だめ、それだめ」
ヒカルが粒を押し込む度に慧が小刻みに体を震わせる。そして肉棒に絡みつく慧の中も狂喜したように蠢き、慧が啜り啼く。
「出してやる。だが、わかってるよな」
慧に全体重をのせて押さえ込み、ヒカルが気持ち良さそうに射精した。
「あんっ、あんっ」
慧が体を震わせることでよりヒカルを中で感じる慧がドライへと上り詰める。それを加速させる様にヒカルは勢いよく半勃ちの下肢を打ち付けた。
「だめ、だめぇ」
「こんなに気持ち良さそうにしててダメなわけないだろ」
ヒカルはカエルの交尾のごとく慧にしがみつく。
ヒカルは肉棒が復活するまで慧の中で力を蓄える。
「ああーっ」
慧が顔を上げて咆哮を上げた。
「俺も、出してやる。散々イかせてやったんだ。そろそろ俺を抱け」
その勢いのままに締め付けられる肉棒も迷うことなくヒカルは開放する。ヒカルはその瞬間慧にしがみつく。そして慧の体をうつ伏せて慧の下腹部を持ち上げる。ヒカルは全体重をかけて上から押さえつけた。
「ぁ、ぁ、だめ、もう出しちゃだめ、イっちゃうから」
「昨晩はみっともねえ姿、見せちまったからな、はあーっ」
下半身を突き出し獣のような態勢でリズミカルに下肢を押し付けるヒカルがあまりの心地よさに声に出して射精する。ヒカルの肉棒が精を吐出し、奥に叩きつけられた慧が条件反射によるドライに身構える。ヒカルが慧の中に性液を染み込ませる様に小刻みに下肢を押し付ける。
「だめ、んっ、あ、イく、また、イくっああん」
「んっ、んっ、んっ」
ヒカルがベッドのスプリングを利用して慧の中を突き進む。
「ああっ、ああっ」
「んっ、んっ、んっ」
三度に渡り射精し終えたにも拘らずヒカルに押さえ込まれ、存在感のある肉棒がもっとイけと主張する。
ヒカルは慧を啼かせ続けた。その度にヒカルは慧の奥深くに肉棒を陣取らせ慧の奥深くをねっとりと揺すりあげる。
「あはっ、あんっ、あんっ」
力を失ってもなお存在を誇示するヒカルの肉棒が慧を導く。
「ん、は、ぁっ」
ヒカルの律動に揺さぶられベッドに押さえ込まれる慧がヒカルによって足を開かされた事で慧のペニスがシーツに押し潰される。ヒカルは上体をのけぞらせるほどに肉棒を押しこんだ。
「ここは俺の場所だ」
そう言うとヒカルは復活した肉棒を慧の最奥へと串刺して体を起こした。果てしもなく長い時間をかけたヒカルの射精は慧の体に直接言い渡す。
ヒカルの精を受け止める慧は快楽に啜り泣いた。
「もっと足開け。出してねえか確認させろ」
律動しながら腕立て伏せのままヒカルが慧に命令する。
「ああっ、ああっ」
射精後の律動に激しさを伴い嬌声を上げつつもおずおずと慧が従い両足をシーツに滑らせる。ヒカルは慧のペニスが暴発しない様に慎重に触れる。勃ち上がるペニスの根元から手探りでヒカルは確認した。
「んああっ」
「出してねえな。涎以外は。んっ、んっ、んっ」
確認し、安心した様にヒカルが声に出して律動する。そんなことはヒカルにはめったにないことだった。それだけヒカルが興奮している証拠だった。慧の中でヒカルは熱い肉棒をめり込ませる。
「バンドもなくなったことだしまずはたっぷり俺の匂い付けしねえとな」
ギシギシとベッドのスプリングが泣き喚く。
「ああっ、ああっ」
ヒカルが腿と腹筋に力を入れる。
「んああっ」
ヒカルの腹筋で上から押さえつけられ、下からは容赦なく抉られる。そして自分が出した先走りのぬめりによってペニスの至る所を愛撫される慧は啼き続けた。
「イく、イっちゃ」
ブルブルブル。慧が声も上げずに達するがヒカルの猛攻は留まるところを知らない。
「射精は許さねえからな」
ヒカルがまたしても確認する。慧は「我慢、しますから」と息も絶え絶えに答える。
「だめ、またイくっ」.
「俺はまだだ。中でなら好きなだけイけ。最後は俺に出されてイけばいい。んっ、んっ、んっ」
それから慧はヒカルの全体重をかけられ幾度もドライを繰り返し、ヒカルを喜ばせた。そしてヒカルも慧に覆い被さり下肢を引き寄せ精を吐き出すたびに満足そうにゆりゆると下肢を押し付け、気持ちよさそうに天上を見上げて幾度も息を吐いた。それからヒカルは慧の奥を抉り続け数度にわたり射精するほど攻め続けた。
「ああっ、あんっ」
「自覚しろ。お前は女だ。俺だけの。そろそろ腹が一杯だろ?
そうだ。俺の匂い、これでもかってくらい染み込ませねえとな」
尚も萎える事を知らないヒカルが起き上がりゆっくりと肉棒を出し入れすると肉棒に纏わりつく精液がぐぷっと音を立てた。ヒカルは慧の中の夥しい量の精液が溢れ出ないよう律動ではない出し入れを繰り返す。ヒカルの肉棒に纏わりつく精液がヒカルの熱で揮発しては肉棒を押し込んでまた新たに纏わりつかせ、大きく開いたペニスの傘がヒカルの精液を封印する様に接合部を堰き止める。精液を中に刷り込む様にする様は動物の群れのボスのよう。それが独占欲のようで慧は嬉しくなった。満足そうに暫くの間繰り返していたヒカルが「もう一回いけるな」と呟いて正座した。
そして律動を始めると慧の体の再び上から上体で押さえ込み慧の下肢を引き寄せ密着させると、気持ち良さそうに精を吐き出した。
「俺の精液、好きだろ。溢すなよ」
プチュプチュ音を立てながら挿入を繰り返しヒカルは慧の中を揺さぶり、迷わず射精した。ヒカルの独壇場とも言えるSEXに慧は受け入れる事しかできない。そしてインターバルの様に下肢を擦り付け中を捏ねられ復活を遂げる肉棒を受け入れ続けた。
「気持ちいい。もっと、して」
「好きなだけ啼いていいぞ。俺が次に出すまでな」
慧は胸、ペニス、睾丸と次々に責め立てられヒカルの宣言通り散々に啼かされることになった。
「あん、もう、だめ」
慧がピクリとも動かなくなると慧の体を繋がったまま仰向けにさせた。
「ふっ」
慧の下腹部を押し、自分の肉棒の位置を確認する。
「んんっ」
そして肉棒のその奥も探るように押した。慧が甘く声を出す。
「本当にお前は俺の精子が大好きだな。だからここまで入り込んだ俺の精子を掻き出されるのを嫌がるからな。慧、聞こえるか?」
慧が虚ろな瞳でヒカルに瞬きした。
「俺の穴、締めておけよ。射精はまた今度、気が向いたらな」
ヒカルはトレーニングバンドを装着させたときのようにギュッとペニスの根元を握り締めた。
「ううっ」
慧がわずかに顔をゆがませヒカルの肉棒を締め付けた。ヒカルはそのまま精液を解き放ち満足するようにずるりと肉棒を引き抜いた。
「あんっ」
喪失感に慧が残念そうな顔で喘いだ。ヒカルは慧を抱き上げてバスルームへと連れて行くと体の表面の汚れを洗い流し、寝室で寝かせてやった。イき疲れて眠る慧を見下ろしたヒカルが慧の頬をそっと撫でる。そして硬いままの肉棒を挿入した。
「勇輝はたぶん手放すことになるだろう。だが、お前と紫上は俺が死ぬまで俺の女だ」
意識のない慧を抱き、中出しの射精と共にヒカルは匂いつけをした後、紫上と亜衣の待つ東南の町(SET)へと戻っていった。
「お兄ちゃん、あたし、子供が、できた、みたい」
ラブホテルの薄ぐらい明かりに照らされるリオの告白に柏木が驚きのあまり飛び起きた。
「どうしよう」
リオの素肌が柏木に絡みつく。リオの婚約者は叔父でありCEOのヒカルである。落葉との結婚生活は決して険悪ではない。むしろ落葉とは良好な関係を保っている。しかしリオという存在に男としての高揚感と満足感を初めて得た柏木にとってリオは危険な毒だった。柏木は改めて自分の侵した罪の重大さを痛切に感じた。
CEOの執務室で月夜が怒鳴る。
「ったく。毎度毎度、わざわざここまで来てその話か。お前もしつこいな」
ヒカルがうんざりとした顔で月夜を見る。
「その話か。じゃないよ。大事なこと」
リオと籍を入れる話に、紫上の事を心配する月夜がこうして説得に来るのだった。
「七年前にその話は決まっている。一番最初に紫上には伝えているし、あいつも納得している」
「伝えただけで相談したわけじゃないだろ。紫上君の気持ちを聞いたのかってこと」
入籍を翌年に控え、残りの時間が少なくなったことで月夜が焦りを募らせるが、ヒカルは頑として受け付けなかった。
「仕事の話じゃねえならこれで終いだ」
ヒカルが席を立った。
「待ってよ。話はまだ終わってない」
月夜も引かないが、ヒカルは執務室を出て行った。
「絶対後悔するからね、ヒカル」
一人取り残された月夜が拳を握り締めた。
「あのぉ、お部屋、探してるんですけど」
女子大生風のう女が常陸不動産を訪れた。
「いらっしゃいませ。どんなん、探しとるん?」
そこへサングラスをかけた長身の金髪男が接客した。
「え?えっと。他に誰かいないんですか?」
女子大生風の女がきょろきょろと辺りを見回すと、奥から勇輝が現れた。
「もお。アベル君はいいから、奥にいて」
サングラスの長身男はアベル ジョーンズだった。ヒカルに宣戦布告したアベルはその足で常陸不動産に戻ると勇輝に腰を折って謝罪した。リックが勇輝に好意を寄せているのではなく、本当は自分であること。照れ隠しと冗談のつもりでリックと芝居を打ったこと。オモシロイ外国人を演じることで勇輝の気を引こうとしたこと。勇輝は素直に謝罪を受け入れたが自分に好意を寄せていることに関しては信じられないと否定した。アベルは自分の気持ちが本物である事を証明するといいだし、この常陸不動産でボランティアで働く事を提案してきた。セレブの気まぐれにどうせ長くは続かないだろうと勇輝が承諾してから七年が経っていた。
条件が合わなかった女子大生風の女が帰るとアベルがひょっこりと出てきた。
「何でわしが怒られなあかんねん。サングラスせ、言うたんはユーキやろ」
アベルが勇輝に憤慨した。
「だってサングラス外したアベル君はかっこいいから、特にああいう若い子は商談どころじゃなくなるの。そういう意味。それに女性客は接客しなくていいからって言ったよね」
勇輝も負けてはいない。
「せやかてさっきのはしゃあないやろ」
「その言葉使い。そのなんちゃっての変な関西弁、禁止っていったでしょ」
勇輝がアベルを諌めた。
「本当に、かっこいいって思ってくれてる?」
サングラスを外して上着のポケットに仕舞い込んだアベルが口調を変えて勇輝を壁際に追い込んだ。
「どうですか?壁ドン。女子に人気なんでしょ」
アベルが勇輝を見つめた。
「あのねえ。僕はもう四十七歳になるの。アベル君より二十歳も上なの」
勇輝が居心地が悪そうに視線を逸らした。
「年齢なんて関係ない。私の天使」
アベルがさらさらの勇輝の髪の毛を一房掬ってキスをした。
「いつになったら私を受け入れてくれるの?」
アベルが勇輝の手を取る。
「だから。僕にはヒカルさんと言う」
「それ、何度も言うね。でもあいつはユーキの他にワイフが二人いる。私はそんなことはしません」
握った手にアベルがキスを落とす。
「私のものになってください、ユーキ。大切にします」
少し垂れ眼で甘いマスクの整った顔が、唇が触れそうなほど近づくと勇輝が赤面した。
「このまま、キスしていい?」
アベルの言葉が勇輝の体を縛りつける。
「Yesと言って、ユーキ」
体が固まって身動きの取れない勇輝がギュッと眼を瞑った。
チュッ。
勇輝はおでこにアベルの熱を感じた。
「可愛い。そのまま私を意識してください」
チュッ。再びアベルの熱が勇輝のおでこに触れる。勇輝はその熱が体中に波及するのではないかと感じる程長い間離れなかった。
「もうすぐ寝る時間だけどヒカル君、来ないかな。でももうこの時間だったら来ないよね」
昼間のアベルに体の熱を持て余す勇輝がぼそりと呟いた。
「呼んだか?」
そこへ都合よくヒカルが現れた。勇輝はうれしさのあまりヒカルに抱きついた。
「抱いて」
勇輝はアベルの痕跡を拭い去りたい一心でヒカルにお願いした。
「んっ、んっ」
ベッドに寝転んだヒカルの顔を跨ぐ勇輝がヒカルの肉棒を大きく頬張る。チロチロと肉棒の先を擽り、太い竿を下唇で扱く。気持ち良さにヒカルがクイッ、クイッ、と、下肢を上下させながら、勇輝の頭に手を当て、滑り落ちた髪を勇輝の耳にかける。
「そんなに欲しかったのか」
ヒカルは勇輝に咥えさせたまま下肢を引き寄せ、体勢を変えた。目の前で硬く主張するペニスが、勇輝の興奮を物語っていた。それをほくそ笑んで見つめながら睾丸を揉みしだくと勇輝のペニスが触れずとも震えた。ヒカルが勇輝の睾丸を弄ぶ。弾力のある大小の二つを手に収めるとそのうちの一つの芯を捕らえて押し潰す。
「んあっ」
勇輝が声を上げて仰け反ると、先走りがヒカルの頬を伝い降りる。
「すっかり胸よりもこっちの方が反応がよくなったな」
ヒカルが再びほくそ笑む。
「ああっ、ああっ」
勇輝が肉棒への奉仕を怠るほど喘いだ。
「大好きなフェラどころじゃねえか。仕方ねえな、挿入れてやる」
ヒカルは後ろから勇輝に挿入すると間髪入れずに律動を始めた。
「あっ、あっ、あっ」
小刻みなヒカルの律動に勇輝が同じリズムで喘ぐ。
「あんっ、あんっ」
ヒカルが緩急をつけるとその通りに勇輝が声を上げる。すると、ヒカルは勇輝のペニスをやんわりと握った。
「あっ、あっ、あっ」
そしてまた同じリズムに戻すと勇輝の声色がトーンを上げた。
「もうイきてえのか。早いな」
ヒカルは勇輝の足を閉じさせると勇輝の背に覆い被さった。
「お前にしては玉も竿もずっしりと重くなってやがる」
ヒカルはぴったりと体をつけると勇輝のペニスを堰き止めるように握りながら肉棒を突き上げた。
「だが、先に出すんじゃねえぞ!俺が先だ。出すぞ」
ヒカルは限界まで下肢を押し付けた。
「ぁ、ぁぁ。熱いの、来た」
勇輝が喚起の声を弱弱しく上げる。
「わかってるだろうがまずは俺からだ」
ヒカルは勇輝の中に出し切るように下肢を何度も押し付ける。
「ん、んふっ」
何度も下肢を揺すられ勇輝がヒカルの精を受けるたびに鼻音を上げる。ヒカルはそのままゆったりと下肢を押し込みながら気持ち良さそうに吐息を吐き出した。ヒカルは射精してなおも律動をやめなかった。
「俺の精液で腹が膨れてその圧力でお前のいいとこ、締め付けんだろ。これだけでも十分気持ち良さそうだな」
下肢を蠢かせながらヒカルは傍にあるティッシュを高速で何枚も引き出すと膨れ上がった勇輝のペニスをそれで覆い、下肢を小刻みに押し込んだ。ヒカルの指に促され勇輝が無理矢理に射精させられた。
「や、ぁ、ん」
ヒカルは自らの精液を勇輝の中に押し込み、勇輝の下肢を引き寄せると律動とともに射精を繰り返しながら勇輝のペニスを扱いて射精を無理矢理に引き出した。
「あんっ、あっ、ああ」
勇輝が激しく啼いた。ヒカルが満足する頃には勇輝のペニスはだらしなく垂れ下がっていた。
「もう良いだけ出したから今日はもういいよな。遅いからお前の中で眠ることにした」
そう言うと、ヒカルは勇輝のペニスを握りしめた。
「あんっ!え、何?」
勇輝はヒカルが何をいったのか理解できなかった。
「朝までお前と一緒にいると言ったんだ」
ヒカルは律動と共に堰き止めている手を緩めて勇輝のペニスを扱いた。
「んやああーっ」
勇輝がティッシュの中に最後の精液を撒き散らす。
「んんっ」
射精で一気に解放される感覚に勇輝が力んだ。律動をやめずに起き上がったヒカルは宛がっていたティッシュに絡みつく勇輝の吐き出したそれを確認すると、匂いを嗅いだ。
「濃い匂いだな」
素早く新たなティッシュで再び勇輝のペニスを覆い被せた。
「だったらお前が出し切るのを確認しねえとな」
ヒカルはもう片方の手で勇輝のペニスを扱いた。
「んーっ」
勇輝がまたしても甘く力む。中の締め付けにヒカルが勇輝の射精を悟りながらもペニスを扱く手は緩めない。それどころかまたしても律動を早めた。
「んっ、んっあっ」
勇輝が無理やりの開放にベッドに肘をついて耐える。
「もう少し強く奥突いてやるか」
ヒカルが絞り出す様に勇輝のペニスを扱く手と自らの下肢の律動をリンクさせる。
「んっ、んんっ」
泣きそうに声を小さく上げる勇輝が体をブルブルと震わせたが、絞り出す手は緩めずに勇輝の中で気持ち良さそうにヒカルが射精した。
「あっ、もう、もうっ」
勇輝が悲痛な声を上げるたびにヒカルは芯の無くなった中の肉棒で押し込む様に奥を抉ることを繰り返した。程なく勢いを取り戻したヒカルが勇輝の中を揺さ振る。
「ちゃんと飲み込んでるな」
ヒカルは下肢の密着を深め、確認する様に復活した熱い肉棒で勇輝の中を捏ね回す。
「あっ、あっ」
勇輝はヒカルの刻むリズムに啼き声で呼応する事しかできなくなった。その頃には勇輝のペニスはだらし無く垂れ下がり、だらだらと精液ではない体液を垂れ流すだけだった。
「お前が出し切るまでやめねえからな」ヒカルは同じ動作をひたすらに続けた。
「出し切ったか」
ヒカルは勇輝のペニスを綺麗に拭き取ると繋がったまま後ろから抱き締めたままごろりと横になり、掛け布団で二人の体を覆った。初めてのヒカルの行動に勇輝が驚いたが、次の瞬間には何も考えられなくなった。
「良い女になったもんだ」
勇輝の細腰を掴んで律動で勇輝を攻めるヒカル。啼きながらも勇輝はヒカルが紡ぎ出すリズムに女としての快楽を感受していた。
「復活したし褒美、やるか」
体勢を変えたヒカルは勇輝の尻を高く上げさせ、上から串刺すかのごとく覆い被さった。
「あんっ、あんっ」
ヒカルの大きな手が勇輝のふにゃふにゃのペニスと睾丸を一纏めに握り揉みこみ始めた。もう一方の手は勇輝のツルツルの下肢を撫でる。
「お前と眠るのは初めてだな」
すっぽりと体ごとヒカルに包みこまれる勇輝に、これでもかと肉棒を押し付ける。
「安心しろ、ちゃんと一番奥、突いてやる」
「イく、イく」
ヒカルによって睾丸が最も優秀な性感帯へと変貌させられた勇輝が限界を告げる。
ヒカルが接合を強めた。
「ああ、好きなだけ中でイけ。疲れて眠りにつくくらいに」
「ああーっ」
勇輝の中がヒカルの肉棒に力強くくらいつく。ヒカルは勇輝の大腿を持ち上げその心地よさに目を閉じ、迷わずに精を解き放つ瞬間に起き上がって勇輝の最奥を規格外の亀頭でリズミカルに擦り続けた。勇輝の全身がブルブルとふるえた。ヒカルは勇輝のペニスから精液を絞り出す様に尚もしごき続けた。
「俺の女に射精はいらねえ」
ヒカルはそれからもしつこく勇輝のペニスを扱きながらも勇輝の奥を抉る事を止めなかった。その頃には勇輝のペニスは力を失い、小さくなりヒカルの手の中にすっぽりとおさまり喜びの滴を溢れさせていた。
「俺の手がびしょ濡れだ。だが最後の残り一滴まで精子出し切るまでは続けるからな」
すぐに復活したヒカルが下肢をめり込ませ、無理やり露出させた勇輝の亀頭を責め始める。
「んあああっー」
勇輝は体を硬直させ、覆い被さるヒカルに身を任せた。
ヒカルは下肢を律動させ勇輝に女である事を植え付けるために奥を抉り続けた。
だらしなく精液と体液を垂れ流す勇輝の目が虚ろになっていった。ヒカルは律動しながら勇輝の亀頭を責め続けた。
ビュッ!
「ったく、堪え性がねえな。男みてえに出しちまったか。俺が突いていてやるからちゃんと垂れ流せ」
ヒカルが勇輝の中を強く抉ぐる。その度に勇輝が残渣を射精しそうになるとヒカルは勇輝のペニスをキツく握りしめ、勇輝の射精を阻み我先に精を押し込んだ。そして男としての快楽を阻まれたまま絶対的な雄であるヒカルに律動される勇輝は揺さぶられる女と化すしか無かった。
「俺の女には本能は要らねえ」
勇輝の記憶はそこで途切れた。
ゆ
「あんっ、あんっ、あんっ」
勇輝は自分の喘ぎ声でぼんやりと目を覚ました。
(僕、寝てた?)
「あんっ、あっ」
ヒカルの手は勇輝のペニスと睾丸をいまだに揉み込んでいた。
「あっ、イくっ」
何度目かの絶頂が一気に勇輝を覚醒させた。ヒカルがグググッと下肢を押し付ける。
「ぁぁ。出て、る。ヒカル君の。ヒカル君?」
勇輝がヒカルを呼ぶが返事はなかった。
「寝てる、の?」
ンッと気持ち良さそうな声を出した後、ヒカルの寝息が勇輝の耳を擽る。
「寝てる。本当に朝まで一緒にいてくれるんだ」
勇輝は嬉しくなったが、またヒカルの手が活動を再開する。
(えー?ヒカル君って寝てるときもスるの?)
勇輝は動揺を隠し切れないが、優秀な性感帯を刺激され勇輝の快楽は文字通りヒカルの手の中にある。勇輝はイき疲れて眠りについては自分の喘ぎで起きる事を繰り返した。
「起きろ、朝だ」
浅い眠りを繰り返した勇輝はヒカルに起こされた。
「あ、あ、あ」
ヒカルの肉棒に背後から貫かれ、勇輝の中でビクビクと肉棒の震える振動が、ヒカルの射精が間もなくを告げていた。
「出すぞ」
「ぁ、お腹苦しい」
勇輝が昨夜から受け止めたヒカルの精液に本音を呟いた。
「だろうな、お前が寝てる間にだいぶ射精したからな。後でちゃんと掻き出してやるから苦しくても受け止めろ」
勇輝のその意味を知るヒカルもまた同調して下肢を震わせる瞬間、体を押しつけて勇輝の最奥に肉棒を潜り込ませた。射精する間中、ヒカルは勇輝の下肢を力強く引き寄せて最奥に亀頭を擦り付けた。
「何だあれでもイケなかったのか」
満足気にヒカルが律動を再開する。
「イカせてやる」
ヒカルが勇輝に覆い被さり互いの下肢を突き上げていきり立つ肉棒をねじ込む。強い刺激に時折逃れようとする勇輝の細腰をつかみ引き寄せながら肉棒を食い込ませ、勇輝の体に絡みついて身動きを封じながら射精する事を繰り返し、射精までの激しい律動と、射精後のゆったりとしたもどかしい律動に勇輝は翻弄させられた。
「あんっ、ああっ」
その度に勇輝が切なく啼いた。
「洗ってやる。自分の足、持ち上げてろ」
余韻を貪りながら律動を繰り返すヒカルのいう通りに勇輝がM字開脚するとヒカルは勇輝の体を繋がったまま持ち上げた。
「あっ」
「穴締めてねえと溢れ出てくるからな」
ヒカルは軽々と勇輝を持ち上げてすたすたと廊下を歩く。
「あんっ、あんっ、あんっ」
階段を下りる度ヒカルの肉棒から勇輝の体にダイレクトに振動を伝える。
「あまり啼くな。また勃つ」
バスルームでようやくヒカルが肉棒を引き抜いて勇輝の尻を見るようにしゃがみ込んだ。
ゴプッ、ゴプッ。
ヒカルの精液が勇輝の尻から勢いよく溢れ出る。ヒカルはある程度掻きだすとシャワーで綺麗に洗った。
「お前も朝勃ちしねえんだな」
鏡越しに勇輝のペニスを見ていたヒカルが一言。
(そういえば)
ヒカルに頻繁に抱かれるようになってから、いつの頃からか勇輝は朝勃ちしなくなっていた。
「そうだね。ヒカル君の女になる前までは時々あったけど。もっ、て?」
勇輝が昔を思い出す。ヒカルは勇輝の体を自分のほうに向かせた。
「慧もだ。俺の許しがねえと射精できねえから、勃っても無駄だと体が覚えたんだろうな。足開け。褒美だ」
ヒカルは勇輝の睾丸を吸い付く様に口に含んだ。ヒカルの口内に勇輝の睾丸が吸い込まれた。
「んああっ」
クチュクチュとヒカルの唾液の音がバスルームに反響する。
「あっ、だめ、勃っちゃう」
勇輝が涙目でヒカルに縋るような睨むような視線を送る。
「あんっ」
「朝勃ちはしねえくせにちょっとここ舐めただけで半勃ちかよ」
チュポンと勇輝の睾丸を吐き出したヒカルがニヤリと含み笑いをしてまた睾丸を食む。
「あっ、ああっ」
勇輝のペニスが瞬く間に起立した。
「あっと言う間だな。勃つのが。それだけここが気に入ったってことだな」
「あはっんっ」
ヒカルは勇輝の鎌首をきつく握りしめヒカルがふにふにと睾丸を弄る姿を涙目の勇輝がうらめしそうにヒカルを見ていた。
「ちょっとやり過ぎたか。これじゃ、もう治まんねえよな」
ヒカルは立ち上がると背後から勇輝を抱きしめて一気に肉棒を挿入れた。
「あんまり時間とれねえぞ。勃たせてもいいがそれは女として解消しねえとな」
ヒカルが律動しながら勇輝の睾丸を握り締める。
「や、やだ。出すのやだ」
射精を拒む勇輝が暴れ出し首を振る。
「大丈夫だ。出さねえでイかせてやるから。それに、もう空っぽだろうが」
「あんっ、あんっ」
勇輝が啼いた矢先、わずかに勇輝が精を放つ。ヒカルは勇輝のペニスの根本を急いで握った。
「まだ残っていたか。だが誰が出していいと許した?
俺がお前の中にいる時は、お前の好きにさせてやろうと思ったが俺が次に出す前に、いらねえもんを出す悪癖を治してやるか」
ヒカルは律動を繰り返し勇輝の射精を幾度も阻み、自らは気持ち良さそうに射精しながら、勇輝を揺さぶった。
バスルームがシャワーの熱気と二人の熱気につつまれる。ヒカルの小刻みな律動が速度を上げ、ヒカルが下肢を突き出した。
「俺が治まらねえ」
「んんああーっ」
勇輝が一啼きして体を震わせる。
「んっ、んっ、んっ」
勇輝の奥に射精しながら、精液を押し込むように三度声に出して勇輝の奥を突き上げた。そして「うっ」と気持ち良さそうに息を止めた後、息を吐き出した。
昨晩からのぶっ続けの行為に勇輝はくたりと体の力を抜いた。
「やべえな。やっぱ一回じゃ、無理だな」
ヒカルは下肢を本格的に打ちつけ始めた。
(ヒカル君、どれだけ絶倫なの)
勇輝は気を失わないように意識を保ち続けた。体の力の抜けた勇輝は奥を震わせることしか出来ずにタイルの床に崩れ落ちるとヒカルもまたしゃがみ込んで勇輝の体に追いすがり、下肢を益々押し付け揺さぶり続けた。
「悪い、勢いづいちまった」
ヒカルは律動に拍車をかけ、自らの快楽を追求し始めた。
そして勇輝の体に絡みついて小刻みに律動する。
一連の行為が終わりを告げると「俺と朝を迎えるということは、こういう事だ」ヒカルは勇輝に言い聞かせる様に勇輝の中に出したヒカルの精子をいつまでもこね回し続けた。
「おい、緩ませるな。俺のを溢さねえ様にしっかりと穴、締めておけ」
快楽の後の雄の主張に勇輝は虚ろな眼差しで感受するほかなかった。インターバルともいえるヒカルの律動でしばらくすると二人の接合部が、泡立った様なクヂュクヂュと言う音が反響する。
「俺はこの瞬間が何より気に入ってんだ。俺の女に俺の濃い匂いを擦り付ける。いわゆるマーキングってやつがな」
次第に揮発したヒカルの精子がネットリと濃さを増す。ヒカルは縦横無尽に下肢を蠢かせそれを攪拌する様に混ぜあげる。時折勇輝の尻を破り開き力強く押し込みながら。
ヒカルは勇輝に射精させないように下肢を揺らし続けた。
「抜いてやらねえからな。昨晩のお前は少しいつもとは違っていたな。あいつが原因か?」
ヒカルはいつも以上に勇輝に絡みついた。
勇輝と軽く朝食を摂りながらヒカルはアベルの事を尋ねた。
「アベル君、もう七年も僕のことが好きだって。すぐ英国に帰っちゃうと思ってたのに、七年だよ。信じられないよね、あんなかっこいい子がさ、僕みたいなのが好きだって。もっと他にいるはずだよね」
ヒカルは勇輝の心が揺らいでいるのを感じた。いや、アベルに宣戦布告されたときからこうなることはヒカルには予想がついていた。だが、アベルを勇輝から引き離そうとは思わなかった。勇輝がヒカルに好意を寄せているのは好意ではなく単なる刷り込みと知っているからだった。ひな鳥が初めて目にしたものを親だと勘違いする様に、初めて勇輝の体を拓いたヒカルに対する感情が愛情だと誤認していると判っていたからだった。紫上は自分が欲して引取り、紫上が望んで体を拓いた生涯のパートナー。慧は亜衣の叔父で共にドバイで暮らし、ヒカル以外に頼れる人物もなくヒカルに好意を寄せる一念で日本まで亜衣を連れ、育てた恩人。しかし勇輝は愛されることを知らない。
『俺が愛してやる』
高校生の時にヒカルは勇輝にそう言った。しかしそれは愛してくれる人物が現れなかったらの話。今はアベルがいる。七年もの歳月を賭けて勇輝を本気で口説いている。
アベルが勇輝に本当の愛情を教えてくれる、ヒカルは初めてアベルの目を見た時に確信していたのだった。
「七年も中途半端な気持ちでお前に付き合うほどあいつも暇じゃねえだろ。そこんとこ良く考えるんだな」
ヒカルは勇輝に自分で結論を出させるためあえて冷たく突き放した。
「もう一回だ」
ヒカルはこれでもかと言わんばかりに勇輝を啼かせた。
「また、出したくならねえ様に処理しとこうな」
ヒカルは射精しない様に勇輝のペニスを握りながら奥を抉った。
勇輝はただただ、されるがままに啼き続け、ヒカルの精液受け入れた。
「まさか堅物だと思っていた父さんに隠し子がいたとはね」
リビングで寛ぐ月夜が朱雀を見上げた。
「私も驚いています。二十二歳になるのでしょう?まあ、早くにおばあ様を亡くされてお寂しかったのでしょうね」
月夜に膝枕をする朱雀がテレビのリモコンでチャンネルを変えた。
「【森下 落葉】(Morisita Ochiba)っていったけ?母親が最近病死したから父さんが引き取ることにしたんだって。どうするつもりだろうね」
月夜は関心なさそうに欠伸をした。
「さあ、私たちには分かりませんよ」
朱雀は眠そうにする月夜を寝かせようとテレビのスイッチを切った。
七年前アベル ジョーンズが日本に留まることでリチャード スミスは日本と英国は年に十数回の往復を繰り返していた。跡継ぎであるアベルの愚考に父であるアーシャー ジョーンズは他国での社会勉強と寛大な計らいをした。
「リック、アベルはどうしている?庶民の生活に不満を溢しているのではないか?あいつは苦労などしたことのない奴だ。日本の零細企業でボランティアなど、すぐに逃げ出すかと思いきや」
アーシャーがリックにウィスキーを手渡す。
「いえ、楽しそうにしています。アベルはユーキに出会って確実に何かが変わっていますね。それまでは何をするにも中途半端で飽き性だったアベルが、です」
アベルの側近であるリックがアーシャーに報告する。
「七年か、そろそろ私の跡継ぎとして戻ってもらわねばな」
アーシャーが革張りのチェアーに凭れてリックを見据えた。
「三十歳の誕生日までは許す。そう伝えてくれ」
アーシャーはアベルに三十歳までの期限を設けた。
日本の地に降り立ったリックはアベルの住むマンションではなく別の場所へと足を向けた。この日は土砂降りの雨だった。
「あら、リックさん、いらっしゃい」
リックが小料理屋 新子(Sinko)の暖簾をくぐると女将の【木村 洋子】(Kimura Yoko)が声をかけた。
「こんばんわ」
リックが慣れたようにカウンターの奥の席に腰掛けた。
「んー、いい匂いですね」
リックがクンクンと匂いの元を探る。
「あら、相変わらず鼻が利くわね。ちょうど里芋の煮っ転がしが出来たところなのよ」
洋子がカウンター越しにお絞りを渡す。
「いいですね。それ、いただきます。あと」
「とりあえずビール。と、いつもの、でしょ?」
洋子がリックにウィンクした。
「ただいま戻りました」
入り口から一人の従業員らしき人物が入ってきた。
「お帰りなさい、ミカちゃん。悪いわね、こんな日にお使い頼んじゃって」
洋子がミカと呼んだ人物に微笑んだ。
「いいえ。すぐ近くですから」
その人物も洋子に屈託のない笑みを向けた。その人物はミカエラ クリスティーヌ、かつて慧と同じ大学に通い覚せい剤取締法で逮捕されたミカだった。一年六ヵ月の実刑判決と三年の執行猶予が下されてから何処にも行くあてのないミカを受け入れてくれたのが洋子だった。従業員募集(住み込み可)。店の張り紙を見たというミカの当時の状態は悲壮感が漂い、思い詰めている風だった。洋子が履歴書に目を通す間、ミカは身を小さくしていた。賞罰に覚せい剤使用の記載が洋子の眉間にしわを寄せる。しかし、ミカを哀れに思った洋子は住み込みでミカを雇い入れたのだった。
「来てるわよ、リックさんが」
洋子がミカにウィンクするとミカがいつもの場所に視線を走らせた。
「い、いらっしゃい、ませ」
ミカがお辞儀するとリックも軽く会釈してにっこりと微笑むとミカがはにかんだ様に笑みを浮かべた。
「ミカちゃん、いつもの、お出ししてあげて」
二人に漂う空気に洋子が気を利かせるように頼むと「はい」と返事をしたミカがバックヤードへと足早に消える。
「もう五年も通ってるんだし、ミカちゃんも満更じゃないみたいなんだから、リックさんそろそろはっきりさせたら?」
洋子がリックの背中を押した。
「お待たせしました。どうぞ」
エプロン姿のミカがリックの前に器を置いた。
「今日の新子はミカちゃんが仕込んだのよ。味は保障するわ」
洋子に褒められたミカが嬉しそうにお盆を胸に抱く。
五年前、ふらりとこの店に入ったリックが店の名前に興味を持ち洋子に尋ねると魚の名前であると洋子は伝えた。新子はシンコ、コハダの幼魚名で、鰤(Buri)と同じように成長するに従ってシンコ、コハダ、ナカズミ、コノシロと名前を変える魚だとも説明した。初めて食べる新子が気に入ったリックはそれ以来必ず頼むのだった。
リックが新子にわさびを乗せ、軽くしょうゆを付けてぱくりと口に入れた。がたいの良いリックが背を丸めて食する姿はまるで熊のようだった。
「おいしいです」
リックが目を輝かせてミカに笑いかけるとミカが立ちすくんだまま頬を赤らめた。
「あらあら」
それを見た洋子が視線を二人に向けながら小さく微笑んだ。
それから〆のお茶漬けを三杯も平らげたリックが満足そうにお腹を摩った。
「ねえ、リックさん。今日はこの雨だし、もう店じまいにしようと思うの。三十分ほどで終わるから座って待っててもらえるかしら。たまにはミカちゃんの話し相手になってあげてくれない?」
含みのある言い方をした洋子がリックにウィンクした。
「え、女将さん?いいですよ」
ミカが真っ赤になって手を振って辞退する。
「五年も通ってくださる常連さんなのよ。ミカちゃんには断る権利はありません」
ピシャリとミカの辞退を門前払いした洋子が後片付けをはじめた。
「じゃあ、私は帰るから鍵、よろしくね」
前に洋子が住んでいた二階に間借りしているミカに後を頼み、リックに向けてウィンクした洋子が傘を手に店を後にした。
「あの、女将さん」
待ってくれと言いたげなミカの手が心なしか震えていた。
「座りませんか?」
リックがミカに席を勧めるとミカがちょこんとリックの隣の席に座った。
二人の間に微妙な間が流れる。
「ミカさん」
「僕ね」
二人が同時に口を開いた。
「先に僕から言わせて」
ミカが緊張した面持ちでリックに向き合った。
「僕ね、前科があるの。わかるかな?前科ってね警察に捕まったことがあって、それが、その」
ミカが言いだし辛そうに下を向いた。
「知っています。女将さんに聞きました」
リックがフォローするように口を開いた。洋子は早い段階でリックが新子目当てでこの店に通っているのではないと気がついていた。しかし前科のあることを知らぬままではいつか二人の間に埋めることの出来ない溝ができるかもしれないとも感じていた洋子が全て話していたのだった。
リックがミカの手を取り両手で包み込む。
「罪は償ったのでしょう?それならもうミカさんには何も後ろ目たいことはない筈です」
リックが真剣な眼差しでミカの目を覗き込む。
「私はミカさんが好きです」
「でも」
ミカが反論しようとするとリックがそれを止めるようにミカの頬に手を当てミカの下唇を体格に見合った親指で摩る。
「ミカさんは私のことが嫌いですか?」
下唇を摩る指が唇の輪郭を辿る。言葉がでないミカの代わりにリックが囁く。
「それはNoですよね。では私のことが好きですか?」
唇を摩られるミカが暗示にかかったように目の力が薄れていく。
「Yes、と言ってください」
リックの指がミカの唇を割って前歯を擦る。
「い、イエス」
ミカがやっとのことで言葉にした。
「Good boy」
リックの碧眼が妖艶を放つ。それに魅入られたかのようにミカは動くことが出来ない。リックはミカの前歯の裏側を撫で、歯列を指で辿る。
「あっ」
ミカの唾液が唇の端から流れた。
「気持ちいい?」
リックが顎まで垂れたミカの唾液に唇を寄せて吸い取ると肉厚な舌先で顎から唇へと向かってゆっくりと舐めた。
「あと少しで口だけど、拒まないならKissしますよ」
魅入られたままのミカは何も言葉を発っしない。それどころか口内をリックの指で擽られる心地よさにますます唾液を溢れさせた。
「黙っていたらYesと取りますよ」
再び垂れた唾液を舐めたリックがミカの唇を塞いだ。リックの肉厚の舌がミカの口内をまさぐる。
「んっ、んっ」
ミカがリックの舌に応えると口内に瞬く間に唾液が溢れる。リックは下からキスするように角度を変えて自分の口内に流れ込むミカの唾液を嚥下した。
「ずいぶんと感じやすいですね」
リックが口を離すとミカが目をとろんとさせていた。
「Good Boy.Have sex.I want you」
言葉がうまく出ないミカは頷くだけで精一杯だった。
「Good. 部屋、どこですか?」
「に、二階。でも鍵、鍵閉めないと」
とっさにミカが立ち上がって店の鍵を閉めた。
「早く、ミカが欲しい」
鍵を閉め終えたミカを後ろからリックが抱き締める。華奢で小柄なミカはリックの胸の辺りまでしか身長がないため立ち上がったリックは熊そのものだった。
二階に移動した二人は慌しく引いた布団の上ですぐさま抱き合った。お互いの服を脱がせ、裸体を晒すミカ、そしてボクサーパンツ姿のリック。
「ここもGood Boy.So cute」
勃ち上がるミカのペニスを見たリックが感動したように呟く。キュート。そういわれたのが恥ずかしくなったミカは下肢を手で覆い隠そうとした。
「No no no」
それをリックが止めると舌なめずりをした。
「ミカのCute食べて見たいです。これが俗にいう別腹ですね」
リックはぱくりと口に含むと肉厚の舌を蠢かす。
「んああっ」
ミカが大きく啼いた。リックはミカのペニスを唇で扱き上げた。
「だめ、イクぅっ」
ミカがリックの口内にあっけなく精を吐き出すとリックはそれを自分の手の平に出した。
「ずいぶん濃いですね」
リックが独り言のように呟いた。
「だって、もう七年も誰ともシてないし。自分でもスる気にならなかったから」
ミカの告白にリックが微笑んだ。
「それならミカのSecond virginいただきます」
リックはミカの精液を潤滑油代わりに尻に塗り込めた。硬く閉じる入り口を丹念に綻ばせ太い指を埋める。ズズズと進入してくる久しぶりの感覚にミカが息を何度も吐き出す。リックも焦ることなくミカの尻を広げながら探るように指で隅々を撫でる。
「あっ」
「ここですか?」
ミカがとっさに声を上げた所を再び触る。
「あっ」
「わかりました」
リックはそこを重点的に責め始めた。
「あ、あっ」
「ミカのCute、またGood boyになりましたね」
前立腺の刺激にミカのペニスが反応した。リックは前立腺を時折刺激しながらも指の数を増やしていく。過去に多数の男達に開かれた体は次第に思い出したように順応していく。
「いいっ、あ、いいっ」
ミカも快楽を素直に拾う。リックは唾液をたらしながら太い指が三本入るまでミカの尻を広げた。
「挿入れますよ」
リックがボクサーパンツを脱ぎ捨てた。
(でかっ)
ミカは凶悪なほど大きくそそり立つリックのペニスに恐怖した。
リックの太い指三本でも苦しく感じられたミカの尻にリックがペニスを宛がった。
「ん、んん」
みちみちと広げられる感覚にミカが苦痛の表情を浮かべる。リックもミカの狭さに戸惑いながらもぐいぐいとペニスを押し付ける。
「あうっ」
ミカが奥まで到達した感触に思わず声を上げた。ようやくリックを受け入れたと思ったミカが安堵の吐息を吐いた。
「苦しいですか?ミカのCute、ますますCuteになってしまいました」
腹部の圧迫感に萎えてしまったミカのペニスをリックがやんわりと握る。
「でもあともうちょっとです」
リックの言葉にミカは目を見開いた。
(どれだけでかいの?)
今までの経験上それ以上にミカの中に進入した男は一人もいない。ミカは未知の領域にまたしても恐怖したが、かつて二輪挿を仕込まれた体は思い出したようにリックを受け入れていく。
「んん、んふぅ」
めりめりと奥を開かれる未知なる感覚がミカを新たなる世界に誘う。
「あ、あ、何これ?あ」
中全体を命いっぱい広げられてなお壁の細い隙間をこじ破り占領する熱くて硬い肉の塊。ミカは中の存在感と未知なる感覚にペニスをリックに刺激されてはいたもののペニスからは気持ちいい信号は送られない。それどころかリックのペニスが新たな場所へと突き進む度にそこから生じる不可思議な体の反応に戸惑っていた。
「あ、知らない、こんな凄いの知らない」
「もうちょっと、もうちょっとですから」
身を捩り戸惑うミカを宥めながらもリックはミカの中にメリメリとペニスを最後まで押し込んだ。
「あ、イクぅっ、何これ?イクぅっんんっっ」
ミカの体が諤々と震える。ミカは目から火花が飛んだと思うほどの快感の渦に流された。
「ミカの中、狭くてキツくて最高です。中イキするほど気に入ってくれましたか?」
リックはミカの体を起こして抱きしめた。ミカもリックのたくましい背に腕を回してしがみ付いた。
「ミカの気持ちいい所、もっと教えてください」
リックはそう宣言すると下から突き上げ始めた。
「リックさん、まだ、待って」
「私も気持ちよくなりたいです」
ミカの制止も虚しくリックの腕の中で揺さぶられるミカ。
「あ、あうっ、あ」
「Ah!Ah!」
声を上げながらミカの中を抉るリック。
「だめ、イクぅっ」
「Ah!Ah!ミカのCute柔らかい。でも中イキするのは気持ちいい証拠」
リックはミカの中を抉り続ける。
「死ぬ、死んじゃう」
「Ah!Ah!」
リックは猛獣が餌を喰らうようにミカの体を喰らう。
「またイクぅっ、イクぅっん」
ミカが中イキした。
「Oh!Wonderful」
リックが射精する直前にミカの中からペニスを引き摺りだし、ミカの腹の上に吐き出しながら「Oh!」と感嘆の声を上げた。額に滲んだ汗を拭い、テーブルの下に置いてあるティッシュでミカの腹の上から垂れる精液を処理すると、ミカの体を抱き寄せて寝転んだ。
「素敵でした、ミカ」
リックに腕まくらされるミカが胸毛の生えたリックの胸に顔を埋めた。
「僕も死んじゃうくらい、気持ちよかった」
ミカは満たされる思いを胸にリックの腕の中で眠りについた。
「俺が、見合いですか?」
柏木が苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
「お前ももう三十一になる。そろそろ孫の顔を見せて欲しくてね」
中将が穏やかに微笑んだ。
「孫の顔なら雲居雁が三人も見せているでしょう。俺はまだ」
踏ん切りがつかない柏木に中将が相手の女性のプロフィールを伝える。
「相手のお嬢さんはね森下 落葉さんといっ二十八歳になるそうだよ。苗字は違うけれど右代元取締役のお嬢さんで月夜君の妹君に当たり、朱雀会長の姪でもある。家柄的には申し分ないだろう」
中将の説明になぜか柏木はリオの事を思い出した。
(と言うことはリオちゃんと血縁と言うことになるか。似てるかな、リオちゃんに)
柏木は気がすすまないまでもその見合いを受け入れた。
見合い当日。
「始めまして。森下 落葉ともうします」
落葉は控えめで、大人しそうな印象の美人ではあるがどこか平凡そうな女性だった。落葉にリオの子供の頃の面影をどこか求めてしまう自分を諌めるように柏木は落葉との結婚を決めた。
結婚してからも柏木は落葉との結婚生活には満足できないでいた。それどころかリオのことが気にかかり頭から離れない。柏木は落葉との結婚生活を円滑に保つため、リオを一目見ようと心に決めた。
十五歳のリオは母校の中等部に在学していた。
調べて貰った調査内容をはやる思いで読みふけ、同封してあった写真を見た柏木は初めて女性に心ときめく感動を味わった。柏木はいても立ってもいられず、その日の夕方、母校を訪れるべく足を向けた。
すると偶然にも校門から出てくるリオを見つけ、柏木はまさに神の与えたチャンスだと思った。
大きな紙袋を肩に下げ足早に歩くリオに気付かれないように後をつける。リオは駅前の公衆トイレに入っていった。
三十分後。制服姿からは想像もできないほど大人びた化粧をしたリオが出てくると柏木は胸を躍らせた。
(何をやっているんだ、俺は)
そう思いながらもリオを目が追ってしまう。
リオはコインロッカーに荷物を預けると繁華街へと歩き始めた。客引きが往来するネオンの下をリオはすたすたと慣れたように歩く。すると一人のサラリーマン風の男に声を掛けられたリオはあろうことかその男に媚びるように擦り寄った。男は鼻の下を伸ばし、リオの腰に手を回し、ホテル街の方へと誘っている。柏木はリオを止めようと歩を加速させ、気がつけばリオの手首を掴んでいた。
「何だよ、お前」
男が柏木に威嚇する。
「ダメだ、こんなことしちゃダメだ」
柏木がリオを説得する。そして男に向き合った。
「この子はまだ高校生だ。警察に通報されたくなければこの場を去れ」
男はてっきりリオが大学生だと信じていたらしく、あっさりとその場を離れた。
「お兄さん、誰?あたしの邪魔しないでよ」
リオは柏木の手を乱雑に振りほどいて威嚇した。
「リオちゃん、覚えてないかな?七年前、大きなお屋敷で一緒に四葉のクローバーを探したお兄ちゃんのこと?」
柏木は縋る思いでリオに尋ねた。
「え、お兄ちゃん?あの時のお兄ちゃんなの?」
リオは態度を一転させた。
「何やってるんだよ。ダメじゃないか」
柏木が優しく窘めるとリオは怒りを露にした。
「だってしょうがないじゃない。あたしだってこんなことは好きな人としたいよ。でももう少しで好きでもないおじさんの妻になるんだよ。だから、それまでは誰でもいいからセックスするの」
往来で大声を上げるリオに柏木は頭に血が上った。
「誰でもいいなんて言うな。誰でもいいなら俺でもいいってことだろ」
柏木はリオの手首を掴んで勢いのまま近くのホテルに入る。部屋に入ると柏木はリオを押し倒した。そこからはもう柏木は自分を抑えることができなかった。コンドームの装着も忘れ、欲望のままに穿つ。柏木は本能の赴くままにリオの奥深くで爆ぜては満たされなかった過去を取り戻すかの如くリオを抱き続けた。
リオは抵抗しなかった。それどころかリオは、初めてだった。シーツが鮮血で染まったにもかかわらず柏木は無我夢中で腰を振った。
「お兄ちゃんが、初めてで良かった。あんま痛くなかったし。ていうか、気持ち、良かった、し」
そう言葉にしたリオはあどけなかった。正気に戻った柏木は事の重大さに気がついたが、女性に対して初めて感じた満足感も手伝い、それ以降、リオとの逢引を繰り返した。
「亜衣ちゃんも来年は大学卒業か」
仕事で遅くなると連絡を貰っていた紫上は亜衣と二人で夕食を取っていた。
「ええ。でも院に進むわ。紫上かあ様と同じように。私を育てるために志半ばで院を辞めてしまった紫上かあ様の意思を私が継ぐの」
亜衣が将来の夢を語る。
「僕の意思なんて継ぐ必要はないよ。僕は僕の意思で大学で勉強するよりも亜衣ちゃんを優先しただけなんだから。院に進むことは僕もヒカルさんも反対はしないよ。ただし、自分の本当にしたいことなのかどうかはきちんと考えてから結論をださな」
「うっ」
亜衣が紫上の話の途中で席を立った。
「亜衣ちゃん?」
紫上が亜衣を追いかける。亜衣はトイレへと駆け込むと嘔吐した。
「うっ、うっ」
亜衣が苦しそうに吐く姿に紫上が亜衣の背中を撫でながら心配そうに付き添った。
「はぁ、はぁ」
亜衣が呼吸を落ち着けるように大きく息を吐き出す。
「亜衣ちゃん、まさか」
「お願い。ヒカルとう様には黙っていて」
紫上に亜衣が懇願した。
「お願い」
亜衣はそのまま勉強部屋に姿を消した。
その後、帰宅したヒカルに紫上は亜衣の事を相談しなかった。
その週末。朝からそわそわと携帯を確認する亜衣に新聞に眼を通すヒカルが不信そうに遠巻きに目ていた。
玄関のチャイムが鳴る前に亜衣は玄関に飛んでいき一人の人物を迎えいれた。
「青龍、久しぶりだな」
ヒカルが青龍にソファを勧めると青龍はソファではなくラグの上に亜衣と共に正座した。
「なんのまねだ」
ヒカルが二人をいぶかしむ。
「ヒカルさん。いいえ、お父さん。亜衣さんと結婚させてください」
青龍が頭を下げた。
「唐突だな。許すも何も元々許婚同士だ。時が来たらいやでも結婚するだろうが」
ヒカルはソファに座った。それを紫上がキッチンからハラハラしながら見守る。
「亜衣さんに、子供ができました」
青龍の一言にヒカルが合点がいったようにため息をついた。青龍と亜衣は俯いたまま正座を崩さない。
「亜衣はまあ、二十一だからいいとして。お前はまだ中学生だろう。お前もお前だ、亜衣」
呆れたように二人を見る。
「ったく。朱雀は知ってるのか?」
ヒカルが青龍に聞くと「いえ、父にも母にもまだ」と答える。
「籍も入れられねえのに。どうすんだ?餓鬼」
ヒカルがタバコを掴んだがその手を離した。籍の一言に紫上が握った手を胸に当てて苦しそうな表情を浮かべた。
「亜衣さんには産んで欲しいです」
「私も産みたい。青龍君の子供」
二人がようやく顔を上げた。
「参ったな」
ヒカルが天井を見上げた後、誰かに電話した。
「ああ、朱雀か。青龍が今家に来て餓鬼ができたから結婚させろといっている」
そのままヒカルと朱雀の間に沈黙が流れる。
「おい。何とかいえ」
業を煮やしたヒカルがせっつくと何かをヒカルに伝えて会話は終了した。
「座って、二人とも」
離れたところから見ていた亜衣と青龍に紫上がソファに座るように勧めた。それから一時間も経たずに朱雀と月夜が来た。
「お前がいくら頑張ったところで何の責任も取れない餓鬼だ。ここからは親同士の話だ。出来ちまったもんはしょうがねえ」
ヒカルは亜衣と青龍の前で朱雀と今後の相談をし始めた。
「大丈夫?」
月夜がキッチンにいる紫上にそっと近づく。
「え?僕は大丈夫ですよ」
紫上が微笑んだ。
「いや、亜衣ちゃんたちのことじゃなくて、リオちゃんのこと」
月夜に紫上がわずかに顔を歪める。
「やっぱり、大丈夫じゃ、ないよね」
月夜はぎゅっと紫上の手を握り締めた。
「そのままで聞いてくれ。亜衣も二十一歳になった。おまけに結婚もしてねえのに十五の餓鬼と餓鬼まで作ってな。もう自分の生い立ちを知ってもいい頃だ。亜衣に母親のこと、そして、お前の事を話そうと考えている」
ソファに座りスラックスの前を寛げたヒカルの肉棒に奉仕していた慧が顔を上げ、目を大きく見開いてヒカルを見上げる。ヒカルが慧の膨らむ頬を撫で自分の肉棒を確認するように目を細めた。
「亜衣はこれから出産を控えてナーバスになることもあるだろう。その時、お前が支えてやってくれ。紫上は最近体調が思わしくねえようだから」
(僕が叔父だと名乗っても良いんですか)
慧の目はそうヒカルに伝えていた。
「ああ。待たせたな」
ヒカルは立ち上がり慧の頭を掴んで律動した。ヒカルの足に抱きつくようにしがみ付く慧。ヒカルは慧の喉の奥深くを犯してイマラチオを仕掛けた。
「飲め」
ヒカルが下肢を震わせた。
ゴクリ。慧の喉仏が上下に動いた。それを確認したヒカルはズルリと肉棒を引き抜くと慧をソファに押し倒して衣服を剥ぎ取った。
「俺のを銜えながら勃たせてたのか」
一度の射精では萎えるはずのない肉棒を正常位で捻じ込む。慧は息を吐きながらヒカルの肉棒が定位置に収まるのを待った。
「院でも、お前にちょっかいかけてくる奴はいねえだろうな」
挿入の合間にヒカルが確認する。ミカの件があってからヒカルは定期的に慧に確かめる。慧は「はい」とだけ答えた。
「そろそろ外してやってもいいとは思うんだが」
ヒカルは慧のペニスの根元を締め付ける発信機つきのトレーニングバンドに手を伸ばす。慧のうっ血したペニスをスルリと撫でたヒカルが本格的に慧のペニスを擦る。
「んんっ」
慧が艶やかな声を上げた。
「あれから射精したいと駄々を捏ねねえな」
ヒカルがペニスを擦りながら律動を始めた。慧はヒカルが律動しやすいように両足を大きく開き掴んだ。
「へえ、いい心がけだ」
それに気を良くしたヒカルは膝立ちして起き上がり、持ち上がった慧の尻に楔を打つように穿つ。
「ああっ、んあっ」
打ちこまれる度に慧が喜びに咽ぶ。
「今日も射精抜きでイくか?」
質問形で慧にいうが、慧にとってこれは決定事項だった。
「ああ、あん、あんっ」
ヒカルの振り下ろす楔が容赦なく快楽の地雷を突く。そして擦られるペニスが慧にドライを許さない。
「まだこいつを擦りながら中でイけねえか?」
ヒカルが意地悪な質問をする。
「あん、あ、ああっ」
「だがそろそろ出来るようになろうな」
ヒカルは慧のペニスの裏筋を容赦なく擦る。うっ血していたペニスは赤くパンパンに充血している。
「ああっ、ああっ」
「段々紫色になってきたな」
ヒカルは顔色一つ変えずに中と外を責める。楔である肉棒が時間経過と共に巨大化しているように慧には感じられた。
「俺は先に出すからな」
下肢の動きを止め、ブルリと下肢を震わせたヒカルが、次の瞬間に苦痛に顔を歪めて小さく呻いた。そして空いている手で腰を摩る。夢中になっている慧はそれに気がつかない。
「あ、ああっ。イくっ、イくっ」
慧はヒカルの射精の衝撃に反射のようにドライで達した。
「はっ、ああ、あっ」
慧が息を整えている間、ヒカルは腰に手を宛てながら俯いていた。
「ヒカルさん?」
ヒカルの様子に気がついた慧が心配そうに起き上がってヒカルの顔を覗き込む。ヒカルの額に脂汗が滲んでいた。
「大丈夫ですか?」
慧がヒカルの下から抜け出そうとするが、ヒカルに組み敷かれているこの状態ではそれもままならなかった。
「大丈夫だ」
ヒカルは慧に心配をかけまいと平静を装いながら慧のバンドを緩める。
「大丈夫だからこのまま眠らせてくれ」
ヒカルは慧の体をそのまま抱きしめると奥歯を噛んで目を閉じた。そうしなけれは腰に走る痛みに声を出してしまいそうだったからだった。ドクン、ドクンとまるで腰に心臓があるかのように痛みが拍動する。ヒカルはその痛みが治まる三十分もの間、身動きすることもできなかった。
「昨晩は悪かったな」
いつものヒカルの様子にヒカルの腕の中で目覚めた慧がホッとする。
「病院に行かないと」
慧がヒカルを案じるがヒカルは「年のせいだな」と取り合わなかった。
「せっかくの土曜の朝だ、このままスんぞ」
一度挿入を解いたヒカルは慧を後ろから挿入れ直すと、慧のトレーニングバンドを取り払った。慧の動揺がヒカルに伝わる。
「昨晩は出来たんだ。もう出来るだろ」
ヒカルは律動することなく慧のペニスを擦り始めた。
「んああっ、ああっ」
ヒカルのスラリとした長い指にペニスを擦られながら不安の混じった喘ぎを慧が零すが、快感に正直な体は先走りと言う体液を滴らせる。
「根元、細くなったな。それでもお前のここは気持ち良さそうに涎、垂れ流してやがる」
ヒカルはペニスを擦りながら感慨にふける。
「七年も着けていたんだからな」
ヒカルは五本の指を絡ませ慧のペニスに蠢くように這わせる。
「や、んああっ」
慧が艶かしい啼き声を上げた。
「ちゃんと俺に見せろ。どうせ熱くなる」
ヒカルが布団を剥ぎ取り慧の体を片腕で羽交い絞めして覗き込んだ。
「先っ、出すほど気持ちいいのか。ピンクな頭、出てんぞ」
ヒカルは慧の亀頭を指で摘んだ。
「やぁっ!」
慧が叫ぶとヒカルは顔を覗かせた慧の亀頭の先を露出させる様に括れを締め付け、慧の射精を阻み下肢をゆったりと打ちつける。
「折角顔を出したんだ。可愛がってやらねーとな」
ヒカルが慧の亀頭を捏ねる。
その刺激に慧が啼く。
ヒカルは慧の亀頭をこれ以上ないほどに露出させ、鎌首を握りしめた。
「ん、やぁっ」
慧が嬌声をあげるとヒカルはリズミカルに律動を開始する。ヒカルに突き上げられ、亀頭の先を限界まで露わにされた慧が無意識に腰を振ると、ヒカルがそれを上回る勢いで律動する。
「何度言ったらわかるんだ」
「あっ、あっ、あっ、あっ」
ビクビクと震える振動と波打つような脈動がヒカルの手を通して伝わると共に慧の中も呼応するようにヒカルの肉棒を締め付ける。
「あんっ」
ヒカルは迷わすに射精しながらも、慧の腰に両腕を強く回し入れお互いを固定した。
「俺に出された女がどうするか、わかるよな」
「ああっ、あんっ、んっ」
慧がか細く啼く。
「ちゃんと女じゃねえか」
慧の奥を抉ぐるヒカルが嬉しそうにほくそ笑んだ。そして射精を我慢しながら下肢を突き出した。
次にヒカルは律動をも我慢しながら鎌首を締め付ける反対の手で亀頭からペニスの細く括れた根本を擦る。
「やぁ、あ、あんっ」
ビクビクと震える慧の中でヒカルの肉棒が息を吹き返す。
それを待っていたかの様にヒカルが肉棒を押し込む様に突き上げた。
「あんっ、イ、く」
たまらずに慧が嬌声をあげる。
「俺をイかせてくれ、お前の体で」
「ああーっ」
慧が体全体を痙攣させる。ヒカルは慧のペニスを握りながら羽交い絞めする腕に力を入れてしがみ付くと、天を突く様に下肢を押し付けた。
「ぁ、ぁぁっ」
放心したように慧が声を漏らす。ヒカルの肉棒が慧の中で一気に膨れ上がり弾ける瞬間、ヒカルは慧の下肢を足で破り開いて肉棒を奥深くへ突き刺し、そのまま揺りあげた。
「ダメなもんはダメだ」
ヒカルは天を突く様に激しく律動した。
「あんっ、ヒカルさ、出したらイっちゃ」
揺さぶられ大きく開脚させられた慧が条件反射でドライを迎える。
「ああ、気持ちいい。俺に出されてイくのも覚えてるな。もう、バンドは卒業だな」
ヒカルは芯の抜けたペニスを手放し、慧の胸へとターゲットを移す。しかし律動は止めなかった。
「あ、はあっ」
両手でコリコリとする粒を摘んでは指で擦り、陥没乳首のように根元に埋め込むように押し潰す。
「んああっ」
慧が蹲るように体を丸めるがヒカルの指はターゲットを追いかける。
「んんっ」
慧が体を丸めたことでヒカルの下肢に尻を押し付ける動作になり、ヒカルもグイグイと下肢を押し付け、ますます肉棒が深くめり込んだ。
「男を受け入れる女、いや、俺だけを受け止める女に、ちゃんとなろうな」
ヒカルが下肢全体を揺さぶる。
「んああっ、ああっ」
ヒカルが粒を可愛がれば可愛がるほど慧が体を丸め、同時にヒカルの肉棒を受け入れる。律動しながらヒカルは静かに起き上がった。シーツに顔を埋め体を丸める慧の下に膝を潜りこませて正座する。
「んああーっ」
肉棒を咥えヒカルの下肢の上に座る形の慧がとっさに顔を上げて叫んだが、ヒカルは慧の奥を突く。
「お前が自分でこの形にしたんだろ」
ヒカルが上体を屈めて慧の頭の横に顔をつけた。それでもヒカルは下肢を押しつける。
「出さずにイけるよな」
ヒカルの静かなる命令に慧がシーツに埋める顔をコクコクと頷かせた。ヒカルはピンと硬い粒の先を爪先で弾いては、根元に向ってグリグリと押し込む。慧はこれ以上ないほどに体を丸めた。
「あ、あっ。イく、またイく」
「陥没させるの、そんなにいいのか」
ヒカルは陥没乳首ばかりを繰り返した。
「あ、もう、もうイっ」
慧が体を硬直させるとヒカルは肉棒を限界まで押しこんだ。
「んああーっ」
ヒカルの肉棒に食らいつく中の反応に慧が啼く。その機に乗じてヒカルは下肢をこれでもかと潜り込ませ、慧の細腰を両手でがっしりと押さえつけた。そのまま間髪無く抽送を繰り返す。
「や、だめぇーっ」
慧がブルブルと体を震わせるのと呼応する様にヒカルが下肢を何度も押しつける。その度に慧は嬌声をあげた。ヒカルがいつもする中を捏ね回す行動を繰り返す。
「んっ、あ、あ」
「出さずにイけたんだろうな?」
彗が落ち着くのを待ちながらも荒い息を吐くヒカルは肉棒を押し込む。放心して脱力する慧にヒカルは射精してないなと念を押した。
「でもまだだ」
ヒカルが陥没乳首にむりやりさせては指の腹でぐりぐりと押し込める。
「んっ、だめ、それだめ」
ヒカルが粒を押し込む度に慧が小刻みに体を震わせる。そして肉棒に絡みつく慧の中も狂喜したように蠢き、慧が啜り啼く。
「出してやる。だが、わかってるよな」
慧に全体重をのせて押さえ込み、ヒカルが気持ち良さそうに射精した。
「あんっ、あんっ」
慧が体を震わせることでよりヒカルを中で感じる慧がドライへと上り詰める。それを加速させる様にヒカルは勢いよく半勃ちの下肢を打ち付けた。
「だめ、だめぇ」
「こんなに気持ち良さそうにしててダメなわけないだろ」
ヒカルはカエルの交尾のごとく慧にしがみつく。
ヒカルは肉棒が復活するまで慧の中で力を蓄える。
「ああーっ」
慧が顔を上げて咆哮を上げた。
「俺も、出してやる。散々イかせてやったんだ。そろそろ俺を抱け」
その勢いのままに締め付けられる肉棒も迷うことなくヒカルは開放する。ヒカルはその瞬間慧にしがみつく。そして慧の体をうつ伏せて慧の下腹部を持ち上げる。ヒカルは全体重をかけて上から押さえつけた。
「ぁ、ぁ、だめ、もう出しちゃだめ、イっちゃうから」
「昨晩はみっともねえ姿、見せちまったからな、はあーっ」
下半身を突き出し獣のような態勢でリズミカルに下肢を押し付けるヒカルがあまりの心地よさに声に出して射精する。ヒカルの肉棒が精を吐出し、奥に叩きつけられた慧が条件反射によるドライに身構える。ヒカルが慧の中に性液を染み込ませる様に小刻みに下肢を押し付ける。
「だめ、んっ、あ、イく、また、イくっああん」
「んっ、んっ、んっ」
ヒカルがベッドのスプリングを利用して慧の中を突き進む。
「ああっ、ああっ」
「んっ、んっ、んっ」
三度に渡り射精し終えたにも拘らずヒカルに押さえ込まれ、存在感のある肉棒がもっとイけと主張する。
ヒカルは慧を啼かせ続けた。その度にヒカルは慧の奥深くに肉棒を陣取らせ慧の奥深くをねっとりと揺すりあげる。
「あはっ、あんっ、あんっ」
力を失ってもなお存在を誇示するヒカルの肉棒が慧を導く。
「ん、は、ぁっ」
ヒカルの律動に揺さぶられベッドに押さえ込まれる慧がヒカルによって足を開かされた事で慧のペニスがシーツに押し潰される。ヒカルは上体をのけぞらせるほどに肉棒を押しこんだ。
「ここは俺の場所だ」
そう言うとヒカルは復活した肉棒を慧の最奥へと串刺して体を起こした。果てしもなく長い時間をかけたヒカルの射精は慧の体に直接言い渡す。
ヒカルの精を受け止める慧は快楽に啜り泣いた。
「もっと足開け。出してねえか確認させろ」
律動しながら腕立て伏せのままヒカルが慧に命令する。
「ああっ、ああっ」
射精後の律動に激しさを伴い嬌声を上げつつもおずおずと慧が従い両足をシーツに滑らせる。ヒカルは慧のペニスが暴発しない様に慎重に触れる。勃ち上がるペニスの根元から手探りでヒカルは確認した。
「んああっ」
「出してねえな。涎以外は。んっ、んっ、んっ」
確認し、安心した様にヒカルが声に出して律動する。そんなことはヒカルにはめったにないことだった。それだけヒカルが興奮している証拠だった。慧の中でヒカルは熱い肉棒をめり込ませる。
「バンドもなくなったことだしまずはたっぷり俺の匂い付けしねえとな」
ギシギシとベッドのスプリングが泣き喚く。
「ああっ、ああっ」
ヒカルが腿と腹筋に力を入れる。
「んああっ」
ヒカルの腹筋で上から押さえつけられ、下からは容赦なく抉られる。そして自分が出した先走りのぬめりによってペニスの至る所を愛撫される慧は啼き続けた。
「イく、イっちゃ」
ブルブルブル。慧が声も上げずに達するがヒカルの猛攻は留まるところを知らない。
「射精は許さねえからな」
ヒカルがまたしても確認する。慧は「我慢、しますから」と息も絶え絶えに答える。
「だめ、またイくっ」.
「俺はまだだ。中でなら好きなだけイけ。最後は俺に出されてイけばいい。んっ、んっ、んっ」
それから慧はヒカルの全体重をかけられ幾度もドライを繰り返し、ヒカルを喜ばせた。そしてヒカルも慧に覆い被さり下肢を引き寄せ精を吐き出すたびに満足そうにゆりゆると下肢を押し付け、気持ちよさそうに天上を見上げて幾度も息を吐いた。それからヒカルは慧の奥を抉り続け数度にわたり射精するほど攻め続けた。
「ああっ、あんっ」
「自覚しろ。お前は女だ。俺だけの。そろそろ腹が一杯だろ?
そうだ。俺の匂い、これでもかってくらい染み込ませねえとな」
尚も萎える事を知らないヒカルが起き上がりゆっくりと肉棒を出し入れすると肉棒に纏わりつく精液がぐぷっと音を立てた。ヒカルは慧の中の夥しい量の精液が溢れ出ないよう律動ではない出し入れを繰り返す。ヒカルの肉棒に纏わりつく精液がヒカルの熱で揮発しては肉棒を押し込んでまた新たに纏わりつかせ、大きく開いたペニスの傘がヒカルの精液を封印する様に接合部を堰き止める。精液を中に刷り込む様にする様は動物の群れのボスのよう。それが独占欲のようで慧は嬉しくなった。満足そうに暫くの間繰り返していたヒカルが「もう一回いけるな」と呟いて正座した。
そして律動を始めると慧の体の再び上から上体で押さえ込み慧の下肢を引き寄せ密着させると、気持ち良さそうに精を吐き出した。
「俺の精液、好きだろ。溢すなよ」
プチュプチュ音を立てながら挿入を繰り返しヒカルは慧の中を揺さぶり、迷わず射精した。ヒカルの独壇場とも言えるSEXに慧は受け入れる事しかできない。そしてインターバルの様に下肢を擦り付け中を捏ねられ復活を遂げる肉棒を受け入れ続けた。
「気持ちいい。もっと、して」
「好きなだけ啼いていいぞ。俺が次に出すまでな」
慧は胸、ペニス、睾丸と次々に責め立てられヒカルの宣言通り散々に啼かされることになった。
「あん、もう、だめ」
慧がピクリとも動かなくなると慧の体を繋がったまま仰向けにさせた。
「ふっ」
慧の下腹部を押し、自分の肉棒の位置を確認する。
「んんっ」
そして肉棒のその奥も探るように押した。慧が甘く声を出す。
「本当にお前は俺の精子が大好きだな。だからここまで入り込んだ俺の精子を掻き出されるのを嫌がるからな。慧、聞こえるか?」
慧が虚ろな瞳でヒカルに瞬きした。
「俺の穴、締めておけよ。射精はまた今度、気が向いたらな」
ヒカルはトレーニングバンドを装着させたときのようにギュッとペニスの根元を握り締めた。
「ううっ」
慧がわずかに顔をゆがませヒカルの肉棒を締め付けた。ヒカルはそのまま精液を解き放ち満足するようにずるりと肉棒を引き抜いた。
「あんっ」
喪失感に慧が残念そうな顔で喘いだ。ヒカルは慧を抱き上げてバスルームへと連れて行くと体の表面の汚れを洗い流し、寝室で寝かせてやった。イき疲れて眠る慧を見下ろしたヒカルが慧の頬をそっと撫でる。そして硬いままの肉棒を挿入した。
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