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【常夏】Tokonatu

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「髭黒君、朝食の準備ができましたよ」

大将が部屋から出てこなかった翌日、鬘は里華に手伝いで大将を呼びに来ていた。中からは返事が無くどうした物かと悩んだ末、鬘は再度中へと声を掛けた。

「髭黒君、入りますね」
ドアを開けてそろそろと一歩中へと入った鬘が目を見開いた。
「わあーっ。凄い」
鬘が釘付けになっている視線の先に歩み寄る。
「これ、何て建物なんだろう」
見たことのない建造物のミニチュア版レプリカに鬘が無意識に手を伸ばす。
「触るな」
突如聞こえた声に鬘がビクッとして振り返った。

入り口で肩にバスタオルを掛けた大将の姿があった。
「勝手に入るな」
ぶっきら棒に大将が鬘に注意する。
「ご、ごめんなさい」
鬘がそそくさと部屋から出ようと踵を返した。

「サクラダ・ファミリア」
「え?」
大将が鬘にレプリカの名を告げた。
「サクラダ・ファミリア。スペインで最も有名な建築物。天才建築家 ガウディの作品で今だ未完成の世界遺産の一つだ。教科書で見たことぐらいあるだろ」
知らないのかと言わんばかりの物言いだが、鬘はそれよりも大将が話してくれたことに驚いた。
「あの、僕、社会科とか苦手だったから。知らなくてごめん」
鬘が素直に謝った。
「別にいい」
大将の雰囲気が和らいだように鬘は感じた。

「髭黒君は建築家を目指しているの?」
男性恐怖症に近い鬘が珍しく大将に話しかけた。
「ああ。ガキの頃サクラダ・ファミリアを実際に見て俺もこんなの作ってみたいと思った」
あくまでもぶっきら棒だが鬘の相手をしてくれる大将に、大将の事を鬘はもっと知りたいと思った。
「子供の頃って、スペインに行ったことがあるの?」
鬘が大将に心の赴くままに尋ねた。
「そんなとこ突っ立ってないでこっち来いよ。見たいんだろ。
親父の仕事の関係で家族三人でバルセロナに住んでた。そん時見たのが最初だな。それからは毎日見に行ってた」

「家族」
鬘が僅かに寂しそうな表情を浮かべた。
「いないのか?家族」
大将が鬘の様子を伺いながら尋ねた。
「うん。母は僕が小さいころに亡くなって、父は誰なのかもわからない」
まずいことを聞いたと大将がきまずい雰囲気を醸し出す。
「あ、ごめんごめん。今の無し。家族ってどんなだろうってちょっと思っただけだから。ほんと、気にしないで」

鬘が大将の近くに寄ってサクラダ・ファミリアのレプリカをまじまじと見る。
「髭黒君、よくこんなに精巧に作れるね」
もはや鬘には大将への苦手意識はどこかへ飛んでいた。
「あ、ああ。まあな」
目を輝かせて自分の作ったレプリカを褒める鬘に大将がくすぐったそうに鼻の頭を掻いた。
「ねえ、これ作るのにどれくらいの時間が掛かるの?」
鬘が大将に微笑むと、目を覆い隠し表情のつかめない筈の大将が照れているように鬘には見えた。

「鬘君、大将君、朝ごはん冷めちゃうわよ」
下階から里華が二人を呼んだ。

「あ、はーい。今行きまーす」
鬘がすっくと立ち上がりパタパタと部屋を出て行こうとする。
「髭黒君も、行こ」
大将がのろのろと腰を上げる。どこかビクついていた雰囲気から一転して打ち解けたような鬘に、大将が鼻の頭を掻きながら鬘の後について食堂へと向かった。


「奥尻君、今晩我が家へ遊びに来ませんか?
もし来てくださるなら高級フレンチ、ご馳走しますよ」
ここまで浅賀に好き放題された礼汰がどうにでもなれと半ばやけっぱちに了承した。


「ここですよ」
浅賀がヨーロッパの屋敷を連想させる門をリモコンで操作して中へと車を滑らせる。外国産の高級車の助手席に座っていた礼汰が「うわ、すっげー」と口走る。
「いえいえ、うちは古いだけが取り柄で単に先祖の趣味そのままを残しているだけです」
と謙遜した。

門を潜ってから五分以上経っても屋敷の見えない広大さに礼汰が次元の違いを感じた。
「先生って、実はお金持ちなんですか」
礼汰の質問に浅賀が苦笑した。
「お金持ちかどうかは別として投資目的の不動産経営を生業としてますから、その特権でこの土地を得た。それだけです」
礼汰は住む世界の違う浅賀がどうして大学で働いているのか不思議に思った。

「着きましたよ」
古き伝統のある西洋建築を思わせる豪奢な造りに礼汰が浅賀の屋敷を見上げた。
「こっちです」
浅賀が礼汰を呼んだ。

「お帰りなさいませ」
高い拭きぬけの玄関でメイド達が浅賀と礼汰に揃えて頭を下げる。
「もう下がっていいよ」
浅賀はメイド達を下がらせた。

「こちらへどうぞ」
浅賀は礼汰を屋敷の奥へと招く。
浅賀の後について礼汰が物珍しさにきょろきょろと辺りを見回す。高い壁には古めかしい絵画が飾られ、さながらそこは美術館のようだった。

「どうぞ」
重厚なドアを開け、浅賀が中へと促す。
「失礼、します」
礼汰が中へ入ると二人の男が礼汰のほうを見た。

(うわ、すっごい美形。浅賀先生も黙っていればもっと美形なんだけど。そこは黙っておくか)

「紹介します。向かって左が叔父の浅賀 忠臣。そして右が兄の一臣です。
こちら私の生徒の奥尻 礼汰君です」
浅賀に紹介されると忠臣が右手を差し出した。
「はじめまして。叔父の浅賀 忠臣です」
にこりと微笑んだ忠臣の泣き黒子が美しさと共にどこか色気を醸し出し、礼汰が顔を赤らめながら握手した。

「次は僕の番。僕は兄の一臣。よろしくね」
ウィンクと共に右手を出した一臣はどこか中世的な魅力があった。
 
挨拶が終わると浅賀はダイニングへと向かった。
ゆうに二十名は席につけるテーブルに四人分のセットが置かれていた。
「奥尻君はこちらへ」
浅賀が椅子を引いた。礼汰は浅賀のエスコートで着席した。

浅賀がベルを鳴らすと二人の女性が奥から出てきた。礼汰の前に置かれた三色の層に分かれた四角い物に礼汰は目を奪われた。透明に輝くゼリーと、黄色、赤の層に分かれたその美しさに礼汰は初めてのフランス料理に緊張していた。

「作法は気にしなくていいですからね」
浅賀が助け舟を出す。

「本日の前菜はオマール海老のゼリー寄せとパプリカのテリーヌでございます」
女性は一礼するとダイニングを出て行った。

「さあ、食べましょうか」
浅賀の一言で食事が始まった。

前菜を食べ終わる頃、浅賀のベルの音で奥から給仕の女性がワゴンを押しながら出てきた。

「本日はレンズマメのスープでございます」
ワゴンの上で直接サーブされもう一人の女性が各席に置き終わると、会釈をして出ていった。

誰も口を開かない無言の食卓に礼汰の緊張のボルテージが上がる。
「二人とも君のことが気になって仕方ないんですが、会話は食事が終わってからにしましょう」
浅賀にそういわれては礼汰も何も言えなくなった。
その後、甘鯛のソテー、子牛のグリエル、白ワインのソルベ、エスプレッソと続き、礼汰は初めてのフルコースに感激した。

「どれもこれも美味しかったです」
「エスプレッソは私が皆さんにお配りします」そう言った浅賀が人数分のエスプレッソを入れ、配り終える頃合を見計らって礼汰が浅賀に感謝の言葉を述べた。

「感謝するのはまだ早いですよ」
礼汰は浅賀の言葉の意味がわからなかった。

その後も会話のない静まり返ったダイニングで四人はデザートとエスプレッソを楽しんだ。

「では、行きましょうか」
浅賀が席を立つと忠臣と一臣も席を立つ。礼汰もすぐさま席を立った。

浅賀は二階へと三人を案内する。

「ここが私の部屋です」
部屋と言うにはあまりに広いその場所にはウォークインクローゼット、ソファ、ローテーブル、チェスト、そして天蓋つきのキングサイズのベッドしかなかった。礼汰はその中でも一際目立つ天蓋つきのベッドにギョッとする。

「臣様のお部屋は始めてです」
「臣の部屋はあの日以来だ」
忠臣と一臣がそれぞれに呟いた。
「今日は特別な日ですから」
浅賀の不敵に浮かべた笑みに礼汰は一抹の不安を感じ始めた。

「先生」
礼汰が浅賀に何か言おうとしたその時。
「あんた、また」
礼汰がカーペットに崩れ落ちる瞬間、浅賀が礼汰の体を支えた。
「君は本当に学習能力がありませんね」
浅賀が悪魔の微笑を礼汰に向けた。

「せんせい、やだ、こんなのやだ」
全裸にされた礼汰が浅賀に尻を弄られながら羞恥の涙を浮かべる。ぐちゅぐちゅとかき混ぜられ礼汰の尻が次第に熟れたように熱を帯びる。
「礼汰君、君すごいのつけてるね」
礼汰の下肢のスコーピオンを忠臣と一臣が取り囲んで観察する。いつの間にか二人も全裸になっていた。

「触ったらだめですよ」
手を伸ばした一臣に浅賀がピシャリと釘を刺す。
「ちぇっ」
一臣が手を引っ込めた。
「やだ、みんな見てる。恥ずかしいから」
礼汰の涙がますます溢れた。

「恥ずかしくはありませんよ。臣様がせっかく付けてくださったのですから堂々としていればいいのです」
忠臣が礼汰を慰めた。
「そうだよ。臣のすることは間違いがないよ。僕なんかほら」
一臣が礼汰に自らの下肢を自慢げに晒した。それを見た礼汰が恐怖に顔を引き攣らせる。
「やだよ、お願い先生。俺あんな風になりたくない。もう女抱きたいなんて思わないから切るのだけは止めて!」
礼汰が泣き叫んだ。
「こら、暴れようとしない。大丈夫ですよ。君には一臣のようなことはしません。今日は君の歓迎会のつもりなんです」
浅賀が礼汰に今日の趣旨を静かに説明した。そして浅賀が礼汰のスコーピオンを取り外した。

「え?」
もう一生外してはもらえないと思っていたスコーピオンが無くなり、礼汰は安堵感と共に焦燥感を感じた。

「そんなに寂しそうな顔しないでください。今日の主役は君なのですから」
浅賀は箱からなにやら取り出した。
「君は堪え性がありませんからね」
浅賀は小さな球体に軸が付いた物体を取り出した。大きさは違えど棒の先にまん丸いキャンディが付いているお菓子とよく似ていた。浅賀は礼汰の亀頭に麻酔クリームを塗り、球体を礼汰の尿道に宛てがい埋め込ませる。
「やだ、そんなの入んない」
礼汰が痺れた体を必死に動かす。
「心配しなくても大丈夫ですよ、壊れませんから」
浅賀はぐいぐいと棒の部分に力を込めると、次第に球体が礼汰のペニスに呑み込まれていく。
「あーあ、ますます小さくなちゃった」
一臣が残念そうに呟いた。浅賀は横目で見ながらふふっと笑った。

浅賀により球体はおろか棒状の軸までもが礼汰のペニスの中に埋め込まれた。浅賀は礼汰のペニスの中ほどに留まる球体を竿の根元に向って扱きながら奥へと押し込む。
「やだ、怖いよ」
礼汰が情けない声でいまだに泣いていた。球体が礼汰のペニスの根元付近に入った事を指で確認すると、ありえないことを礼汰に伝えた。

「今日は思う存分雄になりなさい。忠臣と一臣が相手をしてくれますから、楽しめると思いますよ。何しろ私が仕込んだ二人ですからね」
それだけを言い残し浅賀は少し離れたソファに座り足を組んだ。ベッドの上の三人が全裸にもかかわらず浅賀一人だけきっちりとスーツを着こなしているその異様な光景に、礼汰は不安と共に僅かにツキンと胸の痛みを覚えた。

「臣の許可もでたし、僕こっち」
一臣が礼汰のペニスをさっそく銜えた。遅れを取った忠臣は礼汰の胸を責め始めた。
「やめろ、俺はそっちの趣味はないんだ」
礼汰の声がむなしく響く。

ジュプジュプと一臣の男慣れした舌技が礼汰を翻弄する。
「んや、男にされたって勃たねえよ」
礼汰が悪あがきのように一臣をけん制する。
「こちらも忘れないでほしいですね」
胸を弄る忠臣も一臣に負けじと礼汰の性感帯を探る。
「奥尻君は胸はまだ未開発ですから優しくしてあげてください」
浅賀がソファからアドバイスした。
「私はなんて光栄なのでしょう。臣様を差し置いてよろしいのですか」
忠臣が俄然やる気を見せた。二人の責めに先程浅賀に触られた礼汰の尻が疼き始めた。
「んんっ」
礼汰が呻くと、二人はますます礼汰の体を果敢に責めた。

「男相手じゃ勃たないんじゃなかったの。臣には負けるけど、礼汰君もいい物持ってんじゃん」
一臣が礼汰に跨ると礼汰のペニスを自分の尻に埋め始めた。
「あはっ、いいねいいね。対面なんて初めて。屈辱の顔見ながらスるの最っ高」
一臣が容赦なく腰を振る。
「んああっ」
礼汰が久しく忘れていた雄の喜びを徐徐に取り戻す。
「まだでかくできんじゃん」
一臣が舌なめずりをした。

「やっぱり初めてではなかなか性感帯にはならないですね」
礼汰の片方の胸をクチュクチュと舐めながらもう片方の胸を弄る忠臣が悔しげな顔をした。
「ああなると一臣はなかなか変わってくれないんですよね」
趣旨を変更した忠臣が一臣の胸を弄る。
「や、やめて。そこはだめ。忠臣だめーっ」
一臣が忠臣の乳首責めに軽く絶頂を向かえ、くたりと脱力した。

忠臣が後ろ向きに礼汰のペニスを受け入れた。一臣とはまた違う感触に礼汰の征服欲が育つ。
忠臣の絶妙な腰使いに礼汰が奥歯を噛み締めて喘ぎを殺す。
「一臣、来なさい。臣様のお許しが出てますから」
のろのろと起き上がった一臣の体を忠臣が正面から貫いた。
「ちょっと、何すんだよ」
「あの日、一臣に犯されてからこの日が来るのを心待ちにしていました」
忠臣が礼汰を受け入れながら一臣を犯す。忠臣が一臣を強く抉ると一臣が啼き、腰を引くと礼汰が呻く。
「や、あん、あん。何で忠臣にやられなくちゃ、やっ」
「一臣の言ったとおりです。屈辱の顔見ながらスるのはなんて最高なのでしょう」
忠臣が一臣に積年の恨みを晴らすかのように責め立てることに夢中だった忠臣は背後にいる礼汰の行動に気が付かなかった。

「ほお」
浅賀がほくそ笑んだ。

「あん、あんっ。礼汰様。私はもっと一臣を責めたいのです」
起き上がり忠臣の腰を掴み荒々しく責め初めたことで形勢は逆転した。
「あん、礼汰様、だめです。イッちゃ、う」
忠臣が礼汰に尻を突かれたことで一臣の中で射精し、萎れた花のように寝そべった。
「ざまあ」
上体を起し放った一臣の一言に浅賀が咳払いした。一臣が小さく舌を打つ。

「いろいろやってくれたけど今度は俺が相手だ」
礼汰は本性剥き出しで一臣を押し倒した。
「あんた一臣って言ったな。あんたの中ぬるぬるして気持ちいいよ。先生のお陰かな、一晩中でもあんたらの相手してやれるよ」

礼汰は久しぶりのセックスに溺れ、一臣と忠臣を犯し続ける。
「イク、イクっ」
一臣が中を震わせてドライで達した。
「次はあんただな。忠臣さん」
礼汰は人が変わったように男二人を犯す。しかし犯せば犯すほど礼汰の尻が疼いた。

(くそっ、俺は久しぶりにセックスしてんのに、気持ちいいのに何で尻が疼いて仕方ないんだよ)

「礼汰様、激しすぎます。もう」
忠臣が再び絶頂を向かえようとした時だった。
「まだだよ。二人同時だ」
礼汰は忠臣に挿入れた状態で後ろから一臣に挿入させた。
「今度は同時にイカせてやる」
礼汰が一臣の太腿を強く掴んで二人を固定した。礼汰のリミッターが外れ、忠臣を突き上げる衝動で、忠臣が一臣を突き上げる。
「やだ、んあっ、忠臣のなんかでイキたくない」
一臣が泣き言を言いながらも快楽に打ち拉がれる。
「そんなこと言っても礼汰様が、あん、凄すぎなんです。あ、あっ、これが若さ」

忠臣と一臣は礼汰の爆発的な性欲に二人同時にドライを向かえた。

「忠臣さん、あんたはまだ出してないだろ。前立腺突いてやれば良いんだろ。実体験済みだ」
礼汰がなおも責めの姿勢を崩さないが、疼く尻が限界を伝える。
「礼汰君、やあっ、僕イッたばっか」
一臣がシーツを握り必死に強い快感に堪える。
「私だって同じ、です。一臣、そんなに締め付けないで。出る、出ちゃう。んんーっ」
忠臣が一臣の中で二度目の射精をした。礼汰が一臣の体を離すと忠臣が一臣の上に倒れこみ、二人ともピクリとも動かなくなった。

パチパチパチ。
浅賀が賞賛に手を叩く。
「奥尻君、やればできるじゃないですか」
礼汰がペタリとその場に腰をつく。浅賀はゆっくりと礼汰に近づいた。
顔を高潮させ荒く呼吸する礼汰が浅賀を潤んだ眼で睨んだ。
「どうしました?あんなに雄になりたかったのでしょう」
限界の尻が気になって礼汰の耳には浅賀の言葉が上手く聞こえない。

「せんせい」
礼汰は言うまいと思っていた一言を口に出した。

「挿入れて」
礼汰が浅賀に熱の篭った視線を送る。
「こんなにセックスしてるのに物足りなくて、我慢できなくて。それをごまかそうとして俺、この二人を抱いた。八つ当たりしたんです」
しかし浅賀は何も言わない。

「せんせい、言ったじゃないですか。浮気はしないって。俺に執着してるくせになんでこいつらのこと抱くんですか。こいつらなんか抱かないで俺だけにしてくださいよ」
礼汰が浅賀の胸倉を掴んで叫んだ。

「やっぱり君は情熱的ですね、思っていた通り。でも今はただ発散したくてそう言っているのでしょう。ご希望通り抱いて発散させてあげます」
浅賀がネクタイを緩めた。
「そうじゃない。なんでわかんないんだよ。あんた先生だろ。言わせんなよ。俺の口から言わなきゃわかんないのかよ」
礼汰が浅賀のネクタイを引き寄せて強引に口付けた。浅賀が目を見開いたまま硬直した。

「あんたは俺のことどうせおもちゃの一つにしか思ってはいないんだろうけど。俺は違う。あんたに勝手におもちゃにされてムカついて、逃げて。でもあんたは何処までも俺に執着した。それはあんたが俺を好きってことだろ。何でそんな簡単なことわかんないんだよ。こうして俺にこいつら抱かせたのだってただのゲームのつもりだろうけど、こいつら抱きながらあんたのことが欲しいって思ったのは俺があんたのこと、好きになってたからだ。いつまで俺を振り回せば気が済むんだ。いい加減認めろよ」
礼汰の怒声に浅賀が初めて屈託なく微笑んだ。

「参りました。君には降参です」
浅賀が俯きながら前髪を掻き上げる。

「本当は最初からわかってはいた筈なんです。私にとって君は初めから特別でしたから。でも私は恋と言うものをした事が無くて、君のことが好きだと気がつくのに時間が掛かりました。でも気づいたからといって君に伝える勇気がなくて体を奪うことで誤魔化そうとしていました。すみません」
浅賀が弱気を見せる。

「謝るくらいなら初めからすんな」
礼汰の怒りが頂点に達した、かのように浅賀には思えた。

「許してはもらえませんが私は本当に君のことが好きなんです。誰にも渡したくなくて」
浅賀が顔を上げて礼汰の目を見つめた。
「はなからそう言えば良いんだよ」
礼汰の怒気は無かった。
「ちゃんと彼氏にしてくださいって言えば良かったんだよ。言えよ、俺にずっと言いたかったんだろ」
怒りではない潤んだ眼で礼汰が浅賀に言葉を促す。

「わ、私に、君をください」
浅賀が震える口調で言い放つ。

プッ。
「まるでプロポーズかよ」
礼汰が噴出した。
「私は本気で言っているんですよ」
浅賀がムキになる姿に礼汰は新鮮さを感じた。
「じゃあ、恋人としてのセックス、今からしろよ。あんたの本気受け止めてやるか」
浅賀は礼汰がいい終わる前に噛み付くように礼汰に口付けた。

「あん、もしつこい。そこ、やだぁ」
浅賀にペニスを愛撫される礼汰が浅賀の髪を引っ張る。
「ずっとこうしたかった。君の体中を可愛がって蕩けさせてあげたいと思っていたんです。だからもう少しだけ」
「あん。俺が出せないからってそこばっか。っやん。早く挿入れろって」
礼汰が先を望むが浅賀は礼汰のペニスを口で貪り続ける。

礼汰が思いっきり浅賀の髪を引っ張った。
「痛いじゃないですか」
浅賀が礼汰に文句をつけた。
「当たり前だ。調子に乗りすぎ。それにあんたも脱げよ。なんでいっつも俺ばっか脱がすんだよ」
礼汰がブーブー文句を言う間に、浅賀は初めて素肌を晒した。浅賀のしなやかについた筋肉と均整の取れた体に、礼汰がゴクリと生唾を飲んだ。
「ごめんね。今まではとにかく必死だったんですよ」
浅賀が礼汰に圧し掛かる。

「挿入れるよ、礼汰」
浅賀の男らしい口調に礼汰の背筋にゾクリと電流が走った。
浅賀はいつもより慎重に礼汰と繋がる。
「あ、ああっ。せんせい」
浅賀を受け入れながら礼汰が浅賀に手を伸ばす。
「礼汰のこと抱き締めさせて」
浅賀は迷わず礼汰の背にたくましい腕を回すと、残り半分を押し込んだ。
「ああーっ」
礼汰がドライで達した。

「挿入れただけなのにイッたの?」
浅賀の色気のある声色に礼汰の腰にゾクゾクと再び電流が走る。
「だめ、せんせ、その声反則んーーっ」
礼汰が両足を浅賀に絡めまたもやドライを迎えた。
「ほんとかわいいな。動くよ、礼汰」
浅賀が下肢を打ちつけ始めた。
「や、あ、あ、ああっ」
礼汰が浅賀の耳元で喘ぐたび、浅賀は礼汰が反則だと言った声色で「礼汰気持ちいい?」と囁く。
「んやあっ」
礼汰はその度に体をビクつかせた。

「早くてごめんね、もう」
浅賀は礼汰をしっかりと胸に抱きながらピストン運動に拍車をかけた。
「イク、またイ」
礼汰の言葉の途中で浅賀が礼汰の項を押さえ口を塞いだ。
ブルブルと震える礼汰を離すまいと浅賀が腕に力を込め、思いの丈を礼汰に注いだ。

「んー、んんー」
礼汰が浅賀の背をドンドンと叩く。
「だから痛いじゃないですか」
いつもの声色の浅賀が礼汰に苦情を伝えるが、どこか嬉しそうな笑みが浅賀の今の心の内を物語る。

「だからしつっこい。あんた今までとキャラ違うじゃん」
礼汰が口を尖らせた。
「実は君からしてくれたキスがファーストキスなんです。ですから嬉しくてつい」
浅賀が告白しながら礼汰の耳の裏から首筋に掛けてチュッ、チュッ、と吸いつく。

「あんた、相当俺のこと好きだろ」
礼汰の問いに浅賀は「どうしても手に入れたいという衝動が抑えられないほどの人物に出会ってしまいました、といいましたよね」と微笑んだ。いつの間にか忠臣と一臣の姿はそこにはもうなかった。

「でも困りましたね。私にはもう君だけですのであの二人の相手ができなくなりました。あの二人、結構性欲が強いんですよ」
浅賀が難しい顔をする。
「あんたもだろ」
礼汰が突っ込みを入れた。
「いっそのこと君も一緒にここで暮らしましょう。そうすればあの二人の相手は君がして、痛っ」
浅賀に礼汰が拳骨を食らわせた。
「あんた恋人になんて提案するんだよ」
礼汰が浅賀の道徳性を疑う。

「だって君は雄でいたいでしょう。私は君があの二人を抱こうが誰を抱こうが私の元に戻ってきてくれさえすればもう満足です」
浅賀が悟ったように慈悲深い表情を浮かべた。
「浮気はゆるさないって言ってたじゃん」
礼汰がまたしても突っ込む。
「あれは君の本心がわからなかったので。それにあの二人に関しては浮気をノーカンにします。君の性格上私に抱かれるだけではいずれフラストレーションで爆発してしまうのが眼に見えています。ですからあの二人で発散してその後で私を求めてくれるなら私は満足です。最後に君が欲しいのは私だと、そう言ってくれさえすれば私には十分です」
浅賀の屁理屈に礼汰が不思議と納得した。

「わかったよ。そこまで言うならあんたの言う通りにしてやるよ。でもこれだけは約束しろ。俺は絶対にあんたの浮気は許さない。あと変なガラクタももう俺には必要ないからな」
礼汰が男らしい発言をした。
「そこは誓ってお約束します。
忠臣、一臣、聞こえましたか。さっそく手配を頼みます」
ドアの向こうで聞き耳を立てていた二人がドアから顔を覗かせた。
「聞いてたのかよ」
礼汰のこめかみに青く筋が立つ。

「礼汰、もう一度抱くよ」
浅賀が礼汰の弱点である反則の声色で囁いた。
「だからその声止めろ、んああっ、あんああっ」

礼汰の喘ぐ声はそれから朝まで屋敷中に反響した。


COOの執務室に左代 中将が訪れていた。
「最近、面倒を見ている子がいるんだって?鬘君、って言ったかな。営業の本田君に聞いたよ。とても品のある綺麗な子なんだってね」
ヒカルが執務席のPCから目を離すことなく応接セットに座る中将の話の先を促した。
「実はね、俺はずっと長いこと人探しをしていたんだけど別の子が見つかってね」
中将が溜息をつく。
「別の子?」
ヒカルがPCを閉じて応接セットに座った。

「そうなんだよ。俺は高校生のとき初めて結婚したいと強く願った女がいてね。情熱的な女だったから【常夏の女】(Tokonatu no onna)って呼んでいたんだけど。子供ができたら急に姿をくらましてしまってね。風の便りには男の子が産まれたと知ったのはもうずいぶん経てからだったよ。それから八方手を尽くしたんだけどどうにも見つからなくてね。生きていれば二十二歳になる筈なんだけど」
中将がしみじみとヒカルに語る。

「そしたら急に娘が見つかったんだよ。妻と結婚する前の話だからそれは良いとしてだ。その子【猪野頭 近江】(Inogasira Oumi)と言うのだけどこれがまた変わった子でね」
中将が心底困ったように目じりを下げた。
「もうじき二十歳になるっていうのに落ち着きがないっていうか、ハチャメチャっていうか。
おしとやかになればと思って華道を習わせたら投げ入れの事を花を投げて花器に入れるんだと思ったらしくて、槍投げのように花を投げて家元を怒らせてしまって。投げ入れは本来の自然に生えているように活けるって事だろ、それなのに。
華道は向かないのかと思って茶道を習わせたらこんな苦いものは人間の飲み物じゃないと言って茶菓子ばかり食べたらしいんだよ。バクバクと、しかもお替りまで要求する有様。もうどうしたらいいんだか。
顔は悪くはないんだよ、顔はね。でもね。
ヒカルの所の鬘君の半分でも品があればいいのだけど」
ここまで黙って聞いていたヒカルが大声で笑い出した。

「笑いごとじゃないんだよ。そこで、近江と鬘君を会わせてみてはどうだろう」
中将がやっと本題に入った。
「断る」
ヒカルが即答した。
「この通り。頼むよ」
中将が手を合わせてヒカルに頼んだ。

「弘美って言ったけ。冷泉を見初めたとかなんとか。今の話を聞いたところそれと大して変わんねえじゃねーか」
フンッとヒカルが一笑した。
「弘美は近江ほど品が無くはないよ。ただちょっと情熱的で思い込みが激しいってだけで」
中将が僅かにムッとする。
「だめなものはだめだ。顔が悪くねえんなら、さっさと政略結婚の道具にすりゃいいだけの話だろ。何で鬘なんだよ」
ヒカルがきっぱりと断りを入れた。
「それはわかってはいたんだけどね、どうしてか気になるんだよ。鬘君が」
中将がばつの悪そうに口ごもる。
「いずれ鬘には合わせる。だが今回の件に関して答えはNOだ。諦めろ」

中将は渋々執務室を後にした。


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「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ガチムチ島のエロヤバい宴

ミクリ21 (新)
BL
エロヤバい宴に大学生が紛れ込んでしまう話。

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