現代版 曲解【源氏物語】

伊織 蒼司

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【空蝉】Utusemi

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宇津瀬とのセックスが気にいったヒカルは再び関係を持つためあのコンビニの喫煙場所にいた。

「あの…」
一人の青年が声を掛けてきた。百七十そこそこの身長で痩せがた、やや童顔の大学生の様だった。どことなくあの宇津瀬に似た顔立ちだった。

「ヒカルさん、ですよね?
僕、【宇津瀬 子君】(Utuse Kogimi)って言います。女の子が生まれると思ってた両親が君子って決めてたらしいんですけど、僕が男に生まれちゃったから子君。単純で変、ですよね」
子君と名乗った大学生風の青年が頬を赤く染めた。
「俺、男に興味ないけど」
ヒカルの言葉に子君が「ええ?」と大声を上げた。
「だって昨日兄と」その勢いのまま子君が人目を憚らずに大声で話し始めた。
ヒカルが子君の額にでこピンをした。
「痛いっ」
「でかい声だすんじゃねえよ」
ヒカルが子君を窘めた。
「昨日の覗き魔はお前か?」
子君が額を押さえてうんうんと頷いた。
「兄さんならもうこのコンビニには立ち寄らないと思いますよ。今日から会社へは電車じゃなくて車で通勤し始めましたから」
「そうか」
ヒカルがぶっきら棒に答えた。
「兄さんと、もう一度したいんですよね?もし良かったら僕が手引きしても良いですよ?」
子君が取引を持ちかけるようにヒカルを見上げた。
「何が望みだ?」
子君が小悪魔のように微笑んだ。


「あん、あん、ヒカルさん」
ラブホテルのシャワー室でヒカルが子君を背後から犯していた。

子君の望みは昨夜兄を犯した通りに自分も犯すことだった。

「いい、それいい」
背後から片足を掬い上げて子君の下肢を大きく開かせてヒカルががつがつと腰を打ちつけた。
「奥ヤバイ奥ヤバイ。もうイキたい」
子君が下肢に手を伸ばした。
「ダメだ、次行くぞ」
ヒカルが熱い肉棒を引き抜いてベッドに場所を移した。

「口で付けろ」
ヒカルが子君にコンドームを投げて渡した。
「そしてお前も付けろ」
子君が燻る熱を持て余しながらもヒカルの言葉に従った。
「騎乗位でお前が腰を振れ」
ヒカルはあくまでも冷たい態度だが、子君はそれすらも喜びに感じているようだった。

「ヒカルさんにこんな風に命令されるシチュ、ずっと夢見てました」
言われるがままに騎乗位で子君が腰を振り始めた。

「いい、いいよぉ」
喘ぎながら子君が下肢を触ろうとするたびに、ヒカルに阻止されながらも子君が触らずに射精した。
くたくたになった子君がヒカルの上に崩れ落ちた。
「僕、もうへとへと」
根を上げた子君にヒカルが容赦ない言葉を浴びせた。
「お前が望んだことだ。責任はお前が取れ。あんな騎乗位じゃイケやしねえ。
これからも俺に抱かれてえなら、もっと尻の穴締める練習でもするんだな。こんなゆるい尻じゃイケる訳がねえだろ。ビッチが。
お前の兄はこの後俺に突かれてドライでイッたんだ。お前もやってみるか?」
ヒカルが鼻で笑いながら子君を押し倒し、子君の両手を頭上で一括りにしたまま腰をグラインドし始めた。

「ああ、ああ、僕にはまだムリ」
子君が弱音を吐く。
「やってみなくちゃわからねえだろうがドライでイこうが、イケまいが、俺が出すまでは止めねえぞ」
「ああん、壊れる。お尻壊れる」
子君が泣き喚いてもヒカルは下肢を打ちつけ続けた。

「ああっ」
子君が再び触れられぬままに射精した。
それからは壊れたように小刻みに射精しながら、子君が善がり続けた。

「もう出ない、抜いてぇ」
子君が本気で泣き始めたがヒカルは止めなかった。
「泣いてる方が中が締まって良いな。おら、もっと泣けよ」
ヒカルは子君を散々に泣かせた。

「ヒカルさん、やだ、なんかくる」
子君が頭を振りながら「来る、くる」と必死に叫ぶ。

「う、あ、うわあーっ」
子君の体がベッドの上で大きくバウンドした。両手手首を押さえられヒカルに肉棒を埋め込まれた状態で、波打ち際の魚のようにビクビクと跳ねた。

「やれば出来るじゃねえか」
ヒカルもようやく息を詰めて子君の中で果てた。

こうして、ヒカルと子君との取引が成立した。


ヒカルがいつものように寮へ向うために校門へ向うと、いつものざわつきとは一風変わった空気が漂っていた。いつものように出待ちの女子高生がちらちらと何かを気にしているようだった。
ヒカルがその原因に一瞥しただけで校門を出た。するとその原因である黒塗りの高級車がヒカルの隣を徐行しながらついてきた。
後部座席の窓がウィーンと開いた。

「やっと見つけた」
忌々しげにヒカルを見るその言葉の主は六条 雅であった。
「まさかヒカルが高校生だったなんてね。もともと落ち着いた雰囲気だしタバコ吸ってたし、あたしですら気づかなかったわ。興信所三箇所も使ってやっと見つけたんだから、って、何か言いなさいよ」
雅が車中から叫んだ。その光景を女子高校生たちが動画を取りながら見ていた。
「ちっ、小娘どもめ。乗って!」
雅がヒカルに叫んだ。
「いいから乗って」
するとヒカルが「うるせえな」と呟いた。

「俺をどこに連れてくつもりだ?」
ヒカルが雅をチラリと見た。
「制服だと目立つから、あたしのマンションよ」
雅の返答に運転手の男が「オーナー、口調が。おねえになってますよ」と小声で指摘した。
「わかってるわ、ぜ!
もう、うるさいわね!あんた黙ってなさい!」
雅が運転手の男に怒鳴った。

「プッ。あんたそっちの方が合ってるぜ」
ヒカルの一言に雅が顔を赤らめながら「なによ、高校生のくせに」と照れたように呟いた。肩までの髪を下ろした雅はともすると女性にも見える。

雅のマンションに着いた二人は雅の部屋へと移動した。
「今日はあのパツンパツンパンツじゃねえんだな」
ヒカルの一言に雅が猛烈に反論した。
「あんなの付けられたらあのぴちっぴちのパンツ、痛くて履けるわけ無いじゃない。
座ったときに脚も組めないのよ、あれが邪魔で」
「ああ、だからそんなだぼだぼの履いてんのか」
「そうよ。早く鍵よこしなさいよ」
雅が右手を差し出した。

「これ、ね」
ヒカルがポケットから小さな鍵を取り出した。そして手品のように右手から左手へと移動させたかと思うと口に含んで飲み込んだ。
ゴクリ。
その流れるような行動をあっけに取られたように見ていた雅が悲鳴を上げた。
「何てことしてくれたのよ」
ヒカルの胸元に掴みかかり、「出しなさいよ、吐きなさいよ」とヒカルの体を揺さぶった。
「必死だな。溜まってんだろ?タチ喰いも出来なくてイライラしてんだろ?」
ヒカルが雅の体を引き寄せ雅の尻に指を這わせたその瞬間、互いの下肢をグッと密着させた。腕の中に閉じ込め、身動きできぬように封じたまま雅の尻の間を指の腹でぐにぐにと揉み込んだ。
「んや、やめ」
雅がヒカルの腕の中で力なく抗う。

「あんた、やっぱり喰うより喰われる方が合ってるぜ」
互いの下肢を合わせたヒカルが「後ろ触るだけであんたのも熱くなってんじゃん」と確認するように擦り合わせた。
「あん、痛い。あっ、いや。痛いのはいや」
喘ぎながら雅がぽろぽろと涙を零した。
「そんなに痛いのはいやか?」
痛がる割には雅の吐息が色づき始めていた。薄手の服越しにヒカルの第一関節が雅の中に埋め込まれた。
「あんっ、ちんこが勃起すると、んん、玉が引っ張られて」
ヒカルはそのまま奥を目指すようにぐにぐにと揉み続けた。

「ああ、ああん」
次第に雅が快楽に啼きはじめた。
「寝室はどこだ」ヒカルに雅が「あの奥」と指した。
ヒカルが雅を横抱きに、いわゆる姫抱っこして寝室へと入った。
寝室に入るとヒカルが雅の服を全て剥ぎ取ったが、雅はヒカルにされるがままになっていた。雅の服を脱がせたヒカルが雅から離れて壁に寄りかかった。

「隠すなよ」
ヒカルの言葉に雅の目尻が朱に染まる。ヒカルから目を逸らしたままに手で覆い隠していた下肢を晒した。
ヒカルが暫く雅の身体を視姦する。夕日を背に逆光の中、雅が頬を羞恥に染めているのがヒカルには容易に想像できた。

「足、開け」
雅がほんの少し足を開いた。
「そんなんじゃ見えねえだろ。肩幅まで開け」
ヒカルが静かに命令する。

まるで時が止まったかのような静寂の中、逆光を浴びた男をモチーフにした絵画を楽しむように、ヒカルが言葉を発することなくいつまでも見ていた。

その絵画に描かれている男の下肢の間からゆっくりと、細く長い糸を引きながら滴が垂れ落ちた。

「ぱんぱん、だな」
ようやくヒカルが言葉を発した。
「お前が、つけたんだろ」
雅が感情を剥き出しにした途端「いーっ」と言って蹲った。

「興奮すると玉が引き攣れて痛てえんだろ」
傍まで来たヒカルが雅をそっとベッドに横たえると良く見えるように下肢を開かせた。雅の性器には銀色に輝く『貞操帯』が取り付けられていた。ステンレスの筒の中に収められた雅の竿の部分が部屋に差す夕日をオレンジ色に反射していた。根元に輪を通された雅の睾丸が夕日の明かりでもわかるほどに紅色に染まっていた。
「マジぱんぱん、だな」
ヒカルが悦に入った様に、そして感動した様に呟いて、自分も制服のスラックスの前だけを肌蹴させた。
「我慢汁垂らすとこ、綺麗だったぜ」
ヒカルの言葉に雅の顔がますます羞恥に染まった。

ステンレスの筒の部分は外れないように睾丸の根元のリングと連結され、南京錠で施錠されていた。その南京錠の鍵が手品で飲み込んだ物だった。
あの日、SMプレイ専用ルームでヒカルが見つけたのはこれだった。気を失った雅に貞操帯を着け放置したのだった。

「良い子にしてれば外してやる」ヒカルの言葉に「鍵、無いくせに」と責めた雅に、ヒカルがべーと舌を出した。その舌の上に鍵がのっていた。鍵の存在を確認した雅が素直に体の力を抜いた。
ヒカルが雅の両方の膝裏に手を差し込んで雅の胸元近くまでググッと押さえ込むと雅の尻が宙に浮いた。そのタイミングで制服のスラックスの前だけを肌蹴させていた性器で貫いた。まさに串刺しにするようにヒカルが貫いた。

「あああっ」
雅がその衝撃に大きな声を上げると、ステンレスの隙間から瞬く間に雅の精液が溢れ出た。

「暴発したか。これじゃ射精管理にならねえな」
ヒカルが不満を漏らした。
「ヒカル外してぇ、コレ。言うこと聞いて良い子にしてたでしょ。だから」
痛みと快感で涙目の雅がヒカルに懇願した。
「ああ、良い子にしてたな。んじゃ、これを外してやるからな」
ヒカルが雅にゆっくりと顔を近づけた。

「なんて、俺が言うわけねえだろ」
そう言うとがつがつと雅を犯し始めた。

「ああ、ヒカルぅ。痛い、でも気持ち良い」
相反する言葉を何度も繰り返す雅をヒカルは性欲の赴くままに犯し続けた。雅も細かく暴発を繰返し、銀色に輝く貞操帯から精液を溢れさせた。

ヒカルが雅をようやく開放した頃には雅は意識を失っていた。
「約束どおり外してやるよ」
ヒカルが口の中から取り出した鍵で雅の貞操帯を外してやった。

「またな」
雅の寝顔に挨拶をしたヒカルが雅のマンションを後にした。


数時間後。目を覚ました雅がベッドサイドに置かれた貞操帯を見て安堵したが、その下にあったノートの切れ端を読んだ雅がシーツを捲った瞬間「前よりえげつないの着けてくんじゃないわよ!」と大声で叫んだ。

ノートの切れ端に『男の娘専用。オナニー厳禁。お前の好きなパツンパツンが履けように前より小さいのにしてやる。感謝しろ』と走り書きがあった。

「ふざけんじゃないわよ!なんでこんなもん学校に持ち歩いてんのよ」
雅がそのメモを怒りのままにごみに捨てた。

今回付けられたのは尿道プラグ付きのステンレス製の貞操帯だった。竿を縦に押し潰す構造で尿道確保のためのプラグが一体型になっていた。尿道プラグの先端から睾丸の根元のリングに向って延びる緩やかな二本のカーブが、睾丸の両サイド二箇所で南京錠によって施錠されていた。
興奮すると自らの首を絞める事を身を持って知る雅が、親指の爪を噛みながらまずは落ち着くことに専念していた。
宮内 ヒカル 十七歳、六条 雅 二十四歳。
二人の駆け引きはまだ始まったばかり。


子君からの連絡で、決行する段取りまで漕ぎつけたヒカルが授業中にも拘らず、薄ら笑いを浮かべた。

その日の夜十一時過ぎ、子君の手引きによってヒカルが宇津瀬の部屋へと難なく侵入した。
ベッドには宇津瀬が寝ているようだった。布団を勢いよく剥ぎ取ったヒカルの目の前には見知らぬ女が寝ていた。
一瞬驚いたヒカルに気がついて目を覚ました女が悲鳴を上げようとしたため、ヒカルがとっさに女の口を塞いだ。部屋の間接照明に女の目が慣れてきたのか、女が悲鳴を上げるどころか抱きついてきた。

「嬉しい。ヒカル君の好きにして」
女はヒカルの出待ちの一人のようだった。
心の中で舌打ちをしたヒカルが引くに引けずにその女を抱いた。


玄関のドアの外では子君が座り込んでいた。

「子君?」
声の主は宇津瀬本人だった。
「兄さん?どうしてこんなところに?」
驚いたのは子君だった。
「(伊予の連れ子の)【萩】(Hagi)が少し熱が出そうだと言うから風邪薬、買いに行ってたんだ。風邪を引くと不安になる子だから僕たちの寝室に寝かせて」
宇津瀬の言葉に子君の顔が見る間に青ざめた。
子君の態度に不審を抱いた宇津瀬が、ドアを開けて中に入ろうとした。
「何で今日に限って」
「どういう意味?」
子君が無自覚に呟いた一言に宇津瀬が眉を潜めた。

「ダメ、今はダメ」
子君が宇津瀬とドアを遮る様に間に立ちはだかる。
「ダメってどういうこと?」

宇津瀬が子君を押しのけてドアノブに手をかけたその時、静かにドアが開いた。
部屋の中から出てきた人物に宇津瀬の目が見開いた。

「え?ヒカル君?何で?まさか子君、ヒカル君と知り合いなの?」
宇津瀬に睨み付けられた子君がいたたまれずに目を逸らした。
「じゃあ、萩は?」
宇津瀬が動揺を隠さずにヒカルを見上げるが、それを一瞥したヒカルが「あんたはもういいや」と一言呟いて帰って行った。


それから間もなく人事異動の発表で伊予の転勤が決まり、宇津瀬も長年勤めた会社を辞めて着いて行く事を決めた。
「仕事、良いのか?」伊予の言葉に「仕事よりお前を優先したいんだ」宇津瀬がヒカルとの夜を忘れるためにあえて嘘を付いた。
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