寤寐思服(gobi-shihuku) 会いたくて会いたくて

伊織 蒼司

文字の大きさ
上 下
26 / 42

【カッちゃん】 R18

しおりを挟む




「あんたが【カッちゃん】か」
開口一番でテツが勝色に話しかけた。

「俺が剛の親父のテツだ。テツさんって呼んでくれ。
ハナちゃんもそうだがカッちゃんもえらく別嬪だな。
うちの倅たちが揃いもそろって面食いとはな」
テツが煙管に火をつけた。

「これからも剛のこと、支えてやってくれな。
ところでカッちゃん、うちの剛はあんたをちゃんと満足させてるかい?
こいつは餓鬼のころから真面目だけが取り柄でね、夜の話にゃとんと疎いんだ」
頬を紅潮させた勝色が潤んだ瞳をテツに向け、ゆっくりと否定の意を表した。

「剛…凄いんです」
そして濡れた目で剛を見つめた。
その二人の空気にピンと来たテツが軽く舌打ちをした。
「はっはーん。剛、おめえここに来る前にカッちゃんとやりやがったな。
どうりでな、目が潤んでると思ったんだ。
カッちゃん、まだ発情してるぞ。
ったく、ちきしょう目の毒だぜ、さっさと離れに連れていきやがれ」
テツの言葉に先に立ち上がった剛に促され、片膝を立てた勝色が、思い出したように風呂敷に包れた物をテツに差し出した。

「これ、挨拶代わりの菓子です」
とだけ言うと、剛と共にそそくさと母屋を後にした。
見知った包みに包れたそれを見たテツが「カッちゃんこいつは」と言い掛けたが、二人の姿は既に無く、テツが寝室の仏壇に供えて手を合わせた。

離れへと行き、柔たちの部屋から最も離れた部屋に入ると、「早く、したい」と勝色が剛に抱きつきながら、剛の下穿きをずらしてお目当ての物に勢い良くしゃぶりついた。
テツの言ったとおり、途中で発情した勝色に、人目につかない木陰に引っ張り込まれた剛が、興奮して一旦は交わったものの、物足りずに不完全燃焼の勝色を宥め透かして連れて来たのだった。

「あれして、早くあれして」
勝色がお気に入りの体位をせがんだ。剛が覆いかぶさって腰を動かした。
「気持ち良いけど奥、もっと奥」
今までの求めで、剛が勝色の善がる場所を完全に把握していた。

「お前のお気に入りは、ここだろ」
「うん、そこ、そこ…ああ」
希望の体位ではないが、それを気にすることなく勝色が啼いた。
「ここもだろ」
「そこも、好き。剛、好き」

剛が腰を押し付けたまま、互いの接合部分を擦り合わせ始めた。擦り合わせるたびに勝色の胎内でのゴウの角度があちこちと変化し、勝色の胎内を縦横無尽に暴れていた。
「あ、あっ、んん、いい」
ここに来る前から発情していた勝色の焦点はもはや合ってはいない。
「そこぉ、ずっと擦って」
勝色が体をくねらせながらも甘えた声を出した。
剛が真下に見える輪を見ながら下肢を擦り続け、ひたすらにその時を待つ。

「あ、ああ、ああ」
階段を昇るように勝色の声のトーンが上がっていく。
剛も胎内でそれが来るのを感じていた。
剛が上を向いて一つ大きく息を吐き、その心地良さに身をゆだねた。そして、その時の訪れのために、勝色の腰を両手でしっかりと固定した。

(…来る)次の瞬間、一気に大きなうねりを伴ってそれは来た。

「ああーーーっ」
ついに上り詰めた勝色が嬌声を上げたと同時に強い締めが胎内で湧き起った。
ビクン、ビクンと大きく勝色の体が大きく震えると、胎内で待機中のゴウをも同じリズムでキツク締め付ける。

奥に引きずりこまれるように、剛が密着したままの腰を、さらに押し込むように小刻みに突く。
そのたびに胎内が大きく蠢き、突き入れるたびに搾り取られるように、剛が快楽の証を吐き出していた。そのたびに「んっ」と剛の顔が快楽に歪む。まるで引き潮に体を持っていかれる様な錯覚に、剛が勝色に強くしがみつく。

それが次第に和らぐ頃、今度は細かなざわめが、まるで勝色の胎内が意思を持った生き物の様に蠢いて収縮し始めた。
「はあー」
自分の意思とは無関係に精を吐き出した剛がため息にも似た息を吐いた。  
その間にも既にゴウの形へと変化した勝色の胎内が、萎えてしまったそれに一部の隙間も与えないまま纏わりつき、ぴったりと嵌まるその再奥はその切っ先を擽る。
今度は満ち潮の様に先ほど勝色の胎内に放ったゴウの快楽の証が押し出され、ブジュブジュと接合部から卑猥な音と共に押し出された。
今度は「ふっ、ふっ」息継ぎをするように呼吸しながら、剛が恍惚とした表情を浮かべていた。そして程なくして勝色の胎内で再び剛直さを取り戻し、熱を帯び始めると、その熱を増幅させるように勝色の胎内が淫らに絡みつき、ゴウの限界まで引き上げる動きをし始める。その渦に巻き込まれ、耐え切れ無くなる頃にまた一変して大きな引き潮がゴウを奥へと誘うように精を搾り取る。

この蠢きが始まると長い間続いて延々繰り返す。
大きなうねりで搾り取られても、細かなざわめきで何度も力を取り戻させられ、限界まで硬くなったところで再び大きなうねりが沸き起こり搾り取られる。
それが幾度となく繰り返えされるのだった。
薄目が開いたまま勝色も恍惚の表情を浮かべていた。
剛が細かく突き入れるたびに次第に満足した色を濃くその顔に映し出す。
かつて勝色の表面に出ていた剛に対する貪欲さが、今度は胎内で猛威を振るっていた。
胎内の一連の動きが静まり、勝色の満足度を現すように、うっとりとした顔のまま、体を弛緩させていた。
この交わりをするようになってから、いつの頃からか男の象徴であるカツイロに力が漲る事はなくなっていた。

「はーーっ、はぁーーっ」
大仕事を終えた様に剛が、大きく息を吐いた。

旅の疲れも伴って勝色が既に意識を飛ばして眠っていた。
仕置きの輪を付けて交わるごとに、勝色が変わった。
極めるまでの時間が極端に長くなったが、一度極めた時に胎内に沸き起こりお互いに与える快楽はそれ以上だった。

以前に「目を瞑ると快楽が腹部に蓄積して、増幅する」と言い、その通りに今に至っていた。
仕置きの輪での交わりが勝色を骨抜きにしているのは剛にも周知の事実だった。いつも発情した娼婦ような、濡れた目で剛を見るようになっていた。

「俺の女は魔性…か」
一人呟いて身支度を整えた剛が母屋へと足を向けた。

「親父、起きてるか?」

「おうっ、って、どんだけ搾り取らたんだあ、剛?
枯れそうなら、俺が手伝ってやってもいいぜ。なんたって現役だからな、俺は」
「はは、断言しても良い。親父じゃカツは無理だ。あいつは俺が骨抜きにしたからな」
乾いた笑いと共に即答した剛が、煙管をふかすテツを鼻であしらった。

「言うようになったじゃねえか。柔よりは大人だな、剛は」
そう言ってケラケラと笑いながら、テツが火鉢に煙管の火種をぽんと落とした。
「あいつは花色さんに骨抜きだからな」
剛がぽりぽりと頭を掻いた。
「あいつは性格も女の趣味も俺にそっくりだ」
テツが遠い目をした。
「俺もあいつが生きてる頃は同じように骨抜きだったからなあ」
テツが記憶を辿るように新しい煙管に火をつけた。
似たもの親子のテツと柔が、いつも些細な事で張り合うのを見るたびに、一歩引いたところで見ていた剛に、テツも剛には張り合うことをしなかった。

「お前は、あいつにそっくりだな」
テツが亡くなった二人の母親を暗示しながら、紫煙を燻らせた。

「明日から二人で手伝い始めるよ」
それだけを言った剛が、襖を開け、「親父も枯れる前に誰か見つけろよ」と嫌味な捨て台詞を吐き勝色のいる部屋へと戻った。
それを聞いたテツが「ふん、餓鬼の癖にませた口聞きやがって」と小さく悪態をついた。


「【夕】(ユウ)ようやっとこの菓子を届けてくれていたのが誰なのか、わかりそうだぜ」
剛が出て行った後、テツが仏壇に手を合わせて二人の息子とその嫁の話しを亡き妻へ嬉しそうに語っていた。


双子のお話はこれで終了です。お読みいただきましてありがとうございます。
よろしければおまけのR18もどうぞ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

処理中です...