寤寐思服(gobi-shihuku) 会いたくて会いたくて

伊織 蒼司

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おとうさん R18

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花色が柔の父親【テツ】と対面した。
柔の将来の姿をしたその容姿に、興奮したように花色が荒い呼吸を繰り返していた。

「渋い…」
花色のこの発言に柔が酷く動揺した。

「俺は柔の親父のテツだ。へええ、あんたが柔の…」
柔とそっくりな仕草で花色を見た目じりの皺が、いっそう渋さを際立たせていた。

「あっ、はああっ」
花色が大きな吐息を吐いた。

「あんた、花色って言ったな。
柔が物足りなくなったら、俺に遠慮なく言ってくれよ。
俺がいつでも引き受けるぜ。
あんたを満足させる自信ならあるぜ。
若いだけのこいつにはねえ『技』って奴を披露してやるからよ」
静かに近づいたテツに顎をつかまれたまま見つめられ、花色の目から見る間に力が抜けていった。

「あ、あ、柔、俺…」
「ダメだ、そっち見るな、こっち見ろ。
勝手に触んな、親父。だから親父には見せたくなかったんだ。
こいつは俺んだ、俺の嫁だ」
柔が乱暴にテツの手を振り払い、テツから引き離すように抱き寄せた。

「チッ、お前も何時までもぽーっと親父の事見るんじゃねえよ」
柔が腕の中の花色を見ながら舌打ちをした。

「ふっ、お前もまだまだ青いな、選ぶのは自由だろ。
俺だって妻を亡くしてから、独り身が長く堪えてな」
テツが花色の手を握った。

「んああっ」
指の股を擦られて花色が小さく喘いで頬を染めた。

「くそっ、手離せ。とにかく、こいつは俺の嫁だ。
手を出したら親父だろうと容赦はしねえからな」
柔が、噛み付きそうな勢いで、本気でテツを牽制した。

「ほおー、ハナちゃんは手が弱いのか、良いこと知ったな。
俺のことは『おとうさん』って呼んでくれ」
そんな柔には目もくれず、テツが花色の手を離さずに、あろうことか両手に包み込んで優しく撫で擦った。
「やめろ!
手だけじゃねえ、こいつは何処もかしこも敏感なんだ。
俺が仕込んだんだからな」
「お前、馬鹿か。
自分の嫁の弱点、他の男に晒してどうするよ。
さぁ、ハナちゃん。
言ってごらん、お・と・う・さ・ん」
テツが促すように花色の手をさわさわと触る。
「あっ、おとう、さん」
花色がトロンとした目をテツに向けたまま、素直に呼んだ。

「クーーッ、痺れるねえ、ビンビンに来るねえ」

「くそ親父、いい加減にしろ。
挨拶はもう良いだろ。
ほら、お前ももう行くぞ」
強引に引き離すように柔が花色を連れて母屋を出ると、魂の抜け殻の様な花色の腰を抱き、離れのある工房の奥へ向かった。

一番奥の母屋から最も離れた部屋に花色を引き入れ、「お前、まさか親父に惚れたんじゃねえだろうな」開口一番にたずねた柔の表情は真剣そのものだった。
花色がゆっくりと首を横に振って否定した。

「柔が年をとったらこうなるのかな…って思ったら、ゾクゾクして興奮した」
まだ、頬を染めたままの花色の目が少しばかり潤んでいるのを柔が見逃さなかった。
「本当にそれだけか?」
訝しげに柔が花色の顔を覗き込む。
「うん。おとうさんは渋くてかっこいいけど、俺は柔が好き」
花色が柔に熱い視線を向け、柔の頬を両手で包んで蕩ける表情を浮かべた。
「良かった、心配したぜ。
本気で親父の方が好みなのかと思って…冷や冷やもんだったぜ。
っくっそ、でもまだ心配だな」
軽く舌打ちをして、ブツブツと不安を洩らしている柔に、花色が思い余った様に抱きついた。

「柔…したい。抱いて、いますぐ柔の女にして」
極度の興奮のためか、花色が発情していた。

お互いに立ったまま、角度を変えて口付けを繰り返しながら、柔が花色の下穿きをいささか乱暴に剥ぎ取り、花色の滑らかな尻の間にある窄まりを指の腹で擦ると、花色が喉を晒して喘ぎ始める。
既に臨戦態勢の柔のオスからは夥しく先走りが溢れ出していた。
花色の左足を掬い上げるように下肢を開かせて柔が先走りを花色の窄まりに塗り付ける。
再び角度を変えながら貪るように口付けしながら、柔がいつもよりも性急に花色の胎内に捻じ込み始めた。
「悪い、もう挿れてえ」
花色の返事を待たずに柔がオスを押し付けると、先走りのおかげですんなりと花色の胎内に吸い込まれた。
花色の両足を両腕で掬い上げ、壁に押し付けると、花色の自重で柔のオスを奥深くに向い入れた花色が「ああっ、ああっ」と一際大きく啼いて、柔の首にしっかりと両腕を絡ませてしがみ付いた。

程なく柔の太股を花色の精液が伝い落ち、柔の足元に水溜りを作り始めた。

「痛くねえか?」
柔が不安げに花色の顔を覗きこむと、「大丈夫、俺は大丈夫だから」と柔にしがみ付いたままの花色が小さく答え、「柔、好き」と恥らいながらより一層しがみ付いた。
いつものように花色が射精し終わるのを待った柔が揺さぶるように突き上げると、その度に「ああ、あん、ああっ」と花色が甘く啼いた。

暫く柔に揺さぶられた後、「柔、じゅう」花色の合図ともいえる啼き声に「ハナ、言え。どうして欲しいか、言え」と柔が雄の声色で囁いた。
「欲しい、俺を柔の女にして」
花色に言わせた柔が、満足したように微笑んだ。
「今日は玉が空っぽになるくらいお前に種付けしてやるからな」口付けの合間に柔が呟くと、「うん、欲しい。して」と花色も返した。
「俺を見ろ、花色」
余裕のない腰使いで息の荒い柔が真っ直ぐに花色を見つめる。

「好きだ、ハナ。お前への思いが恋心だって気づいた時から、お前しか欲しくなかった。お前は俺の初めての女で、俺は死ぬまでお前以外は抱かねえ。だから、お前も、俺の傍で俺だけを見ててくれ」
柔の真摯な言葉に花色が快楽だけではない涙を浮かべ始めた。

「俺も、十四年柔を探して、こうやって出会えた事に感謝してる。
俺は死ぬまで柔の女なんだから、浮気なんかしたら許さないからな。
お前無しでは、俺は生きていけないんだからな」

熱に浮かされながらお互いに告白すると、「約束する」と誓った柔が、軽い口付けの後花色のおでこに誓いのように口付けを落とした。
「いっぺん出すぞ」
言葉を発したと同時に柔が花色に力強く下肢を押付けた。

「すごい」
恍惚とした表情を浮かべた花色が、「んんっ」と体を震わせると、再び柔の下肢を花色の精液が伝い降りた。

繋がったままゆっくりとその場に座り込み、すぐ傍に畳まれている布団に体から力の抜けてしまった花色を凭れさせ、柔が花色に口付けを与えながら花色の着物の袷を開いた。

「次は、おっぱいで気持ちよくなろうな」
柔が花色の片方の乳房に吸い付きながら、もう片方にも手を這わせる。
二つの粒を同時に愛され始めた花色が吐息を零す。

「時間はたっぷりあるんだ、じっくりと気持ちよくしてやる」
そういうと、柔が口と手で交互に花色の乳房を愛し始めた。

「どうだ?気持ち良いか?」
花色の乳房にむしゃぶりつきながら、興奮した柔が花色に尋ねる。
「気持ち良い、気持ち良いよ。はぁーーっ」
花色が甘い吐息を零す。

「柔、好き。好き。柔が抱いてくれるのが嬉しい」
恥ずかしさと共にはにかんだ仕草の花色に柔が鼻息を荒くし、花色の乳房に噛みつきながら、花色を見上げた。
「柔が俺のこと抱けるんだって」
申し訳なさそうに小さくなりながらも、柔を真っ直ぐに見つめる花色に、柔が途端に大きく下肢を打ちつけた。
「ああっ」
小刻みに呼吸する花色に柔が大きく抜き差ししながら花色の胎内を責めはじめた。
「あ、ああっ、こんな、こんな激しいの、知らない。始めて」
柔の責めは長い時間に及んだ。

程なくして「悪りい」少し落ち着きを取り戻した目で花色を見据えた柔が、再び花色に全身で絡まるように、いつものようにゆったりとしたリズムで愛し始めた。

「あんまり、煽んじゃねえ。俺はお前が気持ち良きゃいいんだ。
俺の理性が崩れたら、今みてえにお前を壊しちまうまで泣かせちまう、その不安が元でお前を抱けなくなったって前に言ったろ」
「俺は、それでもいい。柔になら何されたっていい。
だって、その方が、柔の、お前の女になったんだって、俺が満足するんだから」
泣きそうに歪んだ花色が柔にしがみ付いた。
「だから、ひどくしても良い。酷くしてよ。俺は、それが嬉しいんだから」

その花色の言葉を受けた柔が「その言葉、忘れんなよ。でも、俺がお前を傷つけるなんて、できやしねのわかってて言ってんのか?」
コツンとおでことおでこをくっつけた。
ふふっと挑戦的とも取れるように小さく笑った花色に「そんな余裕、無くなるくらい可愛がってやる」と柔も雄の色香を漂わせる声色で応戦した。

「んんっ、そこばっかり」
花色が参ったとばかりに泣きを入れ始めた。
「ハナのおっぱいもすっかり女になったな。可愛がるたびにお前の胎内ぎゅうぎゅうに締まるの、わかるだろ」
「そんなの、体が勝手にしてるんだって」
「だろうな、俺がハナを女の、いや、俺の女の体にしたんだからな。
胎内もすっかり俺の形になってんだぜ、俺にしかわからねえ事だがな」
花色の乳房を銜えながら柔が花色を見上げた。
目が合った途端に花色の頬が朱に染まる。

「見てみろ。ココもすっかり女になったんだぜ」
柔の視線に促された視線の先には、花色が嫌悪している男性器があった。
赤子のように茂みのない、成人男子よりもかなり小ぶりで、皮を被ったままの花色の性器から、ぬめりを伴った汁が夥しく溢れたのがわかるほど、二人の下肢がぬらぬらと光っていた。
「やっ」
視界に入った途端に花色が顔を逸らした。

「可愛い。ハナの女のおちんちん」
雄の声色で花色の耳元で柔が囁く。
「俺におっぱい弄られて、触られないのにこんなに濡らして」
両手でそれぞれの二つの粒を捏ねながら、花色の耳朶を甘噛みすると、花色が胸を大きく突き出しながら喘いだ。

「柔、柔」
ビクン。

「柔、なんか来る。じゅう」
ビクン。

「はっ、はぁ、ああーっ」

体全体を震わせて咆哮を放つかのように喘ぐと、花色の体が小刻みにビクビクと、まるで海辺に打ち上げられた魚のように痙攣した。
その花色に引きずられるように柔が眉を顰め、唸りながら花色の体を抱きしめるようにしがみ付き、胎内の最奥を強く抉るように下肢を打ちつけた。

「柔の、たくさん出てる。はあ、ああっ、きもちいい」

花色が、胸の刺激だけで胎内で絶頂を極めたのだった。
暫くの間、二人は沈黙の中を漂っていた。

「柔、今日俺、興奮して…体がおかしくなったのかな」
花色が艶っぽい眼差しで柔を見つめた。
「違げえよ。よりによって雌イキするなんざ、どこまで俺を骨抜きにすりゃ気がすむんだ俺の女は」
息が整うのを待って、柔が熱っぽい目で花色を見た。
「メス…イキ?」
「ああ。女みていに胎内で極める事だ。
男で出来るのは極マレだって聞いてたから、てっきり噂だけかと思ってたんだがな。
さすがは俺の女だ」

「これからもたくさんおっぱい触って、気持ちよくしてやるからな」
花色の胸に再び唇を寄せながら、柔のしなやかで野性味を帯びた肉体が大きくしなる。
その度に花色に嬌声が上がった。
躍動する柔の筋肉が花色の全身に絡みつく。
花色の両手が柔の背に回り、筋肉の作る窪みをいくつも辿る。
柔が強く絡まるたびに、花色の体が硬直てブルブルと震えた。しかし、すぐさま弛緩して満たされた表情で大きく吐息を吐き出した。そして柔もまた小刻みに下肢を押し付けながら息をつめ、呼吸が整うとまた直ぐにしなる様に絡みつく。何度も、何度も。

「イキっぱなしだな」
柔が小さく呟いた。
 
興奮したと言っていた通りに、花色が何度も柔を欲しがり、それは柔も同様だった。
二人は、まさに混ざり合って一つになるほどに互いを貪りあった。


疲れきって眠る花色を腕に抱きながら、意外なところに現れた恋敵に、困った様に苦虫を噛み潰す柔だった。


「親父、起きてるか?」
柔がテツの母屋を訪れた。

「けっ、すっきりした顔しやがって。抱いて、安心したか」
煙管をふかしながらテツがニヤリと笑った。
的を突かれ柔の頬に朱が差したが「ああ」と呟いた。

「ハナちゃんが、お前の手ぬぐいの人か。
名まで『花色』とは恐れ入った。
お前は最高の嫁を見つけたんだな」
「俺の嫁を馴れ馴れしく呼ぶんじゃねえよ」
「じゃあ何て呼びゃあいいんだよ。
名前の呼び方くれえでいちいち口尖らせるんじゃねえよ。
だからまだまだ餓鬼なんだよ、お前は」
柔がますます不貞腐れた様にテツから目を背けた。

「にしても、ずいぶんお前変わったな。
前は何かに執着する事なんてなかっただろ?その手ぬぐいの他には。
よっぽど入れ込んだか、ハナちゃんに」
テツがニヤニヤと笑いながら煙管の火を火鉢に落とした。
柔がぶすっとした面持ちのまま無言でテツの向いに座った。

「さあて、と。お前で遊ぶのはこの位にしとくか。
話、あってきたんだろ」

 来られなくなった剛と勝色の話を聞いたテツが、膝を叩いて喜びを表した。
「剛もか、いやめでたいねえ。嫁が一気に二人もか。
『カッちゃん』にも会いてえなあ。
剛もこの工房の手伝いしてくんねえかなあ。
反物、町に運ぶ奴がもう年で引退してえと言ってきてな。
ちょいと困ってるんだよなあ」

しみじみとテツがため息をこぼした。
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