上 下
2 / 15
出会い

プロローグ

しおりを挟む
 厳かな時間、白いチュールのウエディングベールはシャンパンゴールドのドレスの裾に波打った。ヘッドドレスはアクアマリンのスワロフスキーが光を弾き、八重咲の薔薇が咲き乱れた。

「汝、和田 雅樹わだまさきは、この女、叶 睡蓮かのうすいれんを妻とし、良き時も悪き時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分つまで、愛を誓い、妻を思い、妻のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」

「誓います」

「汝、叶 睡蓮は、この男、和田 雅樹を夫とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分つまで、愛を誓い、夫を思い、夫のみに添うことを、神聖なる婚姻のもとに、誓いますか?」

「誓います」

 左の薬指に輝くプラチナの結婚指輪。

(あの隣に)

 荘厳なパイプオルガンが新郎新婦の新しい門出を祝い、親類縁者の拍手が感動の涙を誘う。新郎は和田医療事務機器の御曹司、新婦は叶製薬株式会社の愛娘、参列者は教会の聖堂内に入り切らなかった。

(私があの隣に居たかった)

 そんな中、一人の女性が真珠のような涙を零していた。その面立ちは新婦に瓜二つ、髪の色はやや深いロイヤルブラウンとその雰囲気は異なるが、陶磁器の白い肌、桜色の頬、やや伏し目がちの長いまつ毛に隠された黒曜石の瞳、赤くぽってりとした唇は合わせ鏡のようだった。

(私が、私があなたの隣に)

 それは深淵の悲しみの涙。

(私が)

 恥ずかしげに微笑む亜麻色の髪の睡蓮と対照的な木蓮。二人は双子の姉と妹だった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ぽっちゃりOLが幼馴染みにマッサージと称してエロいことをされる話

よしゆき
恋愛
純粋にマッサージをしてくれていると思っているぽっちゃりOLが、下心しかない幼馴染みにマッサージをしてもらう話。

【R18 大人女性向け】会社の飲み会帰りに年下イケメンにお持ち帰りされちゃいました

utsugi
恋愛
職場のイケメン後輩に飲み会帰りにお持ち帰りされちゃうお話です。 がっつりR18です。18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください。

【R18】はにかみ赤ずきんは意地悪狼にトロトロにとかされる

梗子
恋愛
森の入り口の村に住むクレアは、子どもたちに読み書きを教えて暮らしているごく普通の村娘 そんなクレアは誰にも言えない秘密を抱えていた それは狼男の恋人のロイドがいるということー ある日、村の若者との縁談を勧められるが、そのことがロイドに知られてしまう。 嫉妬に狂ったロイドはクレアを押し倒して… ※★にR18シーンがあります ※若干無理矢理描写があります

【完結】お義父様と義弟の溺愛が凄すぎる件

百合蝶
恋愛
お母様の再婚でロバーニ・サクチュアリ伯爵の義娘になったアリサ(8歳)。 そこには2歳年下のアレク(6歳)がいた。 いつもツンツンしていて、愛想が悪いが(実話・・・アリサをーーー。) それに引き替え、ロバーニ義父様はとても、いや異常にアリサに構いたがる! いいんだけど触りすぎ。 お母様も呆れからの憎しみも・・・ 溺愛義父様とツンツンアレクに愛されるアリサ。 デビュタントからアリサを気になる、アイザック殿下が現れーーーーー。 アリサはの気持ちは・・・。

【R18】散らされて

月島れいわ
恋愛
風邪を引いて寝ていた夜。 いきなり黒い袋を頭に被せられ四肢を拘束された。 抵抗する間もなく躰を開かされた鞠花。 絶望の果てに待っていたのは更なる絶望だった……

【R-18】私を乱す彼の指~お隣のイケメンマッサージ師くんに溺愛されています~【完結】

衣草 薫
恋愛
朋美が酔った勢いで注文した吸うタイプのアダルトグッズが、お隣の爽やかイケメン蓮の部屋に誤配されて大ピンチ。 でも蓮はそれを肩こり用のマッサージ器だと誤解して、マッサージ器を落として壊してしまったお詫びに朋美の肩をマッサージしたいと申し出る。 実は蓮は幼少期に朋美に恋して彼女を忘れられず、大人になって朋美を探し出してお隣に引っ越してきたのだった。 マッサージ師である蓮は大好きな朋美の体を施術と称して愛撫し、過去のトラウマから男性恐怖症であった朋美も蓮を相手に恐怖症を克服していくが……。 セックスシーンには※、 ハレンチなシーンには☆をつけています。

大事な姫様の性教育のために、姫様の御前で殿方と実演することになってしまいました。

水鏡あかり
恋愛
 姫様に「あの人との初夜で粗相をしてしまうのが不安だから、貴女のを見せて」とお願いされた、姫様至上主義の侍女・真砂《まさご》。自分の拙い閨の経験では参考にならないと思いつつ、大事な姫様に懇願されて、引き受けることに。  真砂には気になる相手・檜佐木《ひさぎ》がいたものの、過去に一度、檜佐木の誘いを断ってしまっていたため、いまさら言えず、姫様の提案で、相手役は姫の夫である若様に選んでいただくことになる。  しかし、実演の当夜に閨に現れたのは、檜佐木で。どうも怒っているようなのだがーー。 主君至上主義な従者同士の恋愛が大好きなので書いてみました! ちょっと言葉責めもあるかも。

やさしい幼馴染は豹変する。

春密まつり
恋愛
マンションの隣の部屋の喘ぎ声に悩まされている紗江。 そのせいで転職1日目なのに眠くてたまらない。 なんとか遅刻せず会社に着いて挨拶を済ませると、なんと昔大好きだった幼馴染と再会した。 けれど、王子様みたいだった彼は昔の彼とは違っていてーー ▼全6話 ▼ムーンライト、pixiv、エブリスタにも投稿しています

処理中です...