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第三十五話
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「すまないで済むものか! 何を余裕振っているのだ、ヨハン! この俺様を巻き添えにしておいて、なんたるザマだ! 〈真理の番人〉は絶対強者の集まりではなかったのか! 一領地の私兵や冒険者相手に後れを取るなど……!」
トーマスが激昂してヨハンを怒鳴りつける。
だが、ヨハンは表情を変えない。
興味深そうな目で、じっと僕を見ているだけだった。
「……チッ、奴らの頭が来たようだな。だから吾輩は、早めに逃げろと言っておったのだ。ご丁寧に、甥のトーマスまでおるとは。命を見逃してやった礼を、このような形で返してくれるとは不届き者め!」
タルマン侯爵様が、トーマスを睨んでそう口にする。
その後、ちらりと娘であるティアナ様へと視線を移したが、何か声を掛けることはなかった。
「命を見逃してやっただと……? 体面の悪い内輪揉めを遠縁の親戚筋から叩かれんように、取り繕っただけだろうが! ほとぼりが冷めたところで俺様を暗殺するつもりだったことなど、当時の俺様でもわかっておったわ! だから俺様は、周囲の人間を利用し……あの事件より十年間、行方を眩ましておったのだ!」
トーマスが、タルマン侯爵様へとそう吠える。
「危なげなく領地を乗っ取れると思っていたのに、まさか俺様が出張ることになるとはな! しかし、よかろう! 父上の野望は、俺様の手で直接成し遂げてくれるわ! タルナート侯爵家は俺様のものだ!」
トーマスが両腕を天井へと掲げた。
彼の両腕を光が纏ったかと思えば、紫の異形染みた巨腕へと変貌した。
「あれは精霊融合……!」
「タルマン……貴様は、我が契約精霊……〈毒霊竜ヒュドラ〉の力で葬ってやる!」
トーマスが異形の両腕を振り下ろす。
巨大な赤い爪が床を大きく抉る。
床の爪痕には紫の液体が広がって侵食し始めており、煙が昇っていた。
「床が、溶けてる……」
『……精霊の魔法毒か。油断するなよ……掠りでもすれば、致命傷となるぞ』
ネロが僕へとそう助言してくれた。
「落ち着いてくれ、トーマス。僕は少し……そこの彼と話がしたい」
ヨハンがトーマスを制し、僕へと指を差した。
「何をふざけたことを! あのガキこそ、我々の計画を引っ掻き回してくれた主犯であろうが! 今更話すことなど、何があるというのだ!」
「ダルクの報告を聞いてから、ずっと僕は彼……マルク君に関心があったんだ。彼はとても強くて、そして清く澄んだ……純粋な心を有している。マルク君……この侯爵邸の襲撃計画、僕は君の見極めを兼ねていたつもりだったんだ」
「ぼ、僕の見極め……?」
「君は見事、黒武者とゼータを倒してみせた。君には〈真理の番人〉の一員となる資格がある! マルク君……君には、僕と共に来てほしいんだ!」
ヨハンが大きく両腕を広げる。
「マ、マルク君を、〈真理の番人〉に迎え入れる……だって?」
ギルベインさんが大きく表情を歪めた。
「マルク君……君にもわかるだろう? この世界は不条理や悲劇に溢れている。それが何故なのか? この世界が、あるべき形ではないからさ。どこまでいっても欲が行動原理でしかない人間が、そうではないかのようなフリをして世界の管理者を気取っている……酷く不格好な世界だ。だからこそ歪が生まれ、人々は争い、不幸の連鎖が続く」
ヨハンが熱を込めて、大仰な身振り手振りを交えてそう語る。
「世界の在り方を根底から変えて、精霊による絶対的な支配を齎す。そうすれば、この世界からあらゆる不条理と悲劇を取り除くことができる。人間は欲や争い……罪と罰、あらゆる負の感情から解放される。不自然なものなど何ひとつない、純粋な者達だけの世界で、永劫の平和を享受することができるんだ。夢見語りかと思うかい? できるんだよ、僕にはそれがね。だって僕は、地獄にも等しいこの世界を楽園へと変える……そのために生み落とされた、選ばれた存在なんだから! 神話を書き換え、始祖の過ちを正し、世界を在るべき楽園へと戻す……そのときが来たんだよ」
ヨハンは仮面から露出している右側の目を大きく見開き、恍惚とした表情でそう続ける。
僕はその様子に気圧されて、沈黙を保ったまま半歩退いた。
「マルク君、君は黒武者やゼータ、そしてダルクよりもずっと強く……純粋な存在だ。強大なマナを秘めながら、この世の在り方に心を傷めていた人形姫ティアナこそ僕の右腕に相応しいと目を付けていたのだが、違ったんだ! マルク君、君には僕の傍らで……その大精霊、ネロディアスの力で、僕が理想を成し遂げるのを補佐してもらいたい!」
ヨハンは両腕を大きく広げ、早口でそう言い切った後、僕へと腕を伸ばした。
『わ、我のことも気づいておったのか……』
ネロもヨハンの狂気染みた気迫に圧されたらしく、警戒するように身体を硬くしていた。
「一切の負の感情から解放された……永劫の平和。僕には難しくてよくわからないけど、それはきっと素晴らしいことなんだろうと思う」
『お、おい、こんな奴の口車に乗るでないぞ、マルク!』
ネロが慌てたように、僕の顔を見上げた。
「ああ、そうだろう、マルク君! 我々は世界の意志へと知恵の実を返し……人類を楽園へと戻す! 救えない穢れた人間を除いた、選ばれた者達だけの永劫の理想郷を築く!」
「その選ばれた人達の基準は、誰が決めるの?」
「心配することは何もないよ。それは真理の精霊が、世界の意志が決めてくれる! 権威者や群れた卑劣な者達が築いた歪んだ秩序ではなく、絶対の真理がね! 僕達はそれを守護する番人となるんだ!」
「その絶対の真理とやらは、何を基準にしているの?」
「何を基準にって……。何をそんなに恐れているんだい? この世界には、遥か古代に人々の世界から遠ざけられた……精霊の王、大いなる絶対的な意志があるんだよ。その大いなる意志による裁きが……!」
「……どうしてそれが、人の心に寄り添えるものだって言えるの? あなたは強い人や、純粋な人ばかりを救いたいみたいだけど……それはどうしてなの? 僕にはあなたが、自分に都合のいい基準で線引きをしているようにしか見えないよ。ゼータと同じように、見たくないものを見ないようにして、自分より大きい何かに縋っているとしか思えない」
僕が言葉を続ける度に、ヨハンの顔がどんどんと怒りに歪んでいく。
「何故……何が理解できないんだ? 君は今のこの王国の……醜い惨状こそが、人間が永劫に争い合う運命に囚われたこの呪われた世界こそが、在るべき姿だと思っているのか? 誰かが、やらなければならないことなんだよ、これは!」
「自分の気に食わない人間を全員殺したら平和になるなんて、僕にはただの恐ろしい独善にしか思えないよ。争いを失くすために人間を皆殺してしまうなんて、ただの本末転倒じゃないか。そもそも醜い争いを失くすなんて言って、やっていることは暴力による貴族家の乗っ取りじゃないか。残念だけど……僕は、あなたの手なんか取れない」
ヨハンは眉間に皺を寄せて激情を露にしていたが、手のひらで一度顔を覆うと、憤怒の色が消えて無感情な顔へと戻った。
「不条理によって歪められてしまった世界は、不条理によってしか戻せないんだよ、マルク君。しかし、そう言っても納得してくれはしないのだろうね。君は生かしておけば、〈真理の番人〉の大きな敵となるだろう。酷く残念だけれど、理解し合えなかったのならば仕方がない。ここで君には死んでもらうよ」
トーマスが激昂してヨハンを怒鳴りつける。
だが、ヨハンは表情を変えない。
興味深そうな目で、じっと僕を見ているだけだった。
「……チッ、奴らの頭が来たようだな。だから吾輩は、早めに逃げろと言っておったのだ。ご丁寧に、甥のトーマスまでおるとは。命を見逃してやった礼を、このような形で返してくれるとは不届き者め!」
タルマン侯爵様が、トーマスを睨んでそう口にする。
その後、ちらりと娘であるティアナ様へと視線を移したが、何か声を掛けることはなかった。
「命を見逃してやっただと……? 体面の悪い内輪揉めを遠縁の親戚筋から叩かれんように、取り繕っただけだろうが! ほとぼりが冷めたところで俺様を暗殺するつもりだったことなど、当時の俺様でもわかっておったわ! だから俺様は、周囲の人間を利用し……あの事件より十年間、行方を眩ましておったのだ!」
トーマスが、タルマン侯爵様へとそう吠える。
「危なげなく領地を乗っ取れると思っていたのに、まさか俺様が出張ることになるとはな! しかし、よかろう! 父上の野望は、俺様の手で直接成し遂げてくれるわ! タルナート侯爵家は俺様のものだ!」
トーマスが両腕を天井へと掲げた。
彼の両腕を光が纏ったかと思えば、紫の異形染みた巨腕へと変貌した。
「あれは精霊融合……!」
「タルマン……貴様は、我が契約精霊……〈毒霊竜ヒュドラ〉の力で葬ってやる!」
トーマスが異形の両腕を振り下ろす。
巨大な赤い爪が床を大きく抉る。
床の爪痕には紫の液体が広がって侵食し始めており、煙が昇っていた。
「床が、溶けてる……」
『……精霊の魔法毒か。油断するなよ……掠りでもすれば、致命傷となるぞ』
ネロが僕へとそう助言してくれた。
「落ち着いてくれ、トーマス。僕は少し……そこの彼と話がしたい」
ヨハンがトーマスを制し、僕へと指を差した。
「何をふざけたことを! あのガキこそ、我々の計画を引っ掻き回してくれた主犯であろうが! 今更話すことなど、何があるというのだ!」
「ダルクの報告を聞いてから、ずっと僕は彼……マルク君に関心があったんだ。彼はとても強くて、そして清く澄んだ……純粋な心を有している。マルク君……この侯爵邸の襲撃計画、僕は君の見極めを兼ねていたつもりだったんだ」
「ぼ、僕の見極め……?」
「君は見事、黒武者とゼータを倒してみせた。君には〈真理の番人〉の一員となる資格がある! マルク君……君には、僕と共に来てほしいんだ!」
ヨハンが大きく両腕を広げる。
「マ、マルク君を、〈真理の番人〉に迎え入れる……だって?」
ギルベインさんが大きく表情を歪めた。
「マルク君……君にもわかるだろう? この世界は不条理や悲劇に溢れている。それが何故なのか? この世界が、あるべき形ではないからさ。どこまでいっても欲が行動原理でしかない人間が、そうではないかのようなフリをして世界の管理者を気取っている……酷く不格好な世界だ。だからこそ歪が生まれ、人々は争い、不幸の連鎖が続く」
ヨハンが熱を込めて、大仰な身振り手振りを交えてそう語る。
「世界の在り方を根底から変えて、精霊による絶対的な支配を齎す。そうすれば、この世界からあらゆる不条理と悲劇を取り除くことができる。人間は欲や争い……罪と罰、あらゆる負の感情から解放される。不自然なものなど何ひとつない、純粋な者達だけの世界で、永劫の平和を享受することができるんだ。夢見語りかと思うかい? できるんだよ、僕にはそれがね。だって僕は、地獄にも等しいこの世界を楽園へと変える……そのために生み落とされた、選ばれた存在なんだから! 神話を書き換え、始祖の過ちを正し、世界を在るべき楽園へと戻す……そのときが来たんだよ」
ヨハンは仮面から露出している右側の目を大きく見開き、恍惚とした表情でそう続ける。
僕はその様子に気圧されて、沈黙を保ったまま半歩退いた。
「マルク君、君は黒武者やゼータ、そしてダルクよりもずっと強く……純粋な存在だ。強大なマナを秘めながら、この世の在り方に心を傷めていた人形姫ティアナこそ僕の右腕に相応しいと目を付けていたのだが、違ったんだ! マルク君、君には僕の傍らで……その大精霊、ネロディアスの力で、僕が理想を成し遂げるのを補佐してもらいたい!」
ヨハンは両腕を大きく広げ、早口でそう言い切った後、僕へと腕を伸ばした。
『わ、我のことも気づいておったのか……』
ネロもヨハンの狂気染みた気迫に圧されたらしく、警戒するように身体を硬くしていた。
「一切の負の感情から解放された……永劫の平和。僕には難しくてよくわからないけど、それはきっと素晴らしいことなんだろうと思う」
『お、おい、こんな奴の口車に乗るでないぞ、マルク!』
ネロが慌てたように、僕の顔を見上げた。
「ああ、そうだろう、マルク君! 我々は世界の意志へと知恵の実を返し……人類を楽園へと戻す! 救えない穢れた人間を除いた、選ばれた者達だけの永劫の理想郷を築く!」
「その選ばれた人達の基準は、誰が決めるの?」
「心配することは何もないよ。それは真理の精霊が、世界の意志が決めてくれる! 権威者や群れた卑劣な者達が築いた歪んだ秩序ではなく、絶対の真理がね! 僕達はそれを守護する番人となるんだ!」
「その絶対の真理とやらは、何を基準にしているの?」
「何を基準にって……。何をそんなに恐れているんだい? この世界には、遥か古代に人々の世界から遠ざけられた……精霊の王、大いなる絶対的な意志があるんだよ。その大いなる意志による裁きが……!」
「……どうしてそれが、人の心に寄り添えるものだって言えるの? あなたは強い人や、純粋な人ばかりを救いたいみたいだけど……それはどうしてなの? 僕にはあなたが、自分に都合のいい基準で線引きをしているようにしか見えないよ。ゼータと同じように、見たくないものを見ないようにして、自分より大きい何かに縋っているとしか思えない」
僕が言葉を続ける度に、ヨハンの顔がどんどんと怒りに歪んでいく。
「何故……何が理解できないんだ? 君は今のこの王国の……醜い惨状こそが、人間が永劫に争い合う運命に囚われたこの呪われた世界こそが、在るべき姿だと思っているのか? 誰かが、やらなければならないことなんだよ、これは!」
「自分の気に食わない人間を全員殺したら平和になるなんて、僕にはただの恐ろしい独善にしか思えないよ。争いを失くすために人間を皆殺してしまうなんて、ただの本末転倒じゃないか。そもそも醜い争いを失くすなんて言って、やっていることは暴力による貴族家の乗っ取りじゃないか。残念だけど……僕は、あなたの手なんか取れない」
ヨハンは眉間に皺を寄せて激情を露にしていたが、手のひらで一度顔を覆うと、憤怒の色が消えて無感情な顔へと戻った。
「不条理によって歪められてしまった世界は、不条理によってしか戻せないんだよ、マルク君。しかし、そう言っても納得してくれはしないのだろうね。君は生かしておけば、〈真理の番人〉の大きな敵となるだろう。酷く残念だけれど、理解し合えなかったのならば仕方がない。ここで君には死んでもらうよ」
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