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第4章 事件と運命(原点編)
25-既成事実【R18】
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フェリ=ベアトリーチェ・デイグンド子爵夫人は、私の情けない訴えに真摯な表情で耳をかたむけ、少し考えて提案した。
「わかりました。そこに、香油があります」
香油とは「挿入にまつわる補助薬品」と知らされていた。
「私が……その……旦那様に塗るわ」
フェリは私の夜着を脱がせはじめた。私は彼女がむき出しにした自分の下半身をぽかんとした表情で見た。
ソレはいつになく大きく見えた。
張り詰めて、痛いくらいだった。
そして、私の心は未知の快感への予感に躍り……心臓も痛くなりそうだった。
フェリもソレを見ていた。ハッと息を飲んだ。
うまく言葉が出ないようだ。そして、泣き出しかけた赤ん坊のような表情で、絞りだすようにつぶやいた。
「……指、こわい」
フェリはたどたどしく訴えた。そのあと、思い直したように、いつもの有能な貴婦人の顔になった。
少し思案してから、付け加えた。
「閨教育の座学は受けているので、指でわたくしの身体をほぐさなければ……えっと、入らないことは知っています。でも、指、無理だから、私が貴方に潤滑用の香油を塗りたいと思っておりますの」
殿下に辱められ、虐待されてきた日々。レオパルドに淡々と情報共有された。私も目撃した。
しばしば彼のきれいに手入れされた長い指を使われただろう。爪を立てられたこともあるだろう。
レオパルドや、ときには私が居るところで、王太子が饒舌に言葉責めしながら高笑いし、楽しそうにいたぶったのは主に「指」だ。
そのことに気付いた私は、フェリを抱き寄せた。フェリと並んで横に座って、自分で夜着の上を脱ぎながら 朗らかに言った。
「うん、リーチェの指が初めて触れる男の身体は私の身体だね」
「はい!」
フェリもわざと朗らかな声で元気に答えた。おぞましい思い出はもう過去のこと。そう心を切り替えているようだ。
――悪夢と訣別する新しい人生の旅立ちを全力で輝かせよう。
私の……ソレを再び見るフェリは、哀れなくらい当惑していた。
「と、とりあえず、既成事実に集中しましょう」
私も狼狽していた。
「……こんなに大きいの」
すぐ横から小さな声が聞こえた。
しかし、フェリは妃教育で培った有能さを総動員して、見慣れぬ夫のソレに、集中して取り組む決意をしたようだ。
彼女が香油の容器を開けると、秋のバラ庭園を歩くとき香るような、深く甘美な香りが広がった。
フェリは手のひらに丁寧に金色の液体を取った。
細い指と白い手のひらで、立ちあがったソレに香油を塗りつけてみている。
私は快感に文字通り悶えた。
身体の奥からこみ上げて、外に噴出したいと主張する奔流と戦った。
甘美で、「ずっと続けて」と懇願したくなるよう、しかしもどかしく爆発しそうな気分だった。
まんべんなく私の男根が潤ったころ。
「くうっ」
不覚だった。勢いよく白いモノが飛び散った。
「リーチェ……ごめん」
「夜着、脱いでおくべきでした」
白い飛沫がべっとりとついた白い夜着を自分でしとやかに脱いでいる。
私は決心した。
フェリの正面、足の間に勢いよく回り込む。
「きゃっ」
「ごめんなさい、ちょっと乱暴にするよ。耐えられなかったら言ってね」
まず乱暴に扱われたのは香油の瓶だった。私はたっぷり出した香油を自分の手で自分のソレに雑に塗りつけた。
いちど萎んでいたのに、既にもとの大きさに復帰していた。
そのあと、香油を口に含み、顔をフェリの下半身に近づけて、下着を取り去った場所を舌で優しく舐めながらまぶしはじめた。
女性の痛みを除去する効果があるが、食用にしても問題ない香油だそうだ。
味は悪かったが。
「よかった。濡れてる」
彼女のその場所は舐められるまえからぬるっと湿っていた。そこに舌で丁寧に香油を塗りつけた。
「では、入れます」
そう宣言すると、金色のバラの香りをまとったソレを、フェリのぬるっとした場所に押し当てる。
初心者は失敗しがちと聞いていたが、その通りだった。
数回の失敗のあと。
「っ」
「痛かった?」
「大丈夫、です!」
「ごめん、止めてあげられない。リーチェを私のものにしたい。絶対に譲れない。愛してる」
「わたくしも、愛してる。大丈夫、一気に入れて」
うなずいた私はフェリに指が触れないように香油を垂らし、ゆっくりゆっくり突き入れていった。
フェリは真剣で、とてもしあわせそうだった。
「ねえ、旦那様、くちづけしてもいい?」
「もちろん。あと、もう少しだから」
ふたりはやがて、ぴったりと重なりあって、下半身はそのまましばらく動かず、お互いの口の中を味わった。
「うっ……ああ」
急にフェリの身体の中がきゅっと引き締まった。
私が先ほどと同じような声を出した。
夜着ではなく、愛しいひとの身体の中に熱を放出する。私は倒れそうになる身体を、腕で支えた。
しばらくして興奮した声でささやいた。
「リーチェ、すごい。気持ちいい。最高」
しばらくして小さくなったソレを引き抜くと、血の混ざった白い液体がまとわりついていた。
「よかった、既成事実ができた。フェリ=ベアトリーチェ、貴方は私の妻だ。誰にも渡さない」
そう宣言した私とフェリはしっかり抱き合った。
次の間に用意されていたお湯で、ふたりはお互いを洗って、清潔な夜着に着替えた。もともと真面目な性格のふたりはあまりふざけず、互いの身体をきれいにする奉仕を黙々と熱心にこなした。
――このひとの、そういうところも、大好きだ。
主寝室に戻ると、血に染まったシーツは替えられ、いろいろなものは片付けられていた。
「これは政略結婚だから、つつがなく既成事実が成立したことを侍女たちが兄に知らせます」
「そうだろうね。そういう生活からしばらく離れていたけれど、リーチェとなら大丈夫」
私は幸せな気持ちで、フェリを寝台の中に連れ込んだ。
「今日は眠りたくないな。ずっとこうやって一緒にいて、話したい」
そう言ったのがその夜の最後の記憶だ。
私はすぐ寝入ってしまったと、翌朝隣で共に目覚めたフェリが教えてくれた。
「わかりました。そこに、香油があります」
香油とは「挿入にまつわる補助薬品」と知らされていた。
「私が……その……旦那様に塗るわ」
フェリは私の夜着を脱がせはじめた。私は彼女がむき出しにした自分の下半身をぽかんとした表情で見た。
ソレはいつになく大きく見えた。
張り詰めて、痛いくらいだった。
そして、私の心は未知の快感への予感に躍り……心臓も痛くなりそうだった。
フェリもソレを見ていた。ハッと息を飲んだ。
うまく言葉が出ないようだ。そして、泣き出しかけた赤ん坊のような表情で、絞りだすようにつぶやいた。
「……指、こわい」
フェリはたどたどしく訴えた。そのあと、思い直したように、いつもの有能な貴婦人の顔になった。
少し思案してから、付け加えた。
「閨教育の座学は受けているので、指でわたくしの身体をほぐさなければ……えっと、入らないことは知っています。でも、指、無理だから、私が貴方に潤滑用の香油を塗りたいと思っておりますの」
殿下に辱められ、虐待されてきた日々。レオパルドに淡々と情報共有された。私も目撃した。
しばしば彼のきれいに手入れされた長い指を使われただろう。爪を立てられたこともあるだろう。
レオパルドや、ときには私が居るところで、王太子が饒舌に言葉責めしながら高笑いし、楽しそうにいたぶったのは主に「指」だ。
そのことに気付いた私は、フェリを抱き寄せた。フェリと並んで横に座って、自分で夜着の上を脱ぎながら 朗らかに言った。
「うん、リーチェの指が初めて触れる男の身体は私の身体だね」
「はい!」
フェリもわざと朗らかな声で元気に答えた。おぞましい思い出はもう過去のこと。そう心を切り替えているようだ。
――悪夢と訣別する新しい人生の旅立ちを全力で輝かせよう。
私の……ソレを再び見るフェリは、哀れなくらい当惑していた。
「と、とりあえず、既成事実に集中しましょう」
私も狼狽していた。
「……こんなに大きいの」
すぐ横から小さな声が聞こえた。
しかし、フェリは妃教育で培った有能さを総動員して、見慣れぬ夫のソレに、集中して取り組む決意をしたようだ。
彼女が香油の容器を開けると、秋のバラ庭園を歩くとき香るような、深く甘美な香りが広がった。
フェリは手のひらに丁寧に金色の液体を取った。
細い指と白い手のひらで、立ちあがったソレに香油を塗りつけてみている。
私は快感に文字通り悶えた。
身体の奥からこみ上げて、外に噴出したいと主張する奔流と戦った。
甘美で、「ずっと続けて」と懇願したくなるよう、しかしもどかしく爆発しそうな気分だった。
まんべんなく私の男根が潤ったころ。
「くうっ」
不覚だった。勢いよく白いモノが飛び散った。
「リーチェ……ごめん」
「夜着、脱いでおくべきでした」
白い飛沫がべっとりとついた白い夜着を自分でしとやかに脱いでいる。
私は決心した。
フェリの正面、足の間に勢いよく回り込む。
「きゃっ」
「ごめんなさい、ちょっと乱暴にするよ。耐えられなかったら言ってね」
まず乱暴に扱われたのは香油の瓶だった。私はたっぷり出した香油を自分の手で自分のソレに雑に塗りつけた。
いちど萎んでいたのに、既にもとの大きさに復帰していた。
そのあと、香油を口に含み、顔をフェリの下半身に近づけて、下着を取り去った場所を舌で優しく舐めながらまぶしはじめた。
女性の痛みを除去する効果があるが、食用にしても問題ない香油だそうだ。
味は悪かったが。
「よかった。濡れてる」
彼女のその場所は舐められるまえからぬるっと湿っていた。そこに舌で丁寧に香油を塗りつけた。
「では、入れます」
そう宣言すると、金色のバラの香りをまとったソレを、フェリのぬるっとした場所に押し当てる。
初心者は失敗しがちと聞いていたが、その通りだった。
数回の失敗のあと。
「っ」
「痛かった?」
「大丈夫、です!」
「ごめん、止めてあげられない。リーチェを私のものにしたい。絶対に譲れない。愛してる」
「わたくしも、愛してる。大丈夫、一気に入れて」
うなずいた私はフェリに指が触れないように香油を垂らし、ゆっくりゆっくり突き入れていった。
フェリは真剣で、とてもしあわせそうだった。
「ねえ、旦那様、くちづけしてもいい?」
「もちろん。あと、もう少しだから」
ふたりはやがて、ぴったりと重なりあって、下半身はそのまましばらく動かず、お互いの口の中を味わった。
「うっ……ああ」
急にフェリの身体の中がきゅっと引き締まった。
私が先ほどと同じような声を出した。
夜着ではなく、愛しいひとの身体の中に熱を放出する。私は倒れそうになる身体を、腕で支えた。
しばらくして興奮した声でささやいた。
「リーチェ、すごい。気持ちいい。最高」
しばらくして小さくなったソレを引き抜くと、血の混ざった白い液体がまとわりついていた。
「よかった、既成事実ができた。フェリ=ベアトリーチェ、貴方は私の妻だ。誰にも渡さない」
そう宣言した私とフェリはしっかり抱き合った。
次の間に用意されていたお湯で、ふたりはお互いを洗って、清潔な夜着に着替えた。もともと真面目な性格のふたりはあまりふざけず、互いの身体をきれいにする奉仕を黙々と熱心にこなした。
――このひとの、そういうところも、大好きだ。
主寝室に戻ると、血に染まったシーツは替えられ、いろいろなものは片付けられていた。
「これは政略結婚だから、つつがなく既成事実が成立したことを侍女たちが兄に知らせます」
「そうだろうね。そういう生活からしばらく離れていたけれど、リーチェとなら大丈夫」
私は幸せな気持ちで、フェリを寝台の中に連れ込んだ。
「今日は眠りたくないな。ずっとこうやって一緒にいて、話したい」
そう言ったのがその夜の最後の記憶だ。
私はすぐ寝入ってしまったと、翌朝隣で共に目覚めたフェリが教えてくれた。
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