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第一章 石の手紙
第一話 2 帝国考古学研究所 音楽史研究室にて
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◆───────────────◆
デルナクコチヤは南太平洋の島々で使われている竪琴に似た形状の木製の楽器である。楽器の古文書に基づく製作をすることになったその理由の元を辿ると、我が帝国における先の陛下の御代における新領土獲得に行き着く。
◆───────────────◆
我が帝国は今御維新からおふたりめの陛下の御代である。先の陛下の時代、北の大帝国との戦争に勝利した。その結果、海を隔て我が国隣にある北の大帝国が所有する島を領土とし、そこにある財産などを得た。
島には廃墟と化した古い城が残っていた。
大航海時代に活躍した冒険家がいた。彼は北の大帝国だった。彼は南太平洋を巡って得た珍しい収集物などを元に巨万の富を築き、功労で叙爵された。冒険家あがりの貴族は。大国の東南の辺境に所在する島に、酔狂な洒落た城を建造した。
貴族の城では西の大陸南部出身の音楽家が働いていた。音楽が盛んだった北の大帝国では、その時代には鎖国していた我が帝国と全く違う文化が花開いていたのである。
首都から冒険家貴族の人柄と富を慕い馳せ参じる好事家たちを集めて、夜ごと島の城で行われる華やかな夕食会。舞踏会。音楽会。西の大陸の貴族文化をふんだんに取り入れた繊細な装飾。山海の珍味。そしてきらびやかな音楽。城には奇跡のような出来事が毎日のように起きていた。
冒険家貴族は一張の楽器デルナクコチヤを南太平洋の島から持ち帰っていた。西の大陸の音楽家がその楽器に興味を持った。試行錯誤の末、当時西の大陸南部で使われていた撥弦楽器との合奏曲を作曲し、その詳細を記録した古文書が存在した。「ビウエラの甘い音色に荒々しいデルナクコチヤが挑むアンサンブルは異彩を放つ魅力があった」と文書には綴られていた。
冒険家の子孫には城の奇跡を続ける力も無謀さもなく、城は閉じられた。
子孫たちは北の大帝国の都市に戻って、慎ましい法服貴族として暮らしたという。
◆───────────────◆
今は朽ち果てた城を、我が帝国の考古学調査隊が綿密に調べ、いくつかの発見品を考古学研究所に持ち帰った。その中に判読不能な古文書がいくつかあった。古文書が読み解かれ、詳しい内容がわかったのは、美代子が大学同期の凪見小路の紹介でこの書面の解読をする助手の研究員になったあとだった。
デルナクコチヤは南太平洋の島々で使われている竪琴に似た形状の木製の楽器である。楽器の古文書に基づく製作をすることになったその理由の元を辿ると、我が帝国における先の陛下の御代における新領土獲得に行き着く。
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我が帝国は今御維新からおふたりめの陛下の御代である。先の陛下の時代、北の大帝国との戦争に勝利した。その結果、海を隔て我が国隣にある北の大帝国が所有する島を領土とし、そこにある財産などを得た。
島には廃墟と化した古い城が残っていた。
大航海時代に活躍した冒険家がいた。彼は北の大帝国だった。彼は南太平洋を巡って得た珍しい収集物などを元に巨万の富を築き、功労で叙爵された。冒険家あがりの貴族は。大国の東南の辺境に所在する島に、酔狂な洒落た城を建造した。
貴族の城では西の大陸南部出身の音楽家が働いていた。音楽が盛んだった北の大帝国では、その時代には鎖国していた我が帝国と全く違う文化が花開いていたのである。
首都から冒険家貴族の人柄と富を慕い馳せ参じる好事家たちを集めて、夜ごと島の城で行われる華やかな夕食会。舞踏会。音楽会。西の大陸の貴族文化をふんだんに取り入れた繊細な装飾。山海の珍味。そしてきらびやかな音楽。城には奇跡のような出来事が毎日のように起きていた。
冒険家貴族は一張の楽器デルナクコチヤを南太平洋の島から持ち帰っていた。西の大陸の音楽家がその楽器に興味を持った。試行錯誤の末、当時西の大陸南部で使われていた撥弦楽器との合奏曲を作曲し、その詳細を記録した古文書が存在した。「ビウエラの甘い音色に荒々しいデルナクコチヤが挑むアンサンブルは異彩を放つ魅力があった」と文書には綴られていた。
冒険家の子孫には城の奇跡を続ける力も無謀さもなく、城は閉じられた。
子孫たちは北の大帝国の都市に戻って、慎ましい法服貴族として暮らしたという。
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今は朽ち果てた城を、我が帝国の考古学調査隊が綿密に調べ、いくつかの発見品を考古学研究所に持ち帰った。その中に判読不能な古文書がいくつかあった。古文書が読み解かれ、詳しい内容がわかったのは、美代子が大学同期の凪見小路の紹介でこの書面の解読をする助手の研究員になったあとだった。
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