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24話 19歳の分岐点 sideヨイヤミ

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獣×獣でいたしております
苦手な方はそっ閉じしてくだされ


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白と再び出会えてリースの元で過ごす日々。

リースは不思議な人物で、我らに極端に怯えることもなく、我らの気持ちを汲んでくれるおかしな人間だった。
今、傍に白が眠るのも、リースのおかげなのだ。

白が生きていたこと、それだけで我はいい。

元々この畑という限られた場所が、溢れるほどの魔力に満ちていることもあるが、我から出る神力も心地よいのだろう。
こうして、気がつくと我にくっついて眠る白。
自分の神力は生成されるなり漏れ出てしまって、白が疲れやすいのはそのせいだ。
まあ、漏れ出た神力はそのままリースに影響を与えているようだが。

白にかけた術を解く術は、もちろん、ある。

けれども、その術を施してもなお、白は我の側にいてくれるであろうか。
自力で生きていけるようになれば、我のことなど要らぬ存在になるのではないか。

そんな身勝手な思いのせいで、白はその命を捨てると決めておったというのに。



ここら辺りは白から漏れ出る神力のせいで、僅かではあっても加護が残っていた。
白の気配のするこの土地を守ろうと、この地を幾度も訪れた我の加護も知らずのうちにあっただろう。
故にこの土地にいる獣は正しく獣であり、人々は健全に生きていたわけである。

ところが、我らが行くことのなくなった土地では、神力の影響も廃れ、魔力を持つ人間の誕生も無くなって久しくなっていたらしい。
千年以上、浄化を振り撒く白もおらず、我もまた他のことなどどうでもよくなっていた。
この千年。
世界の滅びよりも、白の命の方が大事だったのだ。

そのせいで、淀んだ魔を纏う獣がちらほらと出始めていた。
淀んだ魔を祓う、白が動けなかったから。否、祓ってやろうとも思わぬほど、白以外、我が他に興味を持てなかったからだ。
白は我のせいで動けぬのだから。
だから、その責は我にある。

ただ、人間がどうなろうとも、やはり興味は湧くことはない。
白が人間と関わるから、白が悲しまぬよう、仕方なく助けようと思うだけなのだ。




ただの人では魔を纏う獣には勝てぬ。

当然その討伐依頼はこの村に届いた。

歴代ないほどの、おかしな獣。
ほんの少しの油断も許さぬ。
村の長はそう判断したらしい。
そしてそれは間違いないであろう。

おそらくこの村、全ての人が立ち向かっても敵わぬ。
そんな獣が生まれようとする気配があったからだ。
アレが完全に目覚める前に叩ければ良し。
目覚めてしまえば、この国どころか、隣国も瞬時に終わるであろう。

だから、リースも討伐に行くことになったのだ。

それが。

『ユキ、リースと一緒に行ってくるから、ヨイヤミとはここでお別れ』
ユキは少しだけ寂しそうに我を舐めて、別れの言葉を吐き出した。

『馬鹿なことを言うな!!その形(なり)で向かえば白などひとたまりもないのだぞ!』

『ヨイヤミ、ユキは白と違うんだよ。強かった白はもういないんだもの。ユキ、リースが死んだら死んじゃうでしょう?だからリースを助けなくちゃ。でもなんかすごく大きな気配がするから、ユキでもダメかもしれないけどさ』

くふふ、と笑うユキの顔が、あの時の悲しそうに驚いた白と被る。
白ほどの力を持てないユキは、ユキとしてリースと生涯を共にすると決めていたのだ、と、初めて知った。

そんなこと、到底、受け入れるわけにはいかない。

ユキの神力を戻す方法は、ある。
ただ、我は2度と白には許してもらえなくなるだろうけども。
それでも。

『ならばユキ、せめて白の神力を戻して行け』
死んでしまえば、許しを請うこともできぬ。
それをこの千年、嫌というほど思い知った。

『えっ、ユキの神力、戻るの?』

『戻せる。ただ、ユキには少し、辛いやもしれんが』
許せ、白。
其方に非道な行為をする我を。
この討伐、我も参加しよう。この命をかけて、其方の盾になると誓う故。

『その術を解くには我の体液を介さねばならぬのだ。ユキ、少しそこで寝そべっておれ』

『わかった』

なんの疑問も抱かずコロリと寝転ぶと、その腹を我に見せた。
これからひどいことをされるというのに、無防備すぎるであろう。
だが、そんな白だからこそ、愛おしいのだ。

我が白に乗り掛かり、その口を舐め回すと、体液を介するという意味をそれだと思ったのだろう。
白の舌が、我の舌と絡んだ。
しばらくそうして我の神力を送り込み、うっとりと神力に酔った白をコロリと転がした。

白の尻に舌を入れ、充分に舐めて解こす。
白はまだ、気づいておらぬようだ。
なぜだか畑に根付いた『命の木』からその実をひとつ咥えると、食い破ってその汁を白の尻に押し付けた。

我の醜い欲望を、解呪の術と共にねじ込むために。

その圧に、白が唸った。

『少し辛い』
その一言を信じて、耐えている白に、我はただ醜い欲を押しつけている。
こんな時であるのに、こんな卑怯な方法であるのに、我は喜びに打ち震えているのだ。

今、白の中に我がいる。

『すまぬ、すまぬ、白』

『だ、いじょ、ぶ。白、黒とこうなれたの、嬉しい』

『!!!!白?!』

『ふふ、変なの。白が黒のこと好いてるの、知らなかったの?』

な、ん……だと?!

『知ら、なかった。知っていれば、知っていればこんな術など、白にかけようとは思わなかったものを。我も、我も白のことを好いておるのだから』
後悔が、脳裏を走る。
それ以上に、歓喜が背を駆け抜けた。

喜びに、白に締め付けられる己の欲が、これ以上ないほどに滾って放たれた。

『白、黒に嫌われてると思ってた。死んでもいいと思われてるくらい、嫌われてると思ってたよ。だから、リースと死んじゃってもいいかなって』

我の下で白が泣く。

いつのまにか獣化が解け、白を抱きしめていた。

『ずっと好いておった。白を好いておった』
『ん、白も。黒に嫌われてなくて、よかった』

ああ、本当に、よかった。
白が生きていてくれて。
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