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9話 12歳の念願が叶う sideイフト
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「イフト、今度の狩りどうする?」
最近よく組むザイドにそう聞かれた。
「今日からリースのとこに行くから当分無理」
なんとしてでも、リースの隣に家を構えたい。
「へえ、とうとうおやっさん折れたわけだ」
ザイドは俺がリースにベタ惚れだと知る仲間の1人だ。
俺とリースの間の邪魔もしないし、むしろ空気を読んで他のヤツらを引き離してくれたりするいいヤツだ。
「この間約束通り1人でシルバーダイを仕留めたからな。もう一人前だって認めろってガチ切れしてきた」
「ははっ。お前ん家も過保護だもんな。ま、頑張れ」
「おう」
☆
そんなこんなでリースのところに押しかけ、嘘泣きでリースの許可もとれた。
リースがまだ俺には甘いと知って幸せになった瞬間だった。
リースの中で、俺は特別だって。
けど、引越しの手伝いをリースがしてくれた時に気がついた。
やっぱりリースはすごいって。
羨望とか憧憬みたいなのが湧き上がる中、だからリースは1人でも大丈夫ってなっちまうんだなって納得もした。
そして焦燥が湧いて出た。
こんなすごいリースに、必要としてもらえる日がいつか来るんだろうかって。
「ほら、お前も入ってこいよ」
風呂から出てきたリースが身体を拭くための布を投げてよこした。
「う、うん」
はじめてリースの家に泊まった時、風呂っていうものに驚いた。
リースはどこか他の人と違うと思うのはそういうところにも表れている。
魔法を使えばたくさんではなくても水も出せるし、ある程度の清潔さは保てるのに、清潔さを得るために快適さも求めるなんて普通は考えつかないだろう。
一緒に入れたのは使い方を教えてもらうための初回だけだったが、裸になったリースの隣でドギマギとぎこちなく身体を洗ったのを今でもしっかり覚えている。
風呂に入って膝を抱えると、さっきまでここにリースが入っていたんだよなと思い当たった。
リースの入っていたお湯に、俺、今浸かってるんだ。
あのリースが入ってた所に。
今年のはじめ、俺の中でリースの好きの意味が変わった。
俺のコレが硬くなって、どうにも触りたくて仕方ないっていうか。
知識だけはあったけど、白濁が飛び出した瞬間、瞼の裏にあったのは、あの時のリースの裸体だったのだ。
それ以来、コレに触りたくなるのはリースのことを考えている時で、コレが硬くなるのはリースの匂いやあの時の入浴を思い出した時だ。
他のヤツでそんな風になったことはない。
それが、答えだと思っている。
今もリースの白くて細い身体を思い出すと、ぐっと下に熱が集まってきてしまう。
今までは側にいれたらそれだけで幸せだったのに、それだけでは足りなくなってしまった。
俺は硬くなったソレに手を伸ばすと、リースの頸を思い浮かべて動かした。
あの滑らかな肌を舐めたい。
細い首に噛みつきたい。
コレでリースを串刺しにして、思う存分犯したい。
そしたら、そしたらリースは俺のものだ。
湯船に欲を吐き出して、慌ててソレを掻き出した。
リースにこの気持ちがバレるのは、まだ早い。
リースの逃げ場を無くして、俺しかいないようにして、絶対に逃げられない環境を整えないとリースは手に入らない。
少なくとも、魔法の得意なリースのソレを発動させないような何か、ソレを手に入れてからでないとダメだ。
今の俺では、リースには敵わないのだから。
風呂から出ると、美味そうな食事が用意されていた。
村のどこの家とも違う、変わった味付け。
使っている調味料は同じなのに、似ているようで確実に違う味。
「リースのご飯は美味しいから、他の食事が味気なく感じちゃうんだよね」
お世辞ではなく本心からの言葉だ。
「そうかあ?褒めても何にも出ないぞ。まあ、時間が合えば一緒に食えばいいんじゃね?家も隣に建てるんだし」
「え!本当?!嬉しいな」
リースは適当に言った言葉だろうけど、俺はソレを盾にリースの食事を強請ることにした。
毎日、リースのご飯を食べに来よう。
そのためには、きちんと獲物を獲って来ないとね。
奥さんの腹を満たすのは、旦那の仕事でしょ。
風呂にも入って、ご飯も食べて、後は寝るだけ。
「ほら、お前デカイんだからもう少しそっちに寄れ」
「う、うん」
1枚の掛布の中、隣にリースがいる。
隣にリースがいるという幸せと、このどこで買ったのかという高級そうな寝具への焦燥感。
この複雑な気持ちをどうしたらいいのか、俺にはまだ処理できないのだ。
「リースのベッドってふわふわだよね。どこで買ったの?」
「……ベッド?……ポイント、全部持ってかれるぐらい、高かった、んだ……ふわぁ」
ポイントってなんだろ。
でも、高かったんだ。
俺がリースを満足させられるくらい稼げるようになるのは、いつだ?
それにしても、緊張して、興奮して眠れない俺と比べて、あっさり寝てしまうリース。
その穏やかな寝顔を恨めしく眺めたあと、ふとその考えを改めた。
今なら、リースは気づかない。
そっと口を寄せて、リースの唇を少し舐めた。
これで、リースの初めての口付けは、俺だ。
あまりの緊張と歓喜に、心臓が煩いくらい脈打ってるのがわかる。
ゆっくりとゆっくりと腕をリースの頭の下に忍ばせると、時間をかけてリースを抱き込むことに成功した。
俺の腕の中にすっぽりとハマるリースに瞼の裏が赤くなった。
「落ち着け、落ち着け俺。まだ、早いから」
リースから色恋について感じたことはない。
まだ心が子供のリースに俺の重い気持ちを押しつけて、怯えられては困る。
俺は独り立ちをはじめて聞いた時の、あの絶望を思い出した。
もう、2度と、逃がすつもりなんかない。
ギュッと抱き寄せてリースの匂いを吸い込むと、やっと安心した。
少なくとも、今この瞬間は、リースは俺のものなんだ。
最近よく組むザイドにそう聞かれた。
「今日からリースのとこに行くから当分無理」
なんとしてでも、リースの隣に家を構えたい。
「へえ、とうとうおやっさん折れたわけだ」
ザイドは俺がリースにベタ惚れだと知る仲間の1人だ。
俺とリースの間の邪魔もしないし、むしろ空気を読んで他のヤツらを引き離してくれたりするいいヤツだ。
「この間約束通り1人でシルバーダイを仕留めたからな。もう一人前だって認めろってガチ切れしてきた」
「ははっ。お前ん家も過保護だもんな。ま、頑張れ」
「おう」
☆
そんなこんなでリースのところに押しかけ、嘘泣きでリースの許可もとれた。
リースがまだ俺には甘いと知って幸せになった瞬間だった。
リースの中で、俺は特別だって。
けど、引越しの手伝いをリースがしてくれた時に気がついた。
やっぱりリースはすごいって。
羨望とか憧憬みたいなのが湧き上がる中、だからリースは1人でも大丈夫ってなっちまうんだなって納得もした。
そして焦燥が湧いて出た。
こんなすごいリースに、必要としてもらえる日がいつか来るんだろうかって。
「ほら、お前も入ってこいよ」
風呂から出てきたリースが身体を拭くための布を投げてよこした。
「う、うん」
はじめてリースの家に泊まった時、風呂っていうものに驚いた。
リースはどこか他の人と違うと思うのはそういうところにも表れている。
魔法を使えばたくさんではなくても水も出せるし、ある程度の清潔さは保てるのに、清潔さを得るために快適さも求めるなんて普通は考えつかないだろう。
一緒に入れたのは使い方を教えてもらうための初回だけだったが、裸になったリースの隣でドギマギとぎこちなく身体を洗ったのを今でもしっかり覚えている。
風呂に入って膝を抱えると、さっきまでここにリースが入っていたんだよなと思い当たった。
リースの入っていたお湯に、俺、今浸かってるんだ。
あのリースが入ってた所に。
今年のはじめ、俺の中でリースの好きの意味が変わった。
俺のコレが硬くなって、どうにも触りたくて仕方ないっていうか。
知識だけはあったけど、白濁が飛び出した瞬間、瞼の裏にあったのは、あの時のリースの裸体だったのだ。
それ以来、コレに触りたくなるのはリースのことを考えている時で、コレが硬くなるのはリースの匂いやあの時の入浴を思い出した時だ。
他のヤツでそんな風になったことはない。
それが、答えだと思っている。
今もリースの白くて細い身体を思い出すと、ぐっと下に熱が集まってきてしまう。
今までは側にいれたらそれだけで幸せだったのに、それだけでは足りなくなってしまった。
俺は硬くなったソレに手を伸ばすと、リースの頸を思い浮かべて動かした。
あの滑らかな肌を舐めたい。
細い首に噛みつきたい。
コレでリースを串刺しにして、思う存分犯したい。
そしたら、そしたらリースは俺のものだ。
湯船に欲を吐き出して、慌ててソレを掻き出した。
リースにこの気持ちがバレるのは、まだ早い。
リースの逃げ場を無くして、俺しかいないようにして、絶対に逃げられない環境を整えないとリースは手に入らない。
少なくとも、魔法の得意なリースのソレを発動させないような何か、ソレを手に入れてからでないとダメだ。
今の俺では、リースには敵わないのだから。
風呂から出ると、美味そうな食事が用意されていた。
村のどこの家とも違う、変わった味付け。
使っている調味料は同じなのに、似ているようで確実に違う味。
「リースのご飯は美味しいから、他の食事が味気なく感じちゃうんだよね」
お世辞ではなく本心からの言葉だ。
「そうかあ?褒めても何にも出ないぞ。まあ、時間が合えば一緒に食えばいいんじゃね?家も隣に建てるんだし」
「え!本当?!嬉しいな」
リースは適当に言った言葉だろうけど、俺はソレを盾にリースの食事を強請ることにした。
毎日、リースのご飯を食べに来よう。
そのためには、きちんと獲物を獲って来ないとね。
奥さんの腹を満たすのは、旦那の仕事でしょ。
風呂にも入って、ご飯も食べて、後は寝るだけ。
「ほら、お前デカイんだからもう少しそっちに寄れ」
「う、うん」
1枚の掛布の中、隣にリースがいる。
隣にリースがいるという幸せと、このどこで買ったのかという高級そうな寝具への焦燥感。
この複雑な気持ちをどうしたらいいのか、俺にはまだ処理できないのだ。
「リースのベッドってふわふわだよね。どこで買ったの?」
「……ベッド?……ポイント、全部持ってかれるぐらい、高かった、んだ……ふわぁ」
ポイントってなんだろ。
でも、高かったんだ。
俺がリースを満足させられるくらい稼げるようになるのは、いつだ?
それにしても、緊張して、興奮して眠れない俺と比べて、あっさり寝てしまうリース。
その穏やかな寝顔を恨めしく眺めたあと、ふとその考えを改めた。
今なら、リースは気づかない。
そっと口を寄せて、リースの唇を少し舐めた。
これで、リースの初めての口付けは、俺だ。
あまりの緊張と歓喜に、心臓が煩いくらい脈打ってるのがわかる。
ゆっくりとゆっくりと腕をリースの頭の下に忍ばせると、時間をかけてリースを抱き込むことに成功した。
俺の腕の中にすっぽりとハマるリースに瞼の裏が赤くなった。
「落ち着け、落ち着け俺。まだ、早いから」
リースから色恋について感じたことはない。
まだ心が子供のリースに俺の重い気持ちを押しつけて、怯えられては困る。
俺は独り立ちをはじめて聞いた時の、あの絶望を思い出した。
もう、2度と、逃がすつもりなんかない。
ギュッと抱き寄せてリースの匂いを吸い込むと、やっと安心した。
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