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ディオスは魔女が好奇心で掛け合わせた両親から生まれた。
二人は性欲が強い者同士の掛け合わせで、高等部の時にはお互い不純男女交際で指導を受けまくっているような人物だった。
父は女と見れば声をかけまくっていたし、母はどんなに自分が魅力的か男性にアピールしまくっていたのだ。
魔女に目をつけられた二人は呑気なもので
「これで避妊せずに性行為ができる」と抱き合って喜んだそうだ。
父も母も互いに見た目がタイプだったようで、結婚後は気も合うことが判明し、時折お互い遊びながらも仲睦まじく暮らしている。
当の本人同士は性に奔放なので「チャンスがあれば食らう」をモットーにお互い認め合っているのだが、周りはそうはいかない。
「お前の母親、この前別の男と歩いてたって母さんが言ってたぞ」
子どもの頃、同級生にかけられた言葉にディオスは首を傾げた。「それが?」とその度にディオスは『合わせ子』はやはりどこかおかしい、という評価を積み重ねていくのだ。
魔女が選んだ掛け合わせ、特にディオスの父と母のように内面で選出された者が両親だと子は『合わせ子』と呼ばれていた。
表向きは魔女が選んだ者同士の結婚を表すために作られた言葉だが…
合わせ子は両親の特徴を色濃く受け継いでいて、変わり者が多いぞ、と陰では言われていた。
「つまらんのぉ、子ども…ほれ、ここに並んだおなごを見ても何にも感じないのか?お前は」
「……女の子だな、と思いました」
「つまらん…本当にあの両親の子だろうな?」
ディオスが15歳の頃、初めて魔女とあった時…資料を眺めながら横にズラりと並べた女の子と女性を指さして魔女はそう言った。
魔女は隣に立たせている四角い子どもの肩あたりに肘をつきながら「お前…好きな子はおらんのか?」とつまらなさそうに真っ暗闇のような目をディオスに向けた。
「は、はい」
「……ふん、つまらんのぅ……もうここには来なくともよいぞ」
ディオスの返答に蝿を追い払うような仕草で手を揺らすと魔女は出て行くように促した。
「お前は両親と違いつまらん」
ディオスはその言葉を背中に受けてどんな顔をしていいのかわからなかった。
(これは?喜んでいいのか?悲しむべきか?)
ディオスは子ども心ながらに、なんだか見捨てられたような…自分は使えないと言われたような劣等感で胸がモヤモヤしながら家路についた。
「ディオスどうだった?」
馬車の中で待機していた母が口紅を引き直しながらそう尋ねてきた。「もう来なくていいって」
ディオスは俯きながらポツリと言った。
「ふーん、ちょこちょこ呼び出されたら面倒くさいし…よかったじゃん」
母は大きな口を開けるとそう言って笑う。
ディオスの両親は明るくて元気で活動的だ。
しかしディオスはそんな両親の血を裏返したかのように大人しくて引っ込み思案で口下手だった。
ディオスの上には兄と姉が、下には妹と弟が山のようにいたのでそんなディオスはあまり両親からも気にされずにこっそりと育って行った。
「おい、今日デート?」
「あー面倒くせー!やるまでの段階がなぁ、面倒くさいよな」
「バカ兄貴、それがいいんだろ?最後には絶対やれるんだからさ、我慢しろよ」
ディオスは兄弟が繰り広げる下品な会話にもそっと耳を折り畳んだ。なぜなら絶対次はディオスに飛び火するからだ。
「なあ?ディオス?」
「あ、ごめん…聞いてなかった」
ディオスは貞操観念がない家族が苦手だった。
父と母は互いに浮気を認め合い、容認している。
だから夫婦仲は円満だが、時折異母兄弟が我が家を尋ねてきたりする。
母はそれもにこやかに歓迎してみんなで食事を食べて談笑するのだ。
兄は女性を取っ替え引っ替えしていてよくトラブルを起こしているし、姉は常に三人の恋人がいる。
妹や弟もよく自分の部屋に異性を連れ込んでいるようだ。
みんな大らかで嫉妬心の欠片もない。
ディオスはそれが理解できなかった。
彼は家族から浮き、世間からも「合わせ子」として距離を取られひっそりと生きた。
そんな彼は兵士になり勿論なんの才能もコネもないので、下っ端の捨て駒部隊として自由奔放に戦や建設に明け暮れていた。
ある日、何度目かの血の戦争に駆り出された時だった。
ディオスは(ここで人生終わるかもしれない)と考えながらゆっくりと顔に布を巻いた。毎回戦地へ向かうたびに考える。
今日で終わりかもしれない、と。
まだ戦争が始まったばかりの時、西の魔女の血を大量に浴びて同僚が溶けてしまった。
その時から全身には布を巻く決まりだ。
優しく男気のある男だった。
自分より下の兵士を庇って溶けたそうだ。
ディオスは彼の救護をしたのでなんだか…より心にその出来事が残っている。
(自分なら咄嗟にそんなことができるだろうか)
ディオスは泣き出しそうな逃げ出しそうな心地に頭をクラクラさせながら、ただただ黙って布を巻いた。
血の戦争は魔女たちの娯楽の一つだ。
自分たちの血で作った兵士を放して人間と戦わせるのだ。
だからこの戦争は一生終わらない。
魔女の血が枯れるまで終わらないからだ。
魔女の血は枯れることも、魔女は死ぬこともない。
「もし…そこの人」
ディオスは突然声を掛けられて顔を上げた。
辺りは封鎖していたので兵士以外は立ち入れないはずだ、と。
自分のいる部隊は現在男性ばかりだったので突然聞こえた女性の声に「妙だな」とディオスは感じた。
ディオスは性格は引っ込み思案で大人しかったが、体力には自信があった。
なので非常に背も高いし体格もいいのだが…それでも見上げてしまうほど、その女性は背が高かったのだ。
ヒョロリと細長いその女性であろう人物はローブを深々と被っていて口元だけが見えている。真っ赤な唇からディオスは目が離せなくなった。
「……どうしましたか?ここには一般の方は立ち入ることができなくて…その」
ディオスがそう声を掛けると女性はクックックッ…と鳥が鳴くような声で笑う。
「お前…いい男だなぁ」
女性は細くて長い指が枯れ木のように生えた手でディオスの頬に触れた。その時ディオスは禍々しい気持ちになって背中に怖気が走る…
「あ、あの…」
女性はディオスの頬に触れたまま顔を近寄せてきた。
その目はまるで暗闇を眼球に入れ込んだように真っ暗で、まるで何もないように見えた。
(どこかで見たことがある)ディオスはその目を見てそう思った。
「まだ幼いなぁ…もう少し成長したら迎えに来よう。その時にお前が真実の愛を見つけていなければ…お前は私のものにしよう」女性はそう言うとクックックッと鳥が鳴くように笑って影の中に消えた。
その時ディオスは目の前が暗くなり、よろめいて倒れ、頭を打って気を失った。
二人は性欲が強い者同士の掛け合わせで、高等部の時にはお互い不純男女交際で指導を受けまくっているような人物だった。
父は女と見れば声をかけまくっていたし、母はどんなに自分が魅力的か男性にアピールしまくっていたのだ。
魔女に目をつけられた二人は呑気なもので
「これで避妊せずに性行為ができる」と抱き合って喜んだそうだ。
父も母も互いに見た目がタイプだったようで、結婚後は気も合うことが判明し、時折お互い遊びながらも仲睦まじく暮らしている。
当の本人同士は性に奔放なので「チャンスがあれば食らう」をモットーにお互い認め合っているのだが、周りはそうはいかない。
「お前の母親、この前別の男と歩いてたって母さんが言ってたぞ」
子どもの頃、同級生にかけられた言葉にディオスは首を傾げた。「それが?」とその度にディオスは『合わせ子』はやはりどこかおかしい、という評価を積み重ねていくのだ。
魔女が選んだ掛け合わせ、特にディオスの父と母のように内面で選出された者が両親だと子は『合わせ子』と呼ばれていた。
表向きは魔女が選んだ者同士の結婚を表すために作られた言葉だが…
合わせ子は両親の特徴を色濃く受け継いでいて、変わり者が多いぞ、と陰では言われていた。
「つまらんのぉ、子ども…ほれ、ここに並んだおなごを見ても何にも感じないのか?お前は」
「……女の子だな、と思いました」
「つまらん…本当にあの両親の子だろうな?」
ディオスが15歳の頃、初めて魔女とあった時…資料を眺めながら横にズラりと並べた女の子と女性を指さして魔女はそう言った。
魔女は隣に立たせている四角い子どもの肩あたりに肘をつきながら「お前…好きな子はおらんのか?」とつまらなさそうに真っ暗闇のような目をディオスに向けた。
「は、はい」
「……ふん、つまらんのぅ……もうここには来なくともよいぞ」
ディオスの返答に蝿を追い払うような仕草で手を揺らすと魔女は出て行くように促した。
「お前は両親と違いつまらん」
ディオスはその言葉を背中に受けてどんな顔をしていいのかわからなかった。
(これは?喜んでいいのか?悲しむべきか?)
ディオスは子ども心ながらに、なんだか見捨てられたような…自分は使えないと言われたような劣等感で胸がモヤモヤしながら家路についた。
「ディオスどうだった?」
馬車の中で待機していた母が口紅を引き直しながらそう尋ねてきた。「もう来なくていいって」
ディオスは俯きながらポツリと言った。
「ふーん、ちょこちょこ呼び出されたら面倒くさいし…よかったじゃん」
母は大きな口を開けるとそう言って笑う。
ディオスの両親は明るくて元気で活動的だ。
しかしディオスはそんな両親の血を裏返したかのように大人しくて引っ込み思案で口下手だった。
ディオスの上には兄と姉が、下には妹と弟が山のようにいたのでそんなディオスはあまり両親からも気にされずにこっそりと育って行った。
「おい、今日デート?」
「あー面倒くせー!やるまでの段階がなぁ、面倒くさいよな」
「バカ兄貴、それがいいんだろ?最後には絶対やれるんだからさ、我慢しろよ」
ディオスは兄弟が繰り広げる下品な会話にもそっと耳を折り畳んだ。なぜなら絶対次はディオスに飛び火するからだ。
「なあ?ディオス?」
「あ、ごめん…聞いてなかった」
ディオスは貞操観念がない家族が苦手だった。
父と母は互いに浮気を認め合い、容認している。
だから夫婦仲は円満だが、時折異母兄弟が我が家を尋ねてきたりする。
母はそれもにこやかに歓迎してみんなで食事を食べて談笑するのだ。
兄は女性を取っ替え引っ替えしていてよくトラブルを起こしているし、姉は常に三人の恋人がいる。
妹や弟もよく自分の部屋に異性を連れ込んでいるようだ。
みんな大らかで嫉妬心の欠片もない。
ディオスはそれが理解できなかった。
彼は家族から浮き、世間からも「合わせ子」として距離を取られひっそりと生きた。
そんな彼は兵士になり勿論なんの才能もコネもないので、下っ端の捨て駒部隊として自由奔放に戦や建設に明け暮れていた。
ある日、何度目かの血の戦争に駆り出された時だった。
ディオスは(ここで人生終わるかもしれない)と考えながらゆっくりと顔に布を巻いた。毎回戦地へ向かうたびに考える。
今日で終わりかもしれない、と。
まだ戦争が始まったばかりの時、西の魔女の血を大量に浴びて同僚が溶けてしまった。
その時から全身には布を巻く決まりだ。
優しく男気のある男だった。
自分より下の兵士を庇って溶けたそうだ。
ディオスは彼の救護をしたのでなんだか…より心にその出来事が残っている。
(自分なら咄嗟にそんなことができるだろうか)
ディオスは泣き出しそうな逃げ出しそうな心地に頭をクラクラさせながら、ただただ黙って布を巻いた。
血の戦争は魔女たちの娯楽の一つだ。
自分たちの血で作った兵士を放して人間と戦わせるのだ。
だからこの戦争は一生終わらない。
魔女の血が枯れるまで終わらないからだ。
魔女の血は枯れることも、魔女は死ぬこともない。
「もし…そこの人」
ディオスは突然声を掛けられて顔を上げた。
辺りは封鎖していたので兵士以外は立ち入れないはずだ、と。
自分のいる部隊は現在男性ばかりだったので突然聞こえた女性の声に「妙だな」とディオスは感じた。
ディオスは性格は引っ込み思案で大人しかったが、体力には自信があった。
なので非常に背も高いし体格もいいのだが…それでも見上げてしまうほど、その女性は背が高かったのだ。
ヒョロリと細長いその女性であろう人物はローブを深々と被っていて口元だけが見えている。真っ赤な唇からディオスは目が離せなくなった。
「……どうしましたか?ここには一般の方は立ち入ることができなくて…その」
ディオスがそう声を掛けると女性はクックックッ…と鳥が鳴くような声で笑う。
「お前…いい男だなぁ」
女性は細くて長い指が枯れ木のように生えた手でディオスの頬に触れた。その時ディオスは禍々しい気持ちになって背中に怖気が走る…
「あ、あの…」
女性はディオスの頬に触れたまま顔を近寄せてきた。
その目はまるで暗闇を眼球に入れ込んだように真っ暗で、まるで何もないように見えた。
(どこかで見たことがある)ディオスはその目を見てそう思った。
「まだ幼いなぁ…もう少し成長したら迎えに来よう。その時にお前が真実の愛を見つけていなければ…お前は私のものにしよう」女性はそう言うとクックックッと鳥が鳴くように笑って影の中に消えた。
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