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「なんだぁ!アイツ!」
サラはケラケラ笑い続ける先輩の背中にそう吐きかけるとハルヴァの前に跪いた。
「大丈夫?ハルヴァ」
「……そうかもしれない」
「え?」
「私…思い出した。前もこんなことがあって…それからだわ。ディオス様が冷たくなったのは」
婚約した直後…婚約の顔合わせが終わった後にディオスと庭を二人で歩いた。
ディオスはかなり緊張しているのか、額の汗を拭いボソボソと話しかけてきた。それが「あの」だとか「その」だとか「えっと」だったのでハルヴァはクスクス笑いながら「あの、私のことはハルヴァと呼んでください」と横にいるディオスを見上げる。
その時、ディオスと目が合った。
彼は顔を真っ赤に染めると「ハルヴァ」と呟くように言ったのだ。
その時、天地がひっくり返った気がした。
いつの間にか地面に横たわるハルヴァの上に覆いかぶさったディオスがハルヴァの唇に吸い付いて、舌を差し込んできたのだ。
ハルヴァははじめは混乱したものの、ディオスの荒々しいけれど優しい舌使いにだんだんと身体の力を抜いた。
「んん……」
あまりの心地よさにハルヴァが鼻を鳴らすと、ディオスは荒い息を吐きながらベルトをカチャカチャと外す。
ハルヴァがディオスの舌から与えられる快楽にうっとりしている間にスカートがバサリとまくり上げられて下着が脱がされた。
「……ん!?」
「ううぅ…………」
下着に手を掛けたディオスは動きを止めて唸り声を上げている。ハルヴァの目にチラリと見えたものはむき出しの男性器だったがその時はなんだかよくわからなかったのだけど…
「ディオス様?」
ハルヴァの声に顔を上げたディオスは泣きそうな顔をしていて、次の瞬間、激昂したハルヴァの父に背後から取り押さえられた。
「あんな奴にはお前はやれん!」
父がプンプン起こりながらハルヴァにそう言った。
ハルヴァは顔を真っ赤に染めて俯くとそんなに嫌悪感を感じなかった自分を恥じている。
(私より周りの方が怒っていてなんだか気まずい…)
「ハルヴァ!大丈夫だったのか?こんな婚約は解消しよう、やはり合わせ子は駄目だ!なーにが問題は起こしたことがないだ!大問題だ!こんなことは!……大丈夫か?」
父が俯くハルヴァを思いやるように覗き込むと心配そうに声を掛けてきた。
「私…」
「うん、うん、お前の好きなようにしてやる。『破棄』か?『解消』か?」
「私…相手方の思うようにしたいと思います。あの…私は…継続でも」
あの時…そんなことを言ったものだから、今口の周りをベロベロにしながら佇むことになったのだ。とハルヴァは思った。(だって…私のことが好きだからああしてキスをしてくれたんだと思ったんだもの…少し……激しかったけど)
ハルヴァは昔を思い出してぼんやりと考える。
(私…だからディオス様が自分のこと、好きだと思っていたんだ。でも…なんだか具合がよくなかったのかな?私、あの時に嫌われちゃったのかも)
先輩の言う通り…ディオスは性欲が爆発してハルヴァを襲っただけなのだ。
だからディオスはそれ以来、名前を呼んでくれたことも、デートに誘ってくれたこともない。
ハルヴァが会いに行くと嫌そうにそっぽを向いて、早く帰れ、と言わんばかりの態度をとっていた。
そして今は女性と二人で仲睦まじく歩きながらハルヴァに襲いかかったのだ。
(……ディオス様、なに考えてるんだろう…)
ハルヴァの目にじわりと涙が浮かんだのを見て、サラがハンカチを取り出してそれを拭ってくれた。
「あ、コラー!何やってんだ!もう来るなって言っただろ!」サラが慌てて廊下を走ってやって来て女性兵士とハルヴァの間に立った。
「い、嫌です…」ハルヴァはサラに隠れるようにそう言った。
「そこをなんとか!頼む!どうかディオスともう一度だけデートしてやってくれ!」
次の日再び職場にやって来たキミアナがハルヴァにそう言う。
ディオスはサラからハルヴァと話すことを禁じられたので傍にもじもじしながら立っている…
「キミアナ様も一緒に行かれるんですよね…?それってデートではないのでは…?」
「そ、そうなんだ…ちょっと諸事情があってな!まあ、三人で!あはは!」キミアナがそう言ってヘラヘラ笑う。
ハルヴァはサラの後ろに隠れるように「お帰りくださいませ…」とか細い声で言った。
サラが二人を罵倒しようと口を開きかけた時、
カラ…とタイヤが回るような音がしたのでそちらを振り向くとジョンが車椅子に乗って廊下を進んでいるのが見えたので、ハルヴァは慌ててそれに駆け寄った。
「ジョンさん!一人で大丈夫!?」
「だいじょうぶ」「きょうは」「きぶんがいい」
ハルヴァが車椅子を押そうと手を伸ばすと、ジョンはゆっくり首を左右に振って「ひとりで」「できる」「みてて」「はるば」と言った。
ゆっくり時間をかけて廊下を進むジョンをハルヴァは感動しながら眺めていた。(ジョンさん…!こんなに回復して)
ジョンはゆっくりとディオスと女性兵士の前にやって来ると「ひさしぶりだな」と言った。
サラはケラケラ笑い続ける先輩の背中にそう吐きかけるとハルヴァの前に跪いた。
「大丈夫?ハルヴァ」
「……そうかもしれない」
「え?」
「私…思い出した。前もこんなことがあって…それからだわ。ディオス様が冷たくなったのは」
婚約した直後…婚約の顔合わせが終わった後にディオスと庭を二人で歩いた。
ディオスはかなり緊張しているのか、額の汗を拭いボソボソと話しかけてきた。それが「あの」だとか「その」だとか「えっと」だったのでハルヴァはクスクス笑いながら「あの、私のことはハルヴァと呼んでください」と横にいるディオスを見上げる。
その時、ディオスと目が合った。
彼は顔を真っ赤に染めると「ハルヴァ」と呟くように言ったのだ。
その時、天地がひっくり返った気がした。
いつの間にか地面に横たわるハルヴァの上に覆いかぶさったディオスがハルヴァの唇に吸い付いて、舌を差し込んできたのだ。
ハルヴァははじめは混乱したものの、ディオスの荒々しいけれど優しい舌使いにだんだんと身体の力を抜いた。
「んん……」
あまりの心地よさにハルヴァが鼻を鳴らすと、ディオスは荒い息を吐きながらベルトをカチャカチャと外す。
ハルヴァがディオスの舌から与えられる快楽にうっとりしている間にスカートがバサリとまくり上げられて下着が脱がされた。
「……ん!?」
「ううぅ…………」
下着に手を掛けたディオスは動きを止めて唸り声を上げている。ハルヴァの目にチラリと見えたものはむき出しの男性器だったがその時はなんだかよくわからなかったのだけど…
「ディオス様?」
ハルヴァの声に顔を上げたディオスは泣きそうな顔をしていて、次の瞬間、激昂したハルヴァの父に背後から取り押さえられた。
「あんな奴にはお前はやれん!」
父がプンプン起こりながらハルヴァにそう言った。
ハルヴァは顔を真っ赤に染めて俯くとそんなに嫌悪感を感じなかった自分を恥じている。
(私より周りの方が怒っていてなんだか気まずい…)
「ハルヴァ!大丈夫だったのか?こんな婚約は解消しよう、やはり合わせ子は駄目だ!なーにが問題は起こしたことがないだ!大問題だ!こんなことは!……大丈夫か?」
父が俯くハルヴァを思いやるように覗き込むと心配そうに声を掛けてきた。
「私…」
「うん、うん、お前の好きなようにしてやる。『破棄』か?『解消』か?」
「私…相手方の思うようにしたいと思います。あの…私は…継続でも」
あの時…そんなことを言ったものだから、今口の周りをベロベロにしながら佇むことになったのだ。とハルヴァは思った。(だって…私のことが好きだからああしてキスをしてくれたんだと思ったんだもの…少し……激しかったけど)
ハルヴァは昔を思い出してぼんやりと考える。
(私…だからディオス様が自分のこと、好きだと思っていたんだ。でも…なんだか具合がよくなかったのかな?私、あの時に嫌われちゃったのかも)
先輩の言う通り…ディオスは性欲が爆発してハルヴァを襲っただけなのだ。
だからディオスはそれ以来、名前を呼んでくれたことも、デートに誘ってくれたこともない。
ハルヴァが会いに行くと嫌そうにそっぽを向いて、早く帰れ、と言わんばかりの態度をとっていた。
そして今は女性と二人で仲睦まじく歩きながらハルヴァに襲いかかったのだ。
(……ディオス様、なに考えてるんだろう…)
ハルヴァの目にじわりと涙が浮かんだのを見て、サラがハンカチを取り出してそれを拭ってくれた。
「あ、コラー!何やってんだ!もう来るなって言っただろ!」サラが慌てて廊下を走ってやって来て女性兵士とハルヴァの間に立った。
「い、嫌です…」ハルヴァはサラに隠れるようにそう言った。
「そこをなんとか!頼む!どうかディオスともう一度だけデートしてやってくれ!」
次の日再び職場にやって来たキミアナがハルヴァにそう言う。
ディオスはサラからハルヴァと話すことを禁じられたので傍にもじもじしながら立っている…
「キミアナ様も一緒に行かれるんですよね…?それってデートではないのでは…?」
「そ、そうなんだ…ちょっと諸事情があってな!まあ、三人で!あはは!」キミアナがそう言ってヘラヘラ笑う。
ハルヴァはサラの後ろに隠れるように「お帰りくださいませ…」とか細い声で言った。
サラが二人を罵倒しようと口を開きかけた時、
カラ…とタイヤが回るような音がしたのでそちらを振り向くとジョンが車椅子に乗って廊下を進んでいるのが見えたので、ハルヴァは慌ててそれに駆け寄った。
「ジョンさん!一人で大丈夫!?」
「だいじょうぶ」「きょうは」「きぶんがいい」
ハルヴァが車椅子を押そうと手を伸ばすと、ジョンはゆっくり首を左右に振って「ひとりで」「できる」「みてて」「はるば」と言った。
ゆっくり時間をかけて廊下を進むジョンをハルヴァは感動しながら眺めていた。(ジョンさん…!こんなに回復して)
ジョンはゆっくりとディオスと女性兵士の前にやって来ると「ひさしぶりだな」と言った。
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