【R18】聖なる☆契約結婚

mokumoku

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おしまい

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「なんて?なんて書いてある?セラフィナ大丈夫?」
手紙を開いてから動きを止めたセラフィナにリリスが心配そうに話しかけてくれた。
「……あのね、リリー…」セラフィナが泣きそうな気持ちで口を開いた時、クライドが部屋に飛び込んできた。


「セラフィナセラフィナ違うのだ!それは誤報だ!王が勝手に」

クライドはセラフィナから離縁状を奪い取るとビリビリに破いた。「……くそ……っ忌々しい」

クライドはここしばらく軟禁されていた……
新しい女性と既成事実を作らせる為に王が仕組んだことだ。

クライドが放り込まれた部屋にはベッドがあって、その上には美しい女性がほぼ裸のような状態で座っていた。クライドはボリボリと全身を掻きながら女性に言った。

「申し訳ないが俺は妻以外不能なんだ」と
勿論陰茎はフニャフニャ……

「いえ……私は事を済ますまで外に出るなと言われておりまして……」小鳥が囀るような美しくかわいい声もクライドには全く効果がなかった。
「いやいや……できんので一生外には出られませんぞ」
クライドは部屋を見渡すと特に特別な仕掛けなどはなさそうだと考える。窓もある、普通の部屋だ。

「出してもらえぬなら……我々から出ないといけません」
クライドはそう言いながら笑うと女性にベッドから立つように促した。


クライドは女性に毛布を被せると自分はシーツを裂いて手にぐるぐると巻き付けた。

「あの……」



そうしてそのまま窓を叩き割ったのだ。

その音に憲兵たちが駆けつける。

クライドは憲兵の前に立ち、自分の首に割れたガラスを突きつけると「避けろ!俺を妻の下に返さないのなら俺の頭の中のものは一生渡さんと陛下に伝えろ!」と大声を上げた。




クライドはわかっていた。
結局兄では王の代わりはできない。と王は判断したのだろう。

(この国を繁栄させるためには俺の頭が必要だ、しかし俺は妻以外の女を抱かないぞ)

「陛下と拝謁させてくれ!話がある……悪いようにはしないから……頼む」
クライドは懇願した。


それからクライドは何日もかけて王を説得した。
そうして最終的に『兄が王に、クライドがその補佐役の地位』に就くことで話し合いが終結したのだ。
もうすっかり頭皮を光らせた兄は「……お前の方が優秀なのに……良いのか?」と言ったけれど、クライドは「俺は妻以外には不能ですから」と笑って言った。



(……離縁状の配送差し止めが間に合わなかっただと!?)

クライドは恐ろしい言葉を聞いて王宮から早馬でここまでやってきた。そうして憎々しい離縁状を破り捨てたのだ。
(セラフィナが出したら一大事だぞ!)
クライドは屑籠に離縁状を捨てるとセラフィナを抱きしめた。



「り、離縁されるのかと……」
ポロポロと涙を流すセラフィナの顔を手で拭う。
「君を泣かすのは二回目だな……」
「……そう!もー!やめてよ!」
「契約の更新が必要だ」
クライドはそう呟くとセラフィナの目を見た。
「…………どうなるの?この契約結婚は?」セラフィナは目を潤ませてクライドを見上げた。この先が不安で胸がドキドキする……

「これは一生俺の側にいなければならない契約に変更だな」クライドはおどけたようにそう言うとセラフィナを強く抱きしめた。


「はー?あはははは!」
「絶対に破られてはならない契約だ」
「ふふ、じゃあ私からも一生離れちゃいけない契約ね」
「attarimae-jan(当然のことですよ)」
二人は笑い合うと手を繋いだ。






オリビアが少し痛む頭を押さえながら立ち上がる。
随分と痛まなく……なってきた。

自室の窓を開けると爽やかな風が入ってくる。



「ふふ……いい風」


オリビアは陽の光が眩しくて顔の前に手をかざした。
神に祈らなくなれば急激に老化が進むのでは……そう内心思っていた。自分は今までの分老化が進み、塵のように朽ちていくのでは……と


そんな心配と裏腹に、今のところなんの変化もない。
いつもと変わらない瑞々しい肌にオリビアはふ……と鼻で笑った。
もう、神の存在は殆ど感じない。
何かに囚われ、国の為にこの人生を捧げていた。

「これから……私……冒険にでも出ようかしら?」

屋敷に籠りながら送る自由きままな生活も飽きてきた。



神からの加護が無くなった今、いつか死んでしまうのだから色んなモノを見てから死にたい。




トントントンとノックの音がした。
「そのノックは……神殿長?」
「ははは、オリビア様には敵いませんね」神殿長が苦笑いをしながらドアを開け、入室する。


「……ねえ?今まで私たち、神に頑張って仕えてきたわ……あなたも、私が辛い時……いつも側にいてくれた」
オリビアは神殿長に微笑みかけるとそう言った。小さく、幼い頃から見ていた彼を。
何度も何度も……

彼はもう見た目は自分より随分と年上になってしまった。

そして彼はいつもオリビアが落ち込んでいるときは側にいてくれた。毎回、毎回……
そして今回神と決別できたのも、彼が側で励ましてくれたからだ。頼もしい、神殿長。


「はい、オリビア様、しかし冒険は少々危険では?」

「そうかしら……じゃあ私……旅をしようかな?世界中を回るの、今まで閉じ込められていたもの……ふふふ」
「オリビア様、私はオリビア様と共に、どこまでも」
「……そう?じゃあどちらが先に死ぬか競争ね。神殿長の仕事は?」
「随分居座ってしまいましたからね、若い者に譲ります」
オリビアは窓枠に肘をつくと外を眺めた。
神殿長はとても神々しいものを見るように彼女を背後から眺める。
「この国に住む者たちよ聞きなさい、あなたたちはこれから幸せになりますよ。私は神に愛された最後の聖女、この私が言うのだから間違いないわ。だから私も……幸せになるのよ」
オリビアはそう言うとコロコロと笑った。

彼女も今まで得ることのできなかった幸せを取り戻すためまた生きるのだ。それはとても希望に満ちていてオリビアは聖女になって以来初めて未来を思い、目を輝かせた。




「セラフィナ」
「クライド」

二人は庭で抱き合った。

空からキラキラと光の雨が降った気がしたが気のせいだ。
セラフィナはもう、聖女ではない。


しかし、確かに今空が彼女とその夫を祝福したように見えたがそれはきっと気の所為なのだ。


光の粒が散って一日が終わりまた明日がやってくる。


世界中の人々が生きている。
精一杯、その日を生きている。


ただそれだけ
奇跡など、特別なことなどない。


ただ、日々を懸命に生きるのだ。特別ではなくとも

それはなんと美しいのだろう。



また明日がやってくる。

それはとても愛しい明日だ。
きっと、幸せな明日だ。
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みんなの感想(292件)

ああああああ

うわあぁ〰️!間に合ったねぇ離縁状!

流石に早いで候う!(sow-rou)

完結ありがとうございます。

mokumoku
2024.06.11 mokumoku

最後までお付き合いいただきありがとうございます🥹✨
流石に早いで候爆笑問題しました!🤣🤣ありがとうございます♡次作も良ければお付き合いいただけると嬉しいです♡

解除
にゃにゃ
2024.06.10 にゃにゃ

完結おめでとうございます(*^^*)
〜しないと出れない部屋ではなく 女性は出てはいけない部屋で 窓があってよかった!

神様
は何だったのでしょう
オリビアの自由と セラフィナの血と

でも二人の聖女が幸せになってよかった

兄は毛根がない
(は・ω・げ)(は・ω・げ)

でも実力ないのを知っていたのでよかった
変な自信があると民が大変!
オリビアも有限の自由は
無限の広がりがありますね!
素敵なお話ありがとうございました(*^^*)

mokumoku
2024.06.10 mokumoku

最後までお付き合いいただきありがとうございます🥹✨
〇〇しないと出られない😂
神様私の中ではその土地に元々いた魔物だったんじゃないかな?と思っているんですよ…
特になんの力もないけれど、人間が勝手に恐れて勝手に勘違いして勝手に差し出して…
はげ顔文字かわいい😂
嬉しいお言葉ありがとうございます🥹
また明日から新作投稿するのでお付き合いいただけると嬉しいです😚✨

解除
ぱら
2024.06.10 ぱら

完結おめでとう㊗御座います!!

候は矢張り限定!!ദ്ദി( ¯꒳¯ )ヨイヨイ!
相手が欲しい物を持ってる方が結局有利だよね!クライド頑張った!(๑•̀ㅂ•́)و✧

お兄ちゃん…頭…光…(´・ᴥ・`)
きっと今の姿はハダカデバネズミみたいになってんだろうなぁ
コレヲアタマニ( ゚д゚)ノスッ🥦

オリビア様も神殿長と止まってた分の時間を満喫して欲しい
♡ヽ( ´▽`)人(´▽` )ノ♡

セラフィナちゃん、クライド、オリビア様!大勝利!!オメデトウコーラス サン!ハイ!|。・ω・)ノ (・∀・(・∀・(・∀・*)オーメー♪

mokumoku
2024.06.10 mokumoku

最後までお付き合いいただきありがとうございます🥹✨
クライドは自分を使って上手く交渉しましたね🤗
兄王子はツルピカに…🥺
ブロウケました🥦笑
ありがとうございます♡
明日からまた新作投稿いたします🤗
もし良ければお付き合いいただけると嬉しいです😚✨

解除

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