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(俺が神殿に引きこもっている間……経済状況はかなり悪化したようだ)
クライドは腕を組み、四国の代表の言葉に耳を傾けた。
元王族ではあるが、現在聖騎士であるクライドに発言権はない。
手元の資料をなんとなしに眺めると、西と東両国の輸入出金額が大幅に減っているのがわかる。
西にとって国家施策物の製造に必要な物を東から輸入し、質を上げたり……またその逆もあろう。
二国仲良く経済状況が悪化しているのを確認し、クライドはため息をついた。
(ならん……このようなことは)
庶民には伝わってはいないが、この宗教戦争の真の目的は神の奪い合いだ。
神は西の聖女を愛しているが、神に必要な物は東が持っている。東は決してそれを西に公表はしない。
それを全て自分のものにしたいのだ。
少なくとも西は。
(それによって国民が苦しむのを良しとし続けるか……)
神が手に入れば皆自分の国が豊かになると信じている。
果たして本当にそうなのか……クライドは王族の頃から疑問を持っていた。神はちょうど東と西の真ん中に位置する場所にいる。
そこから移動することはない。
(……神のイタズラなんぞ……くだらん)
クライドはイライラしながらただただ、時が流れるのを待った。自分が不能でなければ……このようなことにはならないのに。と考えても無駄な事を思いそうになり、瞑想した。
クライドも聖騎士に任命されたばかりの頃は荒れ狂った。
くだらん女共、その気にさせられぬ女が悪いのだ。と荒れ狂い……神殿のそこかしこを破壊して暴れまわった。
自分は王族で、優秀で、次期後継者だった。
それをただ、陰茎が硬くならないだけで失ったのだ。と
(俺が王の座に就きさえすれば!国民はこんなに苦しまぬともよいというのに!)
それを見かねたオリビアがおっとりと「狩りをしてみたらどう?気も紛れるし……食料にもなるわ。私ちょうどお肉がいただきたいの」とニコニコ笑って言った。
随分と年上だという噂の……見た目は同い年位の女性にそう言われて、クライドはすっかり毒気が抜けたようになった。
オリビアは毎日神に祈りを捧げるため神の元に行くので神殿に帰ってくるのは夜か、朝出かける前に顔を合わせる程度だった。
そんな一瞬の間にオリビアがそう助言したのだ。
毎日大変ではないのか?そう聞いたクライドに「お願いすれば我慢してくれるんだけどね」神に愛された聖女、オリビアはそう困ったように笑う。
クライドは一人狩りをして、黙々とそれの皮をはぎ、捌いた。
一頭の獣が命から肉に変わる頃
クライドは心が洗われていくような心地になった。
(なんて小さいのだろう)と
自分はここで生きていくのだ。
もう、世間からは切り離されて。
クライドは静かに時が流れる神殿でそう誓った。
そんなことを思い出しながらクライドはゆっくりと目を開ける。
相変わらず自分の国だけが豊かになるために騙し合いをしている四国を見て、クライドは静かに思い
「助け合わねばならん。力を合わせれば……それは強固なものになろう」と思わず呟いた。
しかし、それは凛として力を含んだ声だったので皆……思わず会話を止めた。
クライドはしまった……と思ったけれど
「四国助け合えば……近隣国など目ではないくらい……我々は大きいではないか。なぜ、いがみ合うのか」そう言って追い出される前に席を立ち「失礼」と会議室を後にした。
(……ああ……ヤバい……)
クライドは内心バクバクだったので扉を閉めた後は早歩きで廊下を歩き、馬車に飛び乗り、神殿に戻った。
いつお咎めがくるかと思っていたが、王から連絡が来たのはお咎めではなく「東の聖女と結婚しろ」との命令だった。
お披露目会当日……待てど待てどセラフィナは来ない。
警備についている騎士が次第に苛ついてきたであろうクライドの様子を見かねて声を掛けてきた。
「クライド様、女性は準備に時間がかかるものでございます。その証拠にオリビア様もまだいらしておりません」
「……わ……わかっている」
クライドは(違うのだ……)と内心頭を抱えた。
彼がイライラしているのは別な理由があった。
(……来ないのでは?)
クライドはそれが一番心配だった。
セラフィナが来ずに逃げるのではないか……それが不安で不安で堪らなかった。警備の一人が持ち場を離れる許可をクライドに取ってきたので了承する。
その間もずっとクライドはソワソワしていた。
「クライド様、セラフィナ様は今準備が八割程完了しているご様子でございます」持ち場を離れた騎士がクライドの前に跪くとそう告げる。
「……なんだ、確認に行っていたとは……御苦労だったな」
「はい、持ち場に戻ります」
(な、なんてできた部下……!)
クライドは一人の警備の騎士によりセラフィナが来ない線は薄くなった、と安堵のため息をついた。
しかし今度は緊張してきた。
(……妻と一緒に外出など……は、は、初めてだ)
クライドはだんだんとお腹が痛くなってきたので、誤魔化すために腕を組み、片方のつま先でで小刻みにカタカタと床を踏んだ。
「セラフィナ様、本日は門の付近に停車している馬車に乗っていただいて街を一周後、王宮でのお披露目パーティーがあるようでございます」そんな声がしたのでクライドは反射的に顔を上げそちらを見た。
そこには可愛らしくめかし込んだ妻が立っていてクライドは思わず見惚れてしまった。
(いかん、いかん……だらしない顔を……)
クライドは慌てて緩んだ口もとを押さえると、気を取り直すために横を向いた。
「お待たせいたしました」とオリビアがやって来たのでクライドは驚いてそちらを見た。(……二人きりじゃないだと!?)
クライドのそんな気も知らず、オリビアは「では行きましょうか」と穏やかに微笑んだ。
「先ほど伝えられたのですが、本日は元西の聖女としてオリビア様もご参加でございます。なんでも殿下の強いご要望だとか……」
リリスが小声でそうセラフィナに告げているのを聞いてクライドの脳は沸騰しそうになった。
(あ……兄者め!嫌がらせを……それに……)
クライドはオリビアの服装を確認して眉を潜めた。
セラフィナの着ているドレスよりも上等な布だ……
「オリビア様、そちらお召し物は……?」クライドは半ば核心を持った状態で尋ねた。オリビアは珍しく真顔になると「殿下からこちらを着るように、と」と告げた。
(や、や、やっぱりな!)
セラフィナのメイドがその場を去ったのでクライドは不安になっているであろう妻に話しかけるために一歩前に出たが、オリビアに先を越される。「セラフィナ様、素敵な髪型ですね。侍女が?」
「侍女?あ、ああ……はい、リリスがやってくれました」
(……なんて可愛らしいのだセラフィナ……リリスよ……ほ、褒めてつかわそう)
「おい」クライドはかなり勇気を出してセラフィナに声を掛けた。(き、綺麗だとかなんだとか……い、言ってみようか?)
しかしクライドの声が小さかったせいか、セラフィナはこちらを見もしないので、優しく腕を引くとよろめいたセラフィナがクライドの胸に飛び込んできた。
(な、な、な……なんてことだ!)クライドは大興奮した。
「ちょっと!やめてよ!変態!」
その瞬間……セラフィナはクライドを突き飛ばすと怒り声を上げ、更に「本当油断も隙もないわ」と眉をしかめている。
クライドはみるみる顔が熱くなっていくのを感じていた……
(……わ、わざとでは!……セラフィナ殿があんなに軽いとは思わなかったのだ……)
「あらあら……クライド、女性の嫌がることをするのはよしなさいな」オリビアがおっとりとそう言うと、クライドが「オリビア様!?ご、ご、ご……誤解でございます」と大きな声を出した。
セラフィナは「こわーい」と怯えると警護の騎士の側に移動したので「おい!そいつに近寄るな!」クライドは騎士に対して醜い嫉妬心から怒り声を上げた。(くそ!俺の妻だぞ!?)
セラフィナはその様子が恐ろしかったのか警護の騎士の背後に隠れてしまった。それを見てクライドは……(もしかすると嫌われているのでは?)と絶望したのだ。
クライドは腕を組み、四国の代表の言葉に耳を傾けた。
元王族ではあるが、現在聖騎士であるクライドに発言権はない。
手元の資料をなんとなしに眺めると、西と東両国の輸入出金額が大幅に減っているのがわかる。
西にとって国家施策物の製造に必要な物を東から輸入し、質を上げたり……またその逆もあろう。
二国仲良く経済状況が悪化しているのを確認し、クライドはため息をついた。
(ならん……このようなことは)
庶民には伝わってはいないが、この宗教戦争の真の目的は神の奪い合いだ。
神は西の聖女を愛しているが、神に必要な物は東が持っている。東は決してそれを西に公表はしない。
それを全て自分のものにしたいのだ。
少なくとも西は。
(それによって国民が苦しむのを良しとし続けるか……)
神が手に入れば皆自分の国が豊かになると信じている。
果たして本当にそうなのか……クライドは王族の頃から疑問を持っていた。神はちょうど東と西の真ん中に位置する場所にいる。
そこから移動することはない。
(……神のイタズラなんぞ……くだらん)
クライドはイライラしながらただただ、時が流れるのを待った。自分が不能でなければ……このようなことにはならないのに。と考えても無駄な事を思いそうになり、瞑想した。
クライドも聖騎士に任命されたばかりの頃は荒れ狂った。
くだらん女共、その気にさせられぬ女が悪いのだ。と荒れ狂い……神殿のそこかしこを破壊して暴れまわった。
自分は王族で、優秀で、次期後継者だった。
それをただ、陰茎が硬くならないだけで失ったのだ。と
(俺が王の座に就きさえすれば!国民はこんなに苦しまぬともよいというのに!)
それを見かねたオリビアがおっとりと「狩りをしてみたらどう?気も紛れるし……食料にもなるわ。私ちょうどお肉がいただきたいの」とニコニコ笑って言った。
随分と年上だという噂の……見た目は同い年位の女性にそう言われて、クライドはすっかり毒気が抜けたようになった。
オリビアは毎日神に祈りを捧げるため神の元に行くので神殿に帰ってくるのは夜か、朝出かける前に顔を合わせる程度だった。
そんな一瞬の間にオリビアがそう助言したのだ。
毎日大変ではないのか?そう聞いたクライドに「お願いすれば我慢してくれるんだけどね」神に愛された聖女、オリビアはそう困ったように笑う。
クライドは一人狩りをして、黙々とそれの皮をはぎ、捌いた。
一頭の獣が命から肉に変わる頃
クライドは心が洗われていくような心地になった。
(なんて小さいのだろう)と
自分はここで生きていくのだ。
もう、世間からは切り離されて。
クライドは静かに時が流れる神殿でそう誓った。
そんなことを思い出しながらクライドはゆっくりと目を開ける。
相変わらず自分の国だけが豊かになるために騙し合いをしている四国を見て、クライドは静かに思い
「助け合わねばならん。力を合わせれば……それは強固なものになろう」と思わず呟いた。
しかし、それは凛として力を含んだ声だったので皆……思わず会話を止めた。
クライドはしまった……と思ったけれど
「四国助け合えば……近隣国など目ではないくらい……我々は大きいではないか。なぜ、いがみ合うのか」そう言って追い出される前に席を立ち「失礼」と会議室を後にした。
(……ああ……ヤバい……)
クライドは内心バクバクだったので扉を閉めた後は早歩きで廊下を歩き、馬車に飛び乗り、神殿に戻った。
いつお咎めがくるかと思っていたが、王から連絡が来たのはお咎めではなく「東の聖女と結婚しろ」との命令だった。
お披露目会当日……待てど待てどセラフィナは来ない。
警備についている騎士が次第に苛ついてきたであろうクライドの様子を見かねて声を掛けてきた。
「クライド様、女性は準備に時間がかかるものでございます。その証拠にオリビア様もまだいらしておりません」
「……わ……わかっている」
クライドは(違うのだ……)と内心頭を抱えた。
彼がイライラしているのは別な理由があった。
(……来ないのでは?)
クライドはそれが一番心配だった。
セラフィナが来ずに逃げるのではないか……それが不安で不安で堪らなかった。警備の一人が持ち場を離れる許可をクライドに取ってきたので了承する。
その間もずっとクライドはソワソワしていた。
「クライド様、セラフィナ様は今準備が八割程完了しているご様子でございます」持ち場を離れた騎士がクライドの前に跪くとそう告げる。
「……なんだ、確認に行っていたとは……御苦労だったな」
「はい、持ち場に戻ります」
(な、なんてできた部下……!)
クライドは一人の警備の騎士によりセラフィナが来ない線は薄くなった、と安堵のため息をついた。
しかし今度は緊張してきた。
(……妻と一緒に外出など……は、は、初めてだ)
クライドはだんだんとお腹が痛くなってきたので、誤魔化すために腕を組み、片方のつま先でで小刻みにカタカタと床を踏んだ。
「セラフィナ様、本日は門の付近に停車している馬車に乗っていただいて街を一周後、王宮でのお披露目パーティーがあるようでございます」そんな声がしたのでクライドは反射的に顔を上げそちらを見た。
そこには可愛らしくめかし込んだ妻が立っていてクライドは思わず見惚れてしまった。
(いかん、いかん……だらしない顔を……)
クライドは慌てて緩んだ口もとを押さえると、気を取り直すために横を向いた。
「お待たせいたしました」とオリビアがやって来たのでクライドは驚いてそちらを見た。(……二人きりじゃないだと!?)
クライドのそんな気も知らず、オリビアは「では行きましょうか」と穏やかに微笑んだ。
「先ほど伝えられたのですが、本日は元西の聖女としてオリビア様もご参加でございます。なんでも殿下の強いご要望だとか……」
リリスが小声でそうセラフィナに告げているのを聞いてクライドの脳は沸騰しそうになった。
(あ……兄者め!嫌がらせを……それに……)
クライドはオリビアの服装を確認して眉を潜めた。
セラフィナの着ているドレスよりも上等な布だ……
「オリビア様、そちらお召し物は……?」クライドは半ば核心を持った状態で尋ねた。オリビアは珍しく真顔になると「殿下からこちらを着るように、と」と告げた。
(や、や、やっぱりな!)
セラフィナのメイドがその場を去ったのでクライドは不安になっているであろう妻に話しかけるために一歩前に出たが、オリビアに先を越される。「セラフィナ様、素敵な髪型ですね。侍女が?」
「侍女?あ、ああ……はい、リリスがやってくれました」
(……なんて可愛らしいのだセラフィナ……リリスよ……ほ、褒めてつかわそう)
「おい」クライドはかなり勇気を出してセラフィナに声を掛けた。(き、綺麗だとかなんだとか……い、言ってみようか?)
しかしクライドの声が小さかったせいか、セラフィナはこちらを見もしないので、優しく腕を引くとよろめいたセラフィナがクライドの胸に飛び込んできた。
(な、な、な……なんてことだ!)クライドは大興奮した。
「ちょっと!やめてよ!変態!」
その瞬間……セラフィナはクライドを突き飛ばすと怒り声を上げ、更に「本当油断も隙もないわ」と眉をしかめている。
クライドはみるみる顔が熱くなっていくのを感じていた……
(……わ、わざとでは!……セラフィナ殿があんなに軽いとは思わなかったのだ……)
「あらあら……クライド、女性の嫌がることをするのはよしなさいな」オリビアがおっとりとそう言うと、クライドが「オリビア様!?ご、ご、ご……誤解でございます」と大きな声を出した。
セラフィナは「こわーい」と怯えると警護の騎士の側に移動したので「おい!そいつに近寄るな!」クライドは騎士に対して醜い嫉妬心から怒り声を上げた。(くそ!俺の妻だぞ!?)
セラフィナはその様子が恐ろしかったのか警護の騎士の背後に隠れてしまった。それを見てクライドは……(もしかすると嫌われているのでは?)と絶望したのだ。
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