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「……」
何かしらこの想像と違うお話は…
政略結婚をした二人は女性は男性のことが大好きだけれど、相手は全く彼女に興味がなくて…真実の愛を没落貴族の令嬢に注ぐのよ…
妻は悪役の立ち位置なのね…
令嬢に物凄くいじわるをしてる!!
夫はそれを庇い二人の仲はより深まっていくのよ…
「……」
私はなんだか嫌な気分になったので途中退室することにした。
なんか…あの妻はまるで私のようじゃない…?
夫はブライアン様で令嬢は王女様のような…
ハァ…と私はため息をつく。
やっぱり一般的には私は悪者よね…
悲しいわ…
せめていじわるをしたりはしないように気を付けていかなくちゃ…
ブライアン様は映画を観ているからしばらくここには来ないだろう。私はカバンから本を一冊取り出す。
ふふ、これも読みたかったのよね。
「隣いいですか?」
「あ、はい!」
私が夢中で本を読んでいると突然声を掛けられ咄嗟に許可を出してしまった…!
顔を上げるとイケメンが立っていて私の隣に座ってもいいか?と聞いてくる。
わぁあ!素敵!!
私はなんだか気恥ずかしくなって俯いた。
こんなイケメンの隣に…!夢みたい…!小説みたい…映画みたい!
「あ、それ」
彼は私の本を指差し言った。
私はなんだか笑われてしまうかな…と本をそっとカバンに仕舞う。…恋愛小説だからだ。
私のような見た目の女が恋愛小説だなんて…
「あ、あの…これは、」友だちに無理矢理押し付けられて…と私が嘘をつこうとしたとき
「それ、俺が書いてるんだよ」とイケメンは言った。
「え、えー!!」
えー!女性が書いていると思った…!女性の心理描写がとても上手だし…何より男性がカッコいいんだもの…!!
「ふふ。こんなとこで読者さんに会うなんて嬉しいな」男性は恥ずかしそうに頭を掻いた。
「あ、あの!私大ファンなんです…!あなたの作品!全部全部本を持ってます!ハッピーエンドで…いつも温かい気分になれるので…本当大好きなんです!」
私は思わずグイグイと距離を詰めてしまいハッとする…
なんてこと!
いけないわ…
私はなんだか自分の行動が恥ずかしくなってしまい俯いた。
「す…すみません…」
「はは、こんな素敵な女性に近付かれては恥ずかしいな」イケメン先生はポリポリと頭を掻くとにっこり笑った。
キャー!素敵!!
「わぁ…こちらこそこんな素敵な男性からそんなお世辞を…」素敵な女性だなんて!嬉しい…初めて言われたわ…!
私って…異性とは特に上手くコミュニケーションが取れないから…学生時代も殆ど喋ったことがないのよね…
まあ…喋ったとしても素敵だなんて言われないだろうけど…私なんて…
「え?何言ってるの?君は可愛らしい素敵な女性だよ」
「え…」
イケメン先生は私の手をそっと握ると目を見つめてきました。
……わぁ…なんてキレイな目…茶色で…すごくキレイだわ…
「お世辞じゃない」
「あ…あの…」
「何をしているんだ!」
映画館のロビーに似つかわしくない怒り声に私は肩を跳ねさせた。そこには婚約者が立っていて今までに見たことがない位怒っている。
「…知り合い?」
「は…あの…まあ…一応婚約者というか…」なんというか…
ブライアン様は無言で私の腕を掴み立ち上がらせるとイケメン先生から引き離した。
「あー…なんかごめん!またね!」
「あ…また機会がございましたら…」
私はズルズル引きずられながらペコペコと頭を下げた。
広場まで来たときには私はすっかり足がもつれてしまっていて半ば本当に引きずられていたのでスカートが土埃でドロドロになってしまっていた。
やっと手を離してくれたのでペタンと地面に座る。
私は今月出た特別手当で買ったスカートを広げて眺めた。
汚れは洗えば取れるだろうけど…レースの部分が毛玉になってしまってる…
一年頑張って貰った手当で買ったスカート…
私は要領が悪いから叱られてばかりでこの一年間とても辛かった。でもその代わり手当てを貰ったときは物凄く嬉しくて帰りにこのスカートを買ったのだ。
鼻がツンと痛くてなんだか情けない気分になった。
なんだかここで泣くと嫌な思いをしそうなので「あ…あの…私帰ります!今までありがとうごさいました!」と頭を下げて私は乗り合い所まで走った。
なにが原因で溢れているのかわからない涙は塩味がした。
家に帰ってから何回も誰かが来たようだけど…目が腫れていたので来客の方には申し訳ないけれどお断りをした。
その後何度もブライアン様から連絡をいただいたのだけれど…なんだかお手紙は怖くて開けられず、その他は居留守を使ってのらりくらりと躱していきました。
最後のご挨拶かな?そう思って。
でも、最終的には結婚するのだし…となんだか最後の挨拶も必要ない気がしてなんだかんだ接触を避けました。
ああ、これで結婚まで会うことはないな…そう思っていたのだけれども…
何かしらこの想像と違うお話は…
政略結婚をした二人は女性は男性のことが大好きだけれど、相手は全く彼女に興味がなくて…真実の愛を没落貴族の令嬢に注ぐのよ…
妻は悪役の立ち位置なのね…
令嬢に物凄くいじわるをしてる!!
夫はそれを庇い二人の仲はより深まっていくのよ…
「……」
私はなんだか嫌な気分になったので途中退室することにした。
なんか…あの妻はまるで私のようじゃない…?
夫はブライアン様で令嬢は王女様のような…
ハァ…と私はため息をつく。
やっぱり一般的には私は悪者よね…
悲しいわ…
せめていじわるをしたりはしないように気を付けていかなくちゃ…
ブライアン様は映画を観ているからしばらくここには来ないだろう。私はカバンから本を一冊取り出す。
ふふ、これも読みたかったのよね。
「隣いいですか?」
「あ、はい!」
私が夢中で本を読んでいると突然声を掛けられ咄嗟に許可を出してしまった…!
顔を上げるとイケメンが立っていて私の隣に座ってもいいか?と聞いてくる。
わぁあ!素敵!!
私はなんだか気恥ずかしくなって俯いた。
こんなイケメンの隣に…!夢みたい…!小説みたい…映画みたい!
「あ、それ」
彼は私の本を指差し言った。
私はなんだか笑われてしまうかな…と本をそっとカバンに仕舞う。…恋愛小説だからだ。
私のような見た目の女が恋愛小説だなんて…
「あ、あの…これは、」友だちに無理矢理押し付けられて…と私が嘘をつこうとしたとき
「それ、俺が書いてるんだよ」とイケメンは言った。
「え、えー!!」
えー!女性が書いていると思った…!女性の心理描写がとても上手だし…何より男性がカッコいいんだもの…!!
「ふふ。こんなとこで読者さんに会うなんて嬉しいな」男性は恥ずかしそうに頭を掻いた。
「あ、あの!私大ファンなんです…!あなたの作品!全部全部本を持ってます!ハッピーエンドで…いつも温かい気分になれるので…本当大好きなんです!」
私は思わずグイグイと距離を詰めてしまいハッとする…
なんてこと!
いけないわ…
私はなんだか自分の行動が恥ずかしくなってしまい俯いた。
「す…すみません…」
「はは、こんな素敵な女性に近付かれては恥ずかしいな」イケメン先生はポリポリと頭を掻くとにっこり笑った。
キャー!素敵!!
「わぁ…こちらこそこんな素敵な男性からそんなお世辞を…」素敵な女性だなんて!嬉しい…初めて言われたわ…!
私って…異性とは特に上手くコミュニケーションが取れないから…学生時代も殆ど喋ったことがないのよね…
まあ…喋ったとしても素敵だなんて言われないだろうけど…私なんて…
「え?何言ってるの?君は可愛らしい素敵な女性だよ」
「え…」
イケメン先生は私の手をそっと握ると目を見つめてきました。
……わぁ…なんてキレイな目…茶色で…すごくキレイだわ…
「お世辞じゃない」
「あ…あの…」
「何をしているんだ!」
映画館のロビーに似つかわしくない怒り声に私は肩を跳ねさせた。そこには婚約者が立っていて今までに見たことがない位怒っている。
「…知り合い?」
「は…あの…まあ…一応婚約者というか…」なんというか…
ブライアン様は無言で私の腕を掴み立ち上がらせるとイケメン先生から引き離した。
「あー…なんかごめん!またね!」
「あ…また機会がございましたら…」
私はズルズル引きずられながらペコペコと頭を下げた。
広場まで来たときには私はすっかり足がもつれてしまっていて半ば本当に引きずられていたのでスカートが土埃でドロドロになってしまっていた。
やっと手を離してくれたのでペタンと地面に座る。
私は今月出た特別手当で買ったスカートを広げて眺めた。
汚れは洗えば取れるだろうけど…レースの部分が毛玉になってしまってる…
一年頑張って貰った手当で買ったスカート…
私は要領が悪いから叱られてばかりでこの一年間とても辛かった。でもその代わり手当てを貰ったときは物凄く嬉しくて帰りにこのスカートを買ったのだ。
鼻がツンと痛くてなんだか情けない気分になった。
なんだかここで泣くと嫌な思いをしそうなので「あ…あの…私帰ります!今までありがとうごさいました!」と頭を下げて私は乗り合い所まで走った。
なにが原因で溢れているのかわからない涙は塩味がした。
家に帰ってから何回も誰かが来たようだけど…目が腫れていたので来客の方には申し訳ないけれどお断りをした。
その後何度もブライアン様から連絡をいただいたのだけれど…なんだかお手紙は怖くて開けられず、その他は居留守を使ってのらりくらりと躱していきました。
最後のご挨拶かな?そう思って。
でも、最終的には結婚するのだし…となんだか最後の挨拶も必要ない気がしてなんだかんだ接触を避けました。
ああ、これで結婚まで会うことはないな…そう思っていたのだけれども…
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