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「しかし奥様もずっとぼんやりしていたわけではなく……」
リリーは膝の上で手を握りしめた。
フォルテナが5歳になり髪が伸び随分女の子らしくなった頃、まだ彼女は行動を制限されてはいなかった。
その頃、新しくやってきた義理の父はフォルテナの母の幼馴染の商人で財を成しフォルテナの母を支えたいと結婚を申し込んだのだ。
フォルテナの母を愛していたのだろう。
この身分違いの恋が叶うなら……と義父は正式な婚姻は結ばなくて構わない、と権力目当てを疑う親戚の前で土下座をしたのだ。
フォルテナの母の側にいさせて欲しいと。
フォルテナの母の親戚は相続権放棄の証明書に神殿でサインをした義父を見て渋々この生活を認めた。なのでフォルテナの母が死去した後は親戚にこの侯爵家を託すこととなる。
義父はそれで構わなかったのだ。
フォルテナの母はその間もぼんやりと宙を眺めているだけであった。勿論、相続権放棄と同時に子を持つことも義父は放棄している。
子を作ってその財産を手に入れるのでは?との疑惑も上がったからだ。義父は「フォルテナの母には指一本触れない」と神の下で誓った。
「……?フォルテナ殿の弟というのは?」
「それは私たちが……お嬢様の義父……ここでは旦那様と表現させていただきます。旦那様がお嬢様に嘘をつくようにと……本来お嬢様は一人っ子でございます」
リリーはクロードの疑問にそう答えた。
「なぜ?」
「なぜそのような嘘をついたかは……この先お話させていただきます」リリーが目に涙を浮かべクロードを見た。
ある時、屋敷をトコトコと歩いていたフォルテナはたくさんの使用人に見守られてお嬢様然としていた。
皆かわいらしい様に微笑みながら振り返る。
リリーはその後ろを着いて歩いた。
すると前方からフォルテナの母がふらりふらりと歩いてきたのだ。そしてフォルテナの父が亡くなってから初めてフォルテナを見た。
リリーは嬉しかった。
(奥様がお嬢様を見た)と
フォルテナの母は幼いフォルテナに駆け寄るとその小さくて細い首を締め上げた。リリーは衝撃のあまり一瞬何が起きたのかわからなくなってしまった。
小さなフォルテナの顔がみるみる赤くなる……
そこに義父が駆けつけるとフォルテナの母をフォルテナから引き離した。リリーは我に返りフォルテナを義父から受け取ると声を殺して泣いた。
ケホケホと乾いた咳を繰り返しながら息を整える小さい小さい背中を擦りながら泣いた。
義父は屋敷の護衛に指示を出すとまだ興奮気味のフォルテナの母を部屋に軟禁して静まり返る使用人たちに「ははははは、彼女に触れてしまった……これは私たちだけの秘密に……神には内緒にしてくれ」とおどけながら言った。
そして小さい声で「……いいか皆、今のは俺がやったんだ。俺が。継父の俺が、嫉妬に狂いこの子の首を締めた。母親は彼女を俺から引き離したんだ。守った。継父から、わかるな?」と言ってフォルテナの前に跪いた。
「……お嬢様。なんとかわいらしいんだ。あなたは幸せになるのです。名前の通り……幸せに。あなたの名前は幸せが込められている。父上はきっと空の上から幸せを願っている」と頭をそっと撫でた。
そして廊下にある花瓶を棚ごと蹴り上げて倒すと
「ほら!なんと恐ろしい継父だ!!」と大声で言うとその場からドスドスと足音を立てて去った。
フォルテナはそんな義父の様子を見てブルブルと身を震わせてリリーに抱きついた。
「お、お嬢様……!」
リリーは先ほどとは違う涙をポロポロと床に落とした。
「……なんということだ」
「お嬢様は知りません。覚えていないのです。旦那様が恐ろしい、機嫌が悪いと花瓶を割るような暴力的な男だ……という事以外は」
フォルテナがもう少し大きくなるとフォルテナの母は娘への攻撃を次第に女性に対しての嫉妬へとシフトチェンジさせていった。
美しくかわいらしく変貌していくフォルテナへ女性として嫉妬するようになった。
フォルテナの婚約者であったクロードの兄はフォルテナの写真を見て以来彼女に焦がれ、毎日のように手紙で愛を囁やき、デビュタントを向かえたフォルテナを事あるごとにパーティーへ誘っていた。
「奥様はお嬢様が女性として幸せになることが許せなかったのでございます」
フォルテナの母はフォルテナの婚約者から手紙やプレゼントが来る度にそれを壊し、時には焼いた。
そんなことを知らされていないフォルテナは「私の婚約者冷たいわ」と少し寂しそうに笑いながら言った。「まあ別に会ったこともないしいいのだけれど」と
次第に母の行動はエスカレートして遂にはフォルテナの処女を奪ってしまおうと瓶を持ってフォルテナの部屋に侵入するようになった。
その日たまたまフォルテナが風邪をひき始めていて心配だったリリーは「平気よ」と強がるフォルテナの側に座って様子を見ていたのだ。
そこに夜中、そっと扉を開けてフォルテナの母が侵入してきた。
警護に抑えられたフォルテナの母は口汚くフォルテナを罵るような事を口にしたのでリリーはその耳をそっと押さえた。
「リリー……?」
「お嬢様……お熱が高いかもしれません」
「……耳がよく聞こえない」
「お熱のせいでしょう。気にせず眠ってよいのですよ。リリーはおそばにいますからね」
リリーは恐ろしさに震える手を押さえながら目を覚ましたフォルテナにそう言った。
それから毎日毎日フォルテナの母がやってきた。
母の部屋とフォルテナの部屋に鍵を掛けたが、フォルテナの母の執着は凄まじく自分の窓ガラスを割り、二階から飛び降りるとフォルテナの部屋に侵入しようと壁を伝っているところを警護に確保された。
「リリー……申し訳ないがお嬢様の部屋で寝泊まりをしてもらえないだろうか?」
そう申し訳なさそうに伝える義父にリリーは泣きながら頷くと義父の指示通り「屋敷内に血の繋がらない男性がいるので今日からは私めが夜もお嬢様のお側に……」とフォルテナに伝えた。
フォルテナは「え……?それって……」と顔を青ざめている。
「何度か……」
「……だから夜中人の気配がしたり、窓がガタガタ鳴っていたのね……リリー……怖い……」
リリーには色んな愛が辛かった。
愛がいろんなところに散ってみんな愛されているのに一人も幸せになれていないこの状況が苦しくて苦しくて堪らなかった。
義父に怯えるフォルテナを無言で抱きしめながらリリーは泣いた。
リリーは膝の上で手を握りしめた。
フォルテナが5歳になり髪が伸び随分女の子らしくなった頃、まだ彼女は行動を制限されてはいなかった。
その頃、新しくやってきた義理の父はフォルテナの母の幼馴染の商人で財を成しフォルテナの母を支えたいと結婚を申し込んだのだ。
フォルテナの母を愛していたのだろう。
この身分違いの恋が叶うなら……と義父は正式な婚姻は結ばなくて構わない、と権力目当てを疑う親戚の前で土下座をしたのだ。
フォルテナの母の側にいさせて欲しいと。
フォルテナの母の親戚は相続権放棄の証明書に神殿でサインをした義父を見て渋々この生活を認めた。なのでフォルテナの母が死去した後は親戚にこの侯爵家を託すこととなる。
義父はそれで構わなかったのだ。
フォルテナの母はその間もぼんやりと宙を眺めているだけであった。勿論、相続権放棄と同時に子を持つことも義父は放棄している。
子を作ってその財産を手に入れるのでは?との疑惑も上がったからだ。義父は「フォルテナの母には指一本触れない」と神の下で誓った。
「……?フォルテナ殿の弟というのは?」
「それは私たちが……お嬢様の義父……ここでは旦那様と表現させていただきます。旦那様がお嬢様に嘘をつくようにと……本来お嬢様は一人っ子でございます」
リリーはクロードの疑問にそう答えた。
「なぜ?」
「なぜそのような嘘をついたかは……この先お話させていただきます」リリーが目に涙を浮かべクロードを見た。
ある時、屋敷をトコトコと歩いていたフォルテナはたくさんの使用人に見守られてお嬢様然としていた。
皆かわいらしい様に微笑みながら振り返る。
リリーはその後ろを着いて歩いた。
すると前方からフォルテナの母がふらりふらりと歩いてきたのだ。そしてフォルテナの父が亡くなってから初めてフォルテナを見た。
リリーは嬉しかった。
(奥様がお嬢様を見た)と
フォルテナの母は幼いフォルテナに駆け寄るとその小さくて細い首を締め上げた。リリーは衝撃のあまり一瞬何が起きたのかわからなくなってしまった。
小さなフォルテナの顔がみるみる赤くなる……
そこに義父が駆けつけるとフォルテナの母をフォルテナから引き離した。リリーは我に返りフォルテナを義父から受け取ると声を殺して泣いた。
ケホケホと乾いた咳を繰り返しながら息を整える小さい小さい背中を擦りながら泣いた。
義父は屋敷の護衛に指示を出すとまだ興奮気味のフォルテナの母を部屋に軟禁して静まり返る使用人たちに「ははははは、彼女に触れてしまった……これは私たちだけの秘密に……神には内緒にしてくれ」とおどけながら言った。
そして小さい声で「……いいか皆、今のは俺がやったんだ。俺が。継父の俺が、嫉妬に狂いこの子の首を締めた。母親は彼女を俺から引き離したんだ。守った。継父から、わかるな?」と言ってフォルテナの前に跪いた。
「……お嬢様。なんとかわいらしいんだ。あなたは幸せになるのです。名前の通り……幸せに。あなたの名前は幸せが込められている。父上はきっと空の上から幸せを願っている」と頭をそっと撫でた。
そして廊下にある花瓶を棚ごと蹴り上げて倒すと
「ほら!なんと恐ろしい継父だ!!」と大声で言うとその場からドスドスと足音を立てて去った。
フォルテナはそんな義父の様子を見てブルブルと身を震わせてリリーに抱きついた。
「お、お嬢様……!」
リリーは先ほどとは違う涙をポロポロと床に落とした。
「……なんということだ」
「お嬢様は知りません。覚えていないのです。旦那様が恐ろしい、機嫌が悪いと花瓶を割るような暴力的な男だ……という事以外は」
フォルテナがもう少し大きくなるとフォルテナの母は娘への攻撃を次第に女性に対しての嫉妬へとシフトチェンジさせていった。
美しくかわいらしく変貌していくフォルテナへ女性として嫉妬するようになった。
フォルテナの婚約者であったクロードの兄はフォルテナの写真を見て以来彼女に焦がれ、毎日のように手紙で愛を囁やき、デビュタントを向かえたフォルテナを事あるごとにパーティーへ誘っていた。
「奥様はお嬢様が女性として幸せになることが許せなかったのでございます」
フォルテナの母はフォルテナの婚約者から手紙やプレゼントが来る度にそれを壊し、時には焼いた。
そんなことを知らされていないフォルテナは「私の婚約者冷たいわ」と少し寂しそうに笑いながら言った。「まあ別に会ったこともないしいいのだけれど」と
次第に母の行動はエスカレートして遂にはフォルテナの処女を奪ってしまおうと瓶を持ってフォルテナの部屋に侵入するようになった。
その日たまたまフォルテナが風邪をひき始めていて心配だったリリーは「平気よ」と強がるフォルテナの側に座って様子を見ていたのだ。
そこに夜中、そっと扉を開けてフォルテナの母が侵入してきた。
警護に抑えられたフォルテナの母は口汚くフォルテナを罵るような事を口にしたのでリリーはその耳をそっと押さえた。
「リリー……?」
「お嬢様……お熱が高いかもしれません」
「……耳がよく聞こえない」
「お熱のせいでしょう。気にせず眠ってよいのですよ。リリーはおそばにいますからね」
リリーは恐ろしさに震える手を押さえながら目を覚ましたフォルテナにそう言った。
それから毎日毎日フォルテナの母がやってきた。
母の部屋とフォルテナの部屋に鍵を掛けたが、フォルテナの母の執着は凄まじく自分の窓ガラスを割り、二階から飛び降りるとフォルテナの部屋に侵入しようと壁を伝っているところを警護に確保された。
「リリー……申し訳ないがお嬢様の部屋で寝泊まりをしてもらえないだろうか?」
そう申し訳なさそうに伝える義父にリリーは泣きながら頷くと義父の指示通り「屋敷内に血の繋がらない男性がいるので今日からは私めが夜もお嬢様のお側に……」とフォルテナに伝えた。
フォルテナは「え……?それって……」と顔を青ざめている。
「何度か……」
「……だから夜中人の気配がしたり、窓がガタガタ鳴っていたのね……リリー……怖い……」
リリーには色んな愛が辛かった。
愛がいろんなところに散ってみんな愛されているのに一人も幸せになれていないこの状況が苦しくて苦しくて堪らなかった。
義父に怯えるフォルテナを無言で抱きしめながらリリーは泣いた。
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