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「……!!」
クロードはフォルテナと結婚してからというもの絶対の絶対にフォルテナより先に起きると決めていた。かわいらしい寝顔を見たかったのだ。
クロードは身を起こすと朝の生理現象なのかなんなのかよくわからない股間を抑えつけてフォルテナの寝顔を眺めニヤニヤした。
(なんてかわいらしいのだろう)
フォルテナの閉じた瞼に美しく並ぶまつ毛、ふっくらとした唇、全部自分にはなくて触れると壊れそうなほど愛おしかった。
クロードはしばらくフォルテナを眺めると立ち上がり寝室を出た。
『妻に花束を贈りたいのだが』
クロードはそろそろ妻と仲良くなれてきたような気がしていた。
ハーネットははじめの頃フォルテナはクロードをあまりよく思っていないと言っていたけれどこれだけ床を共にして、少しその感情も軟化したのではないかと……
今ならプレゼントも受け取ってくれるのでは……?
クロードは朝食後メイソンにメモを見せるとメイソンは目を細めてゆっくり頷いた。
メイソンは心の底からよかった。と思う。
奥様がどのようなお気持ちかはわかりませんが、少なくともぼ……旦那様がこんなに嬉しそうにしている。
屋敷に戻ってきてからどことなく元気のなかったクロードがメイソンは心配で心配で堪らなかった。
騎士になってからはここにいるときよりも生き生きと生活をしているように感じていたけれど屋敷に本格的に戻ってきてからはなんとなく元気がないように感じていたのだ。
もうご両親もお兄様もいないのに……
メイソンはウキウキと手を振るクロードを眺めると彼の幸せを願った。
『女性はどんな花が好きだろうか』
「うーん……そうですね……」
クロードが前のめりにメモを見せると庭師は頭を抱えた。
彼の本気さに適当なことは言えないと思ったからだ。
「あ……そ、そうだ!ハーネット!ハーネットに聞きましょう!奥様以外では唯一の女……ハーネットに!」
(大きい、小さい……ちょっと小さい……)クロードが何度見ても三種類ほどにしか見えない花を眺めていると庭師がハーネットを連れてやってきた。
「ハーネット!貰うならどんな花がいい?」庭師がハーネットに尋ねる。
「わ、私が?……そ、そうですね……薔薇とか……?」ハーネットは少し気恥ずかしそうにすると赤い花を指さした。庭師はそれをチョンと切り、トゲを削ぎ落としている。
「後二種類位選べ!ハーネット!」
「……え?あ、あれとあれ……?」
素敵な花束ができたが……なんだかクロードは違うような気がしていた。……これではハーネットが欲しい花束では?と
「旦那様!いかがでしょう!女性好みの花束でございます!」
庭師がそれをクロードの前に差し出したが『それはハーネットに』『俺はちょっと書庫に』『仕事の邪魔をしてすまない』とメモを見せると屋敷に戻った。
少し変でも自分で選ぶべきな気がする……
ハーネットが選んだ花をもらってフォルテナ殿は嬉しいだろうか……クロードは書庫へ向かうと花の図鑑を取り出した。
自分なら他の男がアドバイスした贈り物を貰ってもあまり嬉しくないだろう……
床にドカリと座るとページをめくる。
目次を確認すると『花束』の項目があったのでめくる。
さすが図鑑……俺の知りたいことがなんでも載っている……
『花には各種類に花言葉というものが存在します。それに意味を込めて贈るとロマンチックですね』
クロードはこれだ……と思った。
自分は口が聞けない代わりにフォルテナへ贈る花は自分の想いをたっぷりと込めて贈ろう……と
クロードはめちゃくちゃ勉強した。
花の種類と花言葉をめちゃくちゃ覚えた。
フォルテナが喜んでくれるといいな。と思いながら。
『妻に今回はこの本を』
慣れない生活で退屈していないかと毎週届けている書物の中にこっそり花の図鑑を紛れ込ませておく。フォルテナ殿は少し賢すぎるのか経済書が好みのようだ。とハーネットから報告を受けているが……時折娯楽小説も混ぜてみている。
「奥様が会いたい時にはこちらから連絡するから、とおっしゃっておりました」
ハーネットにそう伝えられてからなんとなく遠慮してしまいフォルテナに直接会うことがクロードにはできないでいた。
やはり自分はあまり好かれていないのだろう。と思う。
でもそれも仕方がないことだ。と思った。
少しずつ歩み寄ることができれば、と
自分はフォルテナをひと目見た時に恋をしてしまったが向こうはそうではないのだ。しかし、恋した相手と結婚できるなど……幸せなことではないだろうか。
クロードはうっきうきで庭へ行くとフォルテナのために花束を作った。ジプソフィラにピンク色のガーベラとルドベキアだ。
ジプソフィラは単純にフォルテナのようにかわいらしくて美しいのもあるが花言葉が「無垢の愛」ピンク色のガーベラは「熱愛」ルドベキアは「あなたを見つめる」という意味があるらしいので選んだのだ。
クロードはあまりにも露骨すぎるだろうか……と顔を赤くすると俯いた。
「あ……は、はい」
フォルテナが扉を開ける。
いつもよりなんとなく儚げなフォルテナを見てクロードは胸がより一層高鳴った。彼女は自分の花束を気に入ってくれるだろうか……
しかし彼女は「……すいません。今ハーネットはいないんです……恐らくどこか別のとこにいると思うので……そちらで渡してもらえますか?」と頭を下げて扉を閉めた。
クロードは一瞬意味がわからず聞き返そうとドアをノックしようとしたが……(自分への贈り物は使用人であるハーネットを通せということか……?)と上げた手を下ろした。
なんだか少し寂しい気持ちになった。
声が出ればすぐ尋ねることができただろうに。
クロードはフォルテナと結婚してからというもの絶対の絶対にフォルテナより先に起きると決めていた。かわいらしい寝顔を見たかったのだ。
クロードは身を起こすと朝の生理現象なのかなんなのかよくわからない股間を抑えつけてフォルテナの寝顔を眺めニヤニヤした。
(なんてかわいらしいのだろう)
フォルテナの閉じた瞼に美しく並ぶまつ毛、ふっくらとした唇、全部自分にはなくて触れると壊れそうなほど愛おしかった。
クロードはしばらくフォルテナを眺めると立ち上がり寝室を出た。
『妻に花束を贈りたいのだが』
クロードはそろそろ妻と仲良くなれてきたような気がしていた。
ハーネットははじめの頃フォルテナはクロードをあまりよく思っていないと言っていたけれどこれだけ床を共にして、少しその感情も軟化したのではないかと……
今ならプレゼントも受け取ってくれるのでは……?
クロードは朝食後メイソンにメモを見せるとメイソンは目を細めてゆっくり頷いた。
メイソンは心の底からよかった。と思う。
奥様がどのようなお気持ちかはわかりませんが、少なくともぼ……旦那様がこんなに嬉しそうにしている。
屋敷に戻ってきてからどことなく元気のなかったクロードがメイソンは心配で心配で堪らなかった。
騎士になってからはここにいるときよりも生き生きと生活をしているように感じていたけれど屋敷に本格的に戻ってきてからはなんとなく元気がないように感じていたのだ。
もうご両親もお兄様もいないのに……
メイソンはウキウキと手を振るクロードを眺めると彼の幸せを願った。
『女性はどんな花が好きだろうか』
「うーん……そうですね……」
クロードが前のめりにメモを見せると庭師は頭を抱えた。
彼の本気さに適当なことは言えないと思ったからだ。
「あ……そ、そうだ!ハーネット!ハーネットに聞きましょう!奥様以外では唯一の女……ハーネットに!」
(大きい、小さい……ちょっと小さい……)クロードが何度見ても三種類ほどにしか見えない花を眺めていると庭師がハーネットを連れてやってきた。
「ハーネット!貰うならどんな花がいい?」庭師がハーネットに尋ねる。
「わ、私が?……そ、そうですね……薔薇とか……?」ハーネットは少し気恥ずかしそうにすると赤い花を指さした。庭師はそれをチョンと切り、トゲを削ぎ落としている。
「後二種類位選べ!ハーネット!」
「……え?あ、あれとあれ……?」
素敵な花束ができたが……なんだかクロードは違うような気がしていた。……これではハーネットが欲しい花束では?と
「旦那様!いかがでしょう!女性好みの花束でございます!」
庭師がそれをクロードの前に差し出したが『それはハーネットに』『俺はちょっと書庫に』『仕事の邪魔をしてすまない』とメモを見せると屋敷に戻った。
少し変でも自分で選ぶべきな気がする……
ハーネットが選んだ花をもらってフォルテナ殿は嬉しいだろうか……クロードは書庫へ向かうと花の図鑑を取り出した。
自分なら他の男がアドバイスした贈り物を貰ってもあまり嬉しくないだろう……
床にドカリと座るとページをめくる。
目次を確認すると『花束』の項目があったのでめくる。
さすが図鑑……俺の知りたいことがなんでも載っている……
『花には各種類に花言葉というものが存在します。それに意味を込めて贈るとロマンチックですね』
クロードはこれだ……と思った。
自分は口が聞けない代わりにフォルテナへ贈る花は自分の想いをたっぷりと込めて贈ろう……と
クロードはめちゃくちゃ勉強した。
花の種類と花言葉をめちゃくちゃ覚えた。
フォルテナが喜んでくれるといいな。と思いながら。
『妻に今回はこの本を』
慣れない生活で退屈していないかと毎週届けている書物の中にこっそり花の図鑑を紛れ込ませておく。フォルテナ殿は少し賢すぎるのか経済書が好みのようだ。とハーネットから報告を受けているが……時折娯楽小説も混ぜてみている。
「奥様が会いたい時にはこちらから連絡するから、とおっしゃっておりました」
ハーネットにそう伝えられてからなんとなく遠慮してしまいフォルテナに直接会うことがクロードにはできないでいた。
やはり自分はあまり好かれていないのだろう。と思う。
でもそれも仕方がないことだ。と思った。
少しずつ歩み寄ることができれば、と
自分はフォルテナをひと目見た時に恋をしてしまったが向こうはそうではないのだ。しかし、恋した相手と結婚できるなど……幸せなことではないだろうか。
クロードはうっきうきで庭へ行くとフォルテナのために花束を作った。ジプソフィラにピンク色のガーベラとルドベキアだ。
ジプソフィラは単純にフォルテナのようにかわいらしくて美しいのもあるが花言葉が「無垢の愛」ピンク色のガーベラは「熱愛」ルドベキアは「あなたを見つめる」という意味があるらしいので選んだのだ。
クロードはあまりにも露骨すぎるだろうか……と顔を赤くすると俯いた。
「あ……は、はい」
フォルテナが扉を開ける。
いつもよりなんとなく儚げなフォルテナを見てクロードは胸がより一層高鳴った。彼女は自分の花束を気に入ってくれるだろうか……
しかし彼女は「……すいません。今ハーネットはいないんです……恐らくどこか別のとこにいると思うので……そちらで渡してもらえますか?」と頭を下げて扉を閉めた。
クロードは一瞬意味がわからず聞き返そうとドアをノックしようとしたが……(自分への贈り物は使用人であるハーネットを通せということか……?)と上げた手を下ろした。
なんだか少し寂しい気持ちになった。
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