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(つけてくれていなかった……)
クロードがしょんぼりと肩を落としながら歩く。フォルテナは指輪が気に入らなかったのか夜は指輪を付けてくれてはいなかった。仕方がない……政略結婚政略結婚……
『ちゃんと渡した?』
「……疑うんですか?渡しましたけど……」
『確認しただけです』
廊下で会ったハーネットに念の為確認したがあわや業務上のトラブルに発展しそうだったためそそくさとその場を去る。
すると廊下でクロードはフォルテナに会った。
「おはようございます旦那様」にっこり笑いながらそう言う彼女は窓から差し込む自然光に照らされてまさに天使のようだった。
クロードは口を開けたがそこからは少し乾いた吐息が出るだけだった。
クロードは何か書くものを取りに行くためその場からいなくなると全力疾走で戻ってきたのだがそこにはもうフォルテナはいなかった。
やはりハーネットが言う通り、口を聞けない夫は気持ちが悪いと思っているのだろうか……
クロードは先ほどもフォルテナの指には指輪がなかったことを思い出して落ち込んでしまった。
夜眠る時には邪魔だから付けていない可能性に若干掛けていたのだが、その細やかな希望は先ほど粉々に砕けた。
センスが……よくなかったかな?
クロードは自分の指にはめられたシンプルなデザインの指輪に目を落とすとため息をついた。
……こんなかわいらしい人にはこんな指輪では気に入られなくて当然なのかもしれない……
昼過ぎ、執務中に窓の外を見るとフォルテナが庭を歩く様子が見えのでクロードはうっきうきでメイソンに外の空気を吸ってくると伝えると庭まで走った。
が、
そこには男性使用人に囲まれて微笑むフォルテナがいてクロードはとてもとても嫌な気分になった。
フォルテナは一言二言使用人と話すと屋敷の中に戻って行ったがクロードはそれを木の陰に隠れながら歯ぎしりをしつつ眺めた。
俺だって話せれば……と
ギリギリと響く妙な音に気付いた使用人の一人がそちらを見ると物凄い形相をしたクロードがいたので使用人たちは慌てた。
クロードは震える手で文字を書くと『あまり妻と親しくしないで欲しい』と使用人に見せた。
その文字は怒りと悲しみに震えていて使用人が顔を上げるとクロードが無理に作った笑顔からは殺意すら感じられ男性陣は震えた。
「は、はい!かしこまりました!」
クロードは書庫に行くと『閨読本vol2』を手に取り熟読した。
『そろそろ閨にも慣れて来た頃でしょう』から始まる書き出しを軽く読み飛ばすとクロードはあるページに釘付けになった。
全然慣れていない。
『性器による愛撫』
そこには図解付きで男性の亀頭と女性の亀頭をこすり合わせる愛撫方法が記されていて元童貞のクロードには堪らなかった。
『指でも舌でもパートナーが痛みや不快感を覚える場合は性器同士をこすり合わせてみましょう』
「……」
堅くなった股間を抑えつけながら(自分には無理な気がする)と悟った。フォルテナの陰核に亀頭を擦り付けた瞬間自分は精を吹き上げるだろう。と
クロードは床に座ると舌での愛撫の項目を穴が開くほど眺めた。なぜならばクロードはフォルテナの股間に触れる度に(舐めたいなぁ……)と思っていたからだ。
舐めるのは人間的に大丈夫だと『閨読本vol2』が教えてくれた。
『陰部に舌を這わせるのに抵抗がある女性も多いため必ず許可を得ましょう』
……無理だ!
クロードは本を投げつけそうになったけれどメイソンの「本は大切に」の教えを思い出しそっと棚にしまった。
その日の夜、クロードはフォルテナのツン……と上を向いた胸の先に吸い付いた。いつもはあまり反応しないフォルテナが腰を少し動かしている。
クロードはもしかすると陰部を舐めるのもフォルテナは嫌いではないかもしれない……と男性器を震わせた。
するとフォルテナがクロードに手を伸ばし、頬に触れた。
クロードは元々爆発寸前だったがその優しげな動作にすっかり舞い上がり慌てて握った陰茎の先からはもう精が垂れ始めてしまうほど興奮してしまった。
こんな……
挿入もしていないのに精を出しては……
ますます気持ち悪く思われてしまう、とクロードは慌ててフォルテナから離れて自分の部屋に駆け込んだ。
亀頭を包む手の中には溢れ出そうな程に精を放ってしまっていた。
「……」
クロードは扉の前で手のひらを拭うと情けなくて涙が出そうになった。話せないだけではなく、夜も弱い……
クロードは床に膝を付くとそのまま虫のようにうずくまった。
自分にはなにも良い所がないような気がした。
話もできず、気の利いたことも言えない。
いや、そもそも声が出たとして気の利いたことなど生まれてこの方女性に言ったことがあるだろうか?
騎士をしているときは自信が多少あった。仕事にやりがいを感じていたからだ。剣術も向いていたのか練習すればする程能力が上がってくるのを実感できたし、なによりも目に見えて結果がすぐわかるのが自分に自信のなかったクロードの背中を押してくれていたのだ。
それも今はない。
訓練して学んだことも、鍛えた身体も執務にはあまり必要がない気がする。あの時娼館で……あの女性に色々教えてもらえばよかったのかもしれない……クロードは虫になった。
丸まって動かない……ダンゴムシちゃんになった。
しかしダンゴムシでも童貞は子孫を絶やすのだ……ダンゴムシの妊婦を見たことがあるか?ダンゴムシは卵生ではなく、胎生なのだ。ダンゴムシの妊婦は腹の皮膚が薄くなっており裏返すと胎児が見える……ああ、気持ちが悪い。
俺はなぜダンゴムシの生態について振り返っているのか……
考えたくないのに……
そもそも俺はあまり虫が好きではないんだ。
それなのに……
クロードはため息をついた。
先ほどまでバッキバキにいきり立っていた男性器はダンゴムシの妊婦のおかげで落ち着きを取り戻した。
クロードはなんともない様子を装うと再び寝室に戻ったけれどかわいらしい妻は疲れていたのかすやすやと寝息を立てていたのでクロードはその様子を残念なような、ホッとしたような気分で見つめると彼女の頬にキスをした。
クロードがしょんぼりと肩を落としながら歩く。フォルテナは指輪が気に入らなかったのか夜は指輪を付けてくれてはいなかった。仕方がない……政略結婚政略結婚……
『ちゃんと渡した?』
「……疑うんですか?渡しましたけど……」
『確認しただけです』
廊下で会ったハーネットに念の為確認したがあわや業務上のトラブルに発展しそうだったためそそくさとその場を去る。
すると廊下でクロードはフォルテナに会った。
「おはようございます旦那様」にっこり笑いながらそう言う彼女は窓から差し込む自然光に照らされてまさに天使のようだった。
クロードは口を開けたがそこからは少し乾いた吐息が出るだけだった。
クロードは何か書くものを取りに行くためその場からいなくなると全力疾走で戻ってきたのだがそこにはもうフォルテナはいなかった。
やはりハーネットが言う通り、口を聞けない夫は気持ちが悪いと思っているのだろうか……
クロードは先ほどもフォルテナの指には指輪がなかったことを思い出して落ち込んでしまった。
夜眠る時には邪魔だから付けていない可能性に若干掛けていたのだが、その細やかな希望は先ほど粉々に砕けた。
センスが……よくなかったかな?
クロードは自分の指にはめられたシンプルなデザインの指輪に目を落とすとため息をついた。
……こんなかわいらしい人にはこんな指輪では気に入られなくて当然なのかもしれない……
昼過ぎ、執務中に窓の外を見るとフォルテナが庭を歩く様子が見えのでクロードはうっきうきでメイソンに外の空気を吸ってくると伝えると庭まで走った。
が、
そこには男性使用人に囲まれて微笑むフォルテナがいてクロードはとてもとても嫌な気分になった。
フォルテナは一言二言使用人と話すと屋敷の中に戻って行ったがクロードはそれを木の陰に隠れながら歯ぎしりをしつつ眺めた。
俺だって話せれば……と
ギリギリと響く妙な音に気付いた使用人の一人がそちらを見ると物凄い形相をしたクロードがいたので使用人たちは慌てた。
クロードは震える手で文字を書くと『あまり妻と親しくしないで欲しい』と使用人に見せた。
その文字は怒りと悲しみに震えていて使用人が顔を上げるとクロードが無理に作った笑顔からは殺意すら感じられ男性陣は震えた。
「は、はい!かしこまりました!」
クロードは書庫に行くと『閨読本vol2』を手に取り熟読した。
『そろそろ閨にも慣れて来た頃でしょう』から始まる書き出しを軽く読み飛ばすとクロードはあるページに釘付けになった。
全然慣れていない。
『性器による愛撫』
そこには図解付きで男性の亀頭と女性の亀頭をこすり合わせる愛撫方法が記されていて元童貞のクロードには堪らなかった。
『指でも舌でもパートナーが痛みや不快感を覚える場合は性器同士をこすり合わせてみましょう』
「……」
堅くなった股間を抑えつけながら(自分には無理な気がする)と悟った。フォルテナの陰核に亀頭を擦り付けた瞬間自分は精を吹き上げるだろう。と
クロードは床に座ると舌での愛撫の項目を穴が開くほど眺めた。なぜならばクロードはフォルテナの股間に触れる度に(舐めたいなぁ……)と思っていたからだ。
舐めるのは人間的に大丈夫だと『閨読本vol2』が教えてくれた。
『陰部に舌を這わせるのに抵抗がある女性も多いため必ず許可を得ましょう』
……無理だ!
クロードは本を投げつけそうになったけれどメイソンの「本は大切に」の教えを思い出しそっと棚にしまった。
その日の夜、クロードはフォルテナのツン……と上を向いた胸の先に吸い付いた。いつもはあまり反応しないフォルテナが腰を少し動かしている。
クロードはもしかすると陰部を舐めるのもフォルテナは嫌いではないかもしれない……と男性器を震わせた。
するとフォルテナがクロードに手を伸ばし、頬に触れた。
クロードは元々爆発寸前だったがその優しげな動作にすっかり舞い上がり慌てて握った陰茎の先からはもう精が垂れ始めてしまうほど興奮してしまった。
こんな……
挿入もしていないのに精を出しては……
ますます気持ち悪く思われてしまう、とクロードは慌ててフォルテナから離れて自分の部屋に駆け込んだ。
亀頭を包む手の中には溢れ出そうな程に精を放ってしまっていた。
「……」
クロードは扉の前で手のひらを拭うと情けなくて涙が出そうになった。話せないだけではなく、夜も弱い……
クロードは床に膝を付くとそのまま虫のようにうずくまった。
自分にはなにも良い所がないような気がした。
話もできず、気の利いたことも言えない。
いや、そもそも声が出たとして気の利いたことなど生まれてこの方女性に言ったことがあるだろうか?
騎士をしているときは自信が多少あった。仕事にやりがいを感じていたからだ。剣術も向いていたのか練習すればする程能力が上がってくるのを実感できたし、なによりも目に見えて結果がすぐわかるのが自分に自信のなかったクロードの背中を押してくれていたのだ。
それも今はない。
訓練して学んだことも、鍛えた身体も執務にはあまり必要がない気がする。あの時娼館で……あの女性に色々教えてもらえばよかったのかもしれない……クロードは虫になった。
丸まって動かない……ダンゴムシちゃんになった。
しかしダンゴムシでも童貞は子孫を絶やすのだ……ダンゴムシの妊婦を見たことがあるか?ダンゴムシは卵生ではなく、胎生なのだ。ダンゴムシの妊婦は腹の皮膚が薄くなっており裏返すと胎児が見える……ああ、気持ちが悪い。
俺はなぜダンゴムシの生態について振り返っているのか……
考えたくないのに……
そもそも俺はあまり虫が好きではないんだ。
それなのに……
クロードはため息をついた。
先ほどまでバッキバキにいきり立っていた男性器はダンゴムシの妊婦のおかげで落ち着きを取り戻した。
クロードはなんともない様子を装うと再び寝室に戻ったけれどかわいらしい妻は疲れていたのかすやすやと寝息を立てていたのでクロードはその様子を残念なような、ホッとしたような気分で見つめると彼女の頬にキスをした。
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