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「営みって……気持ちがいいわ……」
フォルテナは一人、部屋でそう呟いた。
昨夜の営みもとても心地がよかった……
特にクロードが中に入ってくると大きな声で乱れたくなるほど心地が良いのだ。
「……どうしちゃったのかしら……」
今までは正直なところ指で触られたり、口で吸われたりは気が遠くなるほど心地がよかったのだけれど……クロードの侵入が心地よく感じることはなかった。
そこはかとなく苦しさと初めての頃の痛みを思い出して辛いと思うことはあったけれど……
フォルテナはテーブルに飾られたジプソフィラにチョン……と指で触れた。
「奥様、私クロード様と外出してまいりますので……」
フォルテナが時間潰しに刺繍をしているとハーネットがそう話しかけてきたのでフォルテナは「あ、はい。いってらっしゃい」と刺繍の手を止めて顔を上げた。
バタリ……と扉が閉まる音を聞いてフォルテナは胸が昂った。
ハーネットも旦那様も屋敷にいない……
これは部屋から出て屋敷探索をするチャンスでは!
フォルテナは興奮に震える手を落ち着かせるために深呼吸をした。
ハーネットが出て行ってしばらく経ってからフォルテナはそっと自室の扉を開けた。
長く続く廊下はしん……と静まり返っていて誰もいないようだ……フォルテナは素知らぬ顔をして廊下をそっと歩く。
コソコソしていると逆に怪しいと思ったのだ。
胸がドキドキして破裂してしまいそうだった。
実家の廊下すら気軽に歩いたことはない。
だからこそたったこれだけの動作にフォルテナはドキドキだった。
……見つかったらどうしよう……
部屋に虫が出て驚いて飛び出してきてしまったと言おう。
フォルテナはそう思いながら廊下を進んだ。
キョロキョロと辺りを見渡してから階段を小走りで下りる。
吹き抜けになっているホールは見晴らしが良いので遠くからでもフォルテナの行動が丸見えだ。
「ふー……緊張する」
階段を下りた後、廊下を突き抜けて庭に出るとそこはとても美しく整えられていた。「わー、キレイね」
フォルテナは少し駆けると庭へ飛び出した。
まあ、ハッキリと旦那様に外へ出るなと言われたわけじゃないし!フォルテナは少し気が大きくなってにっこり笑った。
サク…と芝を踏む音がする。
自室も清潔を保たれ、頻繁に空気の入れ替えもしてもらえてはいるけれど…やはり外の空気は違う。
フォルテナは久しぶりの外気に嬉しくなって庭を歩いた。
その時庭師に会ってしまったのだ。
まだ見習いなのか若い庭師はフォルテナを見て驚いたように目を丸くしていた。
「あ…こ、こんにちは」どうせ無視されるだろうけど…それでもフォルテナは挨拶をした。
庭師は私を無視はせず慌てた様子で「お、奥さま、このような所にいらしては」と言うと私に屋敷へ帰るように急かしたのだ。
「…わ、わかりました」驚いた私が庭師を見たその時、彼の背後にニコニコと笑い合うハーネットと夫が庭の向こうから歩いて来た。
庭師は私の視線に気付いたのかそちらを見ると一層慌て出して「お願いいたします…奥さま!」と懇願に近い様子で中へ入るように促した。
た、大変!!
ハーネットと旦那様……屋敷の外へお出かけではなくて……部屋の外にお出かけしていたのね!!
見つかってしまうわ。
フォルテナを部屋から出さなかった理由がなんとなくわかったような気がして彼女は慌てて部屋に戻った。
私の部屋以外では二人は自由に過ごしているのだわ。
私が外をウロチョロしては……落ち着かないものね。
「はーぁ……せっかく探索できると思ったのに……」
そうして落ち着いてくると庭師にお花のお礼を伝えるのを忘れてしまった。とフォルテナは思った。
そして結婚した当初はこんなにみんなもよそよそしくなかった気がするのだ。
むしろ話しかけて来てくれてたような……
まだその時は誰が誰かよくわかっていなかったけど色々フォルテナを気遣ってくれていたような……
それがいつの間にか部屋からあまり出ないようになり、使用人にも殆ど会わなくなった。
「私って嫌われちゃう性格なのかな……」
ハーネットと旦那様の恋路を邪魔したせいだと思っていたけれど……フォルテナはなんだか悲しくなった。
もしかすると個人的に自分が嫌われているのかもしれない……
そうしてウジウジしているとハーネットがまたお花を持ってきてくれた。「あら?今日もくれたの?嬉しいわ」
「どうせ捨てる物ですから」
「でもキレイだわ。ありがとう」
フォルテナは花瓶に活けられた花を眺めるとにっこり笑った。
夕飯を食べるためにハーネットに連れられて食堂へ行く。
食事のときだけは部屋の外へ出してくれるのだ。
食堂に行くと俯いたクロードがフォルテナの席の前に座っている。「申し訳ございません。おまたせ致しました」フォルテナは膝を折ると形だけ謝罪をした。どうせこちらのことは気にしていないし、見てもいないと思っていたからだ。
フォルテナは手もとのカトラリーを見た。
スープスプーン、オードブルナイフとフォーク、フィッシュナイフとフォークにフルーツナイフとフォーク……今日はお魚だわ!!
フォルテナはカトラリーを見て今日の料理内容を予測した。
(白身魚……)
細かい部分まで当てればその日一日幸せに過ごせるルールだ。ちなみに今は夕食……
朝ははずしてしまった。
目玉焼きではなくスクランブルエッグだった。
だからお庭で庭師に見つかってしまったのかもしれないわ……
グラスに注がれる食前酒に口をつける。
柔らかい香りのお酒だ。
胃が温かくなって少し食欲が沸いてきた。
勿論ここでは誰も話さないのでカチャカチャ……と控えめに食器の音がする。
食前酒を楽しんでいると前菜がやってくる。
(……おいしそう)
フォルテナは蒸し野菜をフォークで刺すとソースを付けて口に入れる。……おいしい。
最近好きな物ばかり出るわ。
本当に私ってラッキーね。
前菜を平らげるとスープ、スープがやってくるとメインだ。
「あ」
フォルテナは思わず声が出てしまったので慌てて手で口を押さえた。皿に乗ったメインディッシュの魚が白身魚だったのだ。
フォルテナは一人、部屋でそう呟いた。
昨夜の営みもとても心地がよかった……
特にクロードが中に入ってくると大きな声で乱れたくなるほど心地が良いのだ。
「……どうしちゃったのかしら……」
今までは正直なところ指で触られたり、口で吸われたりは気が遠くなるほど心地がよかったのだけれど……クロードの侵入が心地よく感じることはなかった。
そこはかとなく苦しさと初めての頃の痛みを思い出して辛いと思うことはあったけれど……
フォルテナはテーブルに飾られたジプソフィラにチョン……と指で触れた。
「奥様、私クロード様と外出してまいりますので……」
フォルテナが時間潰しに刺繍をしているとハーネットがそう話しかけてきたのでフォルテナは「あ、はい。いってらっしゃい」と刺繍の手を止めて顔を上げた。
バタリ……と扉が閉まる音を聞いてフォルテナは胸が昂った。
ハーネットも旦那様も屋敷にいない……
これは部屋から出て屋敷探索をするチャンスでは!
フォルテナは興奮に震える手を落ち着かせるために深呼吸をした。
ハーネットが出て行ってしばらく経ってからフォルテナはそっと自室の扉を開けた。
長く続く廊下はしん……と静まり返っていて誰もいないようだ……フォルテナは素知らぬ顔をして廊下をそっと歩く。
コソコソしていると逆に怪しいと思ったのだ。
胸がドキドキして破裂してしまいそうだった。
実家の廊下すら気軽に歩いたことはない。
だからこそたったこれだけの動作にフォルテナはドキドキだった。
……見つかったらどうしよう……
部屋に虫が出て驚いて飛び出してきてしまったと言おう。
フォルテナはそう思いながら廊下を進んだ。
キョロキョロと辺りを見渡してから階段を小走りで下りる。
吹き抜けになっているホールは見晴らしが良いので遠くからでもフォルテナの行動が丸見えだ。
「ふー……緊張する」
階段を下りた後、廊下を突き抜けて庭に出るとそこはとても美しく整えられていた。「わー、キレイね」
フォルテナは少し駆けると庭へ飛び出した。
まあ、ハッキリと旦那様に外へ出るなと言われたわけじゃないし!フォルテナは少し気が大きくなってにっこり笑った。
サク…と芝を踏む音がする。
自室も清潔を保たれ、頻繁に空気の入れ替えもしてもらえてはいるけれど…やはり外の空気は違う。
フォルテナは久しぶりの外気に嬉しくなって庭を歩いた。
その時庭師に会ってしまったのだ。
まだ見習いなのか若い庭師はフォルテナを見て驚いたように目を丸くしていた。
「あ…こ、こんにちは」どうせ無視されるだろうけど…それでもフォルテナは挨拶をした。
庭師は私を無視はせず慌てた様子で「お、奥さま、このような所にいらしては」と言うと私に屋敷へ帰るように急かしたのだ。
「…わ、わかりました」驚いた私が庭師を見たその時、彼の背後にニコニコと笑い合うハーネットと夫が庭の向こうから歩いて来た。
庭師は私の視線に気付いたのかそちらを見ると一層慌て出して「お願いいたします…奥さま!」と懇願に近い様子で中へ入るように促した。
た、大変!!
ハーネットと旦那様……屋敷の外へお出かけではなくて……部屋の外にお出かけしていたのね!!
見つかってしまうわ。
フォルテナを部屋から出さなかった理由がなんとなくわかったような気がして彼女は慌てて部屋に戻った。
私の部屋以外では二人は自由に過ごしているのだわ。
私が外をウロチョロしては……落ち着かないものね。
「はーぁ……せっかく探索できると思ったのに……」
そうして落ち着いてくると庭師にお花のお礼を伝えるのを忘れてしまった。とフォルテナは思った。
そして結婚した当初はこんなにみんなもよそよそしくなかった気がするのだ。
むしろ話しかけて来てくれてたような……
まだその時は誰が誰かよくわかっていなかったけど色々フォルテナを気遣ってくれていたような……
それがいつの間にか部屋からあまり出ないようになり、使用人にも殆ど会わなくなった。
「私って嫌われちゃう性格なのかな……」
ハーネットと旦那様の恋路を邪魔したせいだと思っていたけれど……フォルテナはなんだか悲しくなった。
もしかすると個人的に自分が嫌われているのかもしれない……
そうしてウジウジしているとハーネットがまたお花を持ってきてくれた。「あら?今日もくれたの?嬉しいわ」
「どうせ捨てる物ですから」
「でもキレイだわ。ありがとう」
フォルテナは花瓶に活けられた花を眺めるとにっこり笑った。
夕飯を食べるためにハーネットに連れられて食堂へ行く。
食事のときだけは部屋の外へ出してくれるのだ。
食堂に行くと俯いたクロードがフォルテナの席の前に座っている。「申し訳ございません。おまたせ致しました」フォルテナは膝を折ると形だけ謝罪をした。どうせこちらのことは気にしていないし、見てもいないと思っていたからだ。
フォルテナは手もとのカトラリーを見た。
スープスプーン、オードブルナイフとフォーク、フィッシュナイフとフォークにフルーツナイフとフォーク……今日はお魚だわ!!
フォルテナはカトラリーを見て今日の料理内容を予測した。
(白身魚……)
細かい部分まで当てればその日一日幸せに過ごせるルールだ。ちなみに今は夕食……
朝ははずしてしまった。
目玉焼きではなくスクランブルエッグだった。
だからお庭で庭師に見つかってしまったのかもしれないわ……
グラスに注がれる食前酒に口をつける。
柔らかい香りのお酒だ。
胃が温かくなって少し食欲が沸いてきた。
勿論ここでは誰も話さないのでカチャカチャ……と控えめに食器の音がする。
食前酒を楽しんでいると前菜がやってくる。
(……おいしそう)
フォルテナは蒸し野菜をフォークで刺すとソースを付けて口に入れる。……おいしい。
最近好きな物ばかり出るわ。
本当に私ってラッキーね。
前菜を平らげるとスープ、スープがやってくるとメインだ。
「あ」
フォルテナは思わず声が出てしまったので慌てて手で口を押さえた。皿に乗ったメインディッシュの魚が白身魚だったのだ。
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