1001部隊 ~幻の最強部隊、異世界にて~

鮪鱚鰈

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第1章 新世界へ

亜人会議① コボックは学者さんだった

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設営地の一番大きなテントに置いて各亜人の代表及びモリアーティ公国からの使者

そして瀬能を中止とした1001部隊12名

隊長 瀬能 能力不明
副隊長 田辺 能力不明
狙撃主 土岐 ユニーク武器「鷹子」 不明
重火器 真中 重火器召喚 不明
軍医 冴島 絶対治癒 食料召喚
先陣 若林 自然治癒 不明
偵察 風祭(五) 千里眼(実体) 不明
偵察 風祭(六) 千里眼(気配) 不明
切込体 柳生 ユニーク武器「鬼切丸」 不明
運転手 小森 乗物召喚 絶倫王
整備士 北倉 不明 不明
整備士 甘利 不明 不明

分かっている能力だけでも大将軍クラスの男たちである

テントの外ではシンシアがテントに入ろうとしている

それを止めるエリン
「だめよシンシア!ここは夫の邪魔をしてはいけません!私だって一緒に居たいのです耐えるのも妻の務め!」

「うぅ・・・エリンはもう妻なのか・・・幼き見た目なのに」

「いえ五平さんの妻になると決めていますのそうしたらシンシア私たちは姉妹になるのよ」

「まてどっちが妹だ見た目じゃエリンだけど年齢は私だ・・・」

「ふふ五平さんは六郎さんの弟ですからシンシアが私のお姉さまよ」

「そうか、そうなるのか!男兄弟ばかりでなんか新鮮だぞエリン・・いや妹よ!」

その会話はテント内に駄々漏れであった

顔を落とす風祭兄弟

「おう風魔は幼いのが好きなようだ」
敦盛が茶化す・・

「伊賀者が・・モテないからってひがむな」
五平が言い返す

伊賀と風魔・・実際の歴史上でもいがみ合っている
伊賀は徳川家 風魔は北条家のお抱え忍者である
徳川とは同盟を結んでいたのに小田原成敗では北条の敵となった徳川家

その後北条の治めていた関東に絶大な勢力を保ち一緒に伊賀も大きくなる
伊賀の中でも柳生一門は剣術に優れ徳川家お抱えの剣術家となる

一方北条が滅んだ風魔はお抱えを失う
江戸時代には山賊に成り下がり幕府軍により討伐されてしまう

里が江戸に一番近い忍者集団だが徳川家に仕えることはずっとなかったわけである

「黙れ五平!敦盛」

田辺が一括する、こういった引き締め役はいつも田辺である
実際瀬能学校に参加した時も田辺が一番年上であった
田辺は他の10人と違い既に軍人であった、陸軍中野学校を卒業後、近衛中隊に所属していたが
瀬能の力で瀬能特別学校、軍事顧問として招聘される

しかし中野学校を首席で卒業しエリートの極みであった田辺は目の前の現実に打ちひしがれる
実弾をよける訓練、剣で機関銃の弾丸を薙ぎ払う訓練
200kgはありそうな大石を持ち上げる13歳の子ども
喋らずに会話する兄弟 なんでも作り上げる男、食える草木に異常に詳しくそれも料亭並みの味で提供する子供
異質な集団であった、しかしどこか懐かしくも感じる、なぜなのか・・・ 

それが田辺が瀬能学校に加わった時である
田辺はその時25歳で13~17歳までのガキのお守りとばかり思っていた自分を恥じた時でもある。

田辺は自身もその訓練を体験し、なお講師としても厳しく兄貴分として振る舞った
卒業後1001部隊発足で自然と副隊長は決まっていたようなものである

瀬能の片腕として部下を見渡し時には指導する
1001部隊が無敵と言われたのは田辺の力も大きいだろう

「まずみんなで自己紹介しようよ!」
コボックが発言する

「いかにもであるな」
豪鬼が続いた

「まずは俺だ!俺様は虎王ガリバリ、誰にも負けずと思っていたが・・・先日虎人の里は魔人に襲撃されてこの1001部隊の瀬能殿に助けていただいた、それから我ら虎人は瀬能殿に尽くすと決めたわが王よ」
ガリバリは瀬能に目を向ける

「いや・・王って者じゃない・・私・・いや私たちは転生者だ、まだ来たばかりゆえに分からぬことが多い、いろいろ助けてほしい」

「ふふふやっぱり前世界の前の記憶はないのかい?」
コボックは瀬能に尋ねる

「前世界の前?」

「うん、君は間違いなく、カリメイラ王の転生、しかも能力を引き継いでいる、それが君の能力なのだろう、僕の知らない転生を繰り返している、転生者としては特別な存在だ、そしてカリメイラ王の10神将、先の魔大戦でみんな戦死したけど、君によってまたこの地に転生しているという事だね」

カリメイラ・・・その言葉を聞くとなぜか懐かしく感じる・・・
前世界から感じていた俺は何者なのだという答えがこれなのか・・・

ただ前世界では探し出さなくてはならない10人・・・10人?11人わからぬ
そして見つけ出し彼らと過ごしたアメリカとの戦争、そしてナチスとの戦争
それらに勝った・・しかし仲間は消えていった、しかし会えると確信していた、俺は戦死したのか?それすらわからぬ、あの日、田辺がモスクワに講和条約を結びに行った日・・ニュースでモスクワで核爆発が発生したニュースをみた・・・
俺は何者かに殺された・・・

人の気配に気づかないなどありえないと思っていた、でも殺された
その瞬間の記憶はまるでブラックボックスのようである、だが殺されなくてはならなかった・・そんな気もしたのは事実だ・・・そこが俺のモヤモヤでもある

時折夢を見る殺された時の夢だ・・そして殺した人物も俺である。


「ふふふ・・混乱しているね、君がこの世界に来ることはカリメイラ王が魔大戦において戦死したあの絶望の時から決まっていた、いやそれ以前かもしれない、何度転生しているのか、その度に能力を身につけているとしたら君は神に匹敵するということだね」

「ちょっと待ってくれ」
田辺が立ち上がる

「カリメイラだがわからないが瀬能さんは瀬能さんだ・・それに大戦だと聞いた話だと500年前だろう時間が合わない」

「うんそうだね、時空には歪みができるんだ、そしてこの混沌の地と地球とでは、測ることすらできない距離がある、いや実際には距離はあるようで無いとも言えるんだ」

「何を言っているのかわかねえ、それに10神将だって、俺たちは11人いるんだが」
冴島が聞く

「そこは僕もびっくりしたけど風祭君、君たち二人が一人なんじゃないかな、能力も双方を補うような能力なようだしね」

「時間に話を伸ばそう、この地には僕の知っている限りだと10の星から転生者が来ている、その中で地球は地球時間で4000年ほどの間の人間や妖怪、土地神などがこの地に召喚されている、時代はバラバラだけどねこの地に九時間と地球時間は合わすことができない、なにせ宇宙にとって4000年なんてものはクシャミするより短いからね」

「確かアインシュタインの相対性理論に似たような話があったな」
冴島が答えた

「君はアインシュタインを知っているのかい?」

「知っているも何もあんたが知っているのが不思議だろ・・」

「僕はアインシュタインと共に時間の心理を研究していたんだ、つまり僕も転生者なのさ・・しかし君たちと違い僕がこの世界で生まれた姿はこの姿」

コボックは手先を植物に変える

「転生に当たって僕は多少の前世界の記憶を持つ代わりに全世界の僕の存在は消える、そしてドイツ人としていうと、日本とドイツは戦争していないし、日本もドイツも戦争に負け経済で世界の名だたる国に成長している、そして1001部隊なんて日本軍にはなかった」
コボックは歩き出し瀬能の前に立つ

「僕は君たちが転生した後に現れた存在で君たちの存在がない世界で育ったわけだ。なのに1週間前にここに来た君達に対して1000年前にこの地に来た僕ということになる」

「時間がゆがんだということか」

「そういうことだね」

「たしかに」

「神には感謝だよ木人はすべての場所を覗ける、表の世界も天界でさえも・・・ただ魔に染まった植物だけは僕には操れない、つまり木人としての僕の役割は魔との闘いにあることになるというわけだ、木人が神格化されているのもこの力のせいだろうね、敵なら恐ろしい存在といえる」

「そうだな・・・表の世界が見えるって言ったが・・・俺の妻・・・あれ・・・名前が出てこない・・・」
田辺が頭を抱える

「無理をしないで、前世界の記憶の中でこの世界には必要ないものは消えていく、それは転生者の定めなんだ、ちなみに教えてあげよう、田辺小枝子・・・現在渡辺小枝子さんだね、日本の茅ヶ崎というところで天寿を全うしている、子供も3人、孫に囲まれて幸せな老後だったようだよ、旦那さんはどことなく君に似ているね、面白い、やはり何かしら求めているものがあったのかもしれない。僕など親兄弟の顔すら思い出せないなのに前世界で研究したこと
は鮮明に覚えている」

「木人様よ、俺らにはさっぱりわからん」
豪鬼が呟く

会議場の各代表も、ただこの会話をあんぐりと聞いていただけである


「ごめんよ自己紹介だね僕はコボック、木人の王である、先ほどの話のなんだが僕を保護してほしい、瀬能君の傍にいることが一番安全そうだからね」

「左様でございます、もし木人王様の能力が魔に落ちたなら、それは聖魔大戦でいう聖の敗北を意味しますならば聖であるあなた様方は木人様を守らないといけないわけです」
コボックの後ろに立つ執事が答えた。

「木人様だって」
会場ががやがやしている

木霊族に至ってはひれ伏したままである

「コボルトの長のブランじゃ・・1001部隊の五平殿に助けていただいた・・すぐにでも恩返しがしたい、わが一族は鉱石探しに長けておる、ぜひ活用してほしい。」

「リリパット族オブパットだ、弓の扱いには慣れている、ぜひ我らも新しき国に・・」

次から次へと

モリアーティの使者が立ち上がる
「モリアーティ公からの伝えである
木人様よりリザードの国ゲブラの惨状を教えてもらった。
これより大国ユニオンにむかい森に前線国家である新たな転生者の国を認めるよう求めてくる、モリアーティ亜人部隊、及び森の亜人たちの処遇はお任せする、貴殿らの新国家と末長くよき付き合いができることを望む、ユニオンにその旨を報告する。対ゲルマンの連合になることを歓迎する、私がその場に参加できないことを悪く思わないでいただきたい、ゲブラが滅んだということは次はモリアーティである、その間に貴殿たちの勢力が抵抗してくれるならこちらの準備も出来上がるというのが本音である。よろしく頼む、ぜひモリアーティにも遊びに来てほしい」

「本音も交えているか・・・信用はできそうですね」
田辺が瀬能を見る

「誰も俺が王になることに違和感をもたないのか?1週間前にこの世界に来たばっかだぞ」

「何を言う、強き者が王になるのに何の問題がある?」
豪鬼が答える

「おう!じゃあ決まりだ!国家を作るということは宴じゃ!」
ガリバリは酒を用意させるように部下に言う

「王!そんなものは城に置いてきました」

「なに!そうか・・・・」

「行ける口かい?」

冴島が樽を召喚したウィスキー樽 ビール樽 日本酒
なんでもござれだ

「おおお何だこれは酒か?酒なのか?」

「飲んでみな」

ウィスキー樽から酒を注ぐガリバリに渡す
それを飲み干すガリバリ

「うほ~強い!これはいいなもっとくれ」

「好きに飲んでくれ俺はこれから料理をする」

酒と聞いて黙っていないのは豪鬼も同じである
「われにもよこせ!ガリバリ」

「ふん!俺が全部飲む」

「なにお!」

「六郎!会いたかったニャ~!」会議が終わった事に気付いたシンシアがなだれ込んで六郎に抱きつく」

「五平様お疲れ様です。肩でもおもみしましょうか」

エリンも負けずに入ってくる

この場がにぎやかになってきた


「木人様・・もう少しお話をしたい」

「うんいいよ!じゃこっちで話そう」

瀬能とコバックは永遠と尽きることのない話をしているようだ

瀬能はこの日より新しき国の王として承認されたのである




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