君は僕の一目惚れ

緋露

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「はぁー」

僕は今日も悩んでいる。
あーもう・・・どうしよう、和井くんが気になって仕方がない
机の上に突っ伏して、一人悶えている。しばらくそうしてから、諦めて顔を上げると周りから変な目で見られていることに気がついた。
それが恥ずかしくてまた、机に突っ伏す。
顔が、熱い
きっと僕の顔は真っ赤なんだろう。
そんなとこへ、明るく僕の名を呼ぶ声があった。

「つーばき!今日も憂鬱そうだね、どう?ここは一つこの徹くんに相談はいかが?」

満面の笑みで僕の机の前に座っているこの人は、僕の友人。八神徹、中学校で初めて知り合って、今では数少ない友人の一人。
徹くんは外見いいし、性格もいいし、一緒に居て凄く面白いから良く告白される人だ。
だから、徹くんのあだ名は『王子』。僕はさすがに呼ばないけれど、周りからは本当の名前のように呼ばれている。

「じゃあ、お言葉に甘えて・・っていうか、ちゃんと聞いてくれますか?」

机から少しだけ顔を上げて呟いた。

「あぁ、もちろん!」

整った顔をへにゃっと歪めて、元気に返された。なんとなく、そんな顔にすべてを見透かされている気がした。

・・・徹くんには、本当にかなわない

ということで、徹くんに同学年の男子生徒のことが高二の時から気になっていて、少しでも話してみたい、という僕の意思を伝えた。
説明、下手だったかもだけど・・

「へぇー椿が恋愛とは意外なことが起こったもんだなぁ」

徹くんが頬杖をついてすました顔をしている。

「えっ!いや、そんな・・・恋愛なんかじゃないです!」

思わず飛び上がって、首を横にぶんぶんと振った。最後には、ついまた下を向いていた。
この気持ちって・・徹くんが云うような恋愛感情、じゃない、よね?
自分でもこの気持ちが、解らず悩んでいて、そんなことでここ一年ずっと自分のことで手一杯だった。
そんな風に、ごちゃごちゃまた考えているときだった。

「いいよ、隠さなくても、俺もいるよ好きな人くらい・・しかも男」

「へ?」

徹くんがなんだかとてつもなく、大きい爆弾を僕のごちゃごちゃな頭に、突然投下した。そして、すべて吹き飛んだ。
カバっと顔を上げて目を見開き、徹くんを見つめた。
しばらくそのまま口をぱくぱくさせていた。すると突然、徹くんが吹き出した。

「・・・・っぷ、くく、あはははっ!そんなに、そんなに驚く・・?くくくっ」

「なっ!そんなあ!笑わなくてもいいじゃないですか!?本当にびっくりしたんですよ!」

急に声を大にして笑い出すものだから、顔面に冷水でもかけられたようにはっとさせられた。
徹くんは、どうやらつぼに入ったらしくいまだに、爆笑している。
~・・・なんて失礼な人だ
徹くんは十分いい人だと思う。でも、どこか人間性に欠けているというか、ちょっぴり変な人だと思うことがたまにある。

「人の反応見て笑うとか、それがしたかったのならもっとマシな嘘ついてください」

不貞腐れて、視線を窓に移した。

「いやいや、確かに椿の反応見て笑っちゃったけど、男が好きって言うのは嘘じゃないから」

徹くんのセリフの途中で、目線を合わせたが、後半の言葉は嘘をついているとは思えないくらい真剣だった。けれどそれと同時に、寂しそうに見えた。
しばらく時間が止まったかのように、徹くんと僕の間に沈黙が落ちた。

「まぁ、その人・・他に好きな人できたみたいだけど」

素早く立ち上がった徹くんは、そのまま自席に戻ってしまった。
徹くん・・・失恋しちゃった、というかことでしょうか
あまりにも痛そうな徹くんに同情し、視線を机に落とした。



それから少しだけ時間が経って、
とりあえず、徹くんが後で和井くんの友人の五乙女優という人にいってくれるそうだ。
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