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五 土方歳三之章:Blood
血華繚乱(一)
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気配を感じて振り向くと、女の幻が揺れた。
逢《おう》魔《ま》が時。昼とも夜ともつかない薄明かりの中で、短い髪を鉢巻きで押さえ、矢《や》絣《がすり》柄の紫縮緬の小袖に玉子色の袴《はかま》、薙刀《なぎなた》と脇差を携《たずさ》えた中野竹子は微笑んだ。
「わたくし、討ち死にしてしまいました」
そうか、と俺は応えた。
幽霊なんぞ出くわしたことはないし、いるのかどうかも疑わしいと思っているが、俺だって目を閉じれば夢くらい見る。たまには目を開けたまま見る夢もあるだろう。
「俺に挨拶に来たのか? それとも、恨みつらみをぶつけにでも?」
「さようですね、お恨み申し上げておりますゆえ。わたくしの裸を見たり口を吸ったりと、大層な無礼をなさったでしょう」
きびきびとした物言いに、勝気な笑みはからりとして、まさか恨みを抱えた幽霊には見えない。
「おまえさん、本当に生身じゃあねぇのか?」
「ええ、わたくしは確かに死にました。戸ノ口原で土方さまとお別れして、まだ二日しか経っていませんのね。何だかひどく長うございましたわ」
「俺も同じだ。あれからたった二日だってのに、何もかもが猛烈な勢いで変わっていくおかげで、ずいぶん長い時が過ぎちまったように感じる」
「変わってしまったのですか?」
「斎藤一、いや、山口二郎と今《こん》生《じょう》の別れをした。それから二日かけて米沢にたどり着いてみりゃあ、つい昨日、米沢は倒幕派への恭順路線で藩の意向がまとまったらしい。このまま米沢に留まってたんじゃ、じきに倒幕派が乗り込んできて、まずいことになる」
竹子が眉をひそめた。
「米沢藩は二百年前、お家断絶の危機にあったとき、会津の保《ほ》科《しな》正《まさ》之《ゆき》公の取り成しで、どうにか藩を存続することができました。今こそその恩を返すときだと、米沢藩は会津藩の助命を訴え、倒幕派との仲裁のために尽力していましたのに」
「ああ、米沢藩も仙台藩もそれぞれの思いで奔走しちゃあいたが、倒幕派は聞く耳を持たず若松城下に攻め入った。こうなりゃ、助命の訴えも後の祭りだ。鶴ヶ城がやられれば、次は手前の国《くに》許《もと》が侵される。その前に、米沢は降参するってわけだ」
竹子は口惜しそうに唇を噛んだ。が、すぐに気を取り直すようにかぶりを振った。短い髪がしなやかに弾んだ。
「わたくしのほうも、何もかもが大きく様変わりいたしました。わたくしの身に起こったことをお話しさせてくださいまし」
「ああ、聞かせてくれ。死者の口から己の死んだ経緯を話して聞かされるなんてのも、滅多にできねぇ経験だ」
竹子は詩でも吟ずるように、凛と張り詰めた声で語り出した。
「あの日、家に帰り着いてすぐにお城の鐘が鳴りました。鐘が鳴ったらお城へ入るようにと、事前にお触れが出されておりましたので、城下の者は皆、すでに覚悟を決めていました。お触れに従ってお城へ入る者、城下から逃げ出す者、死装束を血に染める者」
「おまえさんは城に入らなかったのか?」
「入りませんでした」
「城下で戦うことにしたわけか」
「照姫さまが城下におられるという話が耳に入りました。殿も敵の銃弾をかいくぐりながらのご帰還、ご入城であらせたので、もしや照姫さまも危険に晒《さら》されておいでなのではないかと、武芸仲間の女《おな》子《ご》衆とともに真偽を確かめに走ったのです」
「武芸仲間とは恐れ入る。向こう見ずな女は、おまえさんひとりじゃなかったんだな」
「この秋、若松城下の武家の女子は紅や白粉《おしろい》、着物や帯の代わりに、より切れ味の鋭い短刀を探しては買い求めておりましたのよ。そして信頼できる相手を選んで、もしものときの介《かい》錯《しゃく》を互いに約束していたのです。わたくしは、母や妹と」
説かれてみれば、心当たりがある。
大町四ツ角から程近い刀商に、まだあどけない顔をした武家の娘が熱心な様子で問いをぶつけていた。職人肌でどうにも口下手な刀商は俺を見付け、これ幸いとばかりに店に呼び込んで、娘の問いに答えさせた。
後で聞いたところによると、娘は家老の西郷頼母《も》さまのご息女だった。男と話すのは慣れていないのだと頬を染めた齢十六の娘の愛らしさに、男持ちの無骨な短刀は不釣り合いで禍々《まがまが》しく見えた。
あの娘は生きているだろうか、死んだのだろうか。案じたところで、今さら何をしてやれるわけでもないが。
竹子は遠くを見る目をした。
「照姫さまは城下にはおられませんでした。わたくしたちは遅ればせながらお城に入ろうとしたのですが、夜の帳《とばり》が下りて城門はすでに閉ざされ、城外に留まらざるを得なかった。であれば、いっそこのまま城外で敵を迎え撃とうと決意するに至りました」
「女だけで戦おうと?」
「いいえ、いくら何でもそれは無理だと存じておりました。わたくしと行動をともにしたのは、母と妹を含む五名のみ。たったの六名ですし、鉄砲も大砲も持っていないのでは、どう足掻いても、戦果を挙げられぬままに殺されてしまうでしょう?」
「そりゃそうだ。刀と槍だけの六人ぽっちじゃ、例え最盛期の新撰組の精鋭でも、大軍に突っ込んでいって戦えやしねえ。それで、おまえさんたちは会津軍と合流したのか?」
「はい。家老の萱《かや》野《の》権《ごんの》兵《ひょう》衛《え》さまが近くに駐留しておいででしたから、押し掛けていって、従軍させてくれと頼み込みました」
「頼み込んだ? 十六橋のときと同じ、自害するだ何だっていう大騒ぎを、またやらかしたんだろう」
くすくすと笑った竹子は、俺を上目遣いで見た。
「よくおわかりで」
「わからねぇわけがねえ」
「だって、一度うまくいった手ですもの」
「ぎょっとするような駄々をこねる女はたまにいるが、ほどほどにしねぇと愛想を尽かされるぞ」
「ご忠告、痛み入ります。土方さまは女《おな》子《ご》の扱いが手慣れておいでですのね。けれど、愛想を尽かされるほど駄々をこねる機会は、わたくしにはもう巡ってきませんわ。死んだのですもの」
俺は竹子に手を伸ばした。死んだという言葉が、やはりまだ腑に落ちないのだ。幽霊は姿が透けて足がないものと相場が決まっているが、目の前にいる竹子はそうではない。触れられそうだと思った。
果たして、俺は竹子に触れることができた。冷たく硬かった。しなやかに笑ってみせる頬さえ、石仏でも撫でているかのようだ。屍《しかばね》の手ざわりだった。
「妖の所業か、これは?」
「逢魔が時は、此《し》岸《がん》と彼岸のあわいがあやふやになります。夜の闇が訪れるまでのひととき、今少しだけ、わたくしにお付き合い願えませぬか?」
「ああ、構わねぇよ。女の話を聞くのは嫌いじゃないんでな。特に、初めは頑として俺に食って掛かったような生意気が、ふっと素直な顔を見せるようなのには弱い。ついつい情が移っちまう」
「お上手ですこと。屍の頬など撫でて、気味が悪くはございませんの?」
「こうしてみても結局ぴんと来ねえってのが正直なところさ。手のひらは確かに、人ではないものに触れている。が、おまえさんがそうやって人と同じ姿で笑ったりしゃべったりするから、どうもわけがわからねえ」
きりりとした形の竹子の目は、ひどく澄んで凪いでいる。強いて言えば、そのまなざしが竹子から死を感じさせた。悟り切った静けさとはまるで逆の、どうしようもない跳ねっ返りの目をしていたはずだ。
竹子はゆっくりとまばたきをして、自分語りを再び始めた。竹子が一度も息を継がないことに、俺は気付いた。
「わたくしたちは萱野さまの軍に従い、お城の北西にある泪《なみだ》橋《ばし》の袂《たもと》で敵軍を迎え撃ちました。敵はわたくしたちが女《おな》子《ご》であると見分け、生け捕りにしようと群がってまいりました。ですが、素手でつかみ掛かろうだなんて、むしろ、わたくしたちの思う壺でしたわ」
「会津の女たちの薙刀《なぎなた》は、なかなか凄まじい。下心を剥《む》き出しにした阿呆どもは、たやすく近寄れたもんじゃなかっただろう」
「ええ、わたくしたちはいくつもの首級を挙げました。素手ではいけないと悟った敵は慌てて刀を抜きましたが、わたくしたちも決死の覚悟で奮戦しましたから、誰も刀傷を負わされたりなどしませんでしたの」
「だったら、おまえさんはなぜ死んだ?」
竹子は一歩、二歩と後ずさった。薄闇の中に敵の姿があるかのように、腰を落として薙刀を掲げ、振り回そうと構えてみせる。
「こうやって妹を背に庇《かば》い、槍をしごく敵と相《あい》対したときでした。どこからか鉄砲の弾が飛んできて、わたくしの額を撃ち抜きました」
音もなく、竹子の額から血が噴き出した。見る間に赤く染まった鉢巻が、はらりと落ちる。竹子は目を見張ったまま薙刀を取り落とし、くずおれた。動くはずのない唇が、しかし動き続ける。
「戦闘には決着が付かず、結局は双方、兵を収めました。わたくしの屍は敵に奪われぬよう女子たちの手によって運ばれ、妹が介錯を務め、わたくしは首だけの姿になりました。今、首は白《しろ》羽《は》二《ぶた》重《え》の布にくるまれ、お寺に連れていってもらう最中です」
地に倒れた竹子の体が掻き消えた。血の抜け切った白い首が短い髪を翻《ひるがえ》し、ふわりと宙に浮き上がる。
竹子の母か妹が、死んだ女武者の顔を清めたようだった。血や埃は拭い取られ、まぶたも静かに閉ざされている。蒼白なはずの唇には紅が差されていた。
「もののふの猛きこころにくらぶれば数にも入らぬわが身ながらも」
「おまえさんの辞世か?」
「はい。いつ死んでもよいようにと、懐《ふところ》に差して戦っておりました」
竹子の首は遠慮がちに、俺の手が届かない宙に留まっている。俺は足を踏み出し、両手を差し伸べ、竹子の首を引き寄せた。
「口紅、似合ってるじゃねぇか」
「こんな生首を相手に、ご冗談を」
「冗談なもんか」
「人生の最後に、母に隠し事をすることになってしまいました。母はわたくしにこの紅を差しながら、口づけも恋も知らずに死んだ哀れな娘と泣いてくれたのですけれど」
「隠し事は一つかい、二つかい?」
「意地悪な人。女《おな》子《ご》にそれを答えさせるのですか? ご自分は知らぬ存ぜぬの涼しいお顔をなさりながら」
「そんないじけた口振りじゃあ、二つともが隠し事だと答えたも同然じゃねぇか。せっかくだ、もう一つ増やしてやろうか」
逢魔が時の妖気に当てられたのかもしれない。薄気味悪いとは少しも思わなかった。俺は竹子の赤い唇に自分の唇を押し当てた。
柔らかい。
竹子の唇が急に、とろけるような柔らかさを取り戻し、甘く香った。髪がしっとりと重さを増し、途切れた首の下にいつしか華奢な肩が続いている。
俺は竹子の口を吸いながら、その長い髪を指で梳《くしけず》り、背に腕を回して抱き寄せ、しなやかな体を胸に閉じ込めた。
竹子は俺にすがり付いた。ぎこちない唇が、舌が、俺に応える。一生懸命に俺の味を知ろうとする。
江戸でも京都でも、さんざん浮名を流してきた。手練手管の駆け引きは遊びだ。気まぐれに詠む俳句と同じで、その一瞬だけの美しさを目ざとく切り取って楽しんで、渇きがちな胸を束の間、潤す。
たやすい遊びを重ねて潤そうとすればするほど、俺の胸はますます渇いた。満たされることはないままに、今このときだけは、腕の中の女がいとしい。竹子を手放しがたく感じる。
しかし、やがて竹子は俺の胸を押して体を離させた。
「お別れの時がまいりました。これ以上わたくしに触れてしまっては、土方さまが此岸に戻れなくなります」
白い打掛に白い小袖の竹子は美しかった。濡れた目、染まった頬、紅の半ば落ちた唇。ありもしない風が、竹子の髪をふわりとそよがせる。
「死装束の幽霊が花嫁御寮《りょう》に見えちまうな。この世に悔いや心残りはねぇのか?」
「ありますわ。たくさんあります。でも、何も言うまいと決めましたから。最期に土方さまにもお会いできましたし、もう十分ですわ」
「最期が俺でよかったのか?」
「父や母や妹はわたくしが何も申さずとも、わたくしのことを偲《しの》んでくれるはず。ですから、さっさとわたくしをお忘れになりそうな薄情なおかたのもとに、こうして現れることにしたのです」
「なるほど、道理だ。幽霊の口なんぞ吸ったのは、さすがに初めてだぜ。こんな別れ方をするんじゃ、俺は一生おまえさんを忘れねぇだろう。まんまと小娘の術中に嵌《は》まっちまった」
竹子は朗らかに笑った。夜の闇が深くなる。星明かりが降り注ぐ。竹子の姿が次第に儚《はかな》く透けていく。
「簪《かんざし》を挿せるほど髪が伸びるまで生きるという約束を守れず、申し訳ございません。土方さま好みの女子になってみとうございました。死んで生まれ変わったら、またわたくしと出会ってくださいますか?」
いじらしい。
いや、そんな情など抱いたところで、今さら詮なきことだ。俺はただ、女殺しと花街で持て囃《はや》された笑みをこしらえた。
「来世で俺と出会いたいと言う女は両手両足の指に余るほどいてな、行列をたどりゃ俺を見付けられるだろうよ。楽しみに待っててやる。来世では、俺を振り向かせてみせな」
「ええ、振り向かせてみせますとも。わたくしは負けず嫌いでございますから、挑んでみよと言われたら、勝つまで挑み続けますわ。心してお待ちくださいまし。また、いつの日か」
声の余韻が闇に呑まれて消えた。純白をまとった竹子の姿も、もうそこにない。
緞《どん》帳《ちょう》が切って落とされたように、がらりと景色が変わった。もとに戻ったのだ。
宵《よい》の口、米沢の城下町の往来で、俺は立ち尽くしていた。足早に行き交う人々が、洋装に刀を差した俺に怪《け》訝《げん》な目を向ける。
「幻か」
唇に触れ、ふと気付いて指先を見る。口紅が残っていた。
来世。そんなものがあるのか。死んでみなければわからない。いずれにせよ、さほど遠い出来事でもなかろうと思う。
「土方歳三よ」
低いところから声がした。男とも女とも子どもともつかない声だ。見下ろして、声の主の正体を知る。
「シジマか?」
「さよう」
「尾が四本……おまえさん、化け狐だったのか」
「人聞きの悪い。好んで四尾と化したわけではないわ。戦の瘴気に当てられ、人の業《ごう》に巻き込まれ、主の血を浴び、斯《か》様《よう》な姿になってしもうた」
漆黒の毛を持つ狐は、醒《さ》めた金色の目で俺を見上げている。言葉を発するたびにのぞく舌には、赤い環が刻まれていた。
「竹子どのの霊をここまで運んできたのは、おまえさんか?」
「いかにも」
「ご苦労だったな。竹子どのと話ができてよかった」
「汝《なんじ》がそう言うなら、主の御《み》霊《たま》も慰められよう。して、歳三よ、汝に頼みがある」
「何だ?」
「我は、主のおらぬ会津に戻るつもりはない。しかしながら、人の世に染まり、環の力を得た今となっては、山に帰るも叶わぬ。汝に付いていきたいが、よいか?」
四尾の狐は小首をかしげた。俺はうなずいた。
「付いてきたけりゃ来るがいい。行き先は地獄かもしれねぇが」
シジマの返事を待たず、俺は雑踏の中を歩き出した。宿に島田さんや大鳥さんを待たせている。早く戻らなければ、無用な心配をかけるだろう。
俺を追って、シジマは黙って駆けてきた。四尾は、よほど目を凝らさない限り、ありふれた一本の尾にしか見えなかった。
逢《おう》魔《ま》が時。昼とも夜ともつかない薄明かりの中で、短い髪を鉢巻きで押さえ、矢《や》絣《がすり》柄の紫縮緬の小袖に玉子色の袴《はかま》、薙刀《なぎなた》と脇差を携《たずさ》えた中野竹子は微笑んだ。
「わたくし、討ち死にしてしまいました」
そうか、と俺は応えた。
幽霊なんぞ出くわしたことはないし、いるのかどうかも疑わしいと思っているが、俺だって目を閉じれば夢くらい見る。たまには目を開けたまま見る夢もあるだろう。
「俺に挨拶に来たのか? それとも、恨みつらみをぶつけにでも?」
「さようですね、お恨み申し上げておりますゆえ。わたくしの裸を見たり口を吸ったりと、大層な無礼をなさったでしょう」
きびきびとした物言いに、勝気な笑みはからりとして、まさか恨みを抱えた幽霊には見えない。
「おまえさん、本当に生身じゃあねぇのか?」
「ええ、わたくしは確かに死にました。戸ノ口原で土方さまとお別れして、まだ二日しか経っていませんのね。何だかひどく長うございましたわ」
「俺も同じだ。あれからたった二日だってのに、何もかもが猛烈な勢いで変わっていくおかげで、ずいぶん長い時が過ぎちまったように感じる」
「変わってしまったのですか?」
「斎藤一、いや、山口二郎と今《こん》生《じょう》の別れをした。それから二日かけて米沢にたどり着いてみりゃあ、つい昨日、米沢は倒幕派への恭順路線で藩の意向がまとまったらしい。このまま米沢に留まってたんじゃ、じきに倒幕派が乗り込んできて、まずいことになる」
竹子が眉をひそめた。
「米沢藩は二百年前、お家断絶の危機にあったとき、会津の保《ほ》科《しな》正《まさ》之《ゆき》公の取り成しで、どうにか藩を存続することができました。今こそその恩を返すときだと、米沢藩は会津藩の助命を訴え、倒幕派との仲裁のために尽力していましたのに」
「ああ、米沢藩も仙台藩もそれぞれの思いで奔走しちゃあいたが、倒幕派は聞く耳を持たず若松城下に攻め入った。こうなりゃ、助命の訴えも後の祭りだ。鶴ヶ城がやられれば、次は手前の国《くに》許《もと》が侵される。その前に、米沢は降参するってわけだ」
竹子は口惜しそうに唇を噛んだ。が、すぐに気を取り直すようにかぶりを振った。短い髪がしなやかに弾んだ。
「わたくしのほうも、何もかもが大きく様変わりいたしました。わたくしの身に起こったことをお話しさせてくださいまし」
「ああ、聞かせてくれ。死者の口から己の死んだ経緯を話して聞かされるなんてのも、滅多にできねぇ経験だ」
竹子は詩でも吟ずるように、凛と張り詰めた声で語り出した。
「あの日、家に帰り着いてすぐにお城の鐘が鳴りました。鐘が鳴ったらお城へ入るようにと、事前にお触れが出されておりましたので、城下の者は皆、すでに覚悟を決めていました。お触れに従ってお城へ入る者、城下から逃げ出す者、死装束を血に染める者」
「おまえさんは城に入らなかったのか?」
「入りませんでした」
「城下で戦うことにしたわけか」
「照姫さまが城下におられるという話が耳に入りました。殿も敵の銃弾をかいくぐりながらのご帰還、ご入城であらせたので、もしや照姫さまも危険に晒《さら》されておいでなのではないかと、武芸仲間の女《おな》子《ご》衆とともに真偽を確かめに走ったのです」
「武芸仲間とは恐れ入る。向こう見ずな女は、おまえさんひとりじゃなかったんだな」
「この秋、若松城下の武家の女子は紅や白粉《おしろい》、着物や帯の代わりに、より切れ味の鋭い短刀を探しては買い求めておりましたのよ。そして信頼できる相手を選んで、もしものときの介《かい》錯《しゃく》を互いに約束していたのです。わたくしは、母や妹と」
説かれてみれば、心当たりがある。
大町四ツ角から程近い刀商に、まだあどけない顔をした武家の娘が熱心な様子で問いをぶつけていた。職人肌でどうにも口下手な刀商は俺を見付け、これ幸いとばかりに店に呼び込んで、娘の問いに答えさせた。
後で聞いたところによると、娘は家老の西郷頼母《も》さまのご息女だった。男と話すのは慣れていないのだと頬を染めた齢十六の娘の愛らしさに、男持ちの無骨な短刀は不釣り合いで禍々《まがまが》しく見えた。
あの娘は生きているだろうか、死んだのだろうか。案じたところで、今さら何をしてやれるわけでもないが。
竹子は遠くを見る目をした。
「照姫さまは城下にはおられませんでした。わたくしたちは遅ればせながらお城に入ろうとしたのですが、夜の帳《とばり》が下りて城門はすでに閉ざされ、城外に留まらざるを得なかった。であれば、いっそこのまま城外で敵を迎え撃とうと決意するに至りました」
「女だけで戦おうと?」
「いいえ、いくら何でもそれは無理だと存じておりました。わたくしと行動をともにしたのは、母と妹を含む五名のみ。たったの六名ですし、鉄砲も大砲も持っていないのでは、どう足掻いても、戦果を挙げられぬままに殺されてしまうでしょう?」
「そりゃそうだ。刀と槍だけの六人ぽっちじゃ、例え最盛期の新撰組の精鋭でも、大軍に突っ込んでいって戦えやしねえ。それで、おまえさんたちは会津軍と合流したのか?」
「はい。家老の萱《かや》野《の》権《ごんの》兵《ひょう》衛《え》さまが近くに駐留しておいででしたから、押し掛けていって、従軍させてくれと頼み込みました」
「頼み込んだ? 十六橋のときと同じ、自害するだ何だっていう大騒ぎを、またやらかしたんだろう」
くすくすと笑った竹子は、俺を上目遣いで見た。
「よくおわかりで」
「わからねぇわけがねえ」
「だって、一度うまくいった手ですもの」
「ぎょっとするような駄々をこねる女はたまにいるが、ほどほどにしねぇと愛想を尽かされるぞ」
「ご忠告、痛み入ります。土方さまは女《おな》子《ご》の扱いが手慣れておいでですのね。けれど、愛想を尽かされるほど駄々をこねる機会は、わたくしにはもう巡ってきませんわ。死んだのですもの」
俺は竹子に手を伸ばした。死んだという言葉が、やはりまだ腑に落ちないのだ。幽霊は姿が透けて足がないものと相場が決まっているが、目の前にいる竹子はそうではない。触れられそうだと思った。
果たして、俺は竹子に触れることができた。冷たく硬かった。しなやかに笑ってみせる頬さえ、石仏でも撫でているかのようだ。屍《しかばね》の手ざわりだった。
「妖の所業か、これは?」
「逢魔が時は、此《し》岸《がん》と彼岸のあわいがあやふやになります。夜の闇が訪れるまでのひととき、今少しだけ、わたくしにお付き合い願えませぬか?」
「ああ、構わねぇよ。女の話を聞くのは嫌いじゃないんでな。特に、初めは頑として俺に食って掛かったような生意気が、ふっと素直な顔を見せるようなのには弱い。ついつい情が移っちまう」
「お上手ですこと。屍の頬など撫でて、気味が悪くはございませんの?」
「こうしてみても結局ぴんと来ねえってのが正直なところさ。手のひらは確かに、人ではないものに触れている。が、おまえさんがそうやって人と同じ姿で笑ったりしゃべったりするから、どうもわけがわからねえ」
きりりとした形の竹子の目は、ひどく澄んで凪いでいる。強いて言えば、そのまなざしが竹子から死を感じさせた。悟り切った静けさとはまるで逆の、どうしようもない跳ねっ返りの目をしていたはずだ。
竹子はゆっくりとまばたきをして、自分語りを再び始めた。竹子が一度も息を継がないことに、俺は気付いた。
「わたくしたちは萱野さまの軍に従い、お城の北西にある泪《なみだ》橋《ばし》の袂《たもと》で敵軍を迎え撃ちました。敵はわたくしたちが女《おな》子《ご》であると見分け、生け捕りにしようと群がってまいりました。ですが、素手でつかみ掛かろうだなんて、むしろ、わたくしたちの思う壺でしたわ」
「会津の女たちの薙刀《なぎなた》は、なかなか凄まじい。下心を剥《む》き出しにした阿呆どもは、たやすく近寄れたもんじゃなかっただろう」
「ええ、わたくしたちはいくつもの首級を挙げました。素手ではいけないと悟った敵は慌てて刀を抜きましたが、わたくしたちも決死の覚悟で奮戦しましたから、誰も刀傷を負わされたりなどしませんでしたの」
「だったら、おまえさんはなぜ死んだ?」
竹子は一歩、二歩と後ずさった。薄闇の中に敵の姿があるかのように、腰を落として薙刀を掲げ、振り回そうと構えてみせる。
「こうやって妹を背に庇《かば》い、槍をしごく敵と相《あい》対したときでした。どこからか鉄砲の弾が飛んできて、わたくしの額を撃ち抜きました」
音もなく、竹子の額から血が噴き出した。見る間に赤く染まった鉢巻が、はらりと落ちる。竹子は目を見張ったまま薙刀を取り落とし、くずおれた。動くはずのない唇が、しかし動き続ける。
「戦闘には決着が付かず、結局は双方、兵を収めました。わたくしの屍は敵に奪われぬよう女子たちの手によって運ばれ、妹が介錯を務め、わたくしは首だけの姿になりました。今、首は白《しろ》羽《は》二《ぶた》重《え》の布にくるまれ、お寺に連れていってもらう最中です」
地に倒れた竹子の体が掻き消えた。血の抜け切った白い首が短い髪を翻《ひるがえ》し、ふわりと宙に浮き上がる。
竹子の母か妹が、死んだ女武者の顔を清めたようだった。血や埃は拭い取られ、まぶたも静かに閉ざされている。蒼白なはずの唇には紅が差されていた。
「もののふの猛きこころにくらぶれば数にも入らぬわが身ながらも」
「おまえさんの辞世か?」
「はい。いつ死んでもよいようにと、懐《ふところ》に差して戦っておりました」
竹子の首は遠慮がちに、俺の手が届かない宙に留まっている。俺は足を踏み出し、両手を差し伸べ、竹子の首を引き寄せた。
「口紅、似合ってるじゃねぇか」
「こんな生首を相手に、ご冗談を」
「冗談なもんか」
「人生の最後に、母に隠し事をすることになってしまいました。母はわたくしにこの紅を差しながら、口づけも恋も知らずに死んだ哀れな娘と泣いてくれたのですけれど」
「隠し事は一つかい、二つかい?」
「意地悪な人。女《おな》子《ご》にそれを答えさせるのですか? ご自分は知らぬ存ぜぬの涼しいお顔をなさりながら」
「そんないじけた口振りじゃあ、二つともが隠し事だと答えたも同然じゃねぇか。せっかくだ、もう一つ増やしてやろうか」
逢魔が時の妖気に当てられたのかもしれない。薄気味悪いとは少しも思わなかった。俺は竹子の赤い唇に自分の唇を押し当てた。
柔らかい。
竹子の唇が急に、とろけるような柔らかさを取り戻し、甘く香った。髪がしっとりと重さを増し、途切れた首の下にいつしか華奢な肩が続いている。
俺は竹子の口を吸いながら、その長い髪を指で梳《くしけず》り、背に腕を回して抱き寄せ、しなやかな体を胸に閉じ込めた。
竹子は俺にすがり付いた。ぎこちない唇が、舌が、俺に応える。一生懸命に俺の味を知ろうとする。
江戸でも京都でも、さんざん浮名を流してきた。手練手管の駆け引きは遊びだ。気まぐれに詠む俳句と同じで、その一瞬だけの美しさを目ざとく切り取って楽しんで、渇きがちな胸を束の間、潤す。
たやすい遊びを重ねて潤そうとすればするほど、俺の胸はますます渇いた。満たされることはないままに、今このときだけは、腕の中の女がいとしい。竹子を手放しがたく感じる。
しかし、やがて竹子は俺の胸を押して体を離させた。
「お別れの時がまいりました。これ以上わたくしに触れてしまっては、土方さまが此岸に戻れなくなります」
白い打掛に白い小袖の竹子は美しかった。濡れた目、染まった頬、紅の半ば落ちた唇。ありもしない風が、竹子の髪をふわりとそよがせる。
「死装束の幽霊が花嫁御寮《りょう》に見えちまうな。この世に悔いや心残りはねぇのか?」
「ありますわ。たくさんあります。でも、何も言うまいと決めましたから。最期に土方さまにもお会いできましたし、もう十分ですわ」
「最期が俺でよかったのか?」
「父や母や妹はわたくしが何も申さずとも、わたくしのことを偲《しの》んでくれるはず。ですから、さっさとわたくしをお忘れになりそうな薄情なおかたのもとに、こうして現れることにしたのです」
「なるほど、道理だ。幽霊の口なんぞ吸ったのは、さすがに初めてだぜ。こんな別れ方をするんじゃ、俺は一生おまえさんを忘れねぇだろう。まんまと小娘の術中に嵌《は》まっちまった」
竹子は朗らかに笑った。夜の闇が深くなる。星明かりが降り注ぐ。竹子の姿が次第に儚《はかな》く透けていく。
「簪《かんざし》を挿せるほど髪が伸びるまで生きるという約束を守れず、申し訳ございません。土方さま好みの女子になってみとうございました。死んで生まれ変わったら、またわたくしと出会ってくださいますか?」
いじらしい。
いや、そんな情など抱いたところで、今さら詮なきことだ。俺はただ、女殺しと花街で持て囃《はや》された笑みをこしらえた。
「来世で俺と出会いたいと言う女は両手両足の指に余るほどいてな、行列をたどりゃ俺を見付けられるだろうよ。楽しみに待っててやる。来世では、俺を振り向かせてみせな」
「ええ、振り向かせてみせますとも。わたくしは負けず嫌いでございますから、挑んでみよと言われたら、勝つまで挑み続けますわ。心してお待ちくださいまし。また、いつの日か」
声の余韻が闇に呑まれて消えた。純白をまとった竹子の姿も、もうそこにない。
緞《どん》帳《ちょう》が切って落とされたように、がらりと景色が変わった。もとに戻ったのだ。
宵《よい》の口、米沢の城下町の往来で、俺は立ち尽くしていた。足早に行き交う人々が、洋装に刀を差した俺に怪《け》訝《げん》な目を向ける。
「幻か」
唇に触れ、ふと気付いて指先を見る。口紅が残っていた。
来世。そんなものがあるのか。死んでみなければわからない。いずれにせよ、さほど遠い出来事でもなかろうと思う。
「土方歳三よ」
低いところから声がした。男とも女とも子どもともつかない声だ。見下ろして、声の主の正体を知る。
「シジマか?」
「さよう」
「尾が四本……おまえさん、化け狐だったのか」
「人聞きの悪い。好んで四尾と化したわけではないわ。戦の瘴気に当てられ、人の業《ごう》に巻き込まれ、主の血を浴び、斯《か》様《よう》な姿になってしもうた」
漆黒の毛を持つ狐は、醒《さ》めた金色の目で俺を見上げている。言葉を発するたびにのぞく舌には、赤い環が刻まれていた。
「竹子どのの霊をここまで運んできたのは、おまえさんか?」
「いかにも」
「ご苦労だったな。竹子どのと話ができてよかった」
「汝《なんじ》がそう言うなら、主の御《み》霊《たま》も慰められよう。して、歳三よ、汝に頼みがある」
「何だ?」
「我は、主のおらぬ会津に戻るつもりはない。しかしながら、人の世に染まり、環の力を得た今となっては、山に帰るも叶わぬ。汝に付いていきたいが、よいか?」
四尾の狐は小首をかしげた。俺はうなずいた。
「付いてきたけりゃ来るがいい。行き先は地獄かもしれねぇが」
シジマの返事を待たず、俺は雑踏の中を歩き出した。宿に島田さんや大鳥さんを待たせている。早く戻らなければ、無用な心配をかけるだろう。
俺を追って、シジマは黙って駆けてきた。四尾は、よほど目を凝らさない限り、ありふれた一本の尾にしか見えなかった。
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